ある閉ざされた雪の山荘で
原作はまだ読んでない。知ってる人は「映画版 変な家」に出ていた間宮祥太朗氏と、テレビの「舟を編む」に出ていた戸塚純貴氏くらいか。後で調べてみたら主演の重岡大毅氏は「殿、利息でござる!」に出ていたらしい。温子役の堀田真由さんは2016年版「獄門島」に出ていたらしいが、記憶なし。次回作のメインキャストの最終選考という名目で貸し別荘に集められた若い役者七人。雨宮(戸塚氏)、本多(間宮氏)、田所(岡山天音氏)、由梨江(西野七瀬さん)、温子、貴子(中条あやみさん)の六人は劇団水滸のメンバー。久我(重岡氏)だけは所属していた劇団が解散したため、フリーの身。冒頭シーンは海沿いを走るバス。六人は夜でもないのにアイマスクをしている。どこへ来たかわからないようにってことだろうけど、バス停には九十九灯台とある。それに久我は一人で先に別荘へ来ている。別にアイマスクの意味ないじゃん・・。さて、別荘へ着いても演出家東郷の姿はなし。海のそばで雪も降ってないけど、大雪の中、まわりとは隔絶されているという設定。ここから離れたら即失格とかいろんなルールを課される。事件が起きるけど、それを解決した者が主役を射止める。劇団の六人は仲間であると同時にライバルでもある。久我は前々から劇団メンバーに憧れていたらしいが、六人からみると性格や演技のレベルなどはほぼ未知数。映画を最後まで見て、内容わかってみると、犯人(いちおう)はなぜ外部の彼を加えたのかな?という気はする。去年行なわれたという三次選考に彼も残ったのだから、いないとおかしいということなのかな。でも急に都合が悪くなったとかいくらでも理由つけられたと思うが。彼などいない方が筋書き通りにことが運んだはずだが。さて部屋割りがすみ、荷物を解き、夕食に。久我はレストランで働いていて、料理は得意。「そして誰もいなくなった」の文庫本が七冊用意されている。あれは文字通り最後には誰もいなくなってしまって、後味の悪い結末。だから映画化されるとたいてい男女二人は生き残るよう変更されている。人形や童謡は欠かせないアイテムだが、この映画では出てこない。翌朝、温子がいなくなっている。ヘッドホンのコードで絞殺されたと東郷の声で説明があるが、死体がないのでまだぴんとこない。東郷の描いたシナリオか。次に由梨江が襲われ、姿を消す。血のついた花びんが凶器か。犯人はこの中にいるのではとみんな疑心暗鬼に。久我はアリバイ作りのため本多と同じ部屋で寝る。手首を赤いひもで結びつけるが、朝起きるとそのひもでハートマークができているのが笑える。と言うかあのひも、長すぎるね。
ある閉ざされた雪の山荘で2
謎を解こうと努力しているのは久我だけだが、途中で彼が犯人?と思えてくる。三次選考で落とされ、ショックで実家へ帰ってしまったのが雅美(森川葵さん)。誰が見ても実力が抜きん出ている彼女が、なぜ落とされたのかは不明。彼女なら東郷に抗議したはずだが。その後彼女を励まそうと実家を訪れたのが雨宮、温子、由梨江の三人。直後雅美は交通事故にあい、下半身不随に。今度は自分の番とおびえる雨宮。そしてその通りに。で、久我がその雅美の恋人で、彼女の代わりに復讐をしているのでは・・と思ったわけ。彼だけ外部から来ているから素性わからないし。でも違った。最終選考の期限が来、久我が犯人と名指ししたのは本多。実はこの映画二回見たんだけど、二回目見てたらかなり早い段階で久我が本多を疑い始めているのに気づいた。途中久我が「一緒にアリバイを作った仲なのに」と思いつめたような顔で言うのは、(ギャグではなくて)本多に真相話して欲しかったからだろう。由梨江の時は本多と久我は赤い糸で結ばれていた(←ちょっと違う)から、二人共アリバイがある。しかし本多は久我を疑うようなこと言っていて、それってどう考えてもおかしい。ただいくら何でも・・雅美に同情したからって三人も殺すというのは無理がある。と言うか、何で雅美を落とした東郷が無傷でいられるんだ?で、マジックミラーの後ろに隠れ、あちこちに取り付けたカメラで三人が殺されるところを見ていた雅美の登場となる。でもその後でもう一度引っくり返るんだけどね。それにしても・・雅美はともかく、他の三人は・・特に温子や由梨江は長時間どこに隠れていたのだろう。最初の方で別荘の見取り図が出てくる。雅美が隠れていたのは二階のプレイルームの部分だろうが、それ以外に三人が隠れていられそうな場所ってある?もちろん監視カメラにもうつらず。それと・・今回の計画、かなりお金かかったと思うんだけど。広い貸し別荘をまるまる三日。食料だって高級そうなのをぎっしり揃えてあった。役者なんて貧乏と相場が決まってる。由梨江の実家は金持ち?いやいや、お膳立てをするのはあくまで雅美と本多。保険金でも利用したのかね。この映画は三重構造になっている。東郷の考えた筋書き、雅美の考えた筋書き、本多の考えた筋書き。ネットでの感想だと、すべてが芝居という四重構造と書いてる人もいる。確かに本多の筋書きだと、どこまで雅美をだますつもりだったの?ということになる。久我という名探偵が本多の筋書き見破ったからああいう流れになったけど、見破らなかったら?と言うわけでミステリーと言うより青春物のテイスト。ケンカして仲直りして、絶望して希望見出して。見ていてお尻がムズムズしたけど、全員死亡なんていうのよりはもちろんマシです。