フランケンシュタイン(1994)
これはだいぶ前に一度見たことがある。「ハムレット」もそうだが、私はケネス・ブラナーは苦手。エネルギッシュと言えば聞こえはいいが、単純にうるさい。しつこい。あぶらっこい。もたれる。この映画でも舞踏会とかみんなしてぴょんぴょんはね回ってる感じ。ラブシーンではカメラがぐるぐる回る。見ているこっちの目も回る。冒頭やラストは1931年版では省略されていた北極のシーン。北極点に立とうと無理な航海続ける探検家ウォルトン。演じているのは・・エイダン・クインだな。まだ若いな、髪が長いとヒュー・ジャックマンみたいだな。氷に閉ざされ、動けなくなった船。ところが彼らの前にヴィクター・フランケンシュタインが現われ、驚くべきことを語り出す。まあ暑苦しいブラナーなら北極も防寒具なしで平気だな。ジュネーブに住む医者の息子ヴィクター。母親は弟ウィリーを産んで死亡。孤児となって引き取られたエリザベスと兄妹のように育つが、成長するにつれて愛し合うように。しかしヴィクターは大学へ入るためインゴルシュタットへ行かなければならない。師事したウォルドマン教授が殺され、ショックを受けるが、遺された研究日誌をもとに、ある実験にのめり込む。人類を死や病から救いたい。教授殺しで処刑された男の体に教授の脳を入れ、雷の電気を利用して・・。まあとにかくうつし方がお祭り騒ぎ的で、見ていてうんざり、呆れるんですわ。原作でも描写はあいまいだし、映画も科学的にやれとは言わない。でもドタバタドタバタ見ていて疲れるのよ。心配したエリザベスが訪ねてくるが、何をやってるのかは言わない。失敗したと思い込んでジュネーブへ戻るが、怪物はなぜか研究日誌を手に入れ、あとを追う。31年版と違い、こちらの怪物には知性がある。話せるし、字も読めるし、考えることもできる。こちらの方が原作の怪物に近い。31年版ではわけもわからずに迫害され、そこが気の毒だったが、こちらの怪物はなまじ知性があるだけに思いは複雑。ヴィクターの方が単純で、結果も考えずに行動し、表面的なことだけを見て結論を出し、後始末もしない。そのせいでまわりを不幸に巻き込む。ロバート・デ・ニーロの怪物はいいような悪いような。全然知られていない人を使うのがいいのか、超一流の名優を使うのがいいのか、難しいところだ。父親役はイアン・ホルム。エリザベス役はヘレナ・ボナム゠カーター。怪物がエリザベスの心臓を取り出すところは「デビルスピーク」思い出した。