魔術はささやく
2時間ドラマもたまには・・原作読んだことあるし・・と言ってもだいぶ前なのでほとんど覚えてないけど。15年前、和子(木村佳乃さん)の父親は市役所の金を横領して失踪。母親は心労で死亡し、和子と弟の守(中村蒼氏)は別々の施設へ。物心がつく前だったので、守は姉の存在を覚えていない。今は里親の大造(大杉漣氏)、その母親で認知症気味のカヨ(加藤治子さん)と三人で暮らしている。大造は独身で、タクシーの運転手をしている。和子はある秘密を抱えており、名乗り出ることもできず遠くから見守っている。弟を捨てたという罪悪感があり、何としてでも弟を守るという決意でいる。ある晩大造は車の前に飛び出してきた理恵をはねて死なせてしまう。彼に落ち度はないのだが、目撃者がいないため勾留されてしまう。カヨや守はいやがらせの標的となり、それがきっかけで和子は守をいろいろ助けるようになる。一方理恵に続いて敦子が地下鉄に飛び込んで死亡。二人ともケータイを手にしていた。和子のところには不審な電話が。以前和子、雪美(小池栄子さん)、理恵、敦子の四人は介護士をしていた。雪美にだまされ、それと知らずに老人介護詐欺の片棒をかつがされていた。気がとがめてやめようとしても雪美に脅され、抜け出せなかった。ここらへんの描写はややあいまい。年寄りに親切にして信用させ、通帳や印鑑を預かったり家の権利書を手に入れたり。そうやってお金を手に入れるんだとして、そういうのを雪美一人でやってると言うのは・・。あたしゃてっきり後ろに男がいて、あるいは組織があって指示されてるのかと。でも違った。お金を下ろせばそのうちばれるのに。で、そうなって主犯の雪美は実刑判決を受けたが、あとの三人はおとがめなし。でも罪悪感は残ると。ほとんど覚えていないと言っても、見ていてあれれ?とは思う。老人介護詐欺だったっけ?和子ってこういうキャラだったっけ?もっといやな女じゃなかったっけ?まあいいや、変更されていてあたりまえ。話を戻して今の和子はかなり大きな書店の店長。父親のせいでバイトをクビになった守を雇う。そのうち雪美も結婚式当日、窓から飛び降りて死亡。やはり直前に電話が来て、様子がおかしくなった。次は私の番?犯人かも・・と訪れたのはカメラマンの橋本(松重豊氏)のアパート。その彼も死亡。ある日店で気分が悪くなった和子は鈴子(原田美枝子さん)のクリニックへ。原作読んでなくても鈴子の存在は怪しい。しかもメンタルクリニックですよ。いろいろ聞き出してるはず。
魔術はささやく2
気分が悪くなったのはヒーリング用ビデオを見ていた時。他にも様子がおかしくなった人がいて。守が調べてみると、万引き防止用の細工がされていた。いわゆるサブリミナル効果。ストレスや罪悪感(気分が悪くなった女子高生は万引き常習犯だった)があると反応してしまうらしい。この頃やっと大造が釈放される。目撃者が現われたからだが、それが刑事の吉武(奥田瑛二氏)。すぐに申し出なかったことをわび、もう車を運転するのは怖いと言う大造のために、新しい就職先を世話する。この後守は吉武が自分の実の父親なのではと思い始める。一見そんなふうに見えるが、中学か高校生だった和子が反応しないのはおかしい。で、後で違っていたことがわかる。和子は不審な電話を受け、あることを思い出す。難聴の智恵(草村礼子さん)の息子で、自分に好意を持っていた賢一(眞島秀和氏)。しかし訪ねてみると智恵は認知症で施設へ、賢一は自殺したとのこと。詐欺の件が明るみに出た時、賢一は強いショックを受けていた。復讐の方もそろそろ大詰め。和子以外の標的は皆ストレートに殺されたのに、彼女にだけは回りくどい方法がとられる。まわりの者、特に守を苦しめる。普通なら主犯の、すべての元凶の雪美を苦しめる。しかし犯人の鈴子は弟の賢一を死に追いやった和子に、自分と同じ苦しみ与えることにこだわる。見てる人は思う。別に和子は賢一を誘惑したわけじゃない。彼が一方的に好きになって、一方的にショック受けたんじゃん。しかも守を殺すのではなく、守に吉武を殺すよう仕向けるという。実は吉武は15年前、出頭しようとしていた和子達の父親をはねて死なせてしまう。それを隠すため近くの山に埋める。その罪悪感があるから、ウソの目撃証言をし、大造を助け出す。仕事も世話する。ここでまた見ている者は思う。あの~横領したお金はどうなったの?結局最後まで和子は姉だと名乗り出なかったな。店長をやめ、どこか遠くへ。償いができたら戻ってきてその時には・・。こういう終わり方って安直だよな。償いとか自分捜しとかアバウトで。これから何をするのか、具体的であったためしがない。子役の守役の子はかわいい。目が大きくて。雨のそぼ降る中、アパートの片隅で段ボールで作った秘密基地の中に座り込んでいるところ。それを見つけた吉武が声をかけるところ。つらい日々を送りながらもひねくれもせず、素直に生きてる守の姿が見ている者の心を打つ。