album

1st Album『eyes』● '85/10/2 ('91/7/1) release

渡辺美里、記念すべきデビューアルバム。デビュー曲の「I'm Free」は収録されていないんだけれども、「GROWIN' UP」でも聞かせてくれた熱をそのままに、元気溢れる1枚となっている。 そして、注目すべきは参加している制作陣。大江千里にTM NETWORKの3人、そしてデビュー前の岡村靖幸が作曲やアレンジ、コーラスなどで参加しては、渡辺美里と一緒に盛り上がっています。 レコード会社が一丸となって、エピック魂を見せ付けた1枚。デビュー盤ながらに勢いを感じさせます。 そのほかに、白井貴子や後藤次利、清水俊之も作曲やアレンジで参加していて、渡辺美里を輝かせている。渡辺美里のヴォーカルも、随分と真っ直ぐな気持ちが伝わってくる。 アルバムのジャケットの表情は、どこかしら迷いというか不安を覗かせるような感じだけれども、しっかりと前を向いている。まさしく「eyes」なアルバムですね。

1. SOMEWHERE

作・編曲:小室哲哉

記念すべきアルバムのオープニングを飾るインストナンバー。渡辺美里自身のコーラスで、大きく盛り上がる幕開け。 小室哲哉が作曲とアレンジを担当。アルバムの幕が、今開かれた。

2. GROWIN' UP

作詩:神沢礼江 作曲:岡村靖幸 編曲:後藤次利 コーラス:渡辺美里、TM NETWORK、岡村靖幸

疾走感たっぷりに聞かせてくれるポップなナンバー。2枚目のシングルなんだけれども、 デビュー曲がカバー曲と考えると、実質的なオリジナルナンバーとしては1枚目だね。 作曲が岡村靖幸でアレンジが後藤次利。コーラスには渡辺美里自身のほか、岡村ちゃんやTM NETWORKなど、 Epicのアーティスト達が飾ります。いやはや、豪華なナンバーに仕上がった。前向きな歌詩も手伝って、渡辺美里の元気が広がってゆきます。

3. すべて君のため

作詩:神沢礼江 作曲:岡村靖幸 編曲:後藤次利 コーラス:TM NETWORK

ポップに展開する明るいナンバー。こちらも岡村靖幸作曲で、アレンジが後藤次利。 コーラスはTM NETWORKと、豪華な面々が揃った。サビのメロディは爽快に。渡辺美里のファルセットも、なかなか聞き応えがあります。

4. 18才のライブ

作詩:竹花いち子 作曲:亀井登志夫 編曲:大村憲司

弾けたポップチューン。元気いっぱいの主人公を見事に表すような、渡辺美里の伸びのあるヴォーカルが印象的。 大人と子供の狭間で揺れる18才の気持ち、なかなか難しいね。

5. 悲しいボーイフレンド

作詩・曲:大江千里 編曲:後藤次利 コーラス:渡辺美里

大江千里が作詩と作曲を手がけたナンバー。これがまた、切ないストーリーだね。別れた後も友人関係でいるのは難しいのかな。 大江千里の描くシチュエーションに、渡辺美里のヴォーカルを当てることで、よりリアルな物語が展開するようだ。

6. eyes

作詩:戸沢暢美 作曲:木根尚登 編曲:西本明

アルバムのタイトルチューンは、木根尚登作曲のナンバー。西本明のアレンジでポップな印象を押し出してきたね。 結構ホンワカした音ながら、歌詩の内容は強硬。熱い時こそ、目をしっかりと開いて、前を向いていこうという、真っ直ぐな気持ちが伝わってきます。

7. 死んでるみたいに生きたくない

作詩:戸沢暢美 作曲:小室哲哉 編曲:後藤次利 コーラス:渡辺美里、TM NETWORK

ちょっと衝撃的というか刺激的なタイトルですね。曲の方は、小室哲哉が担当した、疾走感のあるポップチューン。 後藤次利の安定感あるアレンジに、渡辺美里とTM NETWORKによるコーラスで大きく盛り上がってゆく。 力強く駆け抜けてゆく感じが、本当にかっこいいんだ。後にシングルカットされた良曲です。

8. 追いかけてRAINBOW

作詩:渡辺美里 作曲:白井貴子 編曲:後藤次利

渡辺美里自らが作詩を担当したナンバーは、白井貴子が作曲を担当。 なんだか、白井貴子がスーッと渡辺美里に乗り移ったかのように、爽やかな風を送る元気いっぱいソング。それにしても、初々しさのある歌詩が、また味があっていいね。

9. Lazy Crazy Blueberry Pie

作詩:神沢礼江 作・編曲・コーラス:岡村靖幸

岡村靖幸が作曲のみならず、アレンジやコーラスも担当したポップチューン。 どこかしら、クールな雰囲気も出ているし、渡辺美里の歌い方も、尖った感じがしていて、かっこいいね。キーボードの音も、どこかしら挑発してくるように聞こえてくる。

10. きみに会えて

作詩:神沢礼江 作曲:小室哲哉 編曲:清水信之

作曲を担当したのは小室哲哉。シンプルなアレンジで聞かせてくれるバラードナンバーです。 渡辺美里のヴォーカルも、気持ちが込められていますね。それにしても、サビのメロディは、泣きの小室メロディですよ。うっとりさせてくれるし、引き込んできますね。

11. Bye Bye Yesterday

作詩:渡辺美里 作曲:岡村靖幸 編曲:清水信之

岡村靖幸が作曲、清水俊之のアレンジが随分と弾けているナンバー。なんかもう、ウキウキワクワクな気持ちが曲から出てきます。 渡辺美里自身の歌詩からも、1人はいやだ、誰かと出会って楽しくなりたいという気持ちが伝わってくるね。

2nd Album『Lovin' you』● '86/7/2 ('91/7/1) release

渡辺美里、デビュー2作目のオリジナルアルバムにして、2枚組みという大作を発表。 HEREとTHEREという2枚に、若さゆえの勢いが詰まっていて、かっこいいね。大ヒットを記録し、彼女の代名詞ともなった「My Revolution」をはじめ、 同じく、小室哲哉作曲の「Teenage Walk」、さらに後にアルバムからカットされる岡村靖幸作曲の「Long Night」の3曲のシングルを含む全26曲は、どれも強力。 前作の延長を行く、瑞々しさもある作家陣の力が出まくっているね。小室哲哉はじめ、木根尚登に岡村靖幸など、エピック万歳な全盛期を飾っています。 10代でこの作家陣のナンバーを歌えるとは、渡辺美里は本当に勢いがあってよいですね。ヴォーカルにしろ、自ら手がけた歌詞にしろ、若さが溢れ出ています。まだ幼さが残るジャケットも良いね。 なんでも吸収できる多感な時期なんだろうね。周りのスタッフも期待をかけている感じが伝わってくる。とにかくヴォリュームたっぷりで、トコトン渡辺美里を味わいつくせる作品だね。

HERE

1. Long Night

作詩:渡辺美里 作曲:岡村靖幸 編曲:大村雅朗

始まりはしっとりと、タイトル通りに夜っぽい雰囲気が漂います。そして、サビではポップでキャッチーに弾ける。岡村靖幸の作曲で、爽やかに仕上がった1曲。 渡辺美里による歌詞が、力強さを伝える。そして、ヴォーカルも実に前向き感たっぷりです。

アルバムからカットして、通算6枚目のシングルとしてリリースされました。

2. 天使にかまれる

作詩:渡辺美里 作曲:小室哲哉 編曲:大村雅朗、小室哲哉

タイトルがまた良いな。作曲は小室哲哉。もう始まりのメロディパートから 小室節が炸裂。かっこよく、それでいてちょっと切なく。渡辺美里のヴォーカルも、どこかしら悲しさや陰みたいなものも感じる。 マイナー調のメロディが、クセになる1曲。最後のピアノもGoodだね。

3. My Revolution

作詩:川村真澄 作曲:小室哲哉 編曲:大村雅朗

イントロからもうおなじみ。弾けるキーボードとドラムの音がワクワクさせる。渡辺美里の最大ヒット曲。この曲で小室哲哉の名も一気に広まったものだよね。 でも、小室哲哉は作曲だけで、編曲にはノータッチ。そう考えると、大村雅朗のアレンジもすごいよな。そして、川村真澄の歌詞も前に前に。夢や力を与えてくれるような元気が詰まっています。 まさしく渡辺美里にとって革命的なシングルナンバーです。

4. そばにいるよ

作詩:神沢礼江 作曲:小室哲哉 編曲:大村雅朗

しっとり始まるバラードナンバー。この曲も小室哲哉のメロディが生きています。シンプルな歌詞と演奏、そして渡辺美里の真っ直ぐなヴォーカルが盛り上げます。 アレンジも始まりと終わりの被せたキーボードの音が雰囲気を出すなぁ。

5. 素敵になりたい

作詩:神沢礼江 作曲:岡村靖幸 編曲:大村雅朗

岡村靖幸らしい、弾けに弾けたポップチューン。歌詞もとっても素敵じゃない。猛アタックを仕掛ける主人公ですよ。 ファンキーに吹き荒れるブラスも手伝って、元気いっぱいに聞かせてくれます。ラストでフェイクをかます渡辺美里と岡村靖幸が、本当にかっこいいんだ。

6. 19才の秘かな欲望

作詩:戸沢暢美 作曲:岡村靖幸 編曲:大村雅朗

これまた、岡村靖幸色が出たロックチューンだね。コーラスもファンキーに盛り上がっています。そして、なんだか説得されてしまうような歌詞に惹かれてしまう。 確かに、10年先も来週も、未来のことなんて一緒だね。慌てず騒がず、じっくり行こうよと。

7. This Moment

作詩:川村真澄 作曲:小室哲哉 編曲:大村雅朗

ポップなビートで聞かせるアップテンポナンバー。小室哲哉の作曲。駆け抜けてゆくような展開に、渡辺美里の元気なイメージが重なるね。 Bメロのメロディが好きだな。サビが逆に単調な雰囲気。ギターに佐橋佳幸の名があるね。

8. 君はクロール

作詩:渡辺美里 作曲・編曲:大村雅朗

神秘的な音を広がらせるバラードナンバー。元気なイメージのある渡辺美里だけれども、この曲では大人っぽく。 なるほど、バリドラムが東南のエスニックな印象を醸すわけだ。ゆったりと包み込んでくれるような曲ですね。

9. Resistance

作詩:神沢礼江 作曲:岡村靖幸 編曲:大村雅朗

どっしりとした歌がオープニングから響きます。かっこいいぞ、渡辺美里。キーボードの音がどこかしらEUROPA「THE FINAL COUNT DOWN」のような雰囲気も。 ストレートなヴォーカルがグサッと突き刺してくるようだ。サビも力強く、ダイナミックに聞かせてくれます。

10. My Revolution (Hello Version)

作詩:川村真澄 作曲:小室哲哉 編曲:大村雅朗

大ヒットナンバーを素敵なハーモニーで聞かせてくれるバージョンです。優しく柔らかい空間が広がる。コーラスワークにうっとりさせられますね。

THERE

1. 悲しき願い (Here & There)

作詩:渡辺美里 作曲:岡村靖幸 編曲:大村雅朗

オープニングから勢いが出ていて良いね。さすがは岡村靖幸な 愉快痛快なメロディに楽しくさせられます。歌詞も渡辺美里本人が手がけたもので、前向きな気持ちを全開に。

2. みつめていたい (Restin' In Your Room)

作詩:渡辺美里 作曲:岡村靖幸 編曲:大村雅朗

いきなりサビで始まっては、弾けっぷりたっぷりの渡辺美里。元気いっぱいなヴォーカルと、自ら書いた歌詞も、君へ真っ直ぐな気持ちを届ける。 岡村靖幸のメロディも、所々でひねりが加えられていて、センスが出ているね。疾走感もあるし、清々しくて若さ爆発だね。

3. 言いだせないまま

作詩:神沢礼江 作曲:木根尚登 編曲:大村雅朗

しっとりと聞かせてくれるバラードナンバー。作曲は木根尚登だ。ここでもキネバラ本領発揮で、じっくりと包み込んでくれるようだね。 君のことを思う主人公の切ない気持ちが、曲にそのまま表れているようで、淡いナンバーです。

4. 雨よ降らないで

作詩:渡辺美里 作曲:小室哲哉 編曲:大村雅朗

ポップに弾けるアップチューン。渡辺美里のヴォーカルも、弾け具合がかっこいいね。力強いヴォーカルとともに、 自ら書き上げた歌詞を真っ直ぐ聞かせる。さすが小室哲哉なキャッチーなメロディも、曲の世界へ引き込んできますね。

5. Steppin' Now

作詩:渡辺美里 作曲:渡辺美里 編曲:大村雅朗

渡辺美里が作詩と作曲を手がけたファンキーなナンバー。佐橋佳幸のギターが渋く、響き渡ります。コーラスやステップも渡辺美里自身が担当。 こういう曲を持ってくるあたり、勝負をしている感じが伝わってくるね。

6. 男の子のように

作詩:渡辺美里 作曲:西本明 編曲:大村雅朗

ピアノとシンセサイザーのみをバックに聞かせるバラードナンバー。 派手さはないけれども、シンプルに真っ直ぐ歌を届けてくれる渡辺美里です。結構、胸にジーンと来ますね。

7. A Happy Ending

作詩:川村真澄 作曲:岡村靖幸 編曲:大村雅朗

ベースやギターのリズムの取り方がいい味を出すポップなロックチューン。なるほど、岡村靖幸が作曲を担当している。 サビ前の一時のブレイク、そしてサビのコーラスなどがポイントだね。さらに間奏ではサックスのソロも入ってきて、大盛り上がりだ。

8. Teenage Walk

作詩:神沢礼江 作曲:小室哲哉 編曲:大村雅朗

「My Revolution」に続いて、小室哲哉の作曲ナンバー。マイナー調のメロディパートがグッと引き締めるポップチューン。 かき鳴るギターも渋くアクセントになっているね。サビになると、ポップでキャッチーなメロディに変身。心を掴まれた感じがするね。前向きに羽ばたきたい。 渡辺美里のヴォーカルからも、とっても元気で力強さを感じる1曲。

9. 嵐ヶ丘

作詩:渡辺美里 作曲:小室哲哉 編曲:大村雅朗、小室哲哉

この曲では小室哲哉も編曲に参加。ちょっとダンスポップに聞かせてくれるポップナンバーで、TM NETWORKの3人もコーラスとして参加して盛り上げています。 張りのあるヴォーカルも披露する渡辺美里も印象的。間奏の音は、もはやTM NETWORKの持つ近未来感たっぷりで、びっくりさせられます。まさしく嵐のような激しいナンバーですね。

10. Lovin' you

作詩:渡辺美里 作曲:岡村靖幸 編曲:大村雅朗

アルバムのタイトルチューンは、どっしりとした音と渡辺美里のヴォーカルが真っ直ぐ突き刺してくるロッカバラード。 渡辺美里自身が書いた歌詞もストレートに。君を好きだという気持ちがどっしりと伝わってきます。

3rd Album『BREATH』● '87/7/15 ('91/7/1) release

渡辺美里の通算3枚目となるオリジナルアルバムは、ジャケットいっぱいに渡辺美里の顔がドーンと。これはインパクトがありますね。全曲作詩を渡辺美里が担当し、自分の言葉で伝えてきます。 シングルは「It's Tough」「Boys Cried (あの時からかもしれない)」の両A面ナンバーのみで、「BELIEVE」がスルーされたのが気になります。 (ちなみに、この次のアルバム「ribbon」には、リミックスバージョンで収録)。 今作は、多彩な作曲家やミュージシャンが参加。特に、伊秩弘将が「It's Tough」で作家デビューしているところに注目ですね。 また、佐橋佳幸や小室哲哉、木根尚登が作曲で参加し、渡辺美里らしさの出たメロディを作り上げる。 渡辺美里自身も作曲を何曲か手掛けていて、ポップでジャジーに仕上がった「Richじゃなくても」は、意外にも良曲ですね。 そして、タイトルナンバー「Breath」は、極上のバラード。全てが詰まっているかのような、ストリングスや管楽器を従えて、約7分の壮大な作品となっております。 それこそ、脂の乗り始めを感じることができる作品で、次作へと大きな橋渡しをするアルバムとなったのではないでしょうか。

1. Boys Cried (あの時からかもしれない)

作詩:MISATO 作曲:伊秩弘将 編曲:西平彰

渡辺美里の両Aメンシングルナンバー。アコースティックサウンドと元気なロックを組み合わせた曲。オープニングから元気なコーラスを聞かせてくれました。 作曲は伊秩弘将、編曲は西平彰というコンビネーション。正直、Bメロからサビへの流れは、ギャップがあるかな。 一方で、サビでは爽やかさたっぷりで、渡辺美里にぴったりの楽曲と言えます。

2. Happy Together

作詩:MISATO 作曲:佐橋佳幸 編曲:佐橋佳幸

エッジの効いたギターがロックしているミディアムチューン。渡辺美里のヴォーカルも、荒々しさを付け足して、 元気いっぱいに。佐橋佳幸がとことん、ロックに仕上げてきました。サックスも手伝って、楽しさや元気をいっぱい聞かせてくれます。

3. It's Tough

作詩:MISATO 作曲:伊秩弘将 編曲:西平彰

渡辺美里、8枚目のシングルは両A面。作曲を担当したのは、この曲で作家デビューとなった伊秩弘将。随分と恥じたアレンジなのは、西平彰のの業です。 ブラスも華やいで、This is 渡辺美里な、元気がいっぱい伝わってくるナンバーだね。じっくりと聴かせてくれるサビが、意外にも胸に響きます。楽しさも溢れるナンバーです。

4. Milk Hallでおあいしましょう

作詩:MISATO 作曲:佐橋佳幸 編曲:清水信之

イントロのピアノの音色が可愛らしいね。清水信之のキーボードが温かく響き渡ります。ゆったりバラード調の始まりだけれども、 サビではポップに弾けます。佐橋佳幸のギターも楽しさが出ているね。そのサビで、渡辺美里がファルセットを聞かせてくれるんだ。

5. Breath

作詩:MISATO 作曲:伊秩弘将 編曲:清水信之

アルバムのタイトルチューン。オープニングからストリングスがゴージャスに飾ってきます。フルートやオーボエなどの管楽器も登場して、次第にゴージャスに変身。 とっても華やかで、とっても壮大で、とっても麗しいバラードナンバーです。7分強の時間も、まったく長さを感じさせません。それほど、曲の世界に入ってしまうんだな。

6. Richじゃなくても

作詩:MISATO 作曲:渡辺美里 編曲:清水信之

渡辺美里自身が作曲も手がけた、ジャズを意識したポップチューン。 イントロは山下達郎な感じで、爽やかさを伝えてくる。ホーンセクションも大活躍で、ウキウキワクワクな雰囲気がストレートにぶつかってきます。 うん、とにかくゴージャスだね。「Swingしなきゃ意味がない」なんて、歌詞も登場しています。ジャズだよね。

7. Born To Skip

作詩:MISATO 作曲:木根尚登 編曲:清水信之

随分とエスニックというか、神秘的な雰囲気を出すミディアムチューン。木根尚登が作曲を手掛けた、ドラマティックなバラードナンバー。 全体から漂ってくる壮大な雰囲気に、とにかくやられます。地球規模といいますか、世界が大きいな。

8. Here Comes The Sun (ビートルズに会えなかった)

作詩:MISATO 作曲:小室哲哉 編曲:西平彰

いかにも小室哲哉が作曲を手掛けたナンバーだね。しかも、TM NETWORKのメンバーがコーラスにも参加しているという、豪華な共演ですよ。 アレンジは西平彰が担当しているけれども、ポップに仕上がっています。John Lennonの死を扱った歌詞も、インパクトがありますね。 それほど、ビートルズに対しての思いを渡辺美里が伝えてくるんです。

9. Pajama Time

作詩:MISATO 作曲:小室哲哉 編曲:清水信之

続けても小室哲哉の作曲ナンバー。淡々とした印象で、それでいて複雑な展開を聞かせる楽曲。 暗い雰囲気で始まるけれども、やがて希望の光が射すように元気をくれるような感じだね。渡辺美里らしさを伝える。早口部分のCメロにインパクトを感じます。

10. 風になれたら

作詩:MISATO 作曲:渡辺美里・佐橋佳幸 編曲:佐橋佳幸

イントロなしで始まるバラードナンバー。ギターをバックに渡辺美里がしっとりと歌いあげる、素朴な歌だね。 手紙調の歌詞から、淡い恋心が伝わってきます。曲全体からは、シンプルさがありますね。

4th Album『ribbon』● '88/5/28 ('91/7/1) release

渡辺美里、通算4枚目となるオリジナルアルバムは、前作「BREATH」から約10ヶ月ぶりのリリース。 兎にも角にも、とことんポップでキャッチーなナンバー詰まった全11曲を放ってきます。シングル「BELIEVE」「悲しいね」はリミックスされて、さらにパワーアップ。 そのほか、「センチメンタルカンガルー」「恋したっていいじゃない」「桜の花の咲くころに」「10years」など、 後にも先にも魅力たっぷりの名曲ぞろい。このアルバムをベストに挙げるファンも多いことでしょう。 小室哲哉、木根尚登、岡村靖幸、大江千里などなど、名だたる作家を起用して、エピックレコードが総力を挙げて飾る渡辺美里の渾身作。 渡辺美里らしさが一番出ているアルバムなのかもしれませんね。ポップなんだけれども、もちろんロックな部分もあり、 激しさや優しさの出ている、喜怒哀楽が表れた歌詞がストレートにぶつかってきます。どの曲もシングルにしてもいいくらいの力がありますね。

1. センチメンタル カンガルー

lyrics:misato watanabe composition and arrangement:yoshiyuki sahashi horn arrangement:nobuyuki shimizu

アルバム「ribbon」のオープニングを飾るポップチューン。ブラスも華やかで、楽しさ満載。佐橋佳幸が曲とアレンジを担当。とにかく、ウキウキワクワクさせてくれるし、 キャッチーなメロディにノックアウトだね。元気いっぱいなヴォーカルに、カンガルーのごとく跳ねまくりだ。センチメンタルな雰囲気は全く曲から伝わってきませんね。 とにかく渡辺美里、脂が乗っている証拠だね。その後、アルバムからシングルカットされたほどに力のあるナンバーです。

2. 恋したっていいじゃない

lyrics:misato watanabe composition:hiromasa izichi arrangement:nobuyuki shimizu

アルバム「ribbon」に先駆けてリリースされたシングルナンバー。 伊秩弘将が手掛けた、極上ポップなロックチューン。山あり谷ありなメロディを器用に歌いこなす渡辺美里のヴォーカルに、パンチがあります。 佐橋佳幸と岡村靖幸もコーラスとして参加して、キレッキレに「D!A!T!E!」と弾けていますね。さぁさぁ、デートだデートだ。とにかく盛り上がる1曲です。

3. さくらの花の咲くころに

lyrics:misato watanabe composition:naoto kine arrangement:nobuyuki shimizu

来ました、キネバラ。木根尚登が作曲を手掛けたバラードナンバーです。イントロの12弦ギターが印象的な音を放ちますね。 本編は、どっしりじっくりどっぷりと聴かせてくれるアレンジで、力強さと優しさが融合しています。 歌詞も切なく、学生時代を思い出させてくれるような内容ですね。

4. Believe (Remix Version)

lyrics:misato watanabe composition:tetsuya komuro arrangement:masaaki omura

渡辺美里、7枚目のシングルとしてリリースされたナンバー。 イントロのどっしりとしたキーボードの音が印象的だね。小室哲哉が作曲を、大村雅朗がアレンジを手掛けたミディアムチューンです。 暗くマイナー調のメロディで進行していましたが、サビでは一変して希望溢れるメロディに変身する流れがいいね。信じることを貫く人生だね。

アルバムでは、リミックスバージョンで収録。そこまで大きな変化はなくバランスが良くなった感じかな。

5. シャララ

lyrics:misato watanabe composition:yasuyuki okamura arrangement:akira nishihira, yoshiyuki sahashi

イントロからコーラスがとっても爽やか。作曲を担当したのは岡村靖幸です。Aメロの言葉数も多いから、なるほど、そのまま作曲者のイメージが伝わってくるね。 でもって、サビがとっても爽やかなんだな。両手を伸ばして大声で歌っているようなイメージが浮かびます。合唱隊のコーラスも爽やかに仕上げてきました。

6. 19歳の秘かな欲望 (The Lover Soul Version)

lyrics:masami tozawa composition:yasuyuki okamura arrangement:yoshiyuki sahashi horn arrangement:nobuyuki shimizu

前々作「Lovin’ you」に収録していたロックなナンバーを、装いも新たなバージョンで聞かせてくれます。ブラスやシンセの音が弾けまくったり、 渡辺美里のヴォーカルもとにかくはっちゃけている。随分と楽しさがアップしたアレンジで、とことんポップになっています。

7. 彼女の彼

lyrics:misato watanabe composition and arrangement:yoshiyuki sahashi

オープニングから切ないメロディを聴かせてくれます。佐橋佳幸が作曲を担当したナンバーは、メロデイパートとサビパート、ともに随分とコンパクトな感じだね。 でも、ギターやらオルガンやら、様々な楽器が爽やかに彩ります。歌詞にもあるように、夏らしさ全開で、清々しく聞かせてくれます。

8. ぼくでなくっちゃ

lyrics and composition:misato watanabe arrangement:nobuyuki shimizu

渡辺美里が作詞と作曲を手掛けたナンバー。アンビエントな雰囲気が、幻想的に匂わせるバラードチューンです。 清水信之のエレピも、いい味を出していますね。

9. Tokyo Calling

lyrics:misato watanabe composition:hiromasa izichi arrangement:nobuyuki shimizu

イントロが少々壮大な雰囲気を醸し出すミディアムチューン。伊秩弘将が作曲を手掛けたナンバーは、マイナー調のメロディからスタート。 サビではキュンとさせてくれるような流れ。この曲も、清水信之のアレンジが効いていますね。扱っているテーマがちょっと大きいね。自然破壊をテーマにした、社会派ナンバーです。

10. 悲しいね

lyrics:misato watanabe composition and arrangement:tetsuya komuroi

アルバム「BREATH」後の初シングルナンバーは、小室哲哉が作曲だけでなくアレンジも手掛けた強力チューン。イントロから切なさを醸し出してきています。 さすがは小室哲哉、癖のあるメロディながらキャッチーさもあって、とにかくサビの力がハンパない。 大サビで拍車がかかってノックアウトですよ。すごいなぁ、この曲。タイトルを見事に曲が表しています。間奏のサックスもまた、彩りを加える。

アルバムではリミックスバージョンで収録。こちらも大きな変化はなし。音のバランスが良くなったのかな。

11. 10 years

lyrics:misato watanabe composition:senri oe arrangement:nobuo ariga

渡辺美里を代表するナンバーとなった名曲。あれから10年、この先10年、渡辺美里の思いが詰まっています。 大江千里がまた、いいメロディを書くんだよ。切ないながらも前に進む勇気をくれるような曲だね。 言葉数が多くて、どこかしらフォークソング的な雰囲気もあるけれども、渡辺美里のヴォーカルに意思が詰まっては、突き刺してくるように届けられる。

5th Album『Flower bed』● '89/7/1 ('91/7/1) release

渡辺美里の5枚目となるオリジナルアルバム。前作「ribbon」が大ヒットを記録。その勢いに乗ってシングルをリリースし、アルバムもちょっと勢いに乗っています。 ただ、変化球を投じた「ムーンライト ダンス」のテイストもあって、元気というよりかは、ちょっと落ち着いた雰囲気を漂わせています。 「跳べ模型ヒコーキ」や「冷たいミルク」などで大人っぽい渡辺美里を聞かせてくれる。とはいっても、やっぱり元気いっぱいに暴れるところも渡辺美里。 オープニングチューン「NEWS」で、「美里ちゃーん!」と声がかかっては、全速力で一気に駆け抜けて行きました。そして、ラストナンバー「すき」の雰囲気、本当に好きだな。 この曲のおかげで、アルバムが見事に締まった感じもします。 大江千里の力、本当に侮れません。そのほか、小室哲哉や岡村靖幸、伊秩弘将や佐橋佳幸など、おなじみに面々が渡辺美里をバックアップ。 何はともあれ、アメリカ・ニューヨークと、イギリス・ロンドンレコーディングとは、やっぱり時代がモノを言う。 初回盤は三方背ボックス&ミニ写真集付きで、じっくりと見せてくれます。

1. NEWS

作詩:渡辺美里 作曲:佐橋佳幸 編曲:清水信之 Horn Attangement:Greg Adams & 清水信之

「美里ちゃん!」の掛け声から始まるから、驚かされます。でもって、曲の方もファンキーなポップロックチューン。 暴れたヴォーカルも、クールに。いつも以上に攻めを感じるナンバーにインパクト大です。ブラスが華やかに飾りまくり、美里もご機嫌シャウトで攻めてきます。

2. やるじゃん女の子

作詩・作曲:渡辺美里 編曲:清水信之

渡辺美里が作詩だけでなく作曲も手がけたナンバーは、女の子のための応援歌。飾らない身近なシチュエーションに感情移入させやすいだろうね。 曲の方は、ポップなAメロ、マイナー調でキリッとさせるBメロ、爽やかさが突き抜けてゆくサビと、バランスよく。なかなか、やるじゃん。間奏ではセリフを聞かせてくれます。

3. 一瞬の夏

作詩:渡辺美里 作曲:伊秩弘将 編曲:清水信之

伊秩弘将が作曲を手掛けた、ちょっと切ない夏を聞かせてくれるミディアムチューン。 サウンドは、敢えてナイアガラ風味を出して、より夏っぽさを出してくる。いいね、一夏の恋的シチュエーションが輝いています。

4. 跳べ模型ヒコーキ

作詩:渡辺美里 作曲:岡村靖幸 編曲:清水信之

岡村靖幸が作曲を手掛けたバラードナンバー。あの歌い方でこういう曲を、と思いながらも、渡辺美里はシンプルに歌って聞かせてくれます。 清水信之のアレンジがまた、ベターなんだよね。ストリングスもバックで大きな力を出しています。この曲の舞台はどこだろうね。路面電車の終点とは?

5. ムーンライト ダンス

作詩:渡辺美里 作曲・編曲:小室哲哉

「君の弱さ」に続くシングルナンバーは、作曲とアレンジを小室哲哉が手掛けたマイナーポップチューン。 元気一杯のイメージがある渡辺美里が、ぐっと大人っぽく落ち着いた雰囲気を出すナンバーです。 言われてみたら、確かに小室節が満載のメロディライン。結構生音の力強さがたくましくて、渡辺美里もカッコよく輝きを放っているね。

6. 彼女が髪を切った理由

作詩:渡辺美里 作曲:佐橋佳幸 編曲:清水信之

ムードの出たA.O.R.な雰囲気で聴かせるミディアムチューン。とっても落ち着いたサンドをバックに、渡辺美里もじっくりとヴォーカルを聴かせてくれます。 失恋した友達を慰める歌です。ブラスやストリングスも加えてくるわけだけれども、派手になりすぎず、最後に盛り上げてくる流れです。.

7. パイナップル ロマンス

作詩:渡辺美里 作曲・編曲:佐橋佳幸

作曲とアレンジを佐橋佳幸が手がけたポップなロックチューン。 ギターもかき鳴り、熱が音から伝わってくるね。「今、恋している!」という気持ちがダイレクトに伝わってくる歌詞です。 とにかく弾けまくった1曲。アグレッシヴな渡辺美里を味わえる作品です。

8. グッドバイ

作詩:渡辺美里 作曲:伊秩弘将 編曲:清水信之

前曲に引き続いて、アップテンポのロックチューン。作曲は伊秩弘将が担当。随分とハードな雰囲気が出ています。 渡辺美里のヴォーカルも、クールで深く、それでいて芯が太くて、ぶつかってきます。16歳にさようなら。複雑な思春期の思いを、聴かせてくれます。

9. 冷たいミルク

作詩:渡辺美里 作曲:岡村靖幸 編曲:清水信之

まったりテイストの出たミディアムチューン。まさしく冷たいミルクのようなテイスト。淡いアレンジで、ポップに聴かせてくれます。この曲も岡村靖幸が作曲を担当。 作詩は渡辺美里で、ニューヨークの街を、上手く描いています。サビでのプログラミングビートが時代を表す。

10. White Days

作詩:渡辺美里 作曲:伊秩弘将 編曲:清水信之

「絶望したことありますか」と、衝撃的な歌詞から始まるミディアムチューン。 クリスマスを舞台にした別れの曲です。渡辺美里のはっきりと言葉を伝える歌い方に、より深刻さが伝わってきます。悲しいね。間奏から入ってくるゴスペルコーラスが頼もしい。

11. すき

作詩:渡辺美里 作曲:大江千里 編曲:有賀啓雄

どっしりマイナー調のメロディとストリングスが飾るナンバーは、 大江千里が作曲したポップなナンバー。しかも、渡辺美里と大江千里のデュエットということで、心地の良いひと時を聴かせてくれます。 曲は名曲「10years」を彷彿とさせる、キャッチーさが輝く1曲。「君のことが好き」というシンプルな気持ちを見事に表します。 全体的にも渡辺美里の歌詞が曲にマッチしているね。本当にいい曲だ。

その後、「Apricot Mix」としてシングルカット。音のバランスが整えられて、くっきりした感じかな。最後の大江千里のヴォーカルやコーラスもはっきりしてきました。

6th Album『tokyo』● '90/7/7 release

アルバム「Flower Bed」に続く作品は、通算6枚目。今作は、シングルカットも含め、「虹を見たかい」「Power -明日の子供-」「サマータイム ブルース」「Boys kiss Girls」「恋するパンクス」と、 5曲も収録された強力作。作曲者もお馴染み、小室哲哉、岡村靖幸、伊秩弘将に加えて、奈良部匠平や渡辺美里自身も作曲を手がけたりと、意欲を感じます。 特に、美里本人が手がけた「サマータイム ブルース」は、美里の夏の定番としてお馴染みですね。前作よりもロックな音のアプローチを感じるので、 渡辺美里がひとまわりもふた回りも大きくなった印象がします。それゆえ、ヴォーカルも力強く、詩の世界も思う存分に広がった雰囲気だね。 切ないラブソングやストレートなラブソング、都会の冷たさや、人生応援歌など様々な内容で魅せてくれます。魅力がぎゅっと詰まった渡辺美里の代表する作品となりました。

1. Power -明日の子供-

Lyrics:Misato Watanabe Composition & Arrangement:Tetsuya Komuro

アルバムのオープニングナンバーは、小室哲哉が作曲とアレンジを担当したポップチューン。 良くも悪くも小室節の出まくったマイナー調のメロディに惹かれますね。ラストは転調して盛り上がりに拍車がかかってきました。シンセの弾む感じがまた、時代の音を表しています。 小室哲哉の右腕と言われた久保こーじが参加しているね。Bメロ最後の分厚い部分は、もうちょっとどうにかできたと思うんだよな。

のちにアルバムからシングルカット。

2. サマータイム ブルース

Lyrics & Composition:Misato Watanabe Arrangement:Shohei Narabe

美里の夏、到来。両A面でのシングルリリース。こちらは渡辺美里自ら作詩・作曲を手がけたミディアムロックチューン。 ポップなAメロ、マイナー調でキリッとさせるBメロ、そしてどこまでも爽やかに突き抜けていく、サビの流れが最高の1曲。 野外ライブだったら、とっても気持ちがいいだろうな。間奏でのソロサックスとストリングスの美しさにノックアウトです。

3. 恋するパンクス

Lyrics:Misato Watanabe Composition & Arrangement:Shohei Narabe

イントロから暴れっぷりがたまらないシングルナンバー。タイトルを表すように、パンキッシュなアプローチで仕掛けるロックチューン。 ギュインギュインと響き渡るギターは、BARBEE BOYSから、いまみちともたかが聞かせてくれます。 なんか、勢いで駆け抜けていくような感じもするね。キャッチーさを武器に、渡辺美里が突き抜けていった。

4. POSITIVE DANCE

Lyrics:Misato Watanabe Composition & Arrangement:Shohei Narabe

奈良部匠平がロックなアレンジと作曲を手がけた1曲。シンセの音使いが1980年あいな派手仕様です。 正直、このタイミングでこの曲は時代遅れな感じが出ているな。他の曲に比べて、ちょっと一歩二歩遅い。そこが残念。

5. 虹をみたかい (tokyo mix)

Lyrics:Misato Watanabe Composition & Arrangement:Yasuyuki Okamura

渡辺美里のニューシングルは、岡村靖幸が作曲のみならずに編曲も担当。これまた、かっこいいナンバーなんですよ。音がドカドカとせめて来るロックアプローチな1曲。 Bメロの言葉を畳み掛けてCメロで助走をつけて、サビでポップでキャッチーに。虹のようにカラフルに包まれていきます。 “遊び”の部分がまた、岡村ちゃんコーラスが効いているんだな。

アルバムでは、ミックスが施されての収録。頭っからサックスが響いてきたりと、力強さを増したアレンジになっているね。 サビではシンセの音が鮮やかになって、盛り上げてきました。

6. バースデイ

Lyrics:Misato Watanabe Composition:Hiromasa Ijichi Arrangement:Nobuyuki Shimizu

伊秩弘将の作曲ナンバーは、イントロからおめでたい雰囲気を漂わせるミディアムチューン。 グロッケンの音が入ってきては、オーボエやストリングスなどと一緒に盛り上げてきます。清水信之のアレンジが効いて、次第に派手さを増してゆく。あなたへの祝いが、温かさを出す。

7. Boys kiss Girls

Lyrics:Misato Watanabe Composition:Hiromasa Ijichi Arrangement:Nobuyuki Shimizu

かき鳴るギターが爽やかさと勢いを出すナンバー。 ライオンの真似をしたり、渡辺美里も随分と突き抜けているね。それでいて、サビの爽やかさでノックアウト。夏を彩るような開放感。とってもフレッシュな1曲。

8. 遅れてきた夏休み

Lyrics & Composition:Misato Watanabe Arrangement:Nobuyuki Shimizu

渡辺美里自身が作詩・作曲を手がけたミディアムナンバー。アコースティックギターの音色も優しく、ゆったりうっとり響き渡るメロディに、寄り添うように。 思い出の夏を振り返るような、青春要素を出して来ました。シンプルさが出ているね。

9. ナイフとフォーク

Lyrics & Composition:Misato Watanabe Arrangement:Shohei Narabe

随分と愉快な音使い。渡辺美里が作曲も手がけていて、それをさらに奈良部匠平が料理をしています。 まさしくナイフとフォーク。ドラムやプログラミングの淡々とした雰囲気に、渡辺美里の淡々とした歌い方もインパクトを放つ。アルバムの中では、異質な存在感を放って来ました。

10. Tokyo

Lyrics:Misato Watanabe Composition & Arrangement:Tetsuya Komuro

イントロなしで言葉をガツンとぶつけてくる。しかも、小室哲哉と宇都宮隆がバックコーラスで参加して、かなり強力です。 作曲と編曲も小室哲哉が担当。結構、アグレッシヴなロックアプローチできているね。なるほど、TMNの「RHYTHM RED」期と重なるからか。渡辺美里の歌詞は、冷たい街、東京を描き出す。 途中からリズムが変わって、さらにアグレッシヴに。これはかっこいいぞ。

11. Oh! ダーリン

Lyrics & Composition:Misato Watanabe Arrangement:Shohei Narabe

タイトルからしてストレート。曲もポップに。心情を見事に表す単純明快ラブソング。クリスマスに向けてのアプローチ。とにかく夢中で楽しい雰囲気が伝わってきます。 あぁ、お熱い2人だこと。坪倉唯子がコーラスで、BARBEE BOYSのEnriqueがベースで参加しています。

12. 元気だしなよ

Lyrics:Misato Watanabe Composition:Misato Watanabe & Yoshiyuki Sahashi Arrangement:Yoshiyuki Sahashi

イントロからロックなアプローチで仕掛けて来ます。佐橋佳幸がエッジを効かせて来ました。女子に向けての応援歌。ポパイを例に挙げて、士気を挙げて来ます。 ただ、随分とノリだけで突き抜けていってる感じも。まぁ、勢いも大事ということで。

7th Album『Lucky』● '91/7/6 release

渡辺美里の7枚目となるオリジナルアルバム。なるほど、ラッキーセブンな「Lucky」というタイトル。前作に引き続き、ポップな印象を思い切り放ってきますね。 ジャケットの青色が眩しく、先行ナンバー「夏が来た」や「恋する人魚」のような爽やかさを伝えてきます。 それと同時に収録されている、小室哲哉の楽曲2曲、「卒業」と「JUMP」が、これまたいい曲なんだよね。この2曲だけでも十分聞き応えがあります。 そのほか、岡村靖幸や伊秩弘将、奈良部匠平や渡辺自身が作曲を手がけていては、意欲を見せてきます。キャッチーさも兼ね備えて、強力な一枚の誕生。

1. 夏が来た!

Lyrics:渡辺美里 Composition:大江千里 Arrangement:大村雅朗

イントロだけでもう最強の、MISATOの夏ソング。大江千里の奏でるメロディラインと、 ロックでポップな大村雅朗のアレンジが、いい相性を示す1曲です。とにかくサビがキャッチーなんだな。歌詞がもう、青春している。 ひと夏の恋愛模様も瑞々しく、あの頃を蘇らせるような1曲だな。青山純、有賀啓雄、佐橋佳幸、石川鉄男などなど、 錚々たるミュージシャンたちがバックアップしては聞かせてくれるナンバーです。

2. ライオン・ドリーム

Lyrics:渡辺美里 Composition:伊秩弘将 Arrangement:大村雅朗

タイトルから勇ましさはあるけれども、音の方もかなり強烈だね。伊秩弘将のメロディと大村雅朗のアレンジが本当に強力。 ベースの音が効いているのと同時に、BARBEE BOYSいまみちともたかのソロギターも効いています。がっつりと濃い、パンチの効いた曲だね。

3. 卒業

Lyrics:渡辺美里 Composition & Arrangement:小室哲哉

小室哲哉×渡辺美里で聞かせるミディアムテンポのナンバー。マイナー調のメロディがいかにも小室メロディ。 情に訴えかけてくるようなテイストを放つと同時に、美しさを出してくる。葛城哲哉のアコギもまた、ポイントが高いんだな。 恋愛と卒業シーズンの情景をうまくかけて描写する、渡辺美里の歌詞もいい感じです。そして、渡辺美里のヴォーカルの包容力もまた、素敵だな。

4. クリスマスまで待てない

Lyrics:渡辺美里 Composition:伊秩弘将 Arrangement:大村雅朗

爽やかさたっぷり。ギターの音も心地よく、まるでサーフミュージックな1曲は、なんとウィンターソング。 伊秩弘将のメロディも、しなやかさに長けているね。サビも突き抜けるような感じで、伸び伸びと。大村雅朗のアレンジが効いています。

シングルでは「雪だるま version」として、中盤やアウトロでサックスが大活躍する展開を聞かせてくれます。

5. はだかの気持ち

Lyrics:渡辺美里 Composition & Arrangement:岡村靖幸

じっくりどっしり、ミディアムテンポのナンバーは、岡村ちゃんが手がけた1曲。バックコーラスも担当しては、インパクトを出してきます。 最初はバラードっぽい始まりで、躍動感を付け足しては、キャッチーさを出してくる。シングルにしてもいいくらいの力強さを持つ1曲ですね。

6. 恋する人魚

Lyrics:渡辺美里 Composition & Arrangement:佐橋佳幸

元気一杯、ファンクテイストのポップなロックチューン。音に合わせて渡辺美里のヴォーカルも生き生きしているね。 何はともあれ、佐橋佳幸のアレンジがいい具合いに遊んでいます。夏に恋する主人公を人魚に例えたナンバーです。

7. めまい

Lyrics & Composition:渡辺美里 Arrangement:大村雅朗

イントロの多重コーラスで魅了してきます。その後はムードたっぷりのじっくりアレンジ。 サックスもムーディー。渡辺美里自身が作詞・作曲を手がけている1曲。メロディパートはマイナー調だけれども、サビパートは希望があるようなメジャーコードで聞かせてくれる。

8. タイムトンネル天国

Lyrics:渡辺美里 Composition:奈良部匠平 & Joe Mardin Arrangement:Joe Mardin & 奈良部匠平

タイトルから遊んでいるね。音の方もブラックテイストで、その頃の海外サウンドのようなアプローチを仕掛けてきた。 なるほど、Joe Mardinが手がけているんだね。さらに注目は、TM NETWORKの宇都宮隆がコーラスで参加しているんだな。 とにかく曲全体からノリが出ている、グルーブ溢れるナンバーです。

9. さよならバレンタイン

Lyrics & Composition:渡辺美里 Arrangement:奈良部匠平 & Joe Mardin

ゆったりテンポのナンバー。どこか妖しげな雰囲気も出しては、深さが出ているね。バレンタインがテーマなんだけれども、渡辺美里作詞・作曲。 メロディがうまく馴染まないんだなぁ。サビの頭からメジャーコードに入る部分が、妙に気持ち悪さを生み出す。

10. 大冒険

Lyrics:渡辺美里 Composition & Arrangement:奈良部匠平

ドリルの音からスタート。その後はハイスピードで駆け抜けてゆくようなポップロックチューン。 なんかもう、よくわからない歌詞。勢いで駆け抜けてゆく。若さが故の、暴走ナンバー。

11. 画用紙

Lyrics:渡辺美里 Composition:伊秩弘将 Arrangement:清水信之

爽やかさたっぷりのポップなロックチューン。清水信之のアレンジが温かさを生み出す。なるほど、平松愛理のような雰囲気があるな。 シンプルながらに、どっしりと構えた歌詞がドンと伝わってきます。

12. JUMP

Lyrics:渡辺美里 Composition & Arrangement:小室哲哉

小室哲哉が作詞・作曲、アレンジを務めたナンバー。とっても壮大なナンバーだね。曲も壮大ながら、歌詞も壮大だ。 ニュースで湾岸戦争を見た渡辺美里が描き出した歌詞が、どっと力強く、歌声に乗って届いてきます。小室哲哉のピアノ業も効いていますね。 そして、転調といいコーラスといい、最強の展開を聞かせてくれる流れです。

シングルでは「大魔神 version」として、冒頭からギターのエッジが効いては、ドラマティックなピアノの音で魅了してきます。でも、全体的にアレンジはあっさり。

13. Kick Off

Lyrics:渡辺美里 Composition:木根尚登 Arrangement:清水信之

アルバムのラストナンバーは、じっくり聞かせるバラードチューン。これまた、木根尚登は手がけたキネバラですよ。 清水信之の温かさ溢れるアレンジで、じんわり染み渡ってくるような1曲に仕上がりました。

Self Cover Album『HELLO LOVERS』● '92/7/8 release

これまで7枚のアルバムを発表してきた渡辺美里が初めてセルフカバーアルバムをリリース。先行シングル「My Revolution -第2章-」は、あの大ヒット曲がオーケストラアレンジで大きく様変わりしました。 そのほか、代表曲などもガラリと様相を変えてきましたね。「やるじゃん女の子」「GROWIN' UP」「サマータイムブルース」「ムーンライトダンス」などが衣替え。 多くを外の人たちが手がけたことで、A.O.R.的なムードあるナンバーに仕上がっています。屋敷豪太やGoh Hotodaなども参加して、渡辺美里の楽曲にスパイスを加える。 さらに新曲を2曲披露。「泣いちゃいそうだよ」はリズミカルなミディアムチューン。「青空」は、清々しいバラードと、うまくアルバムの色に染まった曲で魅了していました。

1. Lovin' you

作詩:渡辺美里 作曲:岡村靖幸 Produced by Jay Graydon

2nd Albumのタイトルチューンが衣替え。A.O.R.のようなアダルトテイストあふれるロッカバラードに、随分と丁寧な演奏に吸い込まれていきます。 渡辺美里のヴォーカルも随分と厚みがあるね。やはり外の人たちのアレンジはちょっと一味違うね。味わいがあります。

2. 泣いちゃいそうだよ

作詩:渡辺美里 作曲:岡村靖幸 Arranged by Masaaki Ohmura

岡村ちゃんナンバーのミディアムチューンが、ぐっと生まれ変わったね。こちらもA.O.R.なテイストで深みのあるサウンドが届きます。 でも、アレンジは大村雅朗なんだね。有賀啓雄、佐橋佳幸、西本明など、おなじみベテラン勢がサウンドを支えています。

3. やるじゃん女の子

作詩:渡辺美里 作曲:渡辺美里 Produced by Gota

渡辺美里が作詞・作曲を手がけたナンバーを、屋敷豪太がアレンジして聞かせてくれます。 これまた、洋物クラブテイストがクールでカッコよすぎるんだな。しかも、Swing Out SisterでおなじみPaul O'Duffyも参加しているところに注目。

4. サマータイム・ブルース

作詩:渡辺美里 作曲:渡辺美里 Produced by Richard Dodd

がっつりロックバージョンで、さらに夏が暑くなる。いいね、このかっこいいアレンジに拍手です。 ギターのエッジやドラムの弾み方がものを言います。オリジナルを踏襲しつつ、オリジナルとちょっと違う展開が面白い。

5. ムーンライト・ダンス

作詩:渡辺美里 作曲:小室哲哉 Produced by Gota

小室哲哉ナンバーをアレンジしたのは屋敷豪太。ちょっと太めのベースの音がブンブンと押し寄せてくるね。 その後もスタイリッシュな雰囲気とクールな味わいで、かっこいい。丁寧な作りなんだけれども、オリジナルの方が好みかな。

6. 跳べ模型ヒコーキ

作詩:渡辺美里 作曲:岡村靖幸 Produced by Mike Mainieri

とってもおしゃれに、オリジナルを幾分もパワーアップして、A.O.R.な雰囲気で聞かせてくれます。 特にサックスがものを言う。かっこいいんだ。バラードならではの盛り上げで伝えてきます。

7. My Revolution -第2章-

作詩:川村真澄 作曲:小室哲哉 Orchestration:Masaaki Ohmura

渡辺美里にとって、大ヒットを記録したナンバーの第2章。続編的なタイトルですが、基本的には新しいアレンジでのお届け。 大村雅朗によるオーケストラアレンジで、ゴージャスに聞かせてくれます。オープニングがサビで、とにかく壮大に展開。 とことんポップだったダンスチューンが、ゆったりバラードでじっくりと響き渡ります。

8. シャララ

作詩:渡辺美里 作曲:岡村靖幸 Produced by Richard Dodd

Richard Doddのアレンジによって、壮大感が増したナンバー。洋物テイストで、がっつりと。 渡辺美里もひと回りもふた回りも成長したヴォーカルで堂々と歌声を聴かせてくれます。2番のチキチキコーラスがツボだね。

9. GROWIN' UP

作詩:神沢礼江 作曲:岡村靖幸 Produced by Goh Hotoda

まさかのハウス。びっくりなサウンドアプローチ。まぁ、オリジナルもかなり弾けていたし、今回は随分と突き抜けてきましたね。 なるほどGoh Hotodaが手がけているからか。そりゃ、スタイリッシュになりますね。どこかしらPET SHOP BOYS的な雰囲気も出ています。

10. さくらの花の咲くころに

作詩:渡辺美里 作曲:木根尚登 Produced by Jay Graydon

こちらもオリジナルのトラックをぐっと大人っぽく、A.O.R.のような丁寧なアレンジが瑞々しさを生み出す1曲。 なんかおしゃれだよね。キーボードの音といい、ギターの味付け方といい、向こうの方は一味違いますね。

11. 青空

作詩:渡辺美里 作曲:小室哲哉 Produced & Arranged by Arif Mardin for Deniz Productions & Joe Mardin for Essential Productions

セルフカバーアルバム「HELLO LOVERS」に収録された新曲。小室哲哉作曲のナンバーなんだけれども、 アレンジを外の方がしているからか、あまり小室感が伝わってこない。すっきりとした味わいのバラードナンバーで、丁寧で清々しさに溢れています。

12. 男の子のように

作詩:渡辺美里 作曲:西本明 Produced by Mike Mainieri

この曲もチョイスが面白い。アレンジもなかなか通です。ピアノの音使いがとても丁寧で、都会、アーバンな匂いを醸し出してきます。 ゆっくりじっくり、ムードたっぷりな時間が過ぎていきます。

Best Album『She loves you』● '95/7/17 release

デビュー10周年を迎えた渡辺美里が、初のベストアルバムをリリース。10年、いろいろなヒット曲、代表曲が生まれているけれども、 その中から厳選された全16曲を届けてくれた。あの曲が入っていない!という声もあるけれども、やっぱり難しくなっちゃうよな。 そういう意味では、シングル曲のみならず、アルバム曲などもあり、うまくバランスの取れた選曲でしょう。 「My Revolution」はもちろんのこと、「サマータイム ブルース」「夏が来た!」「いつかきっと」「10years」などなど、いろいろと詰まっていますよ。 いろいろな作家が曲を提供しては、見事なまでに美里カラーに仕上げてきたその歴史を紐解く。小室哲哉や大江千里、岡村靖幸をはじめ、伊秩弘将、小林武史など、本当に豪華すぎます。 この年にリリースされた最新シングルナンバーもきっちりと収録され、10年をぎゅっと凝縮。でも、まだまだ渡辺美里の勢いは止まりそうもないね。 初回盤は、三方背ボックス仕様です。

Live Album『Live Love Life』● '95/11/13 release

10周年のアニバーサリーイヤー。初のベストアルバム「She Loves You」に続いてリリースされた、完全限定生産となる初のライブアルバム。 西武球場という会場の熱気をそのままパッケージ。10年間毎年行っているからこその温かさと余裕が伝わってくるね。 全13曲と、フルでの収録にはならなかったけれども、自作曲1曲以外は、岡村靖幸、小室哲哉、小林武史、大江千里、伊秩弘将、石井妥師と、 それぞれの楽曲を2曲ずつ収録するという渡辺美里の心遣いを感じます。 もうね、ライブならではのパワフルなヴォーカルがいいんだよね。「Long Night」なんて、8分を越える大作になっています。 そして、最後の最後に聞かせてくれる「きみに会えて」のファンによる合唱は涙モノだね。ファンの美里愛、一体感を感じます。渡辺美里はファンに支えられた10年なのかもしれないね。

イントロのドラムの音がやっぱりM-1の曲らしさを出す。ブラスも華やかに響き渡って、夏真っ盛りに盛り上がりを聞かせてくれます。観客の手拍子も温かいね。 どっしりとサウンドを聞かせるM-2。渡辺美里のヴォーカルも力強く響き渡ります。佐橋佳幸のギターもいいうねりを聞かせる。ラストのサックスもいい感じだね。 アコースティックギターのしっとりとしたオープニングで聞かせるM-3。そのままギター1本をバックに、渡辺美里のヴォーカルをどっしりと聞かせてくれます。佐橋佳幸のギターテクもすごいよ。後半は感情たっぷりアグレッシヴに。最後、「サンキュ」って囁くところがまた、いいじゃない。 打って変わって激しくM-4。ブラスの勢いにやられる1曲だね。渡辺美里の最後の叫びがすごいんだ。 ピアノが弾んでM-5。まさしく血が騒ぐような盛り上がりがすごいね。ロックンロールな激しさで、会場が渦巻く。 大歓声が上がっては、サックスがイントロから吹き荒れたM-6。サビで弾けまくり。掛け声が熱く燃える。2番Bメロでは、渡辺美里が大きく叫んだ。ものすごく興奮が伝わってきます。

ファンキーなブラスセクションが熱いM-7。とにかく渡辺美里の声量に圧倒されるね。 その勢いのままM-8へ突入。キーボードの音で歓声が上がった。初期の名曲も幾分パワーアップして、ライブで大盛り上がりの楽曲になっています。8分を越える大作仕様。 ドラムが弾けてM-9。そこからロックンロールな展開。とにかく勢いがすごいね。間奏のキーボードも弾けまくりだ。 「10年です」とMCを少し聞かせる。これからの決意とともにM-10。手拍子が厚いね。渡辺美里の思いがグッと詰まったヴォーカルに胸を打たれます。 流れるようにM-11へ。幻想的なイントロが壮大に広がって、気持ちがいいんだ。 「サンキュー」とお礼を叫んでM-12へ。スタジアムに清々しく響き渡るヴォーカルが本当に楽しそうだね。そして、最後は伸びのあるヴォーカルで渡辺美里の存在を証明する。 観客一同が大合唱で聞かせるM-13。こういうのって、本当にファンの力ってすごいよなって思わせるよね。会場が1つになるってこういうこと。ジーンと来ますね。

10th Album『Spirits』● '96/7/21 release

10周年を迎えて次なるステージへ。渡辺美里、通算10枚目となるオリジナルアルバムは、間にベストアルバムやライブアルバムを挟んで、オリジナルとしては、約2年ぶりの作品となりました。 収録されているシングルは、「My Love Your Love」の1曲のみだけれども、渡辺美里の魅力が詰まった作品になっていますよ。 原点回帰のような、それ以上に時代を遡ったような、どこか古くて懐かしいサウンドアプローチで聞かせてくれます。やっぱり10年を迎えて、次に行くとなると、どう来るのか期待がかかるしね。 でも、渡辺美里自身、とってもやりたいことができて楽しそうに歌っているよね。弾けっぷりがたまらない「東京生活」や、じっくりと聞かせてくれるナンバーが多数揃っています。 今回は石井妥師を筆頭に、西平彰、佐久間正英や、みやもとこうじなどの名があって、新たな美里ワールドが展開する。これがMISATO SPIRITS。10周年を迎えても、凛とした姿勢で挑み続ける。

1. 東京生活

作詩:渡辺美里 作曲:村部淳一、後藤孝顕 Arranged by Akira Nishihira and Takaakira Gotoh Horn arrangement by Takuo Yamamoto

ブラスセクションが華やぐナンバー。パーカッションも弾むウキウキポップチューン。 渡辺美里が描く東京の生活がここにある。1993年に開通したレインボーブリッジという言葉が新鮮に感じるな。 夢を抱いてやってきた東京での生活。この曲みたいに華やかだったら良いよね。

2. とびだせ青春

作詩:渡辺美里 作曲:石井妥師 Arranged by Yasushi Ishii

手拍子が楽しいポップなロックチューン。タイトル通りに飛び出た1曲。とにかく弾けまくりの渡辺美里。なんて楽しい歌なんだ。 キャッチーなメロディと輝く時代を言葉に乗せて羽ばたきます。

3. My Love Your Love (たったひとりしかいない あなたへ)

作詩・作曲:渡辺美里 Arranged by Masahide Sakuma

ベストアルバム「She Loves You」とライブアルバム「Live Love Life」を挟み、シングルとしては「世界で一番 遠い場所」から1年ぶりのナンバーは、 珍しい3連のロッカバラード。作詞だけでなく作曲も担当した、力強い応援歌になっています。ラブソングと同時に応援歌にもなっているのは、タイアップがオリンピックのテレビ番組テーマだからかな。 それ故、コーラスなどもみんなが今1つになるような、一体感もある。そうる透のダイナミックなドラムはさすがです。

4. 熱いふたり

作詩・作曲:渡辺美里 Arranged by Nobuyuki Shimizu

ポップなリズムを聞かせるナンバーは、懐かしテイストも放つ。えらい昔というか、モータウンあたりに通じるような音を持ってくるとはね。 渡辺美里、勝負に出ている。歌詞は夏真っ盛りの2人の恋模様。どこかしらMy Little Loverの「My Painting」に似ているのは御愛嬌で。

5. Pain

作詩・作曲:渡辺美里 Arranged by Shohei Narabe

バラードナンバー。アコースティックギターの音をバックに、渡辺美里が高らかに歌い上げる1番。そして2番からは、より音が厚くなった。 ストリングスが盛り上げてきますね。歌詞の方は、ちょっと切なさを出して、訴えかけるように歌う渡辺美里が印象的だよね。

6. LOVE IS HERE

作詩:渡辺美里 作曲:石井妥師 Arranged by Yasushi Ishii

イントロのギターの音が、ちょっと「夏が来た!」っぽく聞かせるロックな1曲。 12弦ギターがいい仕事をしています。それ故、古き良きアメリカンロックな雰囲気が出ているね。 だだっ広い荒野の中を行く渡辺美里。ドストレートに「あなたを愛してる」と伝えるラブソングです。

7. スピリッツ

作詩:渡辺美里 作曲:石井妥師 Arranged by Yasushi Ishii

ウキウキワクワク。チキボンボン。口業がものを言うヒップでポップなロックチューン。 チキダンチキダン。とにかくノリが命の1曲。歌い方も、どこかしらHIP-HOPな渡辺美里。とにかく頑張ろう、みたいなメッセージがあるんだけれども、 「わっかんないけど」って、本人歌っていますよ。本当に、どうなるかわからないよね。

8. グッときれいになりましょう

作詩:渡辺美里 作曲:後藤孝顕、村部淳一 Arranged by Nobuyuki Shimizu

ちょっとA.O.R.なファンクポップチューン。ブラスも弾けては、後押しする。恋しよう。そのために自分を変えよう。とことん前向きな歌詞が印象的ですね。 最後のコーラスも楽しくみんなで1つになる感じだね。

9. キャッチボール

作詩:渡辺美里 作曲:みやもとこうじ Arranged by Masahide Sakuma

ジャッジャッとかき鳴るギターが随分と渋いね。でもって、マイナーメロディが病みつきになるんです。 宮本浩次(エレカシじゃない方)の作曲ナンバーで、作者特有のクセが出ているね。いちばん気になるのは、吉祥寺の3つ手前の駅。

10. グリーン・グリーン

作詩:渡辺美里 作曲:石井妥師 Arranged by Masahide Sakuma

イントロのギターの音が親しみと懐かしさが合わさるようだね。ポップなナンバーで、渡辺美里の大らかなヴォーカルが響き渡ります。 味のあるサビのメロディも印象的だけれども、しっかり骨太なアレンジに安定感があるね。さすがは佐久間正英。

11. Life

作詩・作曲:渡辺美里 Arranged by Shohei Narabe

イントロで華やぐストリングスやブラス、はたまたハープも登場と、ゴージャス感たっぷりに聞かせるナンバー。 丁寧な言葉で書かれた歌詞もどこかしら印象に残る。渡辺美里が作詩だけでなく作曲も手がけている、爽快な曲です。 ちょっと古臭いというか、懐かしさというかね、そんな雰囲気が出ているよ。

12. My Love Your Love (夢であいましょう)

作曲:渡辺美里

西本彰のピアノで聞かせるインストナンバー。ピアノ1本ながら、躍動感もあって、なかなか良いね。

11th Album『ハダカノココロ』● '98/7/1 release

前作「Spirits」から約2年、渡辺美里の通算11枚目となるオリジナルアルバムは、すべてをさらけ出す。 オープニングにインストチューンを配した全13曲。今作注目すべきなのは、クレジットに大江千里の名が戻ってきたことかな。 先行シングル「素顔」や「太陽は知っている」など、渡辺美里とのケミストリーが生まれています。 アルバムでも1曲提供しては、大江節を聞かせてくれます。そのほか、有賀啓雄や石川鉄男のサウンドプロデュースが光るけれども、やっぱり佐久間正英の起用は、渡辺美里的音楽に一石を投じるね。 がっつりロックしているんだけれども、高カロリーになり過ぎず、渡辺美里の持つ元気な部分を引き伸ばした感じだね。そのほか、ブラスがメインになっていたり、結構パワフルな部分を感じる。 シングルも3曲収録。ただ、なぜ「夏の歌」だけが外れたのかな?そのカップリングでもある「ランナー」を優先したんだろうか。 初回盤は、三方背ボックス仕様です。

1. ハート

作曲:有賀啓雄 Arranged by Nobuo Ariga

アルバムのオープニングを飾るインストナンバー。 コーラスで魅了してきます。作曲者の有賀啓雄と渡辺美里が、魅惑のひと時を声で届けてくれます。

2. 運命のドア

作詩:渡辺美里 作曲:細木隆広/田中利江 Arranged by Rie Tanaka and Takahiro Hosoki

ポップに響くビートと、軽やかに踊るギターが爽やかに響かせるナンバー。伸び伸び歌う渡辺美里のヴォーカルも、楽しそうだ。 ただ、やっぱりプログラミングを使用しているということもあり、なんだか淡々とした雰囲気が物足りなさを生む。

3. 太陽は知っている

作詩:渡辺美里/大江千里 作曲:大江千里 Arranged by Nobuo Ariga

カラッと爽快、美里の夏がやって来た。アルバム「ハダカノココロ」からの先行ナンバーとなったシングルは、 これまた大江千里とのタッグでポップでキャッチーで、切なさも加えた1曲。「10years」を彷彿とさせる歌詞にも注目だね。 佐橋佳幸と小倉博和のギターもスパイスに。伸び伸び爽快に突き抜けるサビがいい味を出す。 途中でコーラスワークを聞かせるパートもあり、なかなか力のあるシングルナンバーになりました。

4. 彼女

作詩:渡辺美里 作曲:渡辺美里 Sound produced and arranged by Tetsuo Ishikawa

三沢またろうのパーカッションが弾けているミディアムチューン。そのほかにも、石川鉄男に島健、葛城哲哉などが参加しているぞ。何気に豪華な1曲。 今回のテーマは「彼女の彼」みたいな感じだな。好きな男性の彼女について歌っています。

5. ハダカノココロ

作詩:渡辺美里 作曲:プルッフー松崎 Sound produced and arranged by Tetsuo Ishikawa Horn arrangement:Takuo yamamoto

アルバムのタイトルチューン。ゆったりテンポで伸び伸び歌う渡辺美里です。 高音ファルセットを所々で効かせるサビが、心地よさを生み出します。ホーンも軽快に。愛の溢れる1曲です。ただ、ホーンが小沢健二「ラブリー」っぽい所があるね。

6. 37.2℃ (夢みるように うたいたい)

作詩:渡辺美里 作曲:渡辺美里 Arranged by Yuta Saito Sound produced and arranged by Tetsuo Ishikawa

ピアノとベース、そしてドラムが合わさって、ジャジーなテイストで聞かせてくれるバラードナンバー。 まったりとしたサウンドをバックにして、渡辺美里が心を込めて歌います。間奏のサックスが、ムードを出しますね。 そこからドラマティックに曲を盛り上げるけれども、全体的に落ち着いた雰囲気です。

7. Welcome

作詩:渡辺美里/大江千里 作曲:大江千里 Sound produced and arranged by Tetsuo Ishikawa Chorus arrangement:Senri Oe

シングルナンバーに引き続いての、こちらも大江千里との共作ナンバー。ピアノベースの滑らかなメロディは、大江千里らしいね。 明るく元気、そしてちょっと切ない要素が詰まっています。美里流「誕生」。ようこそ、新しい世界へ。温かく迎えてくれるナンバーです。

8. 一緒だね

作詩:渡辺美里 作曲:渡辺美里 Sound produced and arranged by Masahide Sakuma

渡辺美里、前作シングル「My Love Your Love (たったひとりしかいない あなたへ)」に引き続き、自分が作詞・作曲を手掛けたナンバーをシングルとしてリリース。 どっしりとしたロッカバラードで、佐久間正英のアレンジが効いています。でも、中身はいたってシンプルだよね。切なくもキュンとさせてくれるメロディをぶつけては、 渡辺美里の力のあるヴォーカルで包み込んできます。最後の最後にしっとりと聞かせる流れです。

9. ランナー

作詩:渡辺美里 作曲:石井妥師 Sound produced and arranged by Masahide Sakuma

どっしりアレンジで聴かせるミディアムロックチューン。この曲がまたいいんだ。サビのメロディで懐かしさを出して、胸に響いてきますね。 そして、切なさも一緒に届けてくれる。石井妥師、なかなかいい曲を生み出しました。佐久間正英のアレンジも、どっしりと効いています。

10. 素顔

作詩:大江千里/渡辺美里 作曲:大江千里 Sound produced and arranged by Tetsuo Ishikawa

イントロのピアノが美しいね。久し振りに大江千里とのコラボレーションで、聞かせてくれるミディアムチューン。 優しくシンプルなメロディラインを、ピアノやアコースティックギター、そしてドラムやベースを交えています。渡辺美里のヴォーカルにも力があって、伝えるように胸に響きます。 これまでを振り返りながらも、これからを一緒に歩いていこうという曲です。

11. ハミング

作詩:渡辺美里 作曲:石井妥師 Sound produced and arranged by Masahide Sakuma Horn arrangement:Takuo yamamoto

弾けまくったポップチューン。ビーチサウンド、ナイアガラサウンドを彷彿とさせる音が響きます。「天然色」の歌詞が、ぴったり合います。 ホーンもカラッと吹き荒れては、楽しさやワクワク感を聞かせてくれる。新妻気分で、楽しく家事をしているのかな?

12. フリーダム トレイン

作詩:渡辺美里 作曲:渡辺美里/山本拓夫/石川鉄男 Arranged by Takuo Yamamoto Sound produced and arranged by Tetsuo Ishikawa

イントロのドラムがかっこいいね。そして、ホーンが入って、ベースもブンブンうなる、かなりファンキーな1曲だね。 楽しさと濃さが表れています。「ソウルトレイン」を彷彿とさせるかのようなワクワク感がありますね。

13. マイセルフ

作詩:渡辺美里 作曲:村部潤一 Arranged by Nobuo Ariga

アルバムのラストを飾るアコースティックベースのミディアムチューン。心地よいサウンドとともに、リラックスした雰囲気の中で、軽やかに渡辺美里が歌います。 そして、サビでは「君を強く抱きしめたい」なんて歌っていますよ。その後のフルート、サックス、ハーモニカがいい味を出しています。全部山本拓夫の演奏なんだよね。

12th Album『Love Go Go!!』● '00/7/19 release

渡辺美里が12枚目のオリジナルアルバムと、15周年記念ベストアルバムを同時発売。精力的に活動していますね。 今作オリジナルアルバムでは、「もっと 遠くへ・・・」「深呼吸」、そしてのちにシングルカットされる「荒ぶる胸のシンバル鳴らせ」のシングル3曲を筆頭に、 力強く音に言葉に、そして声を聞かせてくれる渡辺美里が印象的な1枚です。そのほとんどの楽曲を有賀啓雄がアレンジしていて、新しい渡辺新里像を作り上げる。 元気一杯で活発な女の子が、15年経って、いつの間にやら大人の女性へと変わっていきました。 サウンドの方も、力強いナンバーからロックでガツンと聞かせる曲、幻想的な曲やまったりボサノヴァと、前作以上に自由気ままなスタイルに感じられる。 特に、ブラスを多く取り入れるナンバーが多く、サウンドに厚みが加わった感じがするね。 アルバム全体としては、ベストアルバムと同時発売ということもあって、地味に映るかもしれないけれども、 何度も聞いていくことによって、その良さが染み渡って来ますね。スルメアルバムのような感じ。ジャケットは、転んで涙を浮かべる渡辺美里。インパクトがあります。

1. ラブ ゴーゴー!!

作詩:渡辺美里 作曲:石井妥師 arranged by Nobuo Ariga

GS風味のロックンロールな1曲は、アルバムのオープニングを飾るタイトルチューン。女子コーラスもパンチが効いているね。ブラスもOK。 一方で、メロディアンは盛り上がると言うより、じっくりと聞かせてくれるラインをたどる。ベテラン風を吹かせて、どっしりと音を響かせる渡辺美里。 ラストのアウトロでもガッツリと聞かせてくれました。

2. Lovers universe

作詩・作曲:渡辺美里 arranged by Nobuo Ariga

ウィ~ンウィ~ンと機械的な音で始まったかと思えば、ガッツリデジタルロックなアプローチで、 今までなかったような渡辺美里を聞かせてくれる。渡辺美里自身が作詞と作曲を手がけた、攻めの1曲。 世界観がとっても大きく広がっているね。サビでは伸び伸びと。Cメロはエフェクトをかけて、アグレッシヴに。変化に富んで、インパクトがあります。ギターは藤井謙二だ。

3. あなたのすきな歌

作詩:渡辺美里 作曲:石井妥師 arranged by Nobuo Ariga

どっしりミディアムナンバーは、ストリングスの音をフィーチャして、しなやかさを兼ね備えた曲。 メッセージがビシッと伝わっているような、渡辺美里のヴォーカルには、説得力がありますね。「私はひとり歌い続ける」という意思表示がかっこいい。

4. もっと 遠くへ・・・

作詩・作曲:渡辺美里 arranged by Nobuo Ariga

両A面でリリースされたシングルナンバー。こちらはドラマティックなサウンドが大人っぽさを演出する1曲。 力強くて繊細で、希望と絶望が入り混じるような音に圧倒される。サビでの力強さが一気に押し寄せて来ます。 キャッチーさもあるんだけれども、曲のインパクトがあって、引き込まれますね。歌詞からも盛り上がりが伝わってきます。

5. こぶし

作詩:渡辺美里 作曲:木根尚登 arranged by Nobuo Ariga

イントロが美しいバラードナンバー。蓋を開けてみたら、木根尚登が作曲を手がけた“キネバラ”ですよ。 納得の展開。ピアノとストリングスが大胆に音を放ってきます。そして、進むにつれて、音もダイナミックになってゆく。 ゴージャスな音と説得力のある渡辺美里のヴォーカルに聞き入ってしまうね。

6. たった一度の人生だもの

作詩:渡辺美里 作曲:石井妥師 arranged by Tetsuo Ishikawa

タイトル、そして歌詞がいいね。渡辺美里が指南する人生の手引き。たったきちどの人生、楽しみましょう。そして、歌詞を象徴するような明るいサウンドも背中を押してくる。 エッジを効かせて力がみなぎっては、聞いて入るものを奮い立たせるような丈夫な力を感じる。感想のブルースハープがまた、おしゃれなんだな。

7. Lazy sunny afternoon

作詩・作曲:渡辺美里 arranged by Nobuo Ariga

ボサノヴァを聞かせてくれるまったりソング。タイトルがそのまま音に表れて入るね。しかも、フルートまで登場してはおしゃれ全開。 まったりゆったり、日曜の午後。定番というか、ありきたりなシチュエーションなんだけれども、安心感があります。

8. 荒ぶる胸のシンバル鳴らせ

作詩:渡辺美里 作曲:石井妥師 arranged by Nobuo Ariga

フェイドインしてくるイントロに、力強さが溢れている。 壮大なサウンドは、どこかしらアイリッシュな雰囲気をも伝えてくる。そして、サビでの一体感に、この曲の大きな力を知ることができる。 士気を上げてくるような力強い応援歌。コーラスもたくましい。その中に葛城哲哉が参加しているところが気になった。アルバムからシングルカットされた力作。

9. 十六夜の月 ~izayoino tsuki~

作詩:渡辺美里 作曲:石井妥師 arranged by Nobuo Ariga

ゆったりアコースティックギターが神秘的な世界を奏でるミディアムナンバー。 夜の深い時間を音で表すような、幻想的な雰囲気が出ていますね。ゆったりじっくりどっぷり、派手に飾ることなく聞かせて、世界へ染めてゆく。

10. ホームラン・ラン・ラン

作詩・作曲:渡辺美里 arranged by Nobuo Ariga

ダンドゥビダンと、イントロから勢いを放って来ました。 ドカドカドラムを勢い増してガッツリと聞かせてくれます。ノリで突き抜けてゆくようなナンバーだね。もう何にも考えないで能天気に行こう。 ブラスも華やかに、そして斉藤一美の絶叫実況入りと、雰囲気を出して来ました。

11. サンキュ

作詩・作曲:渡辺美里 arranged by Nobuo Ariga

渡辺美里自身が作詞・作曲を手掛けたバラードナンバー。タイトルそのまま、感謝の歌。なんだけれども、寂しくて切ない雰囲気も出ているね。 Wurlitzerの温かい音色をベースに、「世界の車窓から」でお馴染み、溝口肇のチェロも優雅に聞かせてくれます。

12. 深呼吸

作詩:渡辺美里 作曲:石井妥師 arranged by Yasushi Ishii

両A面シングル。こちらは弾ける音にウキウキワクワクさせてくれるようなノリの出たナンバー。 ブラスも弾けまくりで、深呼吸とは正反対の展開だね。さぁ、恋を始めましょうという楽しさが音に表れています。 ただ、聞いて入ると自然と体がリズムを刻んでくるね。ウキウキワクワクだ。

Best Album『Sweet 15th Diamond』● '00/7/19 release

渡辺美里が12枚目のオリジナルアルバムと、15周年記念ベストアルバムを同時発売。精力的に活動していますね。 前作10周年時のベストアルバム「She loves you」収録曲と大きく異なって、また新たな気持ちで15周年をセレブレイト。 おなじみ「My Revolution」「いつかきっと」「10years」「サマータイムブルース」などをはじめ、 「素顔」「BIG WAVEやって来た」「GROWIN' UP」「センチメンタルカンガルー」「ムーンライトダンス」「一緒だね」「すき」などのシングルナンバー、 「ランナー」「あなたの全部」「Lovin' you」などのアルバム曲もしっかりと押さえて、2枚組全31曲をぎっしり収録。 もちろん、これでも「あの曲が入っていない」「この曲はどうした?」などという声が上がるけれども、やっぱり1人1人に渡辺美里に対する思いが濃いということだろうね。 全体的には15年をバランスよく収録しているので、いいんじゃないでしょうか。渡辺美里のヴォーカルだけでなく、それを支えて来た数々のミュージシャンたちの功績も感じるアルバムです。 初回盤は、三方背ボックス仕様です。