album
●1st Album『Please』● '86/3/24 release
ニール・テナントとクリス・ロウからなるイギリスのポップユニット「PET SHOP BOYS」の記念すべきデビューアルバム。 「WEST END GIRLS」をはじめ、「OPPORTUNITIES」「LOVE COMES QUICKLY」「SUBURBIA」など、何気に名曲ぞろいなんですよ。 全体的に、抑え目ポップサウンドで、でも彼らを端的に表している音ですね。シンプルながらに親しみのあるナンバーで魅了してきます。 派手に飾って魅せるのではなく、ジワジワと浸透させていく力がある楽曲群で構成されたアルバム。 なるほど、1980年代の華やかなダンスビートがオンパレードだけれども、どこかしら上品で軽やかな印象を映しているね。シングル曲だけでなく、アルバム収録ナンバーも、時にゴージャス風だったり、 時にポップだったり、様々なタイプの曲があります。若干、物足りなさがあるのは、やっぱり曲数が10曲だけというところかな。 でも、1stながらに、PSBの魅力が凝縮されている。ここから快進撃が始まるわけですよ。
1. TWO DIVIDED BY ZERO
(Orlando/Tennant) Produced by Stephen Hague
力強いビートが押し寄せるミディアムチューン。ニールの強めのヴォーカルに、PSBの勢いを感じさせる。メロディもマイナー調ながらに、 引きこむ力があって、かっこいいね。愛の逃避行的な歌詞が、情景を浮かび上がらせる。
2. WEST END GIRLS
(Tennant/Lowe) Produced by Stephen Hague
この曲なくしてPSBはなし。それくらいに彼らを代表するナンバーであるデビュー曲なわけで。メロディパートのラップといい、サビのキャッチーなメロディといい、 斬新でありながらポップに溢れていて、押さえるところは押さえるサウンドに軍配が上がる。ちょっと退廃的ながらも、想像力をかきたてる歌詞がまたかっこいいね。 最後は波の音とともにフェイドアウト。
3. OPPORTUNITIES (LET'S MAKE LOTS OF MONEY)
(Tennant/Lowe) Produced by Stephen Hague
PSBの再デビュー曲ということもあり、ものすごく力を感じるトラック。攻めの1曲だね。ピコピコ具合もかなりたっぷりに。 「Money」の部分、やけに強調されているね。それでいて、メロディもしっかりしていて、聞かせる仕様。結構、展開も派手に。
4. LOVE COMES QUICKLY
(Tennant/Lowe/Hague) Produced by Stephen Hague
美メロを聞かせてくれるPSBのシングルナンバー。ミディアムテンポの流れをうまく表す。味わい深いサウンドに、ニールの澄んだヴォーカルが響き渡る。 美しさを前面に押し出して、PSBの芸術面が大きく広がる1曲ですね。
5. SUBURBIA
(Tennant/Lowe) Produced by Stephen Hague
爽やかなイントロが心地よいシングルナンバー。歌が入ると、濃い展開なんだけれども、サビでは再び爽やかサウンドに。 キャッチーなメロディを届けてくれる。郊外についての歌なんだけれども、アーバンダンスポップで魅了してくれる。さすがはPSBだね。最後のSEというか、 展開がとんでもないことになっていて、すごいんだ。
6. TONIGHT IS FOREVER
(Tennant/Lowe) Produced by Stephen Hague
会話の始まりがちょっと斬新に感じさせるけれども、この部分の30秒、「OPPORTUNITIES」のりプライズ。疾走感たっぷりの本編は、 落ち着き感の中にも強さと弱さをうまく振り分けたポップチューン。サビのキャッチーな展開は、さすがPSB。ピコピコサウンドをドラマティックに仕上げて聞かせてくれます。 夜を駆け抜けてゆく。
7. VIOLENCE
(Tennant/Lowe) Produced by Stephen Hague
PSBからの警告?暴力について歌った、ちょっと社会派ナンバー。トラックの方はミディアムチューンで、緊迫感も生み出す。 ニールのちょっと無表情な声の部分は、本質的な意味が込められているようで。メッセージを掲げるPSBは、もうこの頃から健在だった。
8. I WANT A LOVER
(Tennant/Lowe) Produced by Stephen Hague
ゴージャスなイントロが、とにかく派手さを演出。ピコピコたっぷりのポップなユーロビートで進行するトラック。 イントロのキーボードの音色や、本編中でのカスタネットの音など、耳を引く要素をたっぷり詰め込んで楽しませてくれる。 歌詞に合わせたSEもたっぷり入ってきて、なんかとにかくゴージャスだ。
9. LATER TONIGHT
(Tennant) Produced by Stephen Hague
派手さを押さえて、じっくりと聞かせてくれるバラードナンバー。会いたいのに、君が遅れてくる、というちょっと物悲しさが曲に表れているね。 間奏のピアノがやけにセンチメンタル。
10. WHY DON'T WE LIVE TOGETHER?
(Tennant/Lowe) Produced by Stephen Hague
押し寄せるビートの波に呑み込まれるポップチューン。ピコピコ感を前面に出して、体を動かせる。 結構、攻めの姿勢に出たトラックなんだけれども、根底にあるメロディがしっかりと聞かせてくれるんです。
●Remix Album『Disco』● '86/11/17 release
さすがはPSBなリミックスアルバム。時代を反映してなのか、タイトルが「ディスコ」と来たもんだ。12インチ仕様のロングバージョンで聞かせてくれるような、 フロア向けトラックでPSBの新たな面を覗かせる。1st Album「Please」からのナンバーが、生まれ変わった形で登場。なるほど、1980年代の音だよね。 鮮やかなキーボードと、ちょっと単調なビートが不思議な空間を生み出す。ほとんどの人が指摘しているように、シングル曲よりも、シングル曲のB面曲「IN THE NIGHT」と「PANINARO」の方が、 出来がいいと感じるんだよね。他の単調なミックスに比べると、この2曲は盛り上がりの工程や展開が表れて、ハラハラドキドキ楽しませてくれるんだ。 しかし、このアルバムを通して、既存の曲を新たに生まれ変わらせては、違った解釈を与えるリミックスというものを丁寧に教えてくれる作品と思う。
1. IN THE NIGHT (Extended)
Remixed by Arthur Baker
いかにも1980年代のベース使いに煌びやかなキーボードが舞うリミックスチューン。その中でも、ニールのヴォーカルがクール&セクシーに響き渡る。 タイトルを歌うところでヴォーカルを強調しては、鮮やかに映える抑え目のユーロビートな展開。マシンガンの音もポイント。
2. SUBURBIA (The Full Horror)
Remixed by Julian Mendlesson
犬の鳴き声オンパレードで始まるミックスチューン。オリジナルトラックをそこまでいじくらず、ちょっと音を足したり引いたりして。 派手さを抑えて、よりポップな感じをぶつけてきたかな。サックスも入って、後半がよりドラマティックになったかな。
3. OPPOTUNITIES (Version Latina)
Rexmied by Ro Dean Miller (N.Y.) & The Latin Rascals
ドラムの力強さを前面に押し出したビートで魅了するトラック。近未来的SEも気持ちよく飛び交う。ラストはまた、犬が鳴きまくりだったり。 キーボードの音も、なんか艶やかだよね。スクラッチのような音も挿入しては、結構派手に決めてくれました。
4. PANINARO (Italian Remix)
Remixed by Pet Shop Boys & David Jacobs
PSB自身もリミックスに携わったトラック。ポップな4つ打ちビートを配したナンバーで、どこがイタリアン何かはさておき、やはり注目なのはニックのラップ。 ニックとニールの掛け合いも楽しく聞かせてくれます。12インチライクのエクステンデッドっぽいノリで、軽やかに進行。
5. LOVE COMES QUICKLY (Dance Mix)
Remixed by Shep Pettibone for Mastermix Productions
ピコピコ感を増したりミックスチューン。美メロを生かしつつも、結構責めの姿勢で聞かせてくれるトラック。力強いビートを伴っては、 フロアを沸かせる。ただ単なるエクステンデッドではないというところにも注目。
6. WEST END GIRLS (Shep Pettibone Mastermix)
Remixed by Shep Pettibone for Mastermix Productions
12インチ的ロングバージョンのような匂いを醸しながらも、スタイリッシュに聞かせてくれるリミックスバージョン。 間奏でのリズムの弾け具合が、ちょっとラテンな感じも。でも、全体的にはピコピコなノリだよね。
●2nd Album『Actually』● '87/9/7 ('88.9.24) release
PET SHOP BOYSの言わずと知れた2枚目のオリジナルアルバム。何はともあれ、全英1位に輝いた「It's A Sin」「HEART」の2曲のほか、 「What have I done to deserve this」「Rent」と強力シングルナンバーを含んだ全10曲。前作デビュー作から、さらに磨きのかかったポップセンスに脱帽。 メロディアスでキャッチーに引き込んできたり、じっくりとバラードで聞かせたり、Neil、Chris、そしてプロデューサとの組み合わせが、じっくりしっかりと音を伝えてくる。 アルバム曲も魅力的で、シングルに匹敵するキャッチーさを放つ。「One More Time」は実際、USA盤「West End Girls」のB面として飾ったナンバーのリメイクバージョンだし、 「Shopping」や「Hit Music」なんかも、ドストレートなポップサウンドとひねりを加えた歌詞で魅力を増す。 あのイタリア映画の巨匠、Enrio Moriconeが曲を作り上げた「It couldn't happen here」なんて、まさしく映画のような世界が出ているし、 ラストを飾るナンバー「King's Cross」は駅という出会いと別れを表すような風情が出ていて、聞き応えのあるナンバーに仕上がっています。ある意味、PSBの最高地点を飾るようなアルバムかな。 ジャケットも印象的。Neilのあくび姿が目を引きます。
1. One more chance
(Tennant/Lowe/Orlando) Produced and engineered by Julian Mendelsohn
アルバムのオープニングを飾るダンスポップチューン。実はアメリカ盤シングル「West End Girls」のB面トラックだったということなんだけれども、 今回は新たに録り直しを施しては、クールに聞かせてくれます。前半はビートを表に出さず、じっくりと聞かせる。 2番途中からはバチバチと打ち込んできます。リミックステイスト溢れる1曲。
2. What have I done to deserve this?
(Tennant/Lowe/Willis) Produced by Stephen Hague
軽快でポップなダンストラック。ゲストヴォーカルにDusty Springfieldを迎えて、より幻想的な世界を作り上げたPET SHOP BOYS。 爽やかメロディが伸び伸びに響き渡って心地よさを伝える。また、Neilのラップも登場したりと、面白い要素をトコトン詰め込んできた。
3. Shopping
(Tennant/Lowe) Produced and engineered by Julian Mendelsohn
時代を表すようなポップミディアムダンスチューン。PSBらしい時事ネタも取り入れた、買物狂の歌。 実に豊かな瑞々しいダンストラックのマジックが花開く。
4. Rent
(Tennant/Lowe) Produced and engineered by Julian Mendelsohn
幻想的で優しく柔らかいイントロが、印象的なシングルナンバー。結局、中身は「あなたが私を養ってくれるから好き」みたいな皮肉も入ったナンバー。 サビが爽やかで、スーッと染み込んでくるような感じがいいね。そして、ポップなダンスミュージックが進行します。
5. Hit music
(Tennant/Lowe) Produced and engineered by Julian Mendelsohn
タイトルからして、勝負に出ているね。そのまま「Hit Music」ときたもんだ。時代を表すような強力ダンスチューン。ポップに弾けては、 とにかく音楽好きな面を出してくる。そう、ヒットミュージックはダンスミュージックなのだ。
6. It couldn't happen here
(Lowe/Morricone/Tennant) Produced by Pet Shop Boys and David Jacob
作曲がEnrrio Moriconeという、また壮大な世界を聞かせてくれるバラードナンバー。 元々はPSB側からアレンジを依頼していたものが、曲を作り上げて、この曲が出来上がったという流れみたいで。 とてつもなくロマンティックな風が流れている。ストリングスをプログラミングしたシンセのサウンドも美しい。
7. It's a sin
(Tennant/Lowe) Produced and engineered by Julian Mendelsohn
イントロからパンチが効いていますね。ゴージャスでダイナミックなサウンドで踊らせるシングルナンバー。さすが全英1位になっただけあるPSBの代表曲。 その世界観はとてつもなく壮大。それでいて、キャッチーに仕上げるマジックだ。それもまた罪。にしても、邦題が「哀しみの天使」っていうのもすごな。時代を表す。
8. I want to wake up
(Tennant/Lowe) Produced by Pet Shop Boys and Shep Pettibone
デジタルサウンドの音が1980年代のディスコライクなポップチューン。 弾むサウンドに乗せて、Neilが優しく歌い上げる。瑞々しい音がさらりと流れてゆきます。
9. Heart
(Tennant/Lowe) Produced by Andy Richards and Pet Shop Boys
大ヒットアルバム「Actually」から、4枚目のシングルとしてカットされたナンバー。 直球ダンスビートと切ないメロディ、Neilのヴォーカルと、どれを取ってもポップなPSBを聞かせてくれます。スリリングな雰囲気もかっこよく、鋭く切り刻んでくるようだ。 ラストの一瞬のブレイクが緊迫感を生んだ。
10. King's Cross
(Tennant/Lowe) Produced by Stephen Hague
アルバムのラストチューン。もちろん、タイトルそのまま、イギリス・ロンドンにある駅、King's Crossをテーマに。 聞かせるタイプのミディアムチューンです。列車の音も入ったりするけれども、どこかしらアンビエントな要素もあって、 駅での出会いと別れを感じさせるような曲だね。一方で、詞の方はとってもメッセージ性というか、PSBらしい切り口で聞かせてくれる。
●3rd Album『Introspective』● '88/10/11 ('95.5.31) release
全曲をリミックスして踊れるアルバムに仕上げてしまったPET SHOP BOYSのアルバム。リミックスというと、「DISCO」があるけれども、それとはまったく違ったアプローチで楽しめる。 何せ、新曲の時点でリミックスされているんだから。全6曲と曲数は少ないけれども、1曲1曲が長くて濃密。 このアルバムからは「Always on my mind」「Left to my own devices」「Domino Dancing」「It's alight」と4枚のシングルがカットされている(もちろん7インチバージョンで)。 残った2曲も、そのうち1曲は提供曲「モンマルトルの森」のオリジナルバージョンだし、とにかく強力。「内省的」というタイトルが付けられているけれども、 新たなフィールドへ進むための工程だったんだろうな。面白すぎます、この2人。
1. LEFT TO MY OWN DEVICES
(Chris Lowe/Neil Tennant) Produced by Trevor Horn & Stephen Lipson
Trovor HornとStephen Lipsonがプロデュースを手がけた1曲。オーケストラを加えて、ゴージャスなイントロを聞かせてくれます。 そして、パンチの効いたビートを送り込んでは、Neilのラップが入ってきます。ラップとサビのヴォーカルが交互に入ってきては、めくるめく展開の流れ。まったく長さを感じさせません。
2. I WANT A DOG
(Chris Lowe/Neil Tennant) Produced by Pet Shop Boys
元々はシングル「Rent」のB面曲だったものを、新たにミックスして収録。オリジナルでは淡々と響き渡るビートにアンビエントな要素を感じていたんだけれども、 こちらのバージョンでは、よりダンサブルなビートに変身。パワーアップしています。
3. DOMINO DANCING
(Chris Lowe/Neil Tennant) Produced by Lewis A. Martinee for Pantera Productions
ラテンディスコ/ダンスのPSB。シングルバージョンとそこまで大胆に変身はそいていないので聞きやすい仕上がりに。 エクステンデッドな方向で。ただ、途中でDJよろしく音を切り刻んでは攻撃を仕掛けてきたけれども、これはちょっと驚き。うーん、あまりいただけないな。全体的には踊れる7分半。
4. I'M NOT SCARED
(Chris Lowe/Neil Tennant) Produced by Pet Shop Boys and David Jacob
Eighth WonderのPatsy Kensitに提供した曲のセルフカバー。マイナー調のメランコリックなメロディがスーッと入ってくる。 Neilのヴォーカルも、また透き通っているかのように聞かせてくれる。ところどころでパリ暴動の音を入れてくるところ、 さすが社会派のPSBワールド。なるほど納得な7分半。これは踊るというよりかは聞き入る曲かな。
5. ALWAYS ON MY MIND / IN MY HOUSE
(Thompson/James/Christopher)(Lowe/Tennant) Produced by Julian Mendelsohn & Pet Shop Boys with thanks to David Jacob, Phil Harding & Ian Curnow
アルバム「Instrospective」からの第1弾シングルナンバーを、さらにリミックス。そして、新曲「In My House」と組み合わせては、とにかく驚きのメガミックスの誕生。 グツグツ煮えているようなビートが流れては、抑え目のサウンドで流れてゆくトラック。その流れでラップが展開する「In My House」に突入するんだ。 びっくりだよね。テクノ/ハウス/ユーロのようなダンスミュージックが交差しては、さらにフロアを熱くする。ポップとディープを行き来するナンバーだね。
6. IT'S ALRIGHT
(Sterling Void) Produced by Trevor Horn & Stephen Lipson
Sterling Voidのカバーチューン。小粋なアシッドハウスサウンドに乗せて、社会的なメッセージが流れる。 この曲もTrevor HornとStephen Lipsonによるプロデュース。独特の空気、世界観が音に出ている。コーラスもゴージャスだね。9分にも及ぶアシッドハウスです。
●Compilation Album『IN DEPTH』● '89/7/5 on Japan release
PET SHOP BOYSの来日記念盤は、日本限定リリースのスペシャルEP。アルバム「Intorspective」から4枚目のシングルとしてカットされた「It's alright」のニューバージョンはじめ、 B面ナンバー、さらには「Always on my mind」「Domino Dancing」「Left to my own devices」のシングルバージョンを収録していて、結構貴重な作品となっています。 どうせだったら、本当の意味で日本だけのボーナストラックが欲しかったな。それにしても、「It's alight」は随分とポップに変身したね。 ジャケットがちょっと怖いんだけれども、これ、一応NeilとChrisだよね?なお、この限定盤、テレホンカードも付いていたそうで、時代を感じさせます。
●4th Album『Behaviour』● '90/10/22 ('90/10/24 on Japan) release
PET SHOP BOYS、アルバム「Introspective」に続く4作目のオリジナルアルバム。今作は、前作のバリバリポップなダンスチューンから一転、静けさを届ける作品になっていますね。 アルバムの中は、静寂や優しさで包み込んでくれるようなテイスト。どちらかといえば、内省的な作品が多いですね。「To face the truth」「Only the wind」「My October symphony」など、 派手さは抑えて、しっとりとPET SHOP BOYSの落ち着いた雰囲気を届けてくれる。 シングル「So hard」はポップなんだけれども、それに続く「Being boring」「Jealousy」は、ウキウキワクワクというよりかは、 じっくりと聴き込んでしまいますね。とっても繊細で芸術的なんだけれども、それゆえヒットには結びつかなかったという点は残念ですね。
日本盤は、初回限定で化粧箱仕様。さらに特製ブックレットや未発表曲入りの8cm CDなど、特典満載です。
1. Being boring
PRODUCED BY PET SHOP BOYS AND HAROLD FALTERMEYER WRITTEN BY CHRIS LOWE AND NEIL TENNANT
カッティングギターの音が入ってきて、よりいっそうドラマティックなサウンドへと変身するミディアムテンポのグルーヴチューン。 囁くように歌うNeilのヴォーカルが、これまでのPET SHOP BOYSとは違った雰囲気を出す。アンビエントな要素を出しつつ、キャッチーなメロディで引き込む業に脱帽。 アルバム「Behaviour」から2枚目のシングルとしてカットされたナンバーです。とにかく美しさが光る1曲。6分半超のロングランです。ただ、ヒットに繋がらなかったのは残念です。
2. This must be the place I waited years to leave
PRODUCED BY PET SHOP BOYS AND HAROLD FALTERMEYER WRITTEN BY CHRIS LOWE AND NEIL TENNANT
どっしりと深い印象を放つミディアムテンポのグルーヴチューン。 この曲もNeilは語るように滑らかなヴォーカルを聴かせてくれます。派手さはないけれども、じっくりと。浸透するような曲だね。ギターでJohnny Marrが参加しているところに注目。
3. To face the truth
PRODUCED BY PET SHOP BOYS AND HAROLD FALTERMEYER WRITTEN BY CHRIS LOWE AND NEIL TENNANT
グルーヴィーでおとなし目のサウンドが包み込んでくれるようなバラードチューン。Neilのヴォーカルが入ってくると、美しさが広がってゆきます。 優しいメロディが、ほのかな温かさを生み出す。派手さは置いといて、伝えるという気持ちが届いてきます。
4. How can you expect to be taken seriously?
PRODUCED BY PET SHOP BOYS AND HAROLD FALTERMEYER WRITTEN BY CHRIS LOWE AND NEIL TENNANT
クールなトラックは、どこかしらHIP-HOPなノリもあるミディアムテンポチューン。いかにも1990年代の音使いで、グルーヴィー。 それでいて、メロディをきめ細かく聴かせる。サビのメロディはもろだね。とってもキャッチーに仕上げたメロデイで、ノックアウト。ギターの音使いもGoodだね。
5. Only the wind
PRODUCED BY PET SHOP BOYS AND HAROLD FALTERMEYER WRITTEN BY CHRIS LOWE AND NEIL TENNANT
イントロからキーボードの音が美しく飾ってきます。曲もゆったりと進行するバラードチューンで、じっくりと聴かせる作り。 この曲も語るようにNeilのヴォーカルがダイレクトに伝わってくる一作。聞き入ってしまう不思議。最後に「 I’m Sorry」。
6. My October symphony
PRODUCED BY PET SHOP BOYS AND HAROLD FALTERMEYER WRITTEN BY CHRIS LOWE AND NEIL TENNANT
グルーヴィーなトラックとコーラスが仕上げるゆったりミディアムチューン。 ここでもJohnny Marrがギターで参加しています。爽やかで清々しいトラックに、弦楽四重奏も加わって、美しく繊細なナンバーを聴かせる。
7. So hard
PRODUCED BY PET SHOP BOYS AND HAROLD FALTERMEYER WRITTEN BY CHRIS LOWE AND NEIL TENNANT
4つ打ちの軽やかユーロビートトラック。弾み具合も抑えめで、じっくりと聴かせてくれるNeilのヴォーカルが丁寧に届けられる。 エレクトロ要素があるのに、落ち着いた雰囲気で聞かせるポップチューン。サビのメロディはそれなりにキャチーだね。ちなみに、Chrisはあまり好きな曲ではないとのこと。 アルバム「Behaviour」からの1st Singleとしてリリース。
8. Nervously
PRODUCED BY PET SHOP BOYS AND HAROLD FALTERMEYER WRITTEN BY CHRIS LOWE AND NEIL TENNANT
アンビエントな感じで静かに始まりを迎えるバラードナンバー。そして後半、Neilのヴォーカルと幻想的なサウンドで魅せる。 煌めくトラックにうっとりだね。中盤から盛り上がりを見せてくれるかと思ったら、また落ち着く流れ。サビ後半のヴォーカル&コーラスのハーモニーがいいね。
9. The end of the world
PRODUCED BY PET SHOP BOYS AND HAROLD FALTERMEYER WRITTEN BY CHRIS LOWE AND NEIL TENNANT
軽やかビートを打ち放つハウスチューン。アルバムの中でも躍動感のある部類の曲だね。ただ、「世界の終わり」というタイトルは物々しいね。 歌詞はその逆で、世界の終わりではないよ、という前向きソングに仕上がっています。
10. Jealousy
PRODUCED BY PET SHOP BOYS AND HAROLD FALTERMEYER WRITTEN BY CHRIS LOWE AND NEIL TENNANT
アルバム「Behaviour」から3枚目のシングルとしてカットされたナンバーは、アルバムのラストを飾るバラードチューン。 こちらもドラマティックな流れを作る、ゆったりサウンドが包み込んでくれるようだ。Neilのヴォーカルも、優しく語りかけるように、美しく。そして、ラストは大きく盛り上がっては、 まるで劇を見せてくれるかのような壮大な幕です。
2-1. MISERABLISM
PRODUCED BY PET SHOP BOYS AND HAROLD FALTERMEYER WRITTEN BY CHRIS LOWE AND NEIL TENNANT *Rissue Album「Further listening 1990-1991」 収録*
2-2. BET SHE'S NOT YOUR GIRLFRIEND
PRODUCED BY PET SHOP BOYS WRITTEN BY CHRIS LOWE AND NEIL TENNANT *Rissue Album「Further listening 1990-1991」 収録*
2-3. THIS MUST BE THE PLACE (EXTENDED MIX)
PRODUCED BY PET SHOP BOYS AND HAROLD FALTERMEYER WRITTEN BY CHRIS LOWE AND NEIL TENNANT
冒頭、ロボット風ヴォイスも入って、無機的な雰囲気をよりいっそう伝えるエクステンデッドバージョン。 トラック的には大きな変化はなく、その落ち着いたサウンドの中に溶け込んでしまうかのようだね。
●Compilation Album『Discography』● '91/11/4 ('91/11/20) on Japan release
PET SHOP BOYS初となるベストアルバムは、これまで発表してきたシングルを年代順に並べた、単純明快シングルコレクション。 NeilとChrisがどのようなサウンドアプローチで楽しませてくれてきたのか、その変遷をたどることができます。なおかつ、そのほとんどはシングルバージョンにて収録。 「Surabaya」と「Heart」は、どうもシングルバージョンで初収録となるみたいで、これは貴重です。さらに、このアルバムのために新曲2曲を用意。 「DJ Culture」「Was it worth it?」もシングルカットされた、力を持つ1曲です。サウンドはキャッチーに、歌詞は時に優しく、時に社会を皮肉るような鋭さを放つ。 時代に即したサウンドを提供してくれたかと思えば、あっと驚くようなカバー曲を披露したり、とっても面白い2人組ということを再認識できますね。 シンプルな作りだからこそ、入門編に適した1枚でもあると思います。これで、あなたもPSB中毒。
17. DJ Culture
Produced by Pet Shop Boys and Brothers in Rhythm Writers:Tennant/Lowe
ベスト盤「Discography」からのシングルナンバーは、かき鳴るギターとスクラッチの音が交差し、緊迫感を与える雰囲気を作るダンストラックに仕上げてきました。 湾岸戦争に影響を受けている歌詞が冒頭から登場。そういう点でも、PSBは影響を持っているね。ラップありのNeilのヴォーカルが時に冷たく、時に優しく響伝わってきます。
18. Was it worth it?
Produced by Pet Shop Boys and Brothers in Rhythm Writers:Tennant/Lowe
ベスト盤「Discography」からの2枚目のシングルナンバーは、ハウスサウンドを心地よく聴かせてくれるダンストラック。 胸を張って、堂々と生きることの素晴らしさをNeilが歌います。弾み具合はノリがいいし、キャッチーな要素もあって、これぞPSBな1曲だね。
●5th Album『Very』● '93/9/27 ('93/9/22 on Japan) release
内省的だった4作目「Behaviour」、そして活動をまとめた「Discography」を経て、5枚目となるオリジナルアルバムの登場。 もうね、これまで溜まっていたものを一気に吹き飛ばすように、とことんポップなアルバムが誕生したわけですよ。まさしく「Very Pet Shop Boys」。 シングル「Can you forgive her?」「Go West」「I wouldn't normally do this kind of thing」「Liberation」「Yesterday, when I was mad」と、 強力5作をシングルカットしては、テクノ、ハウス、グルーヴトラックと、様々なアプローチを仕掛けて、キャッチーな世界へと導きだします。 シンセサウンドがゴージャスに飾ったり、ドリーミングに聴かせてくれたり、そう考えると、「Discography」で区切りをつけた感じがするような、 もう吹っ切れて、とことん弾けてしまえと言わんばかりに、2人のやりたいことをやっている気がするね。 ただ、「Go West」のカバーも意味ありげだったり、商業的アプローチを仕掛けて来たようにも思える。う~ん、難しいな。
限定生産版で2枚組でのリリース。もう1枚は「Relentless」という名のディスクで、インストダンストラックを中心に収録。 Chrisが作り上げたということで、「Very」と合わせて、2つの側面を覗くことができるね。6曲と言わず、この流れから、既存のダブトラックを収録してもよかったかな。
1. Can you forgive her?
Produced by Pet Shop Boys Additional production by Stephen Hague written by Neil Tennant and Chris Lowe
PET SHOP BOYS、約3年ぶりとなるアルバム「Very」からの1st Single。レイブなシンセで派手派手に飾っているところがゴージャスな、ミディアムグルーヴチューン。 ドシドシと押し寄せてくるビートに乗るように、Neilも軽やかに歌い上げます。とにかく音づかいに、強気の姿勢が感じられますね。歌詞は意味深です。
2. I wouldn't normally do this kind of thing
Produced by Pet Shop Boys Additional production by Stephen Hague written by Neil Tennant and Chris Lowe
とってもポップで、リズミカルな1曲は、アルバム「Very」から3枚目のシングルナンバー。これぞPSBな、キャッチーさを展開して来ます。 君に会って恋に落ちたという気持ちが素直に曲にも表れています。なんだか春めいていますね。ウキウキワクワク感のでまくった、極上ポップチューンです。
3. Liberation
Produced by Pet Shop Boys Additional production by Stephen Hague written by Neil Tennant and Chris Lowe
イントロが美しくて鮮やかな、メロウでグルーヴィーなミディアムチューン。 ゆったりしたサウンドに乗せて、Neilが伸びやかに歌を聴かせてくれます。そして、オーケストラも入って来て、より繊細さを紡ぎ出します。シンプルが故に濃い愛の関係を歌っています。 極上のキャッチーさほどではないけれども、美メロで攻勢を仕掛けて来ましたね。アルバム「Very」から、4枚目のシングルとしてカットされました。
4. A different point of view
Produced by Pet Shop Boys Additional production by Stephen Hague written by Neil Tennant and Chris Lowe
2人の視点が違うという部分を歌ったナンバー。イントロが随分と派手でゴージャスなんだけれども、本編も負けじとキャッチーでダンサブル。 爽やかさもあって、さすがPet Shop Boysなナンバーに仕上がっています。特に中盤では弾むアレンジに変身して来たところが面白い。
5. Dreaming of the Queen
Produced by Pet Shop Boys Additional production by Stephen Hague written by Neil Tennant and Chris Lowe
アルバムの中では、ちょっと地味目なナンバー。 深い音をグルーヴィーに聞かせては、じっくり響き渡るミディアムチューンです。とっても重たいサウンドをバックに、淡々と、そして伝えるようにNeilが歌います。深いなぁ。
6. Yesterday, when I was mad
Produced by Pet Shop Boys Additional production by Stephen Hague written by Neil Tennant and Chris Lowe
イントロでは8分の6拍子、そこからアッパーなテクノチューンに変身して、せめて攻めて攻めまくる1曲。 ラップパートが濃くて、Bメロはあってないようなもの。そこからキャッチーなサビへと突入。 とっても爽快感があって、引き込んで来ますね。Cメロで再び8分の6拍子の変わって、随分とトリッキーな1曲となりました。
7. The theatre
Produced by Pet Shop Boys Additional production by Stephen Hague written by Neil Tennant and Chris Lowe
ゴージャスでドラマティックなオープニングは、まさしく劇場のような熱を感じさせる。 劇場で演技している様子がそのまま曲に表れたような、ドラマティックでダイナミックな音をそのままぶつけてくる。 Aメロの柔らかさとサビの鋭さは、まるでストーリーが展開しているかのごとく。オーケストラの効果が絶大です。
8. One and one make five
Produced by Pet Shop Boys Additional production by Stephen Hague written by Neil Tennant and Chris Lowe
弾けるパートがとっても軽やかなダンスポップチューン。「疑惑」をかけられた主人公が、 彼女に誤解を解いてほしいという内容の歌。テーマがテーマなんだけれども、そんな辛さや重さを感じさせないほどのポップチューン。Neilも軽やかに歌い上げます。
9. To speak is a sin
Produced by Pet Shop Boys Additional production by Stephen Hague written by Neil Tennant and Chris Lowe
グルーヴィーでメロウで、美しさを漂わせるバラードナンバー。深みがあるというか、曲の世界に陥りますね。さらにムードを出してくるサックスの音がいい感じ。 ゲイバーをテーマにしているとのことで、こういう世界はやはり彼らしか出せないのかも。
10. Young offender
Produced by Pet Shop Boys Additional production by Stephen Hague written by Neil Tennant and Chris Lowe
冒頭からアグレッシヴにピコピコと音を投入してくるポップチューン。 打ち込み万歳なグルーヴチューン。年の離れた2人の関係がまた、妖しさ満載ですね。色気やセクシーさも感じさせる1曲です。
11. One in a million
Produced by Pet Shop Boys Additional production by Stephen Hague written by Neil Tennant and Chris Lowe
ポップポップ、イントロから極上のキャッチーさを放つダンスチューン。4つ打ちビートよろしく、爽やかさときらめく要素を出しているね。 Neilも滑らかに歌い上げて曲の世界へと誘う。メロディは意外と切ない要素もあって、胸に染みるね。彼らが以前発表した「Always on my mind」ぽさを感じる。 転調したら、もうノックアウトだ。
12. Go west
Produced by Pet Shop Boys Additional production by Stephen Hague written by J Morali / H Belolo / V Wills With additional music and lyrics by Tennant / Lowe
Pet Shop Boys、アルバム「Very」からの2枚目となるシングルナンバーは、なんと「Y.M.C.A.」でおなじみ、 Village Peopleのナンバーをカバー。この曲をこの時期に持ってくる、歌詞の意味を考えて聞くと、なるほど、Pet Shop Boysといった感じになるな。 音の方は、弾けるシンセのサウンド、野太いコーラスと合わせて、キャッチーな曲に仕上がっているけれども、Pet Shop Boysがオリジナルなんじゃないかというくらいに大ヒットしました。
Secret track. Postscript (I Believe in Ecstasy)
PRODUCED BY PET SHOP BOYS AND HAROLD FALTERMEYER WRITTEN BY CHRIS LOWE AND NEIL TENNANT
「Go West」をしばらく放置していると始まるシークレットトラック。 「追伸」ということで、なんとChrisが歌っています。とっても柔らかいアコースティックサウンドをベースに、シンセで包み込んできます。うん、幻想的な雰囲気で魅了してきますね。
2-1. My head is spinning
Produced by Pet Shop Boys Additional production by Stephen Hague written by Neil Tennant and Chris Lowe
4つ打ちビート炸裂のデジタルポップチューン。時折、シンセサウンドで幻想的に響かせては魅惑のひと時。 タイトル通りに頭の中を駆け巡るビート。そして、ダブのようにNeilのヴォーカルが入ってきては、リズムを感じさせるナンバーですね。
2-2. Forever in love
Produced by Pet Shop Boys Additional production by Stephen Hague written by Neil Tennant and Chris Lowe
スペイシーなシンセサウンドと、もっさりハウス4つ打ちビート炸裂のポップチューン。 中盤でNeilが語るようにラップを挿入し、そして高らかに歌を聴かせてくれます。
2-3. KDX 125
Produced by Pet Shop Boys Additional production by Stephen Hague written by Neil Tennant and Chris Lowe
緊迫感のあるイントロ。何かが忍び寄ってきた後は、疾走するかのように展開する4つ打ちナンバー。 いい感じにピコピコしたり、グルーヴィーな音を加えたりと、クールな面を出してきます。
2-4. We came from outer space
Produced by Pet Shop Boys Additional production by Stephen Hague written by Neil Tennant and Chris Lowe
ピコピコサウンドをバックに、エフェクトヴォーカルを加えて味付け。 さらに緊迫感のあるコーラスが加わっては、ドラマティックに仕上げてきました。優雅なんだけれども、大胆に。「宇宙の外からやってきた」サイバーでスペイシーな1曲です。
2-5. The man who has everything
Produced by Pet Shop Boys Additional production by Stephen Hague written by Neil Tennant and Chris Lowe
冒頭からエレクトロな4つ打ちビート炸裂で、アッパーに仕掛けてくるダンスチューン。躍動感を伴って、攻めの音を聴かせてくれます。
2-6. One thing leads to another
Produced by Pet Shop Boys Additional production by Stephen Hague written by Neil Tennant and Chris Lowe
ボコスカビートを加えて、展開するラップ調のミディアムチューン。 Neilが言葉を畳み掛けた後に、伸びやかなヴォーカルを聴かせてくれる流れが清々しいね。なかなかドラマティックな1曲です。
●Remix Album『Disco 2』● '94/9/12 ('94/9/28, '99/10/8 on Japan) release
Pet Shop Boysのリミックスアルバム第2弾。「Very」収録曲を中心に、「Absolute Fabulous」や「So hard」をプラス。 さらにはリミックストラックをノンストップで聴かせてくれます。これは、この一枚を初めから終わりまで、じっくり楽しめますね。 テクノ/ハウスをベースに、ダブもあり、ハードに展開したり、軽やかに魅了してきたりと、面白さがあります。ただ、収録曲は、シングルのB面としてすでに発表されていたりと、 正直、こっちのトラックよりあっちのトラックの方が良かったな、という部分もある。「ディスコ」要素はあって、まさしく踊れる作品になっています。 いっそのこと、B面曲もいい曲があるし、リミックスしてくれたら面白さがあったんじゃないかな。
1. Absolute Fabulous Rollo Our Tribe Tongue-in Cheek mix
Remix by Rollo and Rob D
アルバムのイントロ的役割を果たすトラック。本編は、この後じっくりと。Neilのヴォーカルがゴージャスに響き渡ります。
2. I wouldn't normally do this kind of thing Beatmasters Extended Nude mix
Remix by Beatmasters
Beatmastersによるリミックス。ピコピコとフラメンコチックな音づかいが情熱と妖しさをうまくミックスさせて、襲いかかってきます。 そして、Neilのヴォーカルがサンプリングのように挿入されては、盛り上げてきます。後半からは歌もしっかりと入ってくる。
3. I wouldn't normally do this kind of thing DJ Pierre Wild Pitch mix
Remix by DJ Pierre
DJ Pierreによるリミックスは、随分とディープなビートをぶち込んで、ガッツリと攻めたトラック。 まさしくWildな1曲で、圧倒してきます。その後は「Ask Me Why」のサンプリングループです。
4. Go west Farley & Heller mix
Remix by Farley & Heller
Farley & Hellerによりリミックス。シングルではダブで展開されていたけれども、こちらはしっかりとヴォーカルも入ってきます。 弾むビートが強調されたグルーヴィーなリミックス。
5. Liberation E Smoove 12” mix
Remix by E Smoove
ポップに弾けるクラブリミックス。そして、ゴスペル風コーラスが飾っては、随分と強力なトラックになったね。 声を武器に圧倒してくる。そして、Neilのヴォーカルは、入ってこないので、全く別の曲として成立してしまった。
6. So Hard D. Morales Red Zone mix
Remix by David Morales
David Moralesによるリミックス。トランシーなテイストでクールな音を聞かせてくれます。 それでいて、グルーヴィーなヴォーカルトラックが入ってこないのが、なんとも残念な感じがするけれども、かっこいい仕上がりではあるね。
7. Can you forgive her? Rollo dub
Remix by Rollo
Rolloが手がけたダブミックス。淡々と繰り広げられる軽めのテクノビートと共に、 サンプリングヴォーカルのフレーズが入って来て、グルーヴィーに展開。あっさり目に仕上がっていて、気軽さがるね。
8. Yesterday, when I was mad Junior Vasquez Fabulous dub
Remix by Junior Vasquez
ボコスカとビートを投入しては、彼らしいハードなトラックで聴かせてくれるダブミックス。 「It's Fabulous」というヴォーカルエフェクトが効果的です。その後もサンプリングみたいにヴォーカルが押し寄せて来ます。
9. Absolute Fabulous Rollo Our Tribe Tongue-in Cheek mix
Remix by Rollo and Rob D
RolloとRob Dによるリミックス。最初は幻想的なサウンドで包み込んできたと思ったら、 今度はテクノビートをアッパーにかましてヒートアップ。随分と熱のあるトラックで攻めてきました。
10. Yesterday, when I was mad Coconut 1 12” mix
Remix by Coconut 1
随分とドリーミングな始まりから、アッパーに加味して驚かすテクノレイブリミックス。 とにかく熱いね。それゆえ、ものすごく鮮やかになって、サビも瑞々しさがアップしています。
11. Yesterday, when I was mad Jam & Spoon mix
Remix by Jam & Spoon
JAM & SPOONによるリミックス。冒頭サビのフレーズを出した後は、高速テクノビートが襲いかかって来ます。 そして、しばらくビートを畳み掛けた後に、サビが展開。そして、ガムランのようなSeが入って来ては、カオスな状態になった。なんだか濃くてすごいぞ。
12. We all feel better in the dark Brothers In Rhythm After Hours Climax mix
Remix and additional production by Brothers In Rhythm and Paul Wright at Sarm West
ドリーミングなサウンドが交わるトラック。喘ぎ声が随分とインパクトを出してくる。 その後はゆったりとディープに。それでいて、幻想的に包み込んできます。
●Compilation Album『Alternative』● '95/8/7 ('95/8/30) on Japan release
Pet Shop Boys、これまでリリースしたシングルのB面トラックを収録したコンピレーションアルバム。 「please」から「very」までの間にリリースされたシングルは、結構あるので、ここで溜まりに溜まっての2枚組リリースとなりました。 実は、結構B面でも作りが濃いんだよね。下手にアルバムの中の1曲よりもインパクトがあって、盛りだくさんの作品です。 そのほとんどは、PSB自身がプロデュースを手掛けているということもあり、アルバムの世界にとらわれず、やりたいことをやっている感じがするね。 また、カバー曲などもあったりして、とにかく手広く手掛けています。「Alternative」というタイトルも実にセンスが効いています。 なんか、この曲たちだけでもオリジナルアルバムとしての力がある感じだね。全く手抜き感もなく、1曲1曲、じっくりと楽しめます。 ジャケット斜視がフェンシングのマスクをつけた2人というのも気になります。日本版は、Blue「Boys&Girls」のリオでのライブトラックをボーナストラックとして収録しています。
●6th Album『Bilingual』● '96/9/2 ('97/9/3 on Japan Special Edition) release
PET SHOP BOYSの6枚目となるオリジナルアルバム。今回も、基本はダンスポップなんだけれども、所々にラテンのテイストを加えたトラックで、情熱的に盛り上げて来ました。 シングル「Before」はクールにハウス、「Se A Vida E (That's The Way Life Is)」は明るく楽しくサンバ調、「Single」はこれまたじっくり演奏されるラテンチューン、 「A Red Letter Day」は弾けるハウスサウンド。シングルだけでもいろいろな表情を見せてくれました。 アルバムも、全体を通して聞くと、山あり谷ありの楽しさがあふれんばかりに詰まっていますね。それでいて、クラブライクなトラックも聴かせてくれる。 全てのリスナーが楽しめる名盤となっています。
のちに発売されたスペシャルエディションは、大ヒットを記録した「Bilingual」がパワーアップ。ボーナスディスクをつけてのパッケージで再登場です。 シングルにもなった「Somewhere」のエクステンデッドバージョンはじめ、強力なリミックスチューンを収録と、まだまだBilingualの快進撃は止まらない。 おまけに、日本版はボーナストラックとして2曲も追加されていますよ。
1. Discoteca
(Tennant / Lowe) Produced by Pet Shop Boys
アルバムのオープニングを飾るナンバーは、「この辺にディスコはある?」という問いかけフレーズがループしては、インパクトを出すミディアムグルーヴチューン。 そこにラテンの味を加えて、ゆったりどっしりと展開。なかなかクールでかっこいいね。そして、そのままM-2「Single」へと見事に流れます。
2. Single
(Tennant / Lowe) Produced by Pet Shop Boys
サンバのリズムでどっしりどっしりと展開するミディアムナンバー。なんだか、随分と淡々とした感じで、キャッチーなフレーズは出てくるけれども、 音的にはそこまでキャッチーな感じはしないかな。そして、ラストでは「Discotica」のフレーズも用いて、インパクトを出す。アルバムでは2曲で1曲のような感じになったね。
アルバムから3枚目のシングルとしてカットされた際は、「Single-Bilingual」と改題でリリース。これは、同時期にリリースされたEverything but The girlの「Single」と区別のためだとか。
3. Metamorphosis
(Tennant / Lowe) Produced by Paul Roberts and Andy Williams for K-klass Productions and Pet Shop Boys
これぞダンスな4つ打ちハウスチューン。Neilのラップがまるで「West End Girls」みたいな雰囲気を出してくるんだな。 ただ、結構早口になった。Sylvia Mason-Jamesの華麗なヴォーカルも舞うし、ブラスも華やかに広がるしで、パワーアップな1曲。
4. Electricity
(Tennant / Lowe) Produced by Pet Shop Boys
Neil曰く、まるでDavid Bowieな1曲。ゆったりまた理としたテンポのトラックに、まったり渋いNeilのラップが繰り広げられるミディアムスローのナンバー。 Electricityというより、Eroticな雰囲気を醸し出すナンバーは、ちょっとこのアルバムの中では異質な感じ。
5. Se A Vida E (That's The Way Life Is)
(words:Tennant Music:Ademario / Wellington Epiderme Nega / Nego Do Barbalho / Tennant / Lowe) Produced by Pet Shop Boys and Chris Porter
サンバやラテンのリズムを取り入れては、ブラスも華やかに広がるミディアムグルーヴチューン。 とってもキャッチーで、口ずさみたくなる、一緒に歌いたくなる魔法の合言葉。夏らしく爽やかで、アルバム「Bilingual」を象徴するような眩しいトラックですね。 アルバムの1st Single「Before」よりも、こちらの曲の方が大ヒットを記録して、今でもみんなに愛されているような曲といった感じです。
6. It Always Comes As A Surprise
(Tennant / Lowe) Produced by Pet Shop Boys and Chris Porter
イントロはブラジリアンテイストで、その後はゆったりビートで淡々と深いビートを添えて、丁寧に聞かせてくれるミディアムチューン。 染み渡るようなNeilのヴォーカルが印象的。ただ、その反面、地味感は否めないかな。
7. A Red Letter Day
(Tennant / Lowe) Produced by Pet Shop Boys
イントロが壮大で、ダイナミック。サンバビートで始まり、さらにはクワイアコーラスも加わっては、盛大にお祝いだ。 4つ打ちビートを加えて展開するポップチューン。エレクトロなテイストがとってもいい感じに。Neilのヴォーカルが爽やかに広がる。 アルバムからは4枚目のシングルとしてカットされては、お祝な1曲だね。
8. Up Against It
(Tennant / Lowe) Produced by Pet Shop Boys and Chris Porter
とってもメロディアスで、爽快感たっぷりのナンバー。いかにもエレクトロなピコピコサウンドの中に、少々のラテンな味付けがポイントになるナンバーだね。 Jonny Marrがギターとコーラスで参加しているところにも注目。
9. The Survivors
(Tennant / Lowe) Produced by Pet Shop Boys and Chris Porter
心地の良いミディアムグルーヴチューン。Neilのヴォーカルも流れるように。そして、オーケストラも加わって、鮮やかさを増す1曲。 しかし、歌詞はちょっと辛くて悲しく、厳しい世の中、誰もが生き抜いていかないといけない、という内容です。
10. Before
(Tennant / Lowe) Produced by Pet Shop Boys and Danny Tenaglia
Pet Shop Boys、6枚目となるスタジオアルバムからの先行ナンバーは、躍動するビートが軽やかに体も心も動かしてくるポップチューン。 でも、どこかしら哀愁も漂わせて来ます。ただ、シングルにしては意外とあっさりとした感じかな。もうちょっと濃さを出しても良かったんじゃないかな。
11. To Step Aside
(Tennant / Lowe) Produced by Pet Shop Boys and Chris Porter
スパニッシュ/ラテンなテイストを盛り込んでは、クールに聞かせるダンストラック。センチメンタルな歌詞が踊るメロディアスなナンバーなんだけれども、 それ以上にコーラスがインパクトを出してくる。そして、手拍子で、ラテン度アップなラストも印象的だね。
12. Saturday Night Forever
(Tennant / Lowe) Produced by Pet Shop Boys and Danny Tenaglia
4つ打ちビートが心も体も躍らせるポップなダンスチューン。煌くハウスサウンドがとっても眩しい。 ミラーボールもキラキラ回るフロアの下で、みんなで盛り上がるようなキャッチーチューンだね。歌詞もそこまで意味があるわけではないけれども、 もうノリですね、ノリ。この曲でアルバムを軽やかに締めます。
2-1. Somewhere (Extended Mix)
(Bernestein / Sondheim) Produced by Pet Shop Boys *Reissue Album「Bilingual / Further listening 1995-1997」 収録*
2-2. A Red Letter Day (Trouser Enthusiasts' Autoerotic Decapitation Mix)
Remix and additional production by Trouser Enthusiasts for Contagious
緊迫感漂う雰囲気で、ハードハウス/トランスの流れを組むリミックスをお届け。冷たくクールな音使いの中で、Neilのヴォーカルが響き渡る。 でもって、このトラックが10分も渡るものだから、まさしくトリップさせてくれるよね。
2-3. To Step Aside (Brutal Bill Mix)
Remix and additional production by Bill Marquez for Brutal Bill Production
ラテン名乗りを抽出して、見事にクラブで盛り上がれるハードなトラックに仕上げたリミックス。 濃いけれども、キャッチーさが光りますね。ダブテイストなので、フロアで盛り上がるんだろうな。
2-4. Before (Classic Paradise Mix)
Remix and additional production by Love To Infinity
Love To Infinityによるクラブ/ハウスなリミックス。冒頭から軽快な4つ打ちビートを決めては、8分。 ステップを踏んで軽やかに聞かせてくれます。コーラスも生かされては、とっても華やかなリミックスになりました。
2-5. The Boy Who Couldn't Keep His Clothes On (International Club Mix)
Remixed by Danny Tenaglia
オリジナルに毛が生えたようなリミックスで、そこまで大胆な変身を遂げたわけではないんだけれども、聴きやすい仕上がりですね。 オリジナルのクラブクラブな雰囲気を少々引き出して来た感じかな。
2-6. Se A Vida E (Pink Noise Mix)
Pink noise remix by Richard Morel for Morel Productions
オリジナルの明るさはそのままに、どっぷりグルーヴィーなテイストを加えたリミックスチューン。 リミキサーのこだわりを感じさせるトラックに、思わず体も動き出す。ミディアムテンポの具合がいい感じだね。
2-7. Discoteca (Trouser Enthusiasts' Adventures Beyond The Stellar Empire Mix)
Remix and additional production by Trouser Enthusiasts for Contagious
アンビエントな路線のリミックスだね。しっとりうっとり。どっぷりとトラックを聞かせる始まり。 そこから一転して、4つ打ちビートで畳み掛けて来ては、ぐいぐいと攻めてくる。そして、目まぐるしいテクノな音で煌めいては、アッパーに聞かせてくれるぞ。
2-8. Discoteca (PSB Extended Mix)
PSB自身が手がけたリミックスバージョン。冒頭に語りを加えては、ラテンなドラムビートをさらに引き出してアグレッシヴさを増したトラック。 オリジナルよりも、ニューバージョンをベースにしている感じだね。
2-9. Paninaro '95 (Tin Tin Out Mix)
高速ビートのエナジー系リミックス。パーカッションもよりアグレッシヴに聞こえて来ます。とにかく躍動するビートに、呑み込まれるね。 さらに、クールなシンセの音が入って来ては、トランシーな要素もプラスだ。
●Compilation Album『Essential』● '98/3/31 ('98/4/29) on Japan release
PET SHOP BOYSのベストアルバムが、このタイミングで登場。 といっても、収録曲はリミックスバージョンやアルバム曲、未発表バージョンなどの変則的ナンバーが多く、ベストアルバムというよりかはコンピレーションという面が強いですね。 ただ、このアルバムの収録曲は、PSB本人たちが行っていて、こだわりは感じます。 初期のヒット曲「West End Girls」や「Love Comes Quickly」のダンスミックスは、この時点では未発表バージョンだったからこそ、このアルバムが貴重な作品だったわけですよ。 ただ、このあとリマスタされたリイシュー版「Further Listening」シリーズがリリースされて、結果的に貴重なトラックも回収できるので、このアルバムの存在意義が薄れてしまうのも致し方ないかな。