album

1st Album『First Love』● '99/3/10 release

衝撃的デビューを果たした宇多田ヒカル、渾身の1st Albumがついにお目見え。10代の視点、ちょっと背伸びして大人へあこがれる様子だったり、自由自在に言葉を操っている歌詞が面白いね。 そこにR&Bのみならず、ロックに近いサウンドやソウル、ファンクなどの要素も散りばめて、海外向きな音を、うまくJ-POPのフィールドへと運んでいる。 そして、ヴォーカル。やはり宇多田ヒカルの若さと個性を出しまくっているね。それ故、フェイクを使ってアピールするような曲もあり、印象付ける姿勢が伝わってくる。 何はともあれ、この名盤の熱はとてつもなく、日本史上記録に残る800万枚以上のセールスを打ち出した1枚。 シングル「Automatic」「Movin' on without you」、そして後にカットされる「First Love」以外だと、「time will tell」「B&C」「In My Room」「甘いワナ 〜Paint It, Black」が耳に残るかな。 あと、Interludeのヴォーカル&コーラスもかなり聞かせてくれますね。 それ以外の曲は、もうちょっとスポットが当たってもいいんだけれども、そこまでいくにはまだ惜しいかな。でも、まだ1枚目。この先、どう変身するのかがとっても楽しみ。 とにかくジャケットのドアップな顔もインパクト大です。

1. Automatic -Album Edit-

written by Utada Hikaru arranged by Nishihira Akira additional arrangement by Kawano Kei rhythm arrangement by Taka & Speedy for Designated Hitters, L.A.

このイントロのリズムでドキドキさせられるね。宇多田ヒカルの記念すべきデビューシングル。15歳とは思えない歌唱力とライティングセンスに度肝を抜かれましたね。 R&Bというジャンルが浸透し始めたJ-POP界に、やっぱりこの存在は大きいね。ネイティヴな英語の発音もまた、かっこいい。素直な気持ちの表れた歌詞も覚えやすく、まさしくヒットはオートマティック。

アルバムでは、ラストでギターが鳴り響くエディットバージョン。かっこよさが増した。

2. Movin' on without you

written by Utada Hikaru arranged by Murayama Shinichiro

衝撃的なデビューシングルに続いて放たれた、2枚目のシングルナンバーは、ハウスサウンドをベースにして、軽やかに聞かせてくれるダンスチューン。 ポップに弾けるビートと、じっくり聞かせるギターの音、そしてパワフルな宇多田ヒカルのヴォーカルが絡み合う。 ちょっと強気な女性が主人公の歌詞にも注目。それにしても、こういう詞をさらりと歌い上げてしまうところがかっこいいね。

3. In My Room

written by Utada Hikaru arranged by Murayama Shinichiro

クールでディープなトラックを武器に、宇多田ヒカルが等身大の世界を歌い上げる。Bメロの重圧コーラスがいいじゃないですか。 まぁ、落ち着く場所といったら、やっぱり自分の部屋だよね。いざとなったら、自分のベッドで眠っちゃえ。嫌なことなど忘れちゃえ。そんな無邪気さも 出た1曲。ラストで転調して、盛り上げに拍車がかかった。アウトロでは、さらにヴォーカルにエフェクトをかけて、夢見心地な気分で。く

4. First Love

written by Utada Hikaru arranged by Kawano Kei strings arrangement by Kawano Kei

大ヒット、いやメガヒット。脅威のセールスを記録した1st Album「First Love」から、タイトルチューンのバラードナンバー。 切なく甘く歌い上げる宇多田ヒカルの歌のうまさが伝わってくるね。そして、恋心をうまく伝えるわけですよ。初恋の思い出を、宇多田ヒカルがドラマティックに仕上げた。 でも、タバコのフレーバーがする人っていうことは、相手はもう大人ですよね?なんて。サウンドの方も、シンプルながらにストリングスが盛り上げ、 “THE バラード”を聞かせてくれます。おっ、ギターのクレジットに秋山浩徳の名が。

5. 甘いワナ 〜Paint It, Black

“Amai Wana”written by Utada Hikaru arranged by Nishihira Akira “Paint It, Black”written by Mick Jagger & Keith Richards

攻撃的な勢いを感じさせるアップテンポチューン。その象徴が、鳥山雄二のギターかもね。 軽やかに舞いながらも、突き刺してくるような宇多田ヒカルのヴォーカルがまた、かっこいいんだ。 この変幻自在ぶりはさすがだね。The Rolling Stonesの「Paint It, Black」を引用するあたりが、すごいよね。

6. time will tell

written by Utada Hikaru arranged by Mori Toshiyuki, Isomura Jun

キーボードの音色からアーバンな香りを漂わせるミディアムナンバー。心地のよいR&Bのリズムに乗せて、宇多田ヒカルがさらっと歌い上げる。 今は泣きたい時は泣けばいいんだよ。時間が経てばわかるから。若いのに、なんだか説得力のある言葉で励ましてくれる。クールなトラックで、派手に飾らずかっこいいね。

7. Never Let Go

written by Utada Hikaru arranged by Kawano Kei

淡々としたプログラミングビートと、アルペジオの切なさを出したギターを聞かせるミディアムスローチューン。 ヴォーカルのバックの宇多田ヒカルのコーラスが、ちょっとしつこく感じさせるかな。サビパートの印象も、他曲に比べると、ちょっと薄く感じるんだよな。 メロディは引きこむ力があるので、なんだかもったいない。アレンジをもう少々変えて欲しいかな。

8. B&C -Album Version-

written by Utada Hikaru arranged by Nishihira Akira rhythm arrangement by Taka & Speedy for Designated Hitters, L.A.

これまた、クールな雰囲気を漂わせるR&Bナンバー。 タイトルのBとCは、映画のキャラクター「ボニー&クライド」からということで、そんな2人のように、行ける所まで行っちゃおうよという、かなり強気な気持ちの表れた1曲です。 この曲も、メロディがいいんだよね。キャッチーな要素と切ない要素の出たサビの力が強くていいんだ。

シングルでは、F.O.だったのに対して、アルバムではラストでブレーキの音を入れては、ハッと思わせる展開を聞かせる。

9. Another Chance

written by Utada Hikaru arranged by Nishihira Akira rhythm arrangement by Taka & Speedy for Designated Hitters, L.A.

クールながらに軽やかなミディアムチューン。ビートに身を委ねるような、心地よい宇多田ヒカルのヴォーカルにやられます。 他の収録曲に比べると、ちょっと小難しいメロディラインだよね。地味目なんだけれども、力が相当あると思うよ。

10. Interlude

宇多田ヒカルの多重コーラスとともに、電話のコール、そして話し声を聞かせるインタルード。この続きは、次で!?

11. Give Me A Reason

written by Utada Hikaru arranged by Nishihira Akira

アルバム本編のラストを飾るミディアムバラードチューン。 どっぷりとしたビートと、ほのかなアコースティックギターの音色が絡み合っては、強弱をうまく操る。ただ、なんだか余計なSEを入れまくっていないか? もうちょっとシンプルなトラックでよかったと感じる。宇多田ヒカルのヴォーカルは言わずもがな、滑らかで心地よさを届けてくる。

12. Automatic -Johny Vicious Remix-

written by MATSUZAKI MAYA composed & arrangement by T.KIMURA

ボーナストラックは、言わずと知れたデビュー曲のリミックスチューン。もう、このウキウキワクワク感がたまらないUSハウスミックスで、弾けています。 4つ打ちビートと華やぐキーボードにノックアウト。オリジナルよりも、テンポアップしているから、余計に楽しくなるね。

2nd Album『Distance』● '01/3/28 release

ついに出ましたか。という感じで、待望の2枚目となるオリジナルアルバムが登場。もう、出す曲出す曲がヒットするものだから、2枚目となるアルバムも勢いに乗るわけですよ。 「Addicted To You」「Wait & See」「For you」「タイム・リミット」「Can You Keep A Secret?」「蹴っ飛ばせ!」と、シングルナンバーやカップリング曲などもたくさん収録し、 とにかくヴァラエティ豊かな楽曲で楽しませてくれる。音幅が広がったし、ジャム&ルイスのプロデュース作品もあるし、 GLAYのTAKUROと曲を共作したり、話題に事欠かない彼女からは、余裕さえ感じられる。だからこそ、ドストレートなR&Bはもちろんのこと、 ロックやバラードなども手中に入ってしまう。これでもまら、10代だから恐ろしいものだ。 前作に比べると、アルバム曲もシングルナンバーと肩を並べるくらいに力があって、「ドラマ」や「Parody」なんか、かっこいいと思うし。 タイトル曲の「Distance」タイトルチューンならではの力を感じさせるポップチューンに仕上がっている。まだまだ2枚目。まだまだ楽しみが湧いてきます。 ちなみに、浜崎あゆみ初となるベストアルバムとリリースが同時ということで、セールス対決も話題に上ったね。

1. Wait & See 〜リスク〜

written by Utada Hikaru produced by Jimmy Jam & Terry Lewis for Flyte Tyme Productions, Inc. arranged by Jimmy Jam & Terry Lewis for Flyte Tyme Productions, Inc. and Utada Hikaru

疾走感とロックテイストを組み合わせて、また一味違った顔を見せる宇多田ヒカルのシングルナンバー。 R&Bとはまた違った方向だからこそ、新鮮さに溢れているね。ギターもかき鳴る力強さ溢れたトラックに、圧倒されるね。これもジャム&ルイスのプロデュースの力。 ラストサビの言葉がいいね。キーを下げても、言葉の持つ力、強さは変わらない。最後の笑い方もポイント。PVの印象が強いよね、この曲は。

2. Can You Keep A Secret?

written by Utada Hikaru produced by Miyake Akira and Utada Sking Teruzane arranged by Nishihira Akira pre-production arrangement:Honda Yuichiro

ドラマ「HERO」の主題歌として大きく盛り上げた宇多田ヒカルの7枚目のシングル。サビ入りスタートの緊迫感がかっこいい。 メランコリックなギターと、どっぷり効いたビートを掛け合わせて、とってもクールなナンバーの誕生だね。それでいて覚えやすくキャッチーなメロディを作るんだ。 フィンガースナップでは、父親の照實氏が参加。

3. DISTANCE

written by Utada Hikaru produced by Miyake Akira and Utada Sking Teruzane arranged by Kawano Kei and Utada Hikaru

スムースで軽やかに聞かせてくれるアルバムのタイトルチューン。伸びやかなヴォーカルと自身のコーラスが重なって、 心地よさを生み出す。サビの爽やかさが手伝って、ドンドンと引き込んでくるね。でも、歌詞の方は、縮めたくてもなかなか縮められない2人の距離について、 切なく歌い上げるわけで。また、この後にアレンジを施して、「FINAL DISTANCE」としてシングルカットされました。

4. サングラス

written by Utada Hikaru produced by Miyake Akira and Utada Sking Teruzane arranged by Murayama Shinichiro

ミディアムテンポの心地よいビートで包み込むナンバー。ちょっとハスキーな宇多田ヒカルのヴォーカルが、終始響き渡ります。 時にファルセットを使っては、切なさもアップ。じっくりと作りこまれた感じが漂うナンバーだね。

5. ドラマ

music:Utada Hikaru and Kubo Takuro lyrics:Utada Hikaru produced by Miyake Akira and Utada Sking Teruzane arranged by Honda Yuichiro

いきなりギターがギュインと鳴るから、びっくりした。どこかしら「ゴッド・ファーザー 愛のテーマ」なメロディを聞かせてくれるミディアムロックチューン。 緊迫感が伝わってくる。ちなみに、GLAYのTAKUROと曲を共作。面白いタッグで、こんあアグレッシヴな曲が誕生するんだね。 クレジットには、すべてのヴォーカルが宇多田ヒカル。ってことは、サビの低いコーラスも本人なのか?これには驚き。

6. Eternally

written by Utada Hikaru produced by Miyake Akira and Utada Sking Teruzane arranged by Murayama Shinichiro strings arrangement:Kawano Kei

うっとりしっとりなバラードチューン。ピアノとストリングスの組み合わせが最高で、涙腺を刺激する。シンプルなメロディなんだけれども、やっぱり周りの音にやられますな。 サビでの宇多田ヒカルのヴォーカルも、情で訴えかけてくるように。ド直球なラブソングをぶつけてきました。切ない気持ちが伝わってきます。

7. Addicted To You [UP-IN-HEAVEN MIX]

written by Utada Hikaru produced by Jimmy Jam & Terry Lewis for Flyte Tyme Productions, Inc. and Alex Richbourg for ABR Productions, Inc. arranged by Jimmy Jam & Terry Lewis for Flyte Tyme Productions, Inc. and Alex Richbourg for ABR Productions, Inc. remixed by Jeff Taylor at MADJEF Productions, Brooklyn park, MN

宇多田ヒカルのネクストステージ。メガヒットしたデビューアルバム「First Love」後となるシングルナンバーは、 これぞR&Bなリズムビートとチキチキサウンドが交差する、ディープなトラック。歌声もまた、ハスキーなヴォーカルだったり、時にフェイクを聞かせてくれたりと、 やっぱり違いますね。君への依存が表れた歌詞と気持ちもを伝える1曲。なるほど、ジャム&ルイスな作品ということですか。独特のグルーヴがかっこいいんだ。

8. For You

written by Utada Hikaru produced by Miyake Akira and Utada Sking Teruzane arranged by Kawano Kei

「Wait & See 〜リスク〜」に続くシングルナンバーは、初の両A面。こちらは本領発揮といわんばかりのストレートなR&Bトラックで、クールな宇多田ヒカルを聞かせてくれます。 全体的に淡々としたトラックなんだけれども、宇多田ヒカルのヴォーカル&コーラスが生き生きさせるようだ。サビのメロディも説得力があるような、芯の強さを感じる。

9. 蹴っ飛ばせ!

written by Utada Hikaru produced by Miyake Akira and Utada Sking Teruzane arranged by Nishihira Akira and Utada Hikaru

ギターがうねりを上げまくるロックベースのナンバー。鳥山雄二がここぞといわんばかりにギターをプレイしています。 宇多田ヒカルの歌い方も、ちょっと儚さを出しているようで、それでいて力があって、かっこいいんだ。サビの高音もなかなかいいね。この緊迫感があるサウンドが、本当にかっこいいんだ。

10. Parody

written by Utada Hikaru produced by Miyake Akira and Utada Sking Teruzane arranged by Kawano Kei

いきなりスクラッチが入ったりと、なかなかかっこいい始まりだ。2つのドラムに2つのギターが入っていたりと、生音主体のサウンドを聞かせてくれます。 歌詞とメロディがいい味を出しているね。クセになるマイナーメロディが生きるサビがかっこいい。間奏じゃ、ジャジーにあったりハードロックになったりと、めまぐるしいね。

11. タイム・リミット

music:Utada Hikaru and Kubo Takuro lyrics:Utada Hikaru produced by Rodney Jerkins for Darkchild Entertainment arranged by Rodney Jerkins for Darkchild Entertainment and Utada Hikaru

両A面シングル。こちらの作曲、まさかの宇多田ヒカルとGLAYのTAKUROの共作という驚きのコラボレーション。 あまりGLAYGLAYしていないのは、さすがにロドニー・ジェーキンスのプロデュースだからだよね。ド直球のR&Bでクールでスムースに聞かせる宇多田ヒカルのヴォーカルはさすが。 高音もなかなかイケるじゃないですか。途中、ロドニーのパフォーマンスもかっこよく聞かせてくれます。

12. 言葉にならない気持ち

written by Utada Hikaru produced by Miyake Akira and Utada Sking Teruzane arranged by Murayama Shinichiro

1st Album「First Love」のインタルードで披露されていたナンバーのフルバージョン。なるほど、こういう形に仕上がるんだね。 どっぷりビートが少々妖しさを生み出す、ディープなR&Bチューン。なんかメロディだけだと、メロディパートとサビパートがあまりマッチしていないような気もするんだよな。

13. HAYATOCHI-REMIX

written by Utada Hikaru produced by Utada Hikaru arranged by Utada Hikaru

シングル「Waite & See 〜リスク〜」に収録されていたナンバー「はやとちり」を、リミックス。だから「はやとちリミックス」。 今回は、なんと宇多田ヒカル自身がリミックスに挑戦。奇妙なキーボードやどっぷりビートをつかっては、随分と遊んできますね。ラストの笑い声も、楽しんで作っている様子が伝わってくる。

3rd Album『Deep River』● '02/6/19 release

宇多田ヒカル、待望の3rd Albumは、「FINAL DISTANCE」「traveling」「光」「SAKURAドロップス」「Letters」と、 強力シングルナンバー5枚を収録したヴォリューム作。しかしながら、まず驚いたのはアルバムジャケットだよね。モノクロで、シンプルというよりかは暗くダークな雰囲気が伝わってくる。 まさしく曲名を表すような雰囲気をかもし出しているけれども、曲の方も深いぞ。 アルバムタイトルチューン「Deep River」は、歌詞も曲も歌い方も、なんか宇多田ヒカルが全てをさらけ出しているかのような感じだし、その他の楽曲も、かなりインパクトがあるね。 「幸せになろう」のメロディ展開、「東京NIGHTS」のサウンド面には、宇多田ヒカルの引き出しの多さに驚くと同時に、ヘビーローテーションになるくらいの引き込む力があります。 ラストの「FINAL DISTANCE」〜インスト〜「光」の流れも、アルバムの最後を飾るにふさわしいね。今回のアルバムで、宇多田ヒカル、大きく化けましたね。 シングル曲以外にも、シングル級の力のあるアルバム曲が揃っていて、とってもパワーを感じるアルバムです。まさしく、深い深い作品だね。

1. SAKURAドロップス

written by Utada Hikaru arranged by Utada Hikaru and Kawano Kei Produced by Miyake Akira, Utada Hikaru and Utada Sking Teruzane

宇多田ヒカル、「光」に続くシングルナンバー。情緒豊かな春の季節を切り取り、優雅に歌い上げます。特に、サビでのファルセットは心をくすぐるね。 どこかしら切なくて深い、桜の儚さが曲に表れています。間奏でのエッジの効いたギターが濃さを出している。何気にそのギターは秋山浩徳だったりね。 アレンジクレジットで宇多田ヒカルがメインに来ているところにも、この曲へのこだわりを感じさせる。

2. traveling

written by Utada Hikaru arranged by Kawano Kei and Utada Hikaru Produced by Miyake Akira, Utada Hikaru and Utada Sking Teruzane

前作シングルナンバー「FINAL DISTANCE」から一転、極上ポップに弾ける宇多田ヒカルの登場だ。 グツグツ打ち込みのビートに乗せて、巧みな歌詞が自由気ままに踊っています。Aメロのタクシーのくだりといい、Bメロのリズミカルな部分といい、さすがは宇多田ヒカルなセンスだ。 そして、サビでのキャッチーなメロディにノックアウト。ここまで突き抜けられるとは、さすがです。ヴォーカルの楽しさもさることながら、コーラスも結構、ポイントが高いよね。

3. 幸せになろう

written by Utada Hikaru arranged by Kawano Kei and Utada Hikaru Produced by Miyake Akira, Utada Hikaru and Utada Sking Teruzane

始まりは河野圭のピアノをバックにしっとりと。なるほど、幸せ要素が出ているね。しかし、サビでは打ち込みサウンドになって、マイナー調のメロディでどっしりと聞かせてくれる。 うわー、この流れには驚かされるね。悲しさを乗り越えて、幸せになろうという前向きな気持ちが出ていますね。ラストでは「エリーゼのために」をモチーフにしたコーラスも登場。

4. Deep River

written by Utada Hikaru arranged by Kawano Kei and Utada Hikaru Produced by Miyake Akira, Utada Hikaru and Utada Sking Teruzane

アルバムのタイトルチューンでもあるバラードナンバー。シタールの音もポイントになっては、深いサウンドを聞かせてくれる。 アコースティックベースの優しく包み込んでくれるようなナンバー。そして、宇多田ヒカルの歌詞も深い。自分らしさを失わずに生きていくことの応援歌。深く胸に突き刺さります。

5. Letters

written by Utada Hikaru arranged by Kawano Kei and Utada Hikaru Produced by Miyake Akira, Utada Hikaru and Utada Sking Teruzane

「SAKURAドロップス」と両A面扱いのナンバー。こちらは、情熱的ながら、秘めたる力を解放していくような流れにしびれるミディアムチューン。 手紙というコミュニケーションスタイルを、宇多田ヒカルの世界で聞かせてくれます。和というか、情緒深いメロディに、寄り添いたくなるようなナンバーで、後半の盛り上がりにドンドンと引き込まれてゆく。 CharにGALYのHISASHI、鳥山雄司に宇多田ヒカルの父親まで、アコースティックギターで参加しては豪華な競演を果たしています。

6. プレイ・ボール

written by Utada Hikaru arranged by Kawano Kei and Utada Hikaru Produced by Miyake Akira, Utada Hikaru and Utada Sking Teruzane

イントロからアンビエントのようなテイストで、しっとりとしなやかに聞かせてくれるミディアムナンバー。 サビではグッと魅力を引き出して、まさしく9回裏のピンチから大逆転するように攻めてきます。熟したサウンドと、宇多田ヒカルのヴォーカルが魅力的な1曲。

7. 東京NIGHTS

written by Utada Hikaru arranged by Kawano Kei and Utada Hikaru String Arrangement:Kawano Kei Produced by Miyake Akira, Utada Hikaru and Utada Sking Teruzane

チェンバロの音がどこかしら懐かしさというか、歌謡曲テイストを出すアップテンポチューン。メロディパートのリズミカルなビートは、まるでタンゴのようだね。 一転して、サビではポップに攻めてくるけれども、こちらもどこかしら歌謡曲テイストで、いい味を出してきます。さすがは“新宿の女”の娘だね。ストリングスやオーボエも大活躍。 東京という街の中で、優しさや温もりを見つけようとする歌詞もまたいいんだ。

8. A.S.A.P.

written by Utada Hikaru arranged by Honda Larry Yuichiro additional rhythm arrangement:Kawano Kei and Utada Hikaru String Arrangement:Honda Larry Yuichiro Produced by Miyake Akira, Utada Hikaru and Utada Sking Teruzane

イントロから繰り出すチェロの音といい、鐘の音といい、どこかしら荒廃している感じがかっこいいミディアムナンバー。 淡々としていて、ジワジワと攻めてくるところが、ゾクゾクさせるね。打ち込みビートの無機的な空間を、宇多田ヒカルの躍動感のあるヴォーカルが突き破る。

9. 嘘みたいな I Love You

written by Utada Hikaru arranged by Kawano Kei and Utada Hikaru Produced by Miyake Akira, Utada Hikaru and Utada Sking Teruzane

ハードなロックサウンドを聞かせる宇多田ヒカルの新たなフィールド。 かなりエッジを効かせては、熱を入れて歌い上げます。サビの入りのメロディが低くて、そこからドンドンと登っていくような展開に驚き。 それでいて、引き込んでくる宇多田ヒカルのメロディセンスがかっこいいんだ。アレンジだけでなく、ドラムまで河野圭が叩いているとはね、驚きだ。

10. FINAL DISTANCE

written by Utada Hikaru arranged by Kawano Kei and Utada Hikaru String Arrangement:Saito Neko Produced by Miyake Akira, Utada Hikaru and Utada Sking Teruzane

2nd Albumのタイトルチューンが、装いも新たに、どっぷりじっくりと聞かせてくれるバラードに大変身して、 シングルとしてリリース。オリジナルは打ち込みが軽やかに舞っていたけれども、こちらの新たなるバージョンでは、弦楽ストリングスをフィーチャーして、どっしりと聞かせてくれます。 さすがは斉藤ネコのアレンジだ。切なく儚く、それでいて美しいナンバーになりました。

11. Bridge (Interlude)

written by Utada Hikaru arranged by Kawano Kei and Utada Hikaru Produced by Miyake Akira, Utada Hikaru and Utada Sking Teruzane

鼓動のようなビートと、ヴァイオリンが織り成すインストナンバー。優雅に舞い降りては、次曲へ橋渡し。

12.

written by Utada Hikaru arranged by Kawano Kei and Utada Hikaru Produced by Miyake Akira, Utada Hikaru and Utada Sking Teruzane

「traveling」に続くシングルナンバーは、なんと自身の本名をタイトルに。読み方は違うけれども、漢字一文字どっしりと「光」。 イントロ無しで始まっては、いきなり引き込んできますね。そして、未来のことよりも今のことを楽しんでいこうというメッセージを伸び伸び歌って聞かせてくれます。 メロディも滑らかながら、説得力もあり、宇多田ヒカルへの並みならぬ力を感じさせる。大サビのファルセットのパートが、また切なくていいんだ。

Best Album『Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.1』● '04/3/31 release

宇多田ヒカル、初のベストアルバムは、これまでにリリースしたシングルナンバーを発表順に並べたコレクション。 デビューシングル「Automatic/time will tell」で華々しく、鮮烈なデビューを果たし、瞬く間に日本の音楽シーンのトップに立った彼女の功績を、トコトン味わえます。 どの曲も、大ヒットしているから、耳に馴染んでいて聞きやすいね。本物の色を取り入れたR&Bをベースに、J-POPの域に入っては親しみある楽曲で楽しませる。 時には海外勢とタッグを組み、魅力あるサウンドを聞かせてくれたりと、とにかく幅広いね。どの曲もまだまだ若いうちに作ってしまったという、宇多田ヒカルのこの才能に改めて驚かされます。 やはりリリースを重ねるごとに、ヴォーカルや歌詞も深みを増して行ってるね。シングルコレクションということで、アルバム曲は一切入っていないけれども、コンセプトも固まっているから、 シンプルなところが逆にいいのかもね。なぞ、全曲リマスターされているので、新たな音で楽しめます。 これを機に、もっと宇多田ヒカルを楽しみたいと思っていたら、このアルバムのリリース後はちょっと休業です。

4th Album『ULTRA BLUE』● '06/6/14 release

宇多田ヒカル、通算4枚目となるオリジナルアルバムがついに完成。ベストアルバムを間に挟み、前作「DEEP RIVER」から実に4年ぶりのリリース。 今作は、リードトラック「This is Love」はじめ、強力シングルナンバー「COLORS」「誰かの願いが叶うころ」「Be My Last」「Passion」「Keep Tryin'」と多数収録。 色鮮やかに放ってきました。アルバムの核となる「BLUE」の、叫びとも痛みともとれる切ない雰囲気が、アルバム全体を覆ってくるようにも思える。 ただ、宇多田ヒカル本人はBLUEというマイナス面を前に持って来たくなかったから、アルバムタイトルに「ULTRA」を付けて、ポジティブな方向へ持って行ったとのこと。 アルバム収録曲は、そのほかにも逸品揃い。「日曜日の朝」「Making Love」なんて、日常のありがちな風景を、独特の世界観で切り取る姿勢がいいんだ。 また、THE BACK HORNの山田将司とのコラボ作を投入してきたりと、工夫を凝らした作品もあり、長い間待っていた分、とっても楽しめる内容となっています。 「誰かの願いが叶うころ」がPVの影響からか、白黒のイメージが強いんだけれども、その後の「 COLORS」で色づくという曲順がいいね。ジャケットも実にカラフルに色づいています。うん、綺麗だ。

1. This Is Love

written and arranged by Utada Hikaru

宇多田ヒカル、4枚目のアルバムのオープニングを飾るナンバーは、 軽快な4つ打ちビートが踊るダンスポップチューン。勇ましさと繊細さが織りなすサビで始まる。これがまた、キャッチーに攻めてくる。 結構、高音を響かせて、宇多田ヒカルもどかっと力強い声を押し出してくる。軽やかに舞う宇多田ヒカルの力が印象的ですね。アルバム「ULTRA BLUE」からの先行ナンバー。

2. Keep Tryin’

written and arranged by Utada Hikaru

シングル「Passion」に続くシングルナンバー。 宇多田ヒカルの世界を一気に具象化させたような、理想と現実、ネットや社会をうまく取り入れた歌詞が印象的なミディアムチューン。 幻想的なサウンドは、ドラマティックに。それでいて親近感の湧く歌詞に惹かれますね。サウンドは、前作「Passion」と同じようなラインだけれども、応援歌的な部分が、らしさを出す。

3. BLUE

written and arranged by Utada Hikaru

アルバムの核を担うような壮大ナンバー。無機的な打ち込みトラックをバックに、生きる意味、歌う意味を問いかける歌詞が飛び交うナンバー。 宇多田ヒカルのヴォーカルも、サビでは叫び、自問自答するかのようなインパクトがある。 高音ヴォーカルも、その世界かへと引き込んできます。マイナスなBLUEというよりも、鮮やかなBLUEのイメージが広がるかな。

4. 日曜日の朝

written and arranged by Utada Hikaru

これまでの宇多田ヒカル的サウンドアプローチで聴かせるR&B。軽快なビートに乗せて、軽やかに歌い上げる宇多田ヒカルのヴォーカルも、 幻想的なんだけれども、随分と陰鬱な雰囲気も後ろの方に漂っている感じなんだよな。日曜の朝の、ダラダラっとした雰囲気も出てるのかな。

5. Making Love

written and arranged by Utada Hikaru

リズミカルなビートと幻想的なサウンドを仕掛けてくるアップテンポナンバー。 遠距離恋愛の2人の関係を歌うような感じだけれども、遠くへ引越ししてしまう友人おの話だそうで。 独特の歌い回しが宇多田ヒカルのセンスだね。詩の内容よりも、トラックがかっこよくて、このトラックだったらシングルカットできるくらいの力があると思うんだよな。

6. 誰かの願いが叶うころ

written and arranged by Utada Hikaru

ベストアルバムで区切りをつけて、新たな章へと突入した宇多田ヒカルのシングルは、ど直球のバラードチューン。 映画主題歌ということもあり、ドラマティックな雰囲気を持っているけれども、ほぼピアノとアコーステッィックギターのみという、シンプルな展開。 宇多田ヒカルのヴォーカルよ、より感情がこもって意伝わってくる。「みんなの願いは同時には叶わない」という部分が、 痛々しく突き刺してくるようだ。曲のイメージは、PVの影響で、白黒な感じ。

7. COLORS

written by Utada Hikaru arranged by Utada Hikaru and Kawano Kei

情緒豊かなメロディが織り成すシングルナンバー。イントロの彩りが美しいです。タイトル通り、色に関しての歌詞の描写が、さすが宇多田ヒカルの世界。 美しくも儚く、それでいて力強く、あなたは何色?私は何色?と探る1曲。メロディが本当にいいんだよね。サビのメロディの透き通るような、洗練された雰囲気が好きですね。 伸びやかな宇多田ヒカルのヴォーカルもいいね。全体的にドラマティックな仕上がり。激しくなくとも、それなりに力のあるナンバーで焼き付けてきました。

8. One Night Magic feat. Yamaha Masashi

written and arranged by Utada Hikaru

軽やかな打ち込みを放つポップなダンストラック。なんと、THE BACK HORNの山田将司を迎えたコラボチューン。 ゲストヴォーカルというよりかは、ゲストコーラスな感じで、バックでしっかりと支えているね。宇多田ヒカルのヴォーカルは感情がこもっています。時に激しくね。結構、高音が続くね。

9. 海路

written and arranged by Utada Hikaru

アンビエント風味のシンセがドラマティックに広がるバラードチューン。 壮大なサウンドと、優雅な宇多田ヒカルノヴォーカルが織りなすナンバー。そこにコーラスが重なることで、よりいっそう幻想的なムードを放つ。この船旅は、まだまだ続きそうだ。

10. WINGS

written and arranged by Utada Hikaru

滑らかなピアノの音に軽やかな宇多田ヒカルのヴォーカルが舞うミディアムチューン。 1番が終わると打ち込み色が強いトラックに変わるけれども、同時にフルートが優雅に躍る。次なる一歩を踏み出せない親友を、陰ながら応援する歌ですかね。

11. Be My Last

written and arranged by Utada Hikaru

いきなりアコースティックギターの音とともに歌が始まるバラードナンバー。 相当暗いけれども、その中にも希望の光が差してくるような、温かく包み込んでくれるような部分もある。 重たい空気の中で、唯一頼りになる君の存在。サビで言い切っていないところも余韻を残す。印象的なギターは、今剛だ。さすがです。ドラマが展開するナンバーだね。

12. Eclipse (Interlude)

written and arranged by Utada Hikaru

F.I.してくる軽やかなビートで始まるインタルード。リズミカルでオリエンタルな部分が、1980年代の坂本龍一的アプローチにも思える一品。 1分半を幻想的に包み込み、次の曲へとつなぎます。

13. Passion

written and arranged by Utada Hikaru

シングル「Be My Last」に続く宇多田ヒカルのシングルナンバーは、幻想的で壮大な世界が広がるミディアムナンバー。 躍動感溢れるビートと、緊迫感を生むギターの音が鋭く響き渡る宇多田ヒカルのヴォーカルは、有機的ながら無機的なコーラスと合わさって、不思議な世界を生み出す。 オリエンタルというかエキゾチックな世界は、これまでのR&B路線というよりかは、「COLORS」に通じるようなテイストがあるね。J-POPの枠に収まらない力を持つ曲でしょう。

5th Album『HEART STATION』● '08/3/19 release

宇多田ヒカルの5枚目となるオリジナルアルバムは、前作「ULTRA BLUE」から約2年。 先行ナンバーのタイトルチューン「HEART STATION」はじめ、「Stay Gold」「Beautiful World」「Kiss & Cry」「Flavor of Life」「ぼくはくま」などのシングルナンバーを多数収録し、楽しませてくれる。 1曲目の「Fight The Blues」から、宇多田節全開。「BLUEと闘う」って、まるで前作アルバムと比較しているかのようなタイトルだけれども、 あらためて宇多田ヒカルによるメロディをジックリと味わうことのできる作品集だと思う。ほぼ全曲、本人がアレンジを担当しているんだけれども、やはりその軸となるメロディラインがいい味を出しているね。 「HEART STATION」のイントロ、「Beautiful World」のサビ、「Stay Gold」全編など、情緒豊かな部分が出ていて、感性豊かな表情を感じられる。 そこに乗る言葉の数々も、ストレートだったり婉曲だったり、リスナーが深読みしてしまうような表現方法で人生を、愛を、そして想いを伝える。 前作アルバムのような勢いは抑えて、よりいっそう、噛み砕いてジックリと味わいたくなる1枚に仕上がっています。 「私の声が聞こえますか?」。不安を覗かせながらも、リスナーに一言一言、しっかりと届けられるその歌声に、思う存分、浸れるね。

1. Fight The Blues

Written and Arranged by Utada Hikaru

アルバムのオープニングであり、リードトラックでもあるナンバー。シンセサウンドが広がり、グルーヴィーなプログラミングビートが流れるミディアムポップチューン。 調子が悪いときや落ち込んでいる時は、ちょっと休んでから乗り越えてみよう、みたいなメッセージを伝えるかのような曲だね。 前作アルバム「ULTRA BLUE」に対して歌っているようにも思えるね。みんな、タフに生きようよ。

2. HEART STATION

Written and Arranged by Utada Hikaru

アルバムリリース前に、宇多田ヒカルが両A面のシングルをリリース。こちらはアルバムと同名タイトルのミディアムチューン。 深夜ラジオをテーマに、聞いているリスナー達へのメッセージを届けるように。宇多田ヒカルのハスキーなヴォーカルが広がってゆきます。 遠くでも近くでも、繋がっていることの再確認。安らぎあるメロディが包み込む。

3. Beautiful World

Written and Arranged by Utada Hikaru

なんと、宇多田ヒカルが「エヴァンゲリオン」の映画、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」の主題歌を担当。さらには両A面でシングルをリリース。 妖しさをスパイスに、4つ打ちビートを展開するグルーヴチューン。どこかしらエヴァの世界観に通じるものがあるね。 「新聞なんかいらない 肝心なことが載っていない」と、批判もありますが、基本的には聞いと一緒にいたいという想いが伝えられます。 サビの「Beautiful World」と歌う部分が、本当に美しいんだ。

4. Flavor Of Life -Ballad Version-

Written by Utada Hikaru Arranged by Utada Hikaru, Alexis Smith and Tomita Yuzuru

ドラマ主題歌にもなったバラードナンバー。オリジナルのグルーヴィーな部分を取り払って、若干スローテンポに。味わい深さが出てきたね。 宇多田ヒカルのヴォーカル&コーラスも、恋人になりたいような気持ちが表現されています。息遣い、ヴォーカルのかすれ具合、その世界へと連れて行ってくれるアプローチだね。

5. Stay Gold

Written and Arranged by Utada Hikaru

両A面シングル。こちらは、イントロからピアノの音が美しさを引き立たせるバラード。もう、この音がアジアンビューティーなんだよね。 ピアノとプログラミングビートだけをバックに、宇多田ヒカルの優雅なヴォーカル&コーラスで魅了する。シンプルな構成なのに、ゴージャスな雰囲気が漂います。ドラマティックな1曲。

6. Kiss & Cry

Written and Arranged by Utada Hikaru

ジャジーな始まり。どっぷりビートを打ち込んで始まるミディアムグルーヴチューン。最初は淡々とした雰囲気だけれども、次第に華やかに変身。 サビではシンセサウンドが美しく広がる。ここまで鮮やかに変身するとは思わなかったな。 こちらの曲も、実に美しい。歌詞では「日清カップヌードル」がポイント。近未来的でありながら、親近感を漂わせるんだ。

7. Gentle Beast Interlude

Written and Arranged by Utada Hikaru

リズミカルなビートと宇多田ヒカルのコーラスが絡み合うインタルード。優しく響いたり、激しく響いたり。そのまま流れて時曲へ。

8. Cerebrate

Written and Arranged by Utada Hikaru

前曲から流れて始まるアップテンポの4つ打ちトラック。ハウスビートとアコースティックギターが心地よく絡んで聴かせてくれます。 歌詞は随分とゴージャスな感じを漂わせていますが、なんだかお祭りパーティーなシチュエーションだね。さすがはセレブリティ。ただ、このアルバムの中では、軽すぎな感じもするかな。

9. Prisoner Of Love

Written and Arranged by Utada Hikaru

どっしりビートとピアノの音が印象的なミディアムチューン。宇多田ヒカルの力強いヴォーカルが印象的です。Bメロからストリングスも入ってきて、緊迫感を漂わせる。 愛の力は時に幸せを生み、時に残酷なゆえに2人を破滅へと導く。繊細かつ大胆に宇多田ヒカルが歌い上げる愛の歌です。 ドラマの主題歌に抜擢されて、のちにアルバムからシングルカット。そして、「人間活動」に始まる前の最後のシングルになりました。

10. テイク 5

Written and Arranged by Utada Hikaru

どっしりと深い4つ打ちビートを打ち込んでくるミディアムテンポのグルーヴチューン。雰囲気は「Passion」のような、幻想的で壮大な世界が広がってゆきます。 曲と同様に、歌詞も深く、絶望もなく希望もなく、成功も失敗もなく、限りなく無に近い、空のようになりたいんだという気持ちを表現。 難しいながら、普通とは何かを問いかけているようにも思える。最後はぶつ切りという終わり方。

11. ぼくはくま

Written by Utada Hikaru Arranged by Tomita Yuzuru and Utada Hikaru

あまりにもクマのぬいぐるみが好き過ぎて、歌まで作ってしまった宇多田ヒカル。しかも、NHK「みんなのうた」にも選ばれて、温かく聴かせてくれます。 シングルとしてカットされては、クマのぬいぐるみの気持ちを歌っています。2分ちょっとの展開。ほんわか温かい歌です。

12. 虹色バス

Written and Arranged by Utada Hikaru

深々と響くブレイクビーツとピアノが加わることで色鮮やかに聴かせるミディアムナンバー。みんな、同じ気持ち。誰もいない世界へ連れて行って。 世界は孤独を望んでいるのか?切ない気持ち、愛する気持ち、つらい気持ちを全て癒してくれる場所なのかもしれない。 もしくは、みんなが同じことを思っているから、私は私だけの世界へ行きたいのかもしれない。 本編アルバムのラストを飾り、バスに乗って、ここではないどこかへ、連れて行ってくれる宇多田ヒカルです。

13. Flavor Of Life

Written and Arranged by Utada Hikaru

宇多田ヒカルの本領発揮。「ぼくはくま」に続くシングルは、グルーヴィーなトラックとアコースティックギターが包み込むミディアムチューン。 サビのヴォーカルで、かすれた部分がより切なさを発揮させて、キュンとさせてくれるんだな。 ただ、AメロやCメロパートが暗いというか、どんよりしているのが残念なんだよな。ヴォーカルのラインが低いからかな。 友達以上恋人未満の宙ぶらりんな状況を、宇多田ヒカルが特有の表現で聴かせてくれます。バラードバージョンの方が日に当たってしまったのが、ちょっともったいないかな。

Best Album『Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.2』● ’10/11/24 release

宇多田ヒカルが「人間活動」という名の活動休止へ。 そこで放たれた、2作目となるベストアルバムは、第1弾以降に発表されたシングルナンバーをパッケージしたサイドと、新曲5曲を収録したサイドの2枚組仕様。 前作「Vol.1」では、旧→新の順番でシングルを並べていたけれども、今回は新→旧の流れ。シングルカットされた「Prisoner Of Love」から、「誰かの願いが叶うころ」へと流れてゆきます。 配信だった「This is Love」、そしてボーナストラックとして「Beautiful World」のリミックスバージョンも特別に収録。 より成熟した宇多田ヒカルのクリエイターな歴史を紐解くことができます。一方、新曲5曲の方も、実にヴァラエティ豊か。 ど直球バラードで母親への思いを歌ったり、4つ打ちナンバーでポップに決めたり、クリスマスナンバーをピアノ1本で聞かせてくれたり、名曲「愛の讃歌」を菊地成孔とコラボしたり、本当に豪華です。 これでしばらく宇多田ヒカルの作品を聞けなくなると思うと、残念だけれども、全く妥協せず作品を手がけている姿がダイレクトに伝わってきます。 詞、メロディに深みを増し、リスナーに深読みさせる力はじめ、ハスキーなヴォーカルに魅力と色気を増して魅了する。宇多田ヒカル、渾身の作品です。

1−13. Beautiful World -PLANiTb Acoustic Mix-

written and arranged by Utada Hikaru

映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」の主題歌として、第1弾の映画主題歌だった「Beautiful World」のリミックスバージョンを採用。 新曲じゃないのは残念だけれども、魅力を増したトラックに惹かれます。アコースティックミックスというか、生音ベースの音になっていて、 ギターやドラムの音からは生を感じさせるアプローチを仕掛けてきた感じだね。渋くて味わいを増したトラック、オリジナルよりもいいんじゃない?

2−1. 嵐の女神

Produced by Utada Hikaru, Miyake Akira and Utada Skingg Teruzane Written by Utada Hikaru Arranged by Utada Hikaru and Matt Rohde

宇多田ヒカルが母親について歌ったロッカバラード。とにかく歌詞がストレート。「あなたにはかなわない」「会いたい」。 これまで遠ざけていた母親のことを素直に受け入れ、切々と願いを込めて歌う宇多田ヒカルが印象的です。全ての楽曲の中で、一番、「宇多田光」に近い曲なんじゃないかな。

2−2. Show Me Love (Not A Dream)

written and arranged by Utada Hikaru

アンビエントな始まりで、じっくりと聴かせてきたと思ったら、どっしりロックなアプローチへ変身したアップチューン。自分は弱いけれども、恥ずかしいことじゃない。 深い愛も完璧じゃない。宇多田ヒカルの痛いくらいのメッセージが突き刺してきます。

2−3. Goodbye Happiness

Produced by Utada Hikaru, Miyake Akira and Utada Skingg Teruzane Written by Utada Hikaru Arranged by Utada Hikaru

ベストアルバムからのリードナンバーとなった、4つ打ちビートのアップテンポナンバー。 広がるシンセサウンドとポップなアレンジでキャッチーに。でも、歌詞からは「愛して欲しい、愛したい」という気持ちが伝わってきます。 人は1人になったときに愛の意味に気づく。「good bye loneliness」と歌っていても、やっぱり孤独とは離れられないんだろうな。

2−4. Hymne a l’amour 〜愛のアンセム〜

Produced by Utada Hikaru, Miyake Akira and Utada Skingg Teruzane Words by Edith Piaf Music by Marguerite Monnot Original Japanese Words by Utada Hikaru Arranged by Kikuchi Naruyoshi and Utada Hikaru

名曲「愛の讃歌」を宇多田ヒカル流にカバー。アップテンポのスィングジャズなアプローチ。 なるほど、菊地成孔とタッグを組んでの直球アレンジできましたね。宇多田ヒカル自身が日本語訳を手がけていて、愛を聞かせてくれます。 スムースな音、そしておしゃれに。やっぱり、宇多田ヒカルの凄さを思い知らされる。

2−5. Can’t Wait ’Til Christmas

Produced by Utada Hikaru, Miyake Akira and Utada Skingg Teruzane Written by Utada Hikaru Arranged by Utada Hikaru

クリスマスシーズンにぴったりなバラード。ピアノをバックに、ドラマティックに宇多田ヒカルが聞かせてくれます。会っても、心が離れる。愛しているのに。 そんな思いを切々と歌って聞かせてくれる、美メロナンバーです。

6th Album『Fantome』● '16/9/28 release

「人間活動」を経て、宇多田ヒカルがついにカムバック。 通算6枚目のオリジナルアルバムは、活動休止中に配信リリースした「花束を君に」「真夏の通り雨」、DVDでリリースした「桜流し」などを収録した渾身の1作。 活動休止中に色々と経験したからこそ、重たく深みのある歌詞にまず惹かれますね。喪失や鬱蒼とした雰囲気の中でも、希望に満ちていたりする、この不思議なバランス。 母親の死という出来事、さらに自身が母親になるという出来事は、大きく影響しているね。その中でも顕著に表れているのが、先の配信リリース作品や、冒頭曲「道」だったりするわけで。 そのほか、今回はコラボレーションも多く、EMIガールズ復活ということで椎名林檎とデュエットを聴かせてくれたり、新進気鋭の若手ミュージシャン、小袋成彬やKOHHなどを迎えて、 新たな宇多田ヒカルワールドを展開する。 プログラミングを多用しているけれども、時にストリングスが飾ったり、ベースやギターの音が前に出てきては、生を感じさせる。宇多田ヒカルのヴォーカルも、健在だね。 ジャケットの姿は、どこかしら母親、藤圭子の面影を出す。ぼやけた雰囲気がまた、今作の世界観を醸し出しています。SHM-CD仕様で、DVDを付けず、CD1枚で勝負する潔さがかっこいいね。

1.

Written and Produced by Utada Hikaru

軽やかプログラミングビートと宇多田ヒカルの伸びやかなヴォーカルが響き渡る。 淡々としていながらも、脈々と伝わってくるトラック。瑞々しいサビのメロディ。そして、英語パートはさらに高温で攻めてくる。 「あなた」から始まった「私」。孤独だけれども、実は心の中にすでに居たという気づきや感謝の歌でもあるんだろうね。心地よく包み込んでくれるナンバーです。

2. 俺の彼女

Written and Produced by Utada Hikaru Strings Arrangements:Simon Hale and Utada Hikaru

ボンボンとベースの音がバックで弾かれながら始まるミディアムチューン。 どこかしら儚く、寂しさを漂わせてくる。その後、裏打ちのリズムとストリングスが入ってきて、彼女の像が次第に鮮やかになってゆく。 「俺の彼女」と歌っているんだけれども、途中で彼女視点の歌詞になっているね。フランス語も登場したり、よりサウンドに厚みを増したりと、力が伝わってきます。 それにしても、不思議な関係性。

3. 花束を君に

Written and Produced by Utada Hikaru Strings Arrangements:Simon Hale and Utada Hikaru

宇多田ヒカル復活の兆しを見せた先行配信ナンバー。 イントロなしで切々と歌い始める曲は、君のことを思って歌っています。しかし、歌詞は深く、どう考えてもこの世をさった君のことを思っているんだよね。 化粧も死化粧、花束がまるで弔辞のよう。しかし、そんな悲しさは感じさせないサウンド。歌い方も独特で、「狭間で」とか、途中の「ありがとう」とか、伸ばし方がまるで演歌みたいだったり、 不思議。サビが1つとして同じ歌い方ではないところも注目。

4. 二時間だけのバカンス featuring 椎名林檎

Written and Produced by Utada Hikaru Strings Arrangements:Simon Hale and Utada Hikaru

まさかまさかの、EMIガールズが楽曲を発表。これまた、両者の持つべき才能をぶつけ合ったようなナンバーだね。 歌謡曲テイストのあるサウンドと、不倫をテーマにしたかのような意味深な歌詞が滑らかに展開していきます。 平穏な日常だけれども、時にスリルを欲する主人公が、海までのランデヴー。まだまだ秘密の恋。

5. 人魚

Written and Produced by Utada Hikaru

ハープをバックに、熱唱する宇多田ヒカル。やはり「人魚」というと、NOKKOの曲のイメージが強いんだけれども、 宇多田ヒカルはハープのみをバックにするサウンドを展開。かなりこだわりを感じるね。安らぎとともに、しっとりと聴かせてくれる曲です。

6. ともだち featuring 小袋成彬

Written and Produced by Utada Hikaru Brass Arrangement:Utada Hikaru

どっぷりビートにただならぬ雰囲気を漂わせるナンバー。なんでも、同性愛を打ち明けられない主人公の、片思いの気持ちを歌っているとのこと。 この複雑なテーマを、宇多田ヒカルが挑みます。淡々としていながらも、途中から入ってくるブラスの音が熱を帯びてくる感じがするね。 今回は、ゲストに小袋成彬を迎えてのコラボレーション。でも、そこまで前に出てきていないのが、なんだかもったいないな。

7. 真夏の通り雨

Written and Produced by Utada Hikaru Strings Arrangement:Utada Hikaru

復活を予見させた2作同時配信リリースのうちの1曲。イントロなしで始まり、河野圭のピアノをバックにしっとりと聴かせるナンバー。 2番からは、ドラムも入ってきて、ビートが強調されてきた。そして、サビではコーラスが重なり、より叙情深い風景を刻んでくる。さらにストリングスも入ってきては、ドラマティックに。 Cメロパートの想いを伝えてくる歌を経て、ラストサビでの音数が増えて、より一層盛り上がってきます。この曲も、かなりの重みを持った歌詞を扱うかのような宇多田ヒカルです。

8. 荒野の狼

Written and Produced by Utada Hikaru Brass Arrangement:Utada Hikaru Strings Arrangements:Simon Hale and Utada Hikaru

プログラミングビートの後のベースの入り。なんか1980年代な雰囲気のポップさを聴かせる。ブラスも入ったりしては、ひねりがあって面白いね。 宇多田ヒカルのヴォーカルも、どこかしらワイルドだな。しかし、それ以上に、歌詞が強烈インパクトを放つ。しがらみを解き放ち、自由に生きてゆく狼のごとく。

9. 忘却 featuring KOHH

Written and Produced by Utada Hikaru

どっぷりどっぷち不快音を聴かせては、呑み込んで、どこかへ連れて行ってくれるように。 そして、KOHHのラップからスタート。刺々しく、突き刺すかのようにラップをぶつけてくる。そして、かすれた宇多田ヒカルのヴォーカルがはかなさを出してきます。 深く暗い場所からの脱却も、迷っている様子が伝わってくる。「いつか死ぬ時、手ぶらがbest」。この歌詞も強烈。

10. 人生最高の日

Written and Produced by Utada Hikaru

イントロなしで始まっては、ビートを前面に出してくるグルーヴチューン。この曲、今作アルバムの中では一番ポップな雰囲気が出ているな。 歌詞も肩の力が受けているような、等身大の宇多田ヒカルのような感じ。明るく軽やかに展開する1曲です。 シェイクスピアも驚きの人生は、まるで彼女自身のことを歌っているのかもね。

11. 桜流し

Written and Produced by Utada Hikaru Strings Arrangements:Utada Hikaru, Paul Carter and Kawano Kei

アルバムのラストを飾るのは、「人間活動」中に、映画の主題歌として発表したバラードチューン。CDには初収録ですね。 情景深いといいますか、叙情深いといいますか、桜の短く儚く咲き誇る様子を、うまく宇多田ヒカルの世界へと結びつけて導く物語。そして、あなたのことを思う曲です。

7th Album『初恋』● '18/6/27 release

宇多田ヒカル、レーベルをエピックに移しての初となる作品は、前作「Fantome」から、約2年ぶりとなる、7枚目のアルバム。 今作も通常盤のみでの販売と、余裕を感じさせます。レーベルを移籍してからは、コンスタントに配信でシングルを発表してきたけれども、ようやく完成した作品のタイトルが「初恋」ときたもんだ。 あの「First Love」から20年の時を経て、こうきたか、と思わせるところがすごいな。 配信トラックでも、宇多田ヒカルの歌詞やメロディ、ヴォーカルに深みが増していたけれども、アルバム1つの作品で、より濃密に世界を聞かせてくれます。 言葉の区切りかた、歌詞の豊かさ、独特の世界観、色々なことを経験し、前作が喪に服していたようなイメージがある分、今作は影を残しながらも、晴れ晴れ爽やかなナンバーが目を光らせる。 その中でパクチーの歌の衝撃ときたら。ハンパないな。冒頭3曲のアカペラスタートの始まり、後半3曲のストリングスが飾る壮大な世界。唯一無二の作品を届けてくれました。 個人的には、このアルバム発表後のライブに参加できて、良かった思い出。

1. Play A Love Song

Written and Produced by Hikaru Utada

イントロなしで始まるミディアムチューン。宇多田ヒカルのハイトーンヴォーカルが広がる幕開け。サビに差し掛かると、より躍動感を増して力強く聞かせてくれる。 その中でも、ピアノの弾む音が印象的だね。悲しい話はもうたくさん、飯食って寝よう。シンプルな歌詞が実に気持ちいいんだ。

2. あなた

Written and Produced by Hikaru Utada Strings Arrangement:Simon Hall and Hikaru Utada

イントロなしで、訴えかけてくるように始まるバラード。「あなた」に対しての思いをどっしりと伝えてくる。 あなた以外何もいらない、というストレートな気持ちが突き刺してくるようだ。ストリングスとブラスの組み合わせも、よりドラマティックに演出してくる。 宇多田ヒカルのヴォーカルも時に伝わる揺るぎが、なんとも言えないね。

3. 初恋

Written and Produced by Hikaru Utada

アルバムのタイトル曲であり、リードナンバー。イントロなしで、どこか不安や迷いがありそうなヴォーカルで始まるしっとりバラードチューン。 誰しもが思う、初めての恋について歌っていますが、これが、あの「Fisrt Love」から20年経っているところにも、いろんな意味を匂わせてきます。 ストリングス、オーケストレーション、このとにかく繊細で大胆な世界の展開に惚れ惚れしますね。 コーラスパートで広がる歌詞が「I love you」ではなく、「I need you」というのが、またポイントなのかな。

4. 誓い

Written and Produced by Hikaru Utada Strings Arrangement:Simon Hall and Hikaru Utada

6拍子のリズムが刻まれるミディアムバラード。結婚の歌、プロポーズの歌のようにも思える歌詞ですね。 そして、後半のラップの登場。こちらも独特のリズムでインパクトを出してきます。美しく麗しい、ストリングスの音色と優雅に響き渡る宇多田ヒカルのヴォーカルが印象的です。

5. Forevermore

Written and Produced by Hikaru Utada Strings Arrangement:Simon Hall and Hikaru Utada

イントロからストリングスの鋭く重たい雰囲気を振りまくナンバー。そして、ドラムも躍動感を持って打ち放たれる。 ジャジーなアプローチのナンバーです。こちらもストレートなラブソング。1人きりが似合う私を会えず泣かせるのはあなただけ。 それほどに、あなただけ、という思いをどっしりと歌い上げます。「愛してる、それ以外は余談の域」と言い放つ凄みに感服。

6. Too Proud featuring Jevon

Written by Hikaru Utada and Jevon Ellis Produced by Hikaru Utada

独特のプログラミングビートを経ては、しっとりと歌い上げる歌パート。とにかくクールです。温度も一定な感じで、平然さを保っている感じだね。 なんでもセックスレスの2人の関係を歌っているとのことで、なるほど、感情もどこかしら抜けている感じもするかな。Jevonのラップも熱いぞ。

7. Good Night

Written and Produced by Hikaru Utada Strings Arrangement:Simon Hall and Hikaru Utada

しっとりと始まったバラードナンバー。その後はどっしりとロッカバラードへと昇華してゆく流れ。 「っふっふ」という歌い方が温かく、ほっこりとさせてくれるし、サビでの「Goodbey」も、不思議な区切りで「グウウウウウウ」という持たせかたも、なかなかないんじゃないかな。 ギターの音、ストリングスの音も、瑞々しく放ってきます。

8. パクチーの唄

Written by Hikaru Utada and Nariaki Obukuro Produced by Hikaru Utada

冒頭のキンコンカンコンのアンビエントな展開から、「こりゃなんだ、コリアンダー」と、まさかのダジャレ。そして「パクチーパクパク」と繰り返されるシュールな脱力系ソング。 「ぼくはくま」と同じテイストで作り上げたというけれども、この流れ、アルバムの中で突如現れるとびっくりするよね。 一方で、見事なまでのピアノとホーンの音使いに心が洗われる1曲でもあります。

9. 残り香

Written and Produced by Hikaru Utada

タイトルがすっかり大人ですね。イントロからオルガンの淡い音で一気に引き込んできました。 湿っぽい音使い、プログラミングがまた、どこかしら無機的です。「あなたを探す」ではなく、「あなたの肩を探す」というひねりもまた、乙だね。

10. 大空で抱きしめて

Written and Produced by Hikaru Utada Strings Arrangement:Simon Hall and Hikaru Utada

実に爽やかさを漂わせるタイトルとサウンド。のびのび歌っている雰囲気が、タイアップのついたCMとリンクする。 爽やかなのに、どこかしら影が出ているんだよね。歌詞もそうだけれども、サビの展開も、マイナー調でキリッとさせてくれるんだ。そこにストリングスの鋭さがものを言わせる。

11. 夕凪

Written and Produced by Hikaru Utada Strings Arrangement:Simon Hall and Hikaru Utada

この曲がまた、暗い。ピアノの切ない旋律、そして弦の悲しげな音。さらには、宇多田ヒカルのヴォーカルも、どこかしら諦め感を漂わせてくる。 とにかくこの曲が難産だったということで、その思いがどっしりと濃密に伝わってきますね。後半の呪術のようなコーラスの、インパクトが大きいです。

12. 嫉妬されるべき人生

Written and Produced by Hikaru Utada Strings Arrangement:Simon Hall and Hikaru Utada

アルバムのラストを飾る、これまた壮大なナンバー。まず、タイトルのインパクトときたら。 一目惚れに近い、あなたと出会った時の直感。そして、一緒に添い遂げることを歌います。そして、誰よりも幸せで、嫉妬される人生だと誇ることの素晴らしさ。 ただ、ここでも母親の存在の大きさが際立っているほどに、宇多田ヒカル自身のことを歌っているかのようなナンバーです。

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