forlife

Album『sweet revenge』● '91/3/27 ('07/4/4) release

gutレーベル移籍第一弾アルバム。今までの流れをちょっとずらして、新鮮な気持ちをこのアルバムでは表現しているようだ。

特にヴォーカリストをフューチャーする形が多いアルバム。今井美樹や高野寛の参加も目を引くね。

邦楽の要素と洋楽の要素を見事に組み合わせたポップなアルバムを作り上げた教授。

やはり、独特の世界観が出ているとともに、“坂本龍一”ならではの色が良く出ている。

1. Tokyo Story

Music by Ryuichi Sakamoto

gutレーベル第一弾のアルバム・オープニングチューンはインストナンバーから。 アンビエントな要素を踏まえた教授ならではのピアノ曲。

神秘性に飛んでいてとっても心地よい。 タイトルがちょっと合わない感じですな。

2. Moving On

Music by Ryuichi Sakamoto Lyrics by J-Me Vocals:J-Me, Latasha Natasha Diggs, Vivian Sessoms

ミディアムテンポのポップなナンバー。グルーヴ感たっぷりでトミイエサトシもアレンジに参加しています。

邦楽と洋楽の要素を半々にした感じで楽しめます。キーボードサウンドがいかにも教授的音楽を作り上げる。

ヴォーカルやコーラスが曲を後押ししています。なかなかいいね。

3. 二人の果て

Music by Ryuichi Sakamoto Lyrics by Taeko Ohnuki Vocal:Miki Imai

なんと今井美樹と教授がデュエットです。すごいタッグだ。 デュエットといっても同じメロディラインを歌っているのでハモリはお預けですね。

そしてメロディーがまた暗っ!でもこれがいかにもな教授のメロディなんだ。

暗いながらも後半でポッと小さな灯火がつくように少しだけ明るくなるような曲の展開。 ただでは終わりませんね。

ジャズ/ボッササウンドも心地よいです。

4. Regret

Music by Ryuichi Sakamoto Lyrics by J-Me Vocal:J-Me, Latasha Natasha Diggs

再びグルーヴ感たっぷりのミディアムテンポのナンバーです。 ポップ感あり、HIP-HOPのようなブラックの要素もあり。

サビでは体が心地よく横に揺れるね。 ただ、つかみにくい部分もあり、ピンとこなくて流されてしまう。サビ部分だけが頭に残るね。

5. Pounding at my Heart

Music by Ryuichi Sakamoto Lyrics by Paul Alexander Vocal:Paul Alexander, Vivian Sessoms

ポップというよりかはアングラ的ですね。アンビエントなトラックでどこあの世界へと誘ってくれそうなゆったりとした音楽。

教授のピアノが2人のヴォーカルと絡み合って不思議な世界を作り上げる。妖艶な世界です。

6. Love & Hate

Music by Ryuichi Sakamoto Lyrics by Holly Johnson Vocal:Holly Johnson

アップテンポで打ち込みビートが畳み掛けるキラーチューン。 ポップというよりかはちょっと傾いている曲。

サビでは何かポエトリーリーディング的で不思議。

メロディ部はポップです。韻を踏んだ歌詞は当時にしてみれば画期的なことだったことでしょう。 後半に行くにつれて音が明確になって行く。

7. Sweet Revenge

Music by Ryuichi Sakamoto

アルバムのタイトルチューンは弦が幻想的なメロディを作り上げるインストナンバー。 この弦のメロディがまた巧みでいいですねぇ。浸れます。

そして教授自身のピアノが加わってさらに世界観がアップです。 癒されるナンバーですね。

8. 7 Seconds

Music by Ryuichi Sakamoto Lyrics by J-Me Vocal:J-Me, Latasha Natasha Diggs

ブラックテイストをメインにしたHIP-HOPチューン。バックのサウンドはディストーションがかけられ 独特な雰囲気を作る。

ただちょっと単一的というか、盛り上がりに欠けるね。曲自体流されちゃう感じです。

9. Anna

Music by Ryuichi Sakamoto

教授本領発揮のインストナンバー。ピアノをメインにベースやギター、パーカッションを従えてのムードたっぷり “大人”なナンバーを奏でています。

ゆったりとしながらもピアノのメロディーは山を聞かせてくれたりと、聞き応えは十分です。

10. Same Dream, Same Destination

Music by Ryuichi Sakamoto Lyrics by Roddy Frame Vocal:Roddy Frame

打ち込みのイントロ。洋楽的ポップセンスがキラリ光るナンバー。 ギターとピアノが奏でるメロディーがどこかしら俗っぽい。

それに相乗するヴォーカルがまた曲の味を生かしていて 見事な歌声を聞かせてくれる。

11. Psychedelic Afternoon

Music by Ryuichi Sakamoto Lyrics by David Byrne Vocal:Paul Alexander, Arto Lindsay

ぽっくりぽっくりとパーカッションがビートを刻む。ちょっとだらっとしたようなサウンドがまた妙に合いますね。

ただ、サビのメロディがちょいと“FLY ME TO THE MOON”にそっくりなんですが、どうなんでしょう。

歌詞は全編英詞何だけれども、意味合い的にはありきたりなんだよね。

後に「桜の頃」という曲で、サッカー応援ソングとしてリリースされます。

12. Interruptions

Music by Ryuichi Sakamoto Lyrics by Latasha Natasha Diggs Vocal:Latasha Natasha Diggs

ゆったりしていて午後のひと時みたいなナンバー。ピアノだけでカフェサウンド、ボッサ感を表しています。

歌というか語り、英語なのでよくわかりませんが。一方後半ではアンビエントな雰囲気を醸し出している。

13. 君と僕と彼女のこと

Music by Ryuichi Sakamoto Lyrics by Taeko Ohnuki Vocal & Guiter:Hiroshi Takano Vocal, All Keyboards, Computer Programming:Ryuichi Sakamoto

アルバムのラストは高野寛をフューチャーしたミディアムバラードナンバー。

大貫妙子の歌詞がまた温かい世界を作り上げ、高野寛のヴォーカルもいい感じに曲の世界を作り上げている。

アコースティックサウンドを前面に押し出し、後半ではキーボードのアンビエントサウンドで盛り上げる。 いい締めの曲となりました。

Single『二人の果て』● '94/11/18 release

二人の果て (featuring 今井美樹)

Music by Ryuichi Sakamoto Lyrics by Taeko Ohnuki Vocal:Miki Imai *Album 「sweet revenge」 収録*

Moving On (U.S. single mix)

Music by Ryuichi Sakamoto Lyrics by J-Me Vocals:J-Me, Latasha Natasha Diggs, Vivian Sessoms *Album 「sweet revenge」 オリジナルテイク収録*

Remix Album『hard revenge』● '94/12/16 release

「Sweet Revenge」の楽曲をハードにリミックスした、その名も「Hard Revenge」。この頃ってまだリミックスが定着していませんでしたからね、日本は。

そんな中でのパイオニアとも言ってもいいかもしれませんが、やはりリミキサーによって色の表れ方がちょい違いますね。

アングラ系やジャジー・ヴァイブス、ボッサなど、色々な要素が取り込まれていてなかなか面白い。

こういう変化を楽しめるのがリミックスの醍醐味なんですよね。

1. Love and Hate (Marshall Jefferson Mix)

Remixed By Marshall Jefferson For On The House Productions

ビートにパンチを効かせたりミックス。ドラムとかベースとか、そっちに耳が行くね。 主軸はハウスのテイスト。

そこまで“リミックス”というような弄くりは無いので聞きやすい仕上がりです。

2. Love and Hate (U.K. Single Mix)

Remixed By Goh Hotoda, Ryuichi Sakamoto

イントロからして派手だなぁ。なんかギターやSEかが刻んでくる。この音がかっこいいんじゃない?

ヴォーカルもちょっと加工されて臨場感というか緊迫感が出ています。

3. Moving On (Butterfly of Digable Planets Mix)

Remixed & Additional Production By Butterfly For Dania's Hair Productions

レゲエではないんだけれども、そういうような要素をもっています。ちょっとゆったり感があり、 心地よい音楽です。

音数も少なく、シンプルなサウンド。あまりいじくってもいないのでよいですね。 birdとかにありそうだ。

4. Same Dream, Same Distination (T. Mori Mix)

Remixed & Additional Production By Toshihiko Mori For SP-1200 Productions

ダークなイメージがするアングラ系のリミックス。重たいビートとドラムが迫ってくる。 アングラがなれるとちょっとアンビエントに聞こえてくる。

5. Regret (T. Mori Mix)

Remixed & Additional Production By Toshihiko Mori For SP-1200 Productions

ジャジーなリミックスですね。しかしピアノがそう思わせているだけであって。 なんか不思議な曲ながら重めのサウンドを展開しています。

うーん、ちょっと取っつき難いかもね。

6. Regret (Album Mix - full version)

Mixed By Goh Hotoda

フルバージョンということもあり、サウンドには変化無しです。 こう聞くとオリジナルアルバムは教授のポップセンスが光っていますね。

Live Album『“sweet revenge” tour 1994』● '95/1/20 release

日本武道館からのテイクを収録したライブアルバム。

引っさげたアルバムのオープニングでもあるM-1からスタート。

何かあまりライブの雰囲気が伝わってこないのが残念なんですけれども。終わったあとの拍手がようやく生音であったことを伝えてくれる。

M-2もそれにならってライブ感が出ています。サウンド面にはオリジナルテイクとは変わりがありません。M-3も同様に。

音の広がりは感じることができる。忠実にアルバムの音を再現しすぎで、生としての感覚が足りないですね。M-4が終わり拍手。

そしてM-5はちょっとライブ感が出ていて、緊迫感がありますね。キーボードが効いている。M-6は弦がとってもいい効果を引き出している。

ピアノもとっても綺麗で感情がこもっているような音色だ。M-7はボッサテイストでゆったりと。イントロが始まると拍手が沸きあがるM-8

この曲無くして教授無し、といったようなものですね。ピアノと弦がとてもいいバランスで音を作り上げる。

M-9はメリハリがついていてストーリーがきちんとできているような曲です。なんかミニ組曲のような感じでした。

一方M-10はちょっと生の要素が薄れる。なんでだろう、ちょっと単一的なビートがそう聞こえさせるのか?カバーのM-11

しかもThe Rolling Stones。こりゃすごいね。ちょいとサンバ調で手拍子が鳴ります。そして次第にじっくりと聞かしてくれる曲になった。

M-12はピアノでじっくりと。さすが教授、とうならせてくれます。ハウスビートに教授のピアノが弾けるM-13

激しいながらもしっかりと作られている曲が伝わってきます。

Album『Smoochy』● '95/10/20 ('07/4/4) release

どうやらこのアルバムは坂本龍一的ポップを打ち出したアルバムのようです。

確かに前作「sweet revenge」と比べると、明るくポップな要素が多いとはいえますが、どうなんだろう。

いきなり「美貌の青空」をかましてくれるとびっくりするよね。教授歌っているし。

でも、その後の「愛してる、愛してない」を中谷美紀とデュエットしたり、するなんて信じられないよね。

まぁ、この競演がきっかけで中谷美紀のプロデュースに乗り出すこととなったわけですよ。

偶然なのか、運命なのか、このアルバムには何かが秘められていますね。

1. 美貌の青空

MUSIC BY RYUICHI SAKAMOTO LYRICS BY MASAO URINO

今回のアルバムは坂本龍一的ポップミュージックをテーマに作成されたそうです。 そのオープニングとなる曲がこれ。

ポップ・・・といえばポップなんだろうね。

ちょっとアンビエントのテイストもあります。 嫌いじゃないけれども、曲がまたダークで暗すぎじゃないですか?

これが持ち味なのかもしれないけれども。 打ち込みプログラミングじゃなくて弦のみの演奏だとこの曲、すごい引き立つんじゃないでしょうかね。

続きは「1996」で。教授のヴォーカルがまたなまめかしいと言うか趣がありますね。 でもって売野ワールド展開の詞がまたいいじゃないですか。

2. 愛してる,愛してない

MUSIC BY RYUICHI SAKAMOTO LYRICS BY TAEKO OHNUKI

華麗なるピアノ演奏のイントロ。その後ビートが畳み掛けると共に なにやらぼそぼそと語る声が入ってくる。坂本龍一 meets 中谷美紀。

この曲が全ての始まりでした。

何について喋っているのかよくわかりませんが、サビでは澄んだヴォーカルを聞かせてくれます。 教授も負けじと歌っています。

3. BRING THEM HOME

MUSIC BY RYUICHI SAKAMOTO

教授によるピアノ、そしてチェロとヴァイオリンの奏でるスローテンポの曲。 これがまたじっくりと味わい深い作品です。

最初のほうはちょいと暗めだったんですが、途中からちょっと明るいイメージになってきた。 最後は弦が泣いています。

4. 青猫のトルソ

MUSIC BY RYUICHI SAKAMOTO

この曲もチェロとヴァイオリンが巧みな音色を聞かせてくれます。

そして教授の奏でるキーボードがタイトルを示すかのような柔らかい音で曲を表現しています。

5. TANGO

MUSIC BY RYUICHI SAKAMOTO LYRICS BY TAEKO OHNUKI SPANISH TEXT BY FERNANDO APONTE

タイトルが見事に曲を表わしていますね。ラテンの要素があるが、 派手ではなくじっくりと味わい深い曲です。海岸よりも裏路地といった感じかな。

最初のアコーディオンの雰囲気を一気に固めてきた。 いい感じのポップですね。

6. INSENSATEZ

MUSIC BY RYUICHI SAKAMOTO

サンプリングのようなプログラミングをいて流して終わり。 まぁ、インタルードです。

7. POESIA

MUSIC BY RYUICHI SAKAMOTO

で、前曲からの流れを組んでいるかどうかは分からないけれど、 ミディアムテンポのチューンが登場。

打ち込みビートのバックにちょいと東南アジア系の民族的なサウンドが折り重なるポップなチューン。 色々な要素が詰まっています。

8. 電脳戯話

MUSIC BY RYUICHI SAKAMOTO LYRICS BY HIROSHI TAKANO

ゆったりと、そしてディープなサウンドです。 まるで深海を進むかのごとく。テーマはずばりネットサーフィンですね。

高野寛の描く詞の世界を坂本龍一が見事に曲として表わしています。

教授のヴォーカルにエフェクトをかけているのもまた曲のイメージにピッタリです。

9. HEMISPHERE

MUSIC BY RYUICHI SAKAMOTO LYRICS BY KAZUFUMI MIYAZAWA

ギターが曲を彩るナンバー。作詞はTHE BOOMの宮沢和史が担当。

ってか曲はサンバテイストなのでもっと盛り上がってもいいんじゃないですかねぇ。

なんかずっと低音飛行のヴォーカルで聞き取りにくいんですよね。

10. 真夏の夜の穴

MUSIC BY RYUICHI SAKAMOTO

ピアノとヴァイオリンとチェロの競演。しっとりと進み、じっくりと聞かせてくれる。 後半はなんか少し離れた場所からのような感じが出ています。

この距離感がまたいいんでしょうね。 ただ、そのまま消えていくように終わってしまったのがなぁ。

11. RIO

MUSIC BY RYUICHI SAKAMOTO

この曲もアンビエントの要素がたっぷり詰まっており、 癒されますねぇ。

浮遊感あるサウンドにヴォイスサンプリングを絡めて不思議な世界を作り上げる。

そして途中から教授の華麗なピアノが響き、曲を大いに盛り上げる。

12. A DAY IN THE PARK

MUSIC BY RYUICHI SAKAMOTO LYRICS BY VIVIAN SESSOMS

ミディアムテンポのポップなナンバー。いい感じで坂本ワールドが繰り広げられる曲です。

プログラミングのビートに高野寛によるシタールと教授のピアノがうまい具合に絡み合う。

途中からはバックで子供たちの無邪気な声が聞こえてくるよ。

Remix Album『Snooty』● '96/3/21 release

ポップアルバム「Smoochy」から2曲を3人のリミキサーが手がけた6トラック入りアルバム。

リミキサーの色がそれぞれ出ており、まだリミックスが浸透していなかったこの時代を鮮明に飾るような大胆アレンジで聞かせてくれる。

「A DAY IN THE PARK」はともかく、「美貌の青空」のリミックスはかなりすごい。

ここまで変わるのは予想できたし、もうちょっとかえることも出来ただろう。とにかく面白く楽しめるリミックス集。

1. A DAY IN THE PARK (T.MORI REMIX)

Re-mix Produced by Toshihiko MorifFor SP-1200 Productions

全体的に生音感が出ていますね。特にベースがいい味を出している。 ヴォーカルも見事に引き立てられていますね。

オリジナルの要素が残っているので、別の角度からみたような作品です。

2. A DAY IN THE PARK (DJ. CLARK KENT REMIX)

Re-mix Produced by DJ. Clark Kent for Supermen Entertainment

なんとHIP-HOP Remix。これがまたかっこいいんですよ。 ほぼ新しい曲として成り立っていますね。

歌部とラップ部のバランスがとてもよく、見事に決めてくれました。

3. A DAY IN THE PARK (MICHAEL ANGELO SAULSBERRY REMIX)

Remix Produed by Michael Angelo Saulsberry for michael Angelo Sausberry Music

煌びやかなイントロの後は打ち込みビートを前面に押し出した仕上がり。 これはR&Bバージョンといってもいいでしょうね。

ヴォーカルもかなり前に押し出されているように強調されていてかっこいいです。

4. 美貌の青空 (T.MORI REMIX)

Re-mix Produced by Toshihiko Mori For SP-1200 Productions

鈴の音シャンシャン。クリスマスバージョン?

その後に単調な打ち込みビートが入ってくるんだけれども、 正直ヴォーカルのメロディーと合っていないような感じを受けます。

だからたいしておもしろくない。 と思ってずっと聞いていたら、途中で不意を付かれたかのように 変なヴォーカルが入り込んでくる。

この部分だけ妙に弾けていました。

5. 美貌の青空 (DJ. CLARK KENT REMIX)

Re-mix Produced by DJ. Clark Kent for Supermen Entertainment

こちらもHIP-HOP Remixに仕上がった。と思ったらラップは冒頭のみ。

この曲もヴォーカルメロディーを無視した単調な打ち込みのビートでしばらく進む。

うぉー、つまらない。 せめてラップを曲中にも入れてくれればいいものの。

6. 美貌の青空 (MICHAEL ANGELO SAULSBERRY REMIX)

Remix Produed by Michael Angelo Saulsberry for michael Angelo Sausberry Music

この曲も単調単純な打ち込みビート。メロディーをまったく無視。

ただ、 バックでうねうねうねったエフェクトやらコーラスやらピアノやらが登場している。

だからといって別に単調に変わりは無いのであまり面白くは無い。

Video『D&L LIVE AT BUDOKAN 11・30・95 RYUICHI SAKAMOTO TOUR 95 D&L WITH DAIZABURO HARADA』● '96/3/21 release

1995年11月30日に東京の日本武道館で行われたライブを収録した作品。 映像ディレクターには原田大三郎を迎えて、坂本龍一の持つ神秘的な世界を、映像を通して表現してくれた。 いわゆるライブ内で見せている映像なんだけれども、坂本龍一と合っているわけなんですよ。 さて、ライブの曲目はというと、坂本龍一を代表するものばかりで、特にこの時期に坂本龍一が追求していた 「ポップ」な楽曲たちが、いかに生で表現されているかに注目すべきでしょう。 「美貌の青空」、「The last Empelor」、「Merry Christmas Mr. Lawrence」、「Ballet Mechanique」、「Ongaku」、「Behind The Mask」などなど。 新旧のヒット曲が入り混じっており、坂本龍一とともに生き生きと伝わってきます。 もう圧巻のパフォーマンス。素晴らしい。 色々とメッセージ性の強い内容のライブとなっていますが、坂本龍一がその時に思っていたことを集約したライブとなったわけですよ。 かなり斬新なステージもその表れでしょう。

時代の先端を行くライブが開演。なまめかしく歌う坂本龍一が印象的なM-1。中央に配置されたピアノと周りの機器がまたかっこいいじゃないですか。デジタルの無機質感がいい味を出していますね。 続けて、坂本龍一の繊細なピアノで幕開けるM-2。デジタルポップの波が襲い掛かる。中谷美紀が登場しないのは残念だ。 しっとりとしていて、それでもなまめかしいナンバーのM-3。坂本龍一流のタンゴはとても妖艶。 光がステージを彩るM-4。ピアノとヴァイオリンの音色が会場内に響き渡ります。そして、キーボードがまた、不思議な空間を作り上げるんだ。

ここでリハーサル映像が挿入される。オフショットなどなど。

追悼の意を込めたM-5。暗いです、曲もステージも。 続けて、映画のテーマソングでもあるM-6に。曲が進行するにつれて、スケールが大きくなってゆきます。坂本龍一も情熱的に。 お次は、異国感というか異空間な印象のするM-7。キーボードのサウンドが特徴的で、会場を包み込む。 坂本龍一を代表するM-8では、もうダイナミックでスケールがでかくてドラマティックで。言う事無しで、魅了させられますね。 打ち込みサウンドと光の融合が魅力的なM-9。柔らかかったり激しかったりと、色々な面を見せてくれる曲です。 メインのメロディ部がとてもかっこいいね。後半のセッション部分は圧巻。坂本龍一も席を立って熱いプレイを披露。

再びオフショット挿入。舞台裏はかなり貴重ですね。

映像作品がメインとなるM-10。デジタル化の波を先取りした内容ですね。もう原田大三郎の素晴らしいお仕事ですよ。 名曲M-11では、前半はしっとりと、後半は激しくと、やっぱりこのギャップがたまらないんですよ。 勢いに乗ってM-12へ。坂本龍一もスタンドプレイで。後半の歌がまた、圧巻なんですよ。 ギターとベースが前面に出たM-13は、各パートが独自の色を出している。メンバー紹介も間に挟みました。 オフショットの映像とともにM-14。ポップに弾けるM-15では、照明も光まくっています。 特に、女性ヴォーカルが激しいです。 YMO時代の名曲M-16では、ジャングルビートと弦が絡み合う不思議な空間が広がる。こちらもポップに弾けています。 イントロが始まると歓声が沸きあがった名曲のM-17。ピアノとキーボードを自在に操る坂本龍一。 M-18はPVです。かなり斬新なアートワークのクリップですね。

Album『1996』● '96/5/17 ('07/4/4) release

これまたベスト的な選曲で収録されたアルバム。教授本人のピアノと、ヴァイオリン、チェロの二本の弦が絡み合う。

シンプルながらも、その広がるのある空間に体を委ねてしまう。じっくりと響きわたる楽曲群は、さすが教授の才能の結晶だ。

少ないながらに楽器の持つ力でこれほどまでに曲を豊かに表現できるというのが素晴らしいと思えるアルバム。

定番曲「戦メリ」や「Before Long」もなかなかのアレンジです。

1. ゴリラがバナナをくれた日

Music by Ryuichi Sakamoto

ヴァイオリンの音が微妙に震えている。その部分にちょっとスリリングを感じてしまうね。 一方、チェロは太く、力強い演奏で後ろを支えている。

短い曲ながらも3者の役割が見事に分担され、うまく曲の世界を聞かせてくれる。

2. Rain

Music by Ryuichi Sakamoto

アップテンポでピアノが弾けまくる楽曲。マイナー調でスピード感が出ている。 中盤ではゆったりとなり、再びアップテンポに。

雨をマイナスイメージととらえて、見事に音で表現している。 かなりかっこいいじゃないですか。ヴァイオリンの高音が聞き所。

ビブラートが心地よい。

3. 美貌の青空

Music by Ryuichi Sakamoto

電子音がピコピコ入り、教授本人のヴォーカルまで入ってたポップと称されるナンバーががらりと変身。 しんみりとした感じでものすごく暗い。

でも、その暗さが妙にクセになる。メインはピアノなんだけれども、弦2本もいびつな雰囲気をただよわせながら曲を見事に飾っている。

最後の部分がちょっと複雑でわかりにくいかな。

4. The Last Emperor

Music by Ryuichi Sakamoto

あの壮大なアレンジを聞かせてくれた映画の曲が、3つの楽器によって再構築。 メインのメロディをヴァイオリンが優雅に奏でる。

そこにピアノの力強い音が加わりかっこよくなる。 弦2本がまるで胡弓のような音色を放つから、大陸的な楽曲にぴったり合うんだよな。

後半の聞かせどころは3つの楽器が見事に融合している。ラストは圧巻。オリジナルのアレンジと引けを取らないサウンド。

5. 1919

Music by Ryuichi Sakamoto

淡々と進行するピアノのリズム。そしてからむように弦2本が曲を盛り上げる。 マイナー調のアップテンポな曲で、妙に冷たさやむなしさを感じる。

タイトルは第一次大戦終結の年でもあり、それをあらわすかのような見事な演出がなされている。

よく耳を澄ますと、何かを語るような声が入っていることに気がつく。中盤の弦のうねりというか、暴走がスパイスとなっているね。

6. Merry Christmas Mr. Lawrence

Music by Ryuichi Sakamoto

坂本龍一といえばこの曲。名曲中の名曲を三編成で表現。メインはピアノ。繊細な感じが見事に表れている。

ヴァイオリンやチェロもメインのメロディを弾くんだけれども、独特のしなやかさが音に表れているね。

後半の力を増す部分では、三者の見事な掛け合いが聞き所。

ピアノのメインメロディーにチェロの絡みとヴァイオリンのしなやかなさが見事に組み合わさる。

名曲の偉大さを感じることが出来ますね。とにかく素晴らしい。

7. M.A.Y. in The Backyard

Music by Ryuichi Sakamoto

不思議なメロディを奏でるピアノ。そして力強く、攻撃を仕掛ける三編成。 弦2本がとにかく激しく、その後には落ち着きを取り戻す。

静と動が見事に組み合わさった楽曲で、三者それぞれの技も競い合っているので面白い仕上がりになっている。

8. The Sheltering Sky

Music by Ryuichi Sakamoto

物寂しい音色を奏でるピアノとヴァイオリン。とても細く繊細です。 そして、空から落ちたかのように低い音色のチェロが曲を飾っていますね。

中盤では複雑なメロディラインを進行。激しく、はかなく、いろんな要素が詰め込まれている。 後半の弦の刻みとピアノの弾け具合が聞き所。

激しく昇天し、ゆったりと、そんな劇的変化を味わえる。

9. A Tribute to N.J.P.

Music by Ryuichi Sakamoto

なんだか複雑なメロディーを行く作品。はっきり言えば掴みにくいですね。 2本の弦の見事な絡みも複雑です。不思議な曲ですね。

10. High Heels (Main Theme)

Music by Ryuichi Sakamoto

ピアノのメインメロディを盛り上げるかのように2本の弦が響き渡る。 攻守交替でヴァイオリンがメインを優雅に、そして激しく響き渡る。

これまたスリリング感と繊細な音色が良く表れている曲だ。

11. 青猫のトルソ

Music by Ryuichi Sakamoto

ピアノの響き具合が曲の神秘性を出しています。 2本の弦も力強さを見事なバランスで演奏。でもやっぱりメインはピアノですね。

12. The Wuthering Heights

Music by Ryuichi Sakamoto

ヴァイオリンの細く響く音色にピアノとチェロがどっしりと構えて流れる。 ヴァイオリンも中音部を優雅に漂っています。

中盤はなんかごちゃごちゃしながらも、曲の核を突いている感じがしますね。

そこを抜けると柔らかい音色でピアノとヴァイオリンが聞かせてくれるじゃないですか。

突然の刻みがまたよくて、力強いメロディが入っては曲の本質を3つの楽器が巧みな演奏で聞かせてくれる。

三者のバランスが見事にとれており、充分に聞き応えのある作品だと思う。

13. Parolibre

Music by Ryuichi Sakamoto

ピアノの音色が淡々と響き渡る。 柔らかくもあり、温かいメロディーを奏でてくれる。そして入ってくるヴァイオリンの淋しげな音色。

何か涙を流すような悲しいメロディだ。そこを過ぎると、温かく、ポップな感じで聞かせてくれます。

14. Acceptance (End Credit) -Little Buddha-

Music by Ryuichi Sakamoto

ヴァイオリンがメインのメロディを奏で、ピアノがバックで支えています。 これまた映画のサントラからの一曲。

エンドクレジットで流れる曲ということもあり、それらしい雰囲気を三者が作り上げている。 ヴァイオリンのメロディが本当にしなやか。

低音から高音までの幅を見事にカバーしていますね。 中盤から力を増して、三つの音が競演。

そして後半に向かって巧みな演奏と音色を聞かせてくれる。 最後の変化はすごいね。力強さあり、繊細なメロディあり、とにかく盛りだくさん。

15. Before Long

Music by Ryuichi Sakamoto

こちらも坂本龍一の代表曲ですね。ピアノ1本でも充分なのに、弦が加わって、さらに曲に盛り上がりの拍車がかかる。

曲の繊細さやこまやかさが弦を通して伝わってきますね。コンパクトな作品ながらも三者のパートがそれぞれメインに来るところが素晴らしい。

特に最後の三者の合奏は迫力もの。

16. Bring them home

Music by Ryuichi Sakamoto

ピアノがどっしりと入り、後を追いかけるかのようにチェロとヴァイオリンも重い旋律を奏でる。 タイトルのとおり、家路を行くような感じですね。

最初は足取りも重たかったものが、中盤では明るい兆しが見えてきたような雰囲気が醸し出されている。 その後はまたマイナー調に。

2本の弦が勢いよく音を奏でる。細かく、優しく、はかなく、そして切ない演奏です。

Mini Album『1996/08/21』● '96/8/21 release

「サカモト来日記念盤」と銘打ってリリースされたミニアルバム、というかマキシシングルサイズだけどね。

CMソングとなった「1919」に、「1996」のアウトテイクというか選曲漏れというか、未収録の楽曲が収録されています。

曲の質はやはり「1996」の流れのままです。あたりまえか。

ピアノ、チェロ、ヴァイオリンという三編成ながら、 独特のサカモトワールドがきちんと繰り広げられています。

1. 1919

Music by Ryuichi Sakamoto *Album 「1919」 収録*

2. Sweet Revenge

Music by Ryuichi Sakamoto

チェロの深い音色が響き渡る楽曲。チェロの後にヴァイオリンも入って来て見事なコンビネーションで奏でる。 ヴァイオリンが泣いていますよ。

その後はピアノがメインに弦2本がバックで支える形になっていますね。そこからゆったりと聞かせてくれる展開に。

3. Self Portrait

Music by Ryuichi Sakamoto

教授のソロナンバーとしても代表曲ですよね。ピアノの力強さと弦のしなやかさが見事に合わさった曲。 躍動感溢れています。

ピアノの細やかさがありながらも、力が出ている音色がかっこいいんです。

4. 真夏の夜の穴

Music by Ryuichi Sakamoto

この曲の最初は主に弦がメインだけれども、所々でピアノと融合して繊細な音色を生み出す。 後半ではピアノの独奏。

難しいメロディーで、教授の情熱が込められているような音が響き渡ってきますね。

そのままいつの間にやらフェイドアウトして終わってしまうのがなんだかなぁ。

Video『Ryuichi Sakamoto Trio World Tour 1996 ~Special Edition』● '96/11/21 release

「Complete Version」に先駆けてリリースされたスペシャルバージョンビデオ。 ライブをいくつかピックアップして収録している。もちろんこれだけじゃ物足りないよね。 スペシャルな特典として、ビデオクリップが2曲収録されている。こちらは「Complete Version」には収録されていないので、本当にスペシャル。 ちなみにM-9はエンドクレジットで流れるだけ。

7. Bibo No Aozora (Clip)

悩ましげなポーズで歌う教授。はたまたくねくね踊ったり。 指を絡めたりと、なんか妖艶。ただ、途中で終わってしまうのがもったいない。 せっかくだったら、フルバージョンで収録してくれればよかったのにね。

8. 1919 (Clip)

あたかもフィルムで撮影しているかのようなドキュメンタリータッチのビデオ。 アナログ感が出ていて、いい感じじゃないですか。どうやらレコーディング風景を収めているみたい。

VHS『Ryuichi Sakamoto Trio World Tour 1996 ~Complete Version』● '96/12/18 release

アルバム「1996」を引っさげて、チェロ、ヴァイオリン、そしてピアノの三者のみで行われたWorld Tour。

オープニングナンバーM-1は、アルバム「Smoochy」でもオープニングを飾ったナンバーから。 もちろんアルバム「1996」を発売してのツアーなので、ヴォーカルは無しです。残念。坂本龍一が感情を指先にこめてピアノを弾きます。 曲後半のチェロとヴァイオリンの演奏が鋭いね。MC、自己紹介、そしてメンバー紹介を。 次はピアノが激しく響きわたるM-2。弦の刻みもたまらないね。 そして、早くも登場の名曲M-3。前半は柔らかく、後半は力強い演奏で、魅了させてくれます。途中、別会場の演奏風景も挿入された。 教授の曲紹介で始まるM-4。寂しげなメロディーが、せつなく会場に響いています。 そして、後半での盛り上がりは圧巻です。再び静かな雰囲気となるM-5。しっとりとした演奏で、ずっと進行します。 M-6では、チェロの演奏から始まる。そして、なんと教授がヴォーカルを担当しています。とても悩ましいヴォーカルですね。

チェロのソロで幕開けるM-7。これがまた、かっこいいんだ。不協和音すれすれのスリリングな演奏にしびれます。 坂本龍一はグランドピアノの中に手を突っ込んで、演奏しています。なんなんだ、これは?はたまた、ピアノの横腹を叩いたりと、奇妙奇天烈ですね、この曲は。 後半になって、ピアノを普通に弾き始めた。それにしても長くて大作だね。 流れるようにM-8M-9。やっぱりドラマティックな展開を聞かせてくれるね、映画の曲は。 再び教授の曲紹介でM-10。この曲ではピアノとキーボードを使い分ける教授。 激しさと柔らかさが交差する曲です。沖縄の曲M-11がTrio Versionで。いやぁ、こういった仕上がりになるんだね。 しかも、教授が歌っています。何気に激しい演奏で、引き込まれる。M-12は、とても難しい曲だよね。三者の息がぴったりなのには驚いた。 さすがはプロだ。

名曲M-13では、激しく力強い巧みな演奏。原曲と大きく異なるところもまた聞き所だ。 アルバム「1996」の核でもあったM-14。アルバムにもあったナレーションが、ステージバックで流れています。 ステージでの証明がまた曲の緊迫感を見事に演出している。 拍手喝采を浴びながら、ステージを降りる三人。会場の拍手は鳴り響く。

拍手に応えて三人が再登場。MCでは、インターネット中継がきちんとされているのか、心配な様子の教授。 そしてM-15。じっくりと味わい深い演奏を聞かせてくれる。 そして映画のテーマでもあるM-16。弦が聞かせてくれるじゃないですか。そして、イントロが始まると歓声が上がるYMO時代の名曲M-17。 手拍子も鳴り響く。しかも観客、スタンディングオベーションだし。それほど盛り上がりを聞かせてくれる曲なんだよね。 演奏する側も随分とのっています。挨拶をしてMC。とても興奮している。そして、しっとりとしたM-18。 弦の旋律がとても悲しいね。ということでステージは終了。 M-19はボーナストラック的な扱い。イメージ映像でこのツアーを振り返るとともに壮大なストリングスのサウンドが響き渡る。

Single『El Mar Mediterrani』● '97/1/1 release

1.

El Mar Mediterrani

1. El Mar Mediterrani

Produced, Conducted & Performed by Ryuichi Sakamoto

バルセロナ五輪の開会式テーマソング。教授自ら指揮棒をとった作品です。 これがまたダイナミックなオーケストラで、たまりません。約19分にも及ぶ大作です。 曲自体はいくつかの章に分かれているんだけれども、CDだと1トラックというのがちょっと惜しいな。 ちなみに、この曲の発売元は「gut bounce」で、タワーレコードから発売されました。 つまりはインディーズなんだよね。この曲をメジャーで勝負できないとの理由からなのでしょうかね、フォーライフさん?結構いいと思うのにな。 後に発売される「complete index of gut」の「EXTRA INDEX」にも収められていますが、バージョンが違うみたいです。

Single『The other side of Love / 坂本龍一 featuring Sister M』● '97/1/29 release

1. The other side of Love

Music by Ryuichi Sakamoto

アコースティックなサウンドでしんみりしたと思えば、ドラムがガツンと入って始まる大ヒットナンバー。

全編英語詞ながら、キレイに旋律に乗る伸びやかな声がまたこれ美しいこと。

この声の持ち主が実は愛娘、坂本美雨という事実には驚かされました。

坂本龍一本領発揮のメロディーはどこかに影を持つ切ないミディアムバラード。

ドラマの主題歌(『ストーカー:逃げ切れぬ愛』主演:高岡早紀、渡部篤郎)ということもあり、若干ドラマの雰囲気も漂ってきますね。

後に中谷美紀もカバーして彼女最大のヒットを記録した楽曲でもありますからね。この曲の力は本当に見事です。

2. The other side of Love (Acoustic Version)

Music by Ryuichi Sakamoto

アコースティックバージョンということもあり、ピアノとアコースティックギターのみのバックサウンドというシンプルな構成。

シンプルな分、ヴォーカルの響きがさらに広がりを聞かせてくれる。曲本来の持ち味も十分発揮されていますね。

悲しげな曲にぴったり合ったサウンドでもありますね。オリジナルバージョンともいい勝負だ。

Album『DISCORD』● '97/7/2 release

坂本龍一、初のオーケストラアルバム。4つの楽曲で構成されており、その、それぞれの副題を表すかのように曲が進行している。

奏でる楽器が変わったとしても、坂本龍一の作り上げるメロディーには変わりないですね。 独自の世界観が見事に出ています。

とにかく圧巻、聞くべし。

1. 1st Movement - Grief

Music by Ryuichi Sakamoto

優しくもはかないメロディを弦が奏でています。物語の始まりを示すかのようにゆったりと進行。

だんだんこっちに迫ってくるように、雄大な姿を聞かせてくれる感じです。 中盤の鐘の音が曲を引き締める。

そして、後半では笛が入って来て、さらに物語を盛り上げるかのように展開。 最後あたりは弦がゆったりとダイナミックな曲に変身した。

2. 2nd Movement - Anger

Music by Ryuichi Sakamoto

ブラス&ドラム隊が勢いよく攻撃を仕掛けてくる演奏からスタート。 荒々しく、激しく、とてもダイナミックな迫力。

ただ、ほぼ同じメロディーの繰り返しが続くので、退屈感がちょっとあり。 中盤に来てようやく、ピアノも弦も入って来て、より力の入った演奏になる。

タイトルの“怒り”がよく表れていますね。後半はリズム隊が激しく荒ぶっています。これでもかというくらいに爆発。

3. 3rd Movement - Prayer

Music by Ryuichi Sakamoto

静かにチェロが入って来ては、静かに展開。低い音を利用し、ゆったりとしながらも力に満ちた音色を放つ。

そんな展開が3分くらい続いた後、木管のサウンドが入ってくる。目覚めのような雰囲気がありますね。 ゆったりとした展開でちょっと眠たくなる。

金管も入って来て、見事なコンビネーションで曲の柔らかさを表現。 でも、まだゆったりテイストを保ったままです。

次第に音数も増え、ピアノや弦が入ってくる。そして、曲は柔らかさを保ったまま神秘的なサウンドになってゆく。 18分の大作。

4. 4th Movement - Salvation

Music by Ryuichi Sakamoto

何故かしら会話が入ってくる。外国語なので何を喋っているのかわからないんですがね。 しかし、この会話も曲の一部になっているわけですね。

クロスフェイドでチェロが入ってくる。会話も完全には消えず、微妙に残っているので曲のいいスパイスとなっている。

本編はオーケストレーションで独特のメロディを奏でる。妖しくもはかなげな旋律。その後は会話も消え、静かな展開が続く。

しかし、同じフレーズが次第に力を増してゆき、最後の締めの部分ではかっこよく決めてくれるオーケストレーションに圧巻。

5. Jungle LIVE mix of Untitled 01-2nd Movement Anger

Music by Ryuichi Sakamoto

勢いのある第2部をなんとジャングル&ライブミックスで。オーケストレーションのサウンドと、ジャングルビートの不思議な融合。

いわゆるダンスポップに変身するようなりミックスではない。

オリジナルの曲をうまく生かし、味付けをするようにジャングルビートが組み込まれている。

しかしながら、オリジナルの激しさは健在で、相変わらずのかっとばしに驚きですね。

Video『PLAYING THE ORCHESTRA 1997“f”』● '96/12/18 release

坂本龍一がフルオーケストラに挑んだアルバム「DISCORD」リリース後に行われたツアー“f”の最終公演を収録した作品。 ちなみに場所は横浜アリーナですよ。CDの音では表現できないような、映像を見ることでより壮大な作品であると再確認できるんですよね。 さすがは坂本龍一、やることが違います。とにかく、坂本龍一とオーケストラの融合には圧巻です。

まずはM-1の組曲から。1stはとてもゆったりとした演奏が繰り広げられている。とっても情緒深く、なおかつ複雑な印象がありますね。低音の暗黒さ加減がたまらない。 2ndは、不安な気持ちを掻き立てる進行。会場の薄暗さから一変、豹変するかのごとく、激しいサウンドを奏でる。とってもアグレッシヴなんだけれども、なんか怖い印象がある。 バックのビジョンと併せて、曲を感じることのできる作品。 さて、静けさとともに3rdへ。激しさから一変して、ゆったりとした音が会場に奏でられる。静かに流れる音楽と時間をじっくりと。さて、ビジョンには外国人の方が映し出された。さらには色々な人々が登場しては、なにやら語っている。 そして4thの始まり。その語りと併せ、繊細なサウンドが響き渡る。不思議な融合だ。最後はステージが光に包まれた。すごい光景だ。 ティンパニーが激しく叩かれ、坂本龍一も力を込めた。そして壮大な組曲が終わり、会場からは拍手喝さい。 続いては、バルセロナオリンピックの開会式で流れたナンバーM-2。太鼓のリズムとブラスの音が響き渡る印象的。 中盤の弦の刻みがとてもスリリングだ。その後は坂本龍一の激しいピアノさばき。そして、クライマックスの合奏には、聞きほれてしまいますね。 演奏終了後は、舞台で一礼し、去って行った。さて、お次は映画のテーマ曲でもあるM-3。ゆったりと静かな始まり。弦をじっくりと。 後半の弦の旋律が美しいねぇ。やはり映画のテーマというだけあって、ドラマティックな仕上がりです。終了後はちょっとしたMCを。

さて、こちらも映画のテーマでもあるM-4。少々アップテンポながら、やはりオーケストラとしてのダイナミズムを感じる作品だ。 クライマックスでステージが赤くライトアップされ、映画さながらの迫力を醸し出した。坂本龍一もご満悦。 お次は、なんと坂本龍一自身が指揮を振るM-5。静と動を巧みに使い分ける音。そして、弦のメロディアスな音が会場を盛り上げる。 メインともいえるメロディ部分の合奏がいいね。終わりはとっても静か。そして、坂本龍一の代名詞とも言えるM-6。 フルオーケストラで楽しませてくれますよ。もう感動ですね、ゴージャスですね。そして弦の刻みが印象深いM-7。 いやぁ、激しいですね。音とともに照明も変わる変わる。そして曲を盛り上げる。 そして場面はアグレッシブなナンバーのM-8へ。激しすぎる。オーケストラとDJの組み合わせが、また斬新だ。音を表すかのように映像を歪ませる技を使ってきています。 照明も激しく変わるし、会場には轟音が響き渡っています。そして終了、会場に拍手喝さい。

Jungle LIVE mix of Untitled 01-2nd Movement -Anger (Proomotion VIDEO)

ライブ公演を独特の手法で切り出したプロモーションビデオ。VJ的要素もあったバックの映像を多用し、坂本龍一ならではの世界を構築。 この時ならではの味と、斬新さが作品によく出ていると思います。激しさもよく映像に表れている。

Best Album『The Very Best of gut Years 1994-1997』● '98/4/22 release

FOR LIFE内gutレーベルに移ってからの教授の活動をまとめたベストアルバム。

坂本龍一の全活動から見ても、やはりこのgutでの曲には実験性に飛んだ部分が際立って見えてくる。

坂本的ポップを追及した時代をこのベストアルバムでは総括しています。

gutのオリジナルアルバムからバランスよく収録されており、大ヒットしたドラマ主題歌ももちろん収録。

また、ライブテイクやアウトテイクなども収録されており、ただ単なる寄せ集めに過ぎないベストとは一線を異なるものに仕上がっている。

さすがは坂本龍一。

1. A Flower Is Not A Flower (Live Take from“Ryuichi Sakamoto trio world tour 1996”~ Song written for Kenny Wen)

Music by Ryuichi Sakamoto

'96年のトリオライブからの1曲。ゆったり流れるメロディーにうっとりです。 アンビエントの要素もあって、ついつい聞き入ってしまうね。

弦の鋭さや、繊細さが、教授の力強いピアノと絡まって、素晴らしい演奏を聞かせてくれます。 ライブならではの緊張感も伝わってきていいね。

6. 1919 (Live Take from Ryuichi Sakamoto Playing the Orchestra“f”)

Music by Ryuichi Sakamoto

こちらは'97年のライブ“f”からのテイク。弦の刻みがまた曲の持ち味でもあるスリル感を見事に表す。 静と動がとてもよく伝わってくるね。

後半のピアノの弾み具合には、さすがは坂本龍一だとうなずきます。締めがまたかっこいいんだ。

11. Floating Along ~Outtake from the recording of the album“1996”

Music by Ryuichi Sakamoto

アルバム「1996」からのアウトテイク。独特の旋律をピアノ、ヴァイオリン、チェロトリオ編成で作り上げる叙情的なメロディーにうっとり。

このアレンジだと、やはり静と動が明確的に比較されていて、聞き応えがありますね。

Remix Album『Discord Gutninja Remixes』● '99/2/24 release

オーケストレーションで構成されたアルバム「DISCORD」が、海外のリミキサー陣によって生まれ変わったアルバム。

オーケストラという、他のジャンルとはひと味違ったような素材があの手この手によって見事リミックスが施された。

もはやリミックスを通り越して、新たなオリジナルアルバムといっても良いほど、様変わりしているような曲もあるしね。

元々はBootlegみたいなものから発展し、このリリースに至ったという経緯のあるアルバム。

1. Grief (COLDCUT remix)

Remixed by COLDCUT

低音ビートが決めてのリミックスナンバー。ゆったりミドルテンポでジワジワ浸透してきます。

しばらくするとスクラッチの入ったクラブビートっぽくなってきます。アンダーグラウンドを行く感じが、またリミックスの聞き所となっていますね。

オーケストラの姿が消えていますが。

2. Grief (Amon Tobin remix)

Remixed by AMON TOBIN

高速ジャングルビートが初っ端から襲い掛かってきます。 打ち込みとオーケストラの不思議な融合が起きています。

後半ではジャジーな面を一瞬見せてくれる。 その後は更なる打ち込みビートで叩き込んできますね。

3. Anger (Rare Force 2 Meg mix)

Remixed by RARE FORCE

巧みなブレイクビーツで曲を彩るリミックスナンバー。 ハードなサウンドであったオリジナルの雰囲気をうまくデジタルビートで表しているようだ。

スリリングだった楽曲がポップになっています。

4. Anger (Talvin Singh remix)

Remixed by TALVIN SINGH

ドラのようなエフェクトと高速のドラムンベースが織りなすリミックスナンバー。 軽やかながら力強さが溢れています。

チェロのフレーバーも少々あり、耳になじみやすいです。 全編を高速ビートが襲い掛かってくるので、頭がぐるぐる回りますね。

5. Anger (Chocolate Weasel Bad Hair Day mix)

Remixed by CHOCOLATE WEASEL

がさがさしたサウンドがしばらく続く。

そして、2幕の勢いあるオーケストラが入って来ては、 リミックスらしい打ち込みサウンドが加えられ、新たな魅力を作り上げる。

その後はずっと不思議なテイストのビートが入り、うねりを上げている。

6. Salvation (Ashley Beedles Heaven & Earth)

Remixed by ASHLEY BEEDLE

宇宙のようなデジタルサウンドが飛び交うナンバー。

しばらくして、ファンキーなグルーヴを放つサウンドも加わって、ちょっとおしゃれな仕上がりでかっこよくなった。

7. Prayer & Salvation (J Swinscoe's The Real McCoy)

Remixed by J SWINSCOE

奇妙な声が発せられた。正体はトランペット。その後は大胆にもジャジーに大変身。 このスウィングがたまらないね。

トランペットとドラムとベースがとても心地よいビートを作ってくれる。 3分あたりを過ぎるとやけに静かになる。

と思っていたら、再びジャジー爆発といった感じに濃いサウンドが登場。かっこいい作品です。

8. Prayer / Salvation (Interpretation by The Fink)

Remixed by THE FINK

波のようなエフェクトと共に静かに進行する。所々でエフェクトが挿入されていたり、ドラムンベースのビートが入ってきたり。

後はそのペースで続いてゆきます。

9. Prayer (Pan Sonic remix, Parts A, B, C)

Remixed by PAN SONIC

ガサガサしたサウンドからスタート。ガサガサしたサウンドで終わった。 なんだこりゃ?

これだけかと思ってしまうが、その中にアンビエントの要素があって、心地よいサウンドも含まれています。 じっくり聞いてみてください。

10. Grief (Andrea Parker remix)

Remixed by ANDREA PARKER

ミディアムテンポのビートが入って来て、エレクトロポップの世界が展開。 独特のぐつぐつしたビートが胸をくすぐる。

その後に深い弦が入って来て終わりを告げる。

11. Discord (Oval remix)

Remixed by OVAL

鼓動が響き渡る。ノイズ交じりでちょっと怖い雰囲気が出ている。 そして、最後は静寂を含んで終了。不思議なトラックで閉められました。

Box Set『Complete Index Of Gut』● '98/8/21 release

坂本龍一のgutレーベルでのアルバム「Sweet Rebenge」、「Smoochy」、「1996」の3枚をデジタルリマスタリングで収めたBOXセット。

この3枚に、「EXTRA INDEX」と名づけられたボーナスディスクが付いてきます。 これがまた、お宝音源満載の1枚なんです。

あの曲のライブテイクや、あの曲のスタジオライブなんかが収録されていますよ。

それにしても、リミックス盤やライブ盤が無いのに“Complete”と名付けていいんでしょうか。ちょっと疑問ですね。

何はともあれ、「EXTRA INDEX」1枚だけでも十分価値のある作品だと思います。

4-1. Ballet Mechanique

Live at Nippon Budokan Nov. 30. 1995

'95年11月30日の武道館公演からのテイク。オリジナルの打ち込みを払拭し、生音で構成されたアレンジで。

これがまた、かっこいい仕上がりなんだ。見事に空間に音が広がってゆきます。前半では弦が、後半ではギターが曲を引っ張っている。

それでも、この曲をやってくれるだけで涙モノなんですけれど。

4-2. ONGAKU

Live at Nippon Budokan Nov. 30. 1995

続いてもライブテイク。YMO時代からのナンバーですね。

かなりロック色というか、リズム隊と生音で構成され、ダイナミックなアレンジで仕上げた。 ポップな感じが伝わってきますね。

4-3. Behind The Mask

Live at Nippon Budokan Nov. 30. 1995

続けて、教授の代表曲でもあるナンバー。かなりロックなアレンジで、会場を沸かして聞かせてくれます。

シンセの音がまたいい味を出しているんだ。会場を揺るがすエフェクトヴォイスも、かなりきていますね。

4-4. The Other Side of Love -UNPLUGED IN NY-

Recorded & Mixed at The Hit Factory N.Y. April 6. 1997

ニューヨークでのスタジオライブテイク。ドラマ主題歌の大ヒット曲をアンプラグドバージョンで。

娘、美雨のヴォーカルが無いのはちょっと残念だが、教授自ら奏でるピアノがまたいいじゃないですか。

繊細かつダイナミックな演奏で、ストレートに感情を突いてくる曲です。

やはりこの曲のいいところがぐっとピアノに凝縮されているんじゃないでしょうかね。 ドラムもかなり迫力があります。

4-5. Jungle LIVE mix of Untitled 01-2nd Movement - Anger (Extended)

実験作「DISCORD」に収録されていたjungle LIVE mixのExtended。 特に曲に変化は無く、タイトル通りに伸ばしたものといえますね。

激しさをまんべんなく味わうことが出来るトラック。

4-6. El Mar Meditarrani

教授がバルセロナオリンピックの開会式のために書き下ろし、自ら指揮棒を振った曲でもあります。

この曲がまたスペインならではの情熱が込められたオーケストラになっています。

そんな激しいオープニングを経て、中盤ではしっとりとしながら次第に盛り上がりを聴かせてくれる。 この展開がまたドラマティックだ。

そして、こまやかな弦の刻みを堪能し、全体的にダイナミックな演奏となる。 とにかく大作の17分。

教授はやっぱりすごいとあらためて思わせてくれる曲です。

Best Album『Pure Best』● '01/9/27 release

FOR LIFEが21世紀に残したい曲をコンパイルしたという企画ベスト盤。 坂本龍一のFOR LIFE時代の楽曲が詰まっております。

なんだ、それなら前にリリースされた「the very best~」と同じじゃんと思っているあなた。

これがまた、上手くやっているわけですよ、レコード会社側がね。かぶる曲が少ないんだよ、見事に外している。

そして、ここでも秘蔵音源を収録しているので買って損はしないと思います。「戦メリ」や「東風」のライブトラックなどを収録しています。

聞き捨てなら無いほどにいいんだ、これがまた。やっぱり教授の魅力が伝わってくるアルバムとなっています。拍手喝采。

13. Merry Christmas Mr. Lawrence from“Ryuichi Sakamoto Trio World Tour 1996”

Music & Arranged by Ryuichi Sakamoto

'96年のTrio World tourからのテイク。教授本領発揮のピアノと、繊細な弦の音が融合する。 柔らかさや温かさに包まれた曲。

後半の力強い演奏もとてもダイナミックでかっこいい。 弦の中に弱さが見え隠れしていますね。

教授ならではの演奏に心打たれます。こうでなくちゃね。

14. Tong Poo from“Ryuichi Sakamoto Trio World Tour 1996”

Music & Arranged by Ryuichi Sakamoto

続けてピアノでイントロを弾いただけで会場内かが感極まる作品。 YMO時代の名曲を3編成で見事な演奏をしています。

かなりアップテンポにもかかわらず、3者は諸共せずに突き進む。 観客たちの拍手も盛り上がっています。

途中、静の部分もあるが、再びピアノの巧みな演奏で巻き返す。もう感無量です。

16. The Last Emperor (Live Take from Ryuichi Sakamoto Playing the Orchestra“f”)

Music & Arranged by Ryuichi Sakamoto

'97年の“f”からのライブテイク。やはりオーケストレーションで構成されているライブなだけあって、繊細かつダイナミックな演奏を聴かせてくれる。

そこに教授自ら奏でるピアノが加わり、独特の雰囲気を醸し出している。力強さと柔らかさの見事な融合です。

前へ戻る