album
●1st Album『MUSIC GREETINGS VOLUME ONE』● '99/9/22 release
シンガーソングライター、葛谷葉子のデビューアルバム。 デビュー曲のシングルナンバー「TRUE LIES」、そして後にシングルカットされる「恋」を含む全11曲を収録。 やはり女性ならではの視点で描く歌詞の世界から、自然体な感じが伝わってくるね。 その歌詞を、落ち着いたサウンドに乗せて聞かせてくれます。R&BやA.O.R.的なサウンドは、松尾潔のプロデュースワークもさることながら、 葛谷自身が作り上げるメロディに思いが込められているようです。 そして、安心感を覚えるヴォーカルスタイルにも耳が傾きます。 CHEMISTRYがデビュー前に、課題として披露した「最後の夜」のオリジナルバージョンも収録。彼女ならではの世界観がここあります。 これが1枚目のアルバムというのも驚きですね。
1. TRUE LIES
music & lyrics:Kuzuya Yoko sound produced by Maestro-T arranged by Matsuo Kiyoshi, Maestro-T, K-Muto
葛谷葉子の記念すべきデビューシングル。 さすがは松尾潔プロデュースと言わんばかりのグルーヴ溢れるミディアムR&Bナンバー。 でも、作詞・作曲は本人が担当しており、シンガーソングライターの力を見せ付ける。アレンジが、ちょっとこの時期のブームに乗っかった感じで、無難に思えてしまうのが惜しい。 もう少し冒険してほしかったな。
2. Natural
music & lyrics:Kuzuya Yoko sound produced by Maestro-T arranged by Matsuo Kiyoshi, Maestro-T, K-Muto
タイトル通りに自然な流れを生み出すナンバー。プログラミングに染まったトラックは、自然じゃないんだけれどもね。 うーん、サビの力が弱いかな。ただでさえ、儚げな葛谷葉子のヴォーカルなのに、メロディがピンときません。アレンジに食われてしまった感じだ。
3. Sweet Rhythm featuring F.O.H
music & lyrics:Kuzuya Yoko sound produced by Maestro-T arranged by Matsuo Kiyoshi, Maestro-T, K-Muto
伸びやかなヴォーカルを披露する葛谷葉子。F.O.Hをゲストに迎えたミディアムテンポのR&Bチューン。 歌詞の方は、R&Bシンガーによくありがちなスィートでメロウな雰囲気を醸している感じがしますね。やっぱりF.O.Hのコーラスが効いています。
4. All Night
music & lyrics:Kuzuya Yoko sound produced, rhythm & orchestration arranged by Sagisu Shiro (Ro-JAM)
アレンジを鷺巣詩郎が手がけたナンバーは、オーケストレーションまで登場する、ゴージャスなミディアムチューン。 R&BよりもA.O.R.的な雰囲気を届けてくれる。歌詞の方は、シンプルなラブソングです。サビではかなりの力の入れ様ですな。
5. 恋
music & lyrics:Kuzuya Yoko sound produced & arranged by Bobby Kirigaya (Be Groovin Music)
アルバム「MUSIC GREETINGS VOLUME ONE」からシングルカットされた3拍子のバラードナンバー。 切ないメロディと歌詞が、淡く響き渡ります。 葛谷葉子の歌詞の世界がまた、泣けてくるじゃないですか。ラストの男女コーラスでさらに盛り上がるけれども、さらに切なくなるね。 沼澤尚のドラムスもいい味を出しております。
6. 夢も見ないまま
music:Kuzuya Yoko lyrics:Matsuo Kiyoshi sound produced by Maestro-T arranged by Maestro-T, K-Muto
松尾潔自らが歌詞を書いたナンバー。 R&Bベースのサウンドと歌詞を合わせると、都会に1人暮らしする女性像が、リアルに描かれているような感じだね。 ただ、この曲の主人公のやるせなさは、一体何なのだろうか。ラストは葛谷葉子と松尾潔によるコーラスが響き渡ります。
7. 最後の夜 featuring FAKE JAM
music & lyrics:Kuzuya Yoko sound produced & arranged by Maestro-T
「CHEMISTRY」デビュー直前の課題曲として取り上げられたナンバー。 これぞ葛谷葉子の世界の出たR&Bベースのバラードナンバーです。葛谷葉子の若干無機質感漂うヴォーカルが、曲の世界を広げるマジックで、 より切なさを伝えてきます。FAKE JAMも盛り上げていますよ。
8. Round & Round
music & lyrics:Kuzuya Yoko sound produced & arranged by Maestro-T
幻想的なイントロに、アコースティックギターの音色が映えるミディアムナンバー。 結構、ポップな面を出していて、キャッチーな要素も出ていますね。随分と人生にネガティヴな主人公ですが、 それでも自分らしく生きていこうという思いで、がんばる様子が伝わってきますね。
9. 夏の残り香
music & lyrics:Kuzuya Yoko sound produced & arranged by Bobby Kirigaya (Be Groovin Music)
アップテンポのトラックで、葛谷葉子の落ち着いたヴォーカルがしっとりと響くナンバー。 別れの曲なんだけれども、結構、複雑な心境の主人公ですね。サウンドの方も、冷たさというか、クールな印象が漂ってきます。
10. すべてを守りたい
music & lyrics:Kuzuya Yoko sound produced by Maestro-T arranged by Maestro-T, K-Muto
打ち込み色満載のミディアムグルーヴチューン。 葛谷葉子のヴォーカルも重なり合って、ヴォリュームアップです。ゆったりとした曲の中にも、歌詞の意志が強く出ている。 なんだか説得力のある感じがしますね。
11. Promise me
music & lyrics:Kuzuya Yoko sound produced, rhythm & orchestration arranged by Sagisu Shiro (Ro-JAM)
アルバムのラストに相応する壮大なオーケストラのイントロ。 これまた、ゴージャスな仕事をする鷺巣詩郎だ。本編は、オーケストラとピアノをベースにしているサウンドです。 それに比べると、どうもメロディの力が足りないように感じる。周りに呆気に取られて、中身に気が付きにくいよね。
●1st Album『MUSIC GREETINGS VOLUME ONE』● '01/5/23 release
シンガーソングライター、葛谷葉子の2枚目となるオリジナルアルバム。 より熟成された詞と曲を紡いでくれる恋愛の新教祖。ミディアムスロー系の楽曲を中心に、 より味わい深さの出たバラードナンバーなどを聞かせてくれる。シングルも、 CHEMISTRYに提供したセルフカバーをさらに再構築した「最後の夜 -KUZUYA'S R&B-」など、4曲とヴォリューム満点。 張ると言うよりも、じっくりと歌い上げる葛谷葉子のヴォーカルも、ジワジワと染み込んで来ますね。 残念ながら、本リリース以降、表舞台からは遠ざかり、裏に回っては多数のアーティストを支える役割を担うようになりました。
1. サイドシート
music & lyrics:Kuzuya Yoko sound produced and arranged by Sagisu Shiro for Ro-JAM Ltd.
ドラマティックなイントロを飾るシングルナンバー。 しかし、ふたを開けてみると、ブラスが華やかに広がるファンキーなチューンだ。 ストリングスもゴージャスに彩る。葛谷葉子の新たな一面が覗く事ができる1曲だね。 詞にもドライブ要素があって、随分とポップに仕上がっている。さすが鷺巣詩郎派すごいね。 ただ、それに比べると、葛谷葉子のヴォーカルが物足りないかな。
2. my book
music & lyrics:Kuzuya Yoko sound produced and arranged by Maestro-T
イントロからして随分と濃いサウンドで聞かせてくれる直球R&Bナンバー。 コーラスと共に、広がるヴォーカルがクールに決めてくれる。 自分の恋を本にしてしまおうと思う主人公です。歌詞の世界は、いかにも葛谷葉子的ラブソング。 ただ、サビのメロディが弱いかな。
3. 最後の夜 ~KUZUYA'S R&B~
music & lyrics:Kuzuya Yoko sound produced and arranged by Matsubara Ken
隠し玉というか、これはちょっとずるいです。 葛谷葉子が2nd Albumの先行シングルとして発表したのは、CHEMISTRYがデビュー前に歌ったナンバーとしておなじみの曲の、 セルフカバーの、さらなるセルフカバー。オリジナルは1st Album「MUSIC GREETINGS VOLUME ONE」に収録されています。 タイトル通り、さらにR&B要素を出して、クールに。弦一徹のストリングスが美しいですね。 葛谷葉子のヴォーカルも、サウンドの持つ世界観に染まっています。
4. ヒトリ
music & lyrics:Kuzuya Yoko sound produced and arranged by Maestro-T
イントロからハープがムードたっぷりに響き渡るバラードナンバー。 しっとりテイストで始まる打ち込みは、もはやMaestro-Tのお得意コースということで。 淋しいながらに、ちょっと大胆なことを思う主人公です。このサウンドだと、普通に感じてしまう不思議な力。 キャッチーに決めるというよりかは、じっくりと聞かせる1曲ですね。
5. Shinin' Day
music & lyrics:Kuzuya Yoko sound produced and arranged by Maestro-T
葛谷葉子のシングルナンバーで、直球R&Bで勝負するトラック。 さすがはMaestro-T。打ち込みがとってもクールに響き渡るサウンドと共に、葛谷葉子のじっくりと歌詞を伝えるヴォーカルが重なります。 コーラスもさすがだね。なかなかかっこいいのは、やっぱりプロデュースの力かな? ちなみに、ジャケットのイラストは魚喃キリコが手がけています。
6. さよなら言えたなら
music & lyrics:Kuzuya Yoko sound produced and arranged by Yanagiman
なんだか随分と軽いテイストで進行する、 ミディアムグルーヴチューン。このアレンジを担当したのがYanagimanというから、驚きだね。 すっかり葛谷葉子トラックに仕上がっています。ギターでは田中義人、パーカッションでASA-CHANGが参加して、 何気に豪華なんですけれども、ちょっとだけ物足りなさがあるかな。
7. same tears
music & lyrics:Kuzuya Yoko sound produced and arranged by Maestro-T
独特のリズムでスィング感を出すミディアムグルーヴチューン。 葛谷葉子の透き通るヴォーカルが響き、幻想的なトラックに呼応する。 結構、しっとり系の印象サウンドに対して、歌詞の方は、熱を帯びた恋愛ソングですね。 さすがは葛谷葉子。
8. replay on ~過ぎてゆく時の中で、満ちてゆく光の粒で~
music:Kuzuya Yoko lyrics:Kuzuya Yoko & Kusama Kazuo sound produced and arranged by Maestro-T
ミディアムテンポのシングルナンバーです。 珍しく歌詞が共作になっていますね。これがまた、別れをテーマにとっても切ない内容なんだ。 トラックの方はR&Bベースのポップなトラックですね。 そして、ギターを操る田中義人の捌きにも注目。葛谷葉子のヴォーカルも、どこかしら生き生きと聞こえる。 ちなみに、シングルのジャケットは前作「Shinin' Day」に引き続いて、 魚喃キリコが担当しています。
9. baby
music & lyrics:Kuzuya Yoko sound produced and arranged by Isomura Eiji
葛谷葉子のハミングから幕開けるミディアムナンバー。 打ち込みのグルーヴ軽やかに、恋愛に真っ直ぐな気持ちの主人公を歌っています。 でも、切ない別れのうたなんだよね。サビでの広がりを感じさせるアレンジが、実に気持ちがいいね。 間奏でのギターもいい味を出しているね。
10. 会いたくて
music & lyrics:Kuzuya Yoko sound produced and arranged by Yanagiman
Fender Rhodesが優しく語り掛けるような音を奏でるミディアムバラードチューン。 これまた葛谷葉子の本領発揮と言わんばかりの失恋ソング。 若干、引きずり気味だけれども、それほど愛してたっていう事でしょう。 サビの独特のメロディというか歪みというか、心の揺らぎを表しているようだ。田中義人のギターも泣かしてくれます。
11. 許さないで
music & lyrics:Kuzuya Yoko sound produced and arranged by Maestro-T
なんだかムードが漂ってくるイントロですね。 ゆったりもっさりミディアムナンバー。いつも以上にダイナミックな葛谷葉子のヴォーカルだね。 伸びに伸びている。そして、歌詞の世界も、これまた葛谷流ラブソングで、不思議な切り口です。 ラストで転調し、盛り上がりを見せる。
12. bring me joy
music & lyrics:Kuzuya Yoko sound produced and arranged by Sagisu Shiro for Ro-JAM Ltd.
アルバムのラストを飾るミディアムバラードチューン。 ゴスペル風コーラスが盛り上げる。さすがは鷺巣詩郎なアレンジが、とにかくかっこよすぎます。 生音で聞かせてくれるところも、これまたゴージャスに仕上がっている。 そのアレンジの類が大きすぎて、葛谷葉子の歌詞の世界やヴォーカルが、食われてしまっているのが残念だ。