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●7th Album『Nightlife』● '99/10/11 ('99/10/8 on Japan) release
Pet Shop Boys、「Bilingual」以来となるオリジナルアルバムは、約3年ぶり。今作では、David Moralesはじめ、Craig ArmstrongやRolloといったトラッカーたちと組んでは、 妖しくもポップな夜のPSBサウンドを完成させた。その決定版となったシングル「New York City boy」の破壊力がハンパないね。 往年のディスコサウンドを現代に見事蘇らせら感じで、これはもう大ヒットしたわけですよ。 シングルも「I don't know what you want but I can't give it any more」「You only tell me you love me when you're drunk」「Closer to Heaven」とヒットしたものの、 「New York City boy」にはちょっとインパクトで負けるよな。でも、全体的には統一感のあるアルバムで、実に聴きやすい作品。21世紀を迎える前の痛快な作品が誕生だ。
1. For your own good
written by Tennant / Lowe Produced by Rollo and Pet Shop Boys
アルバムのオープニングチューンは、クールなビートが疾走するアグレッシヴなダンスチューン。Rolloによるトラックを軽やかに仕上げてしまうところはさすがだな。 高揚感があって、どこか高いところへと連れて行ってくれそうだ。
2. Closer to Heaven
written by Tennant / Lowe Produced and arranged by Craig Armstrong and Pet Shop Boys
前曲に続いて、高揚感がたまらない4つ打ちのダンストラック。Craig Armstrongとの初めての制作曲は、トランシーな仕上がりで、どこかしら冷たく。 それでいて、アグレッシヴ。繊細さも覗かせる1曲。その後、West Endでのミュージカルタイトルにもなったナンバーです。
3. I don't know what you want but I can't give it any more
written by Tennant / Lowe Produced by David Morales and Pet Shop Boys
夜を彷徨うPet Shop Boys。華麗なダンスビートとストリングスが織りなすアップチューンで、美しくゴージャスに飾って来ます。 ポップなんだけれども、キャッチーというよりかはじっくりと聞かせてくれるタイプの曲。それでいて、シングルとしてカットされるほどの力は持っている。 ストリングスとの融合がたまらないんだな。
4. Happiness is an option
written by Tennant / Lowe / Clinton Produced by Pet Shop Boys
HIP-HOPよろしくなビートをどっしりと打ち込んで聞かせるミディアムチューン。Neilもラップというか、ポエトリーリーディングのヴォーカルを加えてくる。 Rachmaninov「Vocalise」をサンプリングしているところにも注目。
5. You only tell me you love me when you're drunk
written by Tennant / Lowe Produced and arranged by Craig Armstrong and Pet Shop Boys
デジタル色があるけれども、カントリーやアコースティックな色もあるミディアムチューン。優しいメロディに包まれるように、Neilも語りかけてくるように。 そして、サビではストリングスも華やかに飾って来ます。染み渡るようなフォークソングだね。アルバム「Nightlife」からは3枚目のシングルとしてカット。
6. Vampires
written by Tennant / Lowe Produced and arranged by Craig Armstrong and Pet Shop Boys
ドラマティックに映えるストリングスの音と、じっくりビートが織り成すミディアムチューン。吸血鬼の歌。 妖しさいっぱいに聞かせてくれるところは、さすがPet Shop Boys。まるで都会の中を彷徨っているような雰囲気だね。
7. Radiophonic
written by Tennant / Lowe Produced by Rollo and Pet Shop Boys
軽やかながら、派手さを加えていく流れがまたかっこいい4つ打ちのダンスチューン。こちらもRolloとのタッグで聴かせてくれます。 サビでヴォーカルにエフェクトを加えて、キリッとさせてくれる。めくるめくビートの波にさらわれそうだね。
8. The only one
written by Tennant / Lowe Produced and arranged by Craig Armstrong and Pet Shop Boys
ミディアムテンポのバラードナンバー。ゆったりと包み込んでくれるかのようなトラックと、ストリングスがいい組み合わせを作ります。 聴かせるタイプの曲に感じるね。それゆえ、ちょっと地味な雰囲気にも感じてならない。
9. Boy strange
written by Tennant / Lowe Produced by Rollo and Pet Shop Boys
アコースティックなテイストを出してくるミディアムナンバー。染み渡るように、それでいて、何か引っかかるトラック。 この曲もRolloが参加しているということで、デジタル色がありながら、不思議な世界を聞かせてくれるもんだね。
10. In denial
written by Tennant / Lowe Produced and arranged by Craig Armstrong and Pet Shop Boys
とっても壮大な曲だね。そして、驚きなKylie Minogueとのデュエットナンバー。ちなみに歌詞の世界は父と娘のお話なんだな。 元々はミュージカル用に製作されたということもあり、なるほど納得な展開を聞かせてくれる。聞き応えのある1曲です。
11. New York City boy
written by Tennant / Lowe / Morales Produced by David Morales and Pet Shop Boys
アルバム「Nightlife」を代表するシングルナンバー。イントロの躍るストリングスから一気に世界に引き込まれますね。 でもって、サウンドはモロにディスコ。David Morales発案で、Village Peopleみたいな曲を制作して出来上がった曲は、ディスコティークな4つ打ちで大盛り上がりですよ。 特に野太いコーラスの分厚くて迫力たっぷりな部分にノックアウトです。
12. Footsteps
written by Tennant / Lowe Produced and arranged by Craig Armstrong and Pet Shop Boys
アルバムのラストを飾るナンバー。暗闇から聞こえる足音。ストリングスとゆったりビートが織りなすドラマティックな1曲。 12弦ギターのような、シタールのような音がまた、いい味を出すんだな。
●Mini Album『Mini』● '00/4/28 on Japan release
日本で限定リリースされたミニアルバム。いくらシングル「Closer to Heaven」をメインにしているからといって、このタイトルはいかがなものか。 日本で売る気はあるのか?その「Closer to Heaven」はじめ、イギリス本国でリリースされたシングル曲のB面や、貴重なライブ音源、そしてDavid Moralesによる「New York City Boy」のリミックスと、 日本で流通するには相当気合の入ったトラックの数々が収録されています。とても貴重なんですよ、なんだかんだね。
1. Closer to Heaven
(Tennant / Lowe) Produced and arranged by Craig Armstrong and Pet Shop Boys
2. Screaming
(Tennant / Lowe / Stephan) Produced by Pet Shop Boys *Reissue Album「Nightlife / Further listening 1996-2000」 収録*
3. Lies
(Tennant / Lowe) Produced by Pet Shop Boys *Reissue Album「Nightlife / Further listening 1996-2000」 収録*
4. Sail away
(Noel Coward) Produced by Pet Shop Boys *Reissue Album「Nightlife / Further listening 1996-2000」 収録*
5. You only tell me you love me when you're drunk (live)
Recorded live at the Aerial Theater, Houston, Texas, October 25, 1999
ファンの叫び声がなんだかすごいな。ギターの音色がとにかく瑞々しい1曲。アコースティックテイストで魅了してくる。 パーカッションとコーラスも優しく包み込んでくれます。
6. Always on my mind (live)
Recorded live at the Aerial Theater, Houston, Texas, October 25, 1999
ダンサブルに聞かせてくれるカバーチューンのライブトラック。とにかく大盛り上がりな様子が伝わって来ますよ。 みんなで合唱したりしては、会場が1つになる。
7. Being boring (live)
Recorded live at the Aerial Theater, Houston, Texas, October 25, 1999
随分と壮大な空気を醸し出してくるね。それでいて、じっくりと聞かせてくれるパフォーマンスに痺れます。 とっても濃厚なステージだね。後半からは4つ打ちビートを加えての躍動感もたまらない。
8. New York City boy (The Morales club mix)
Remix produced by David Morales
アグレッシヴなパーカッションのリズムビートをメインに、しゃかりきクラブトラックで楽しませてくれるDavid Moralesによるリミックス。 オリジナルに近い形なので、聞きやすい約11分。
●Sound Track『Closer to Heaven』● '01/5/1 ('02/3/20 on Japan) release
Pet Shop Boysが初のミュジーカルを手がけ、その楽曲をオリジナルキャストが披露したサウンドトラックを発表。 エレクトロなビートに包まれて届けられる歌声は、メッセージに力が入っていてかっこいいんだ。 ロンドンのクラブシーンを背景に、ゲイの恋愛を描いた内容ということもあり、勇ましさやか弱さ、きらびやかさや苦悩している表現がふんだんに盛り込まれている感じだね。 既発の曲に加えて、書き下ろしの楽曲で構成されているナンバーは、どの曲もキャッチーです。 PSB本人が歌っているわけではないけれども、しっかりPSBの世界。なお、本人バージョンは、のちに発売される未発表曲集「Further Listening」などで聞くことができます。
●8th Album『Release』● '02/4/1 release
前作「Nightlife」から2年半。8枚目となるオリジナルアルバムの登場。えっ、これがPSBなのか?ちょっとおとなし目というか、叙情的な面が思う存分に出ていますね。 ギターで参加しているジョニー・マーの力もあるのでしょう。全10曲と数は少ないながらに、どれも随分と魅力的な作品の数々。 アルバムからの1stカットとなった「Home and Dry」は、程よいエレクトロサウンドと、まさしくドライな印象で優しいPSBを演出。 また、美メロバラードの「I get along」や、爽やかアコースティックサウンドが印象的な「London」など、シングルナンバーも意外に強力。 ただ、派手に彩るのではなく、削ぎ落として残った部分に魅力を感じさせるような雰囲気もあって、そういうところにセンスを感じるね。電子サウンドというよりかは、バンドサウンドに近い音。 でも、ポップセンスは変わらず、実に器用なトラックメイキングです。また、当時のイギリス首相のトニー・ブレアの気持ちになったり、ゲイ差別を受ける人の気持になったりと、 メッセージ性も実は強い内容。そういう意味でも、PSBがリリース=解放という作品なのかも。
1. HOME AND DRY
Written by Neil Tennant / Chris Lowe Produced and performed by Pet Shop Boys
PET SHOP BOYS、8枚目のオリジナルアルバム「Release」からの先行ナンバーは、ダンス色を弱め、美メロを際立たせたポップチューン。 ドラムの音も軽やかに。それ以上に、ニールのヴォーカルがハートフルに響き渡る。包み込むような温かさがあって、心地よいんだ。 伝える姿勢を前面に押し出しているし、ちょっと不思議感も漂っているけれど、クセになるね。ラストでギターが鳴り響いたり。
Radio Editは、オリジナルよりも30秒ほど短いバージョンで。
2. I GET ALONG
Written by Neil Tennant / Chris Lowe Produced and performed by Pet Shop Boys
これまた、シンプルでストレートな美メロを聞かせてくれる、アルバム「Release」からの2枚目となるシングルナンバー。 従来のPSBらしいダンスポップとはちょっとかけ離れ、ピアノとギターを前面に出したポップチューン。サビのメロディがとにかくキャッチーだし美しいし、聞きほれてしまうし感動だし。 歌詞の方は、まぁいろいろと世相を取り入れたストーリーなんだよね。政治色もPSB色に染めてしまう。そういうところが面白い。
Radio Editは、ラストサビがフェイドアウト。
3. BIRTHDAY BOY
Written by Neil Tennant / Chris Lowe Produced and performed by Pet Shop Boys
ギターの音がしっとりと響き渡るミディアムチューン。ゆったりと広がるように、ニールのヴォーカルも優しく語りかけるように。 じっくりと聞かせてくれる6分半です。
4. LONDON
Written by Neil Tennant / Chris Lowe / Chris Zippel Produced and Engineerd by Chris Zippel
ザックリギターをかき鳴らしては、あっさりと聞かせてくれるシングルナンバー。軽めの打ち込みも加えて、ニールのヴォーカルにエフェクトをかけて。 アコースティックとデジタルをミックスさせた感じだね。派手に聞かせるのではなく、味わい深く聞かせる。いかにもPSBなトラック。 歌詞の方も、ロンドンのみならず、幅広い世界のことを歌っています。
5. E-MAIL
Written by Neil Tennant / Chris Lowe Produced and performed by Pet Shop Boys Strings arranged and conducted by Richard Niles
この頃、普及し始めたE-mailを見事に歌い上げたPSB。ストレートなラブソング。メールでのコミュニケーションが当たり前になることを予感させていたようだ。 メロディは結構、響くものがありますね。味わい深いミディアムバラードチューンでした。
6. THE SAMURAI IN AUTUMN
Written by Neil Tennant / Chris Lowe Produced and performed by Pet Shop Boys
ピコピコポップな軽やかテクノを聞かせてくれるダンストラック。PSBの本領発揮といわんばかりに、4つ打ちビートをぶつけてくれる。 どこかしらエキゾチックな風も漂わせる。流れを、見事に表現しているね。
7. LOVE IS A CATASTROPHE
Written by Neil Tennant / Chris Lowe Produced and performed by Pet Shop Boys
ちょっと重たい雰囲気を醸し出すミディアムスローチューン。いきなり「愛は破滅的なもの」って、驚かされます。 とにかく、メロディがダークで暗い暗い。このアルバムの中でも、異色な雰囲気もあるけれども、真剣な眼差しも伝わってくるような曲だね。
8. HERE
Written by Neil Tennant / Chris Lowe Produced and performed by Pet Shop Boys
4つ打ちビートと、ちょっと切ない雰囲気を漂わせるミディアムテンポのダンスチューン。 元々、ミュージカル用に書かれた曲ということもあって、どこかしらドラマティックな雰囲気も出ているね。 3分ちょっとの曲なんだけれども、サウンド的には迫力がある。そして、「Home and Dry」に通じるような、ちょっと帰り路を彩るような印象だね。
9. THE NIGHT I FELL IN LOVE
Written by Neil Tennant / Chris Lowe Produced and performed by Pet Shop Boys
爽やかにギターがかき鳴るミディアムチューン。 美しいヴォーカルやコーラス、美メロに乗せてお送りするゲイの恋物語。まったりとした展開の中にも、PSBの素朴な面が表れる。
10. YOU CHOOSE
Written by Neil Tennant / Chris Lowe Produced and performed by Pet Shop Boys
人生とは選択である。迷わず行けよ、行けばわかるさ。PSB的人生教訓を説くミディアムチューン。 しっとりめのギターが曲中を舞う。ニールのヴォーカルも、どこかしら教えを伝えるかのような雰囲気だね。
●Remix Album『DISCO 3』● ’03/2/3 release
ディスコというよりも、もはやクラブ。PET SHOP BOYSのリミックスアルバム第3弾。 といっても、最新アルバム「Release」からのナンバー以外にも、未発表曲や昔の曲なども織り交ぜて、新しいダンスサウンドを聞かせてくれる。 エレクトロニカ要素を強めて、時にメロディアスに、時にリズミカルに。「Home and Dry」や「London」は、トランシーなリミックスで新たに生まれ変わったりと、かなり強力です。 とにかくフロアで踊りまくれ。そんなメッセージが込められているかのようだ。タイムスリップというよりも、その先の時代を行くような感覚かな。 でも、PSBなら、これくらいは当たり前というような余裕さも感じられる。自身も「Here」のリミックスを手がけたりと、リミックスアルバムだということにこだわりを見せています。 日本盤には、「London (Berlin radio mix)」のPVを収録。PSBの2人が、控え目な出演ながらにいい味を出しています。
1. Time on my hands
(Tennant - Lowe) Produced by Pet Shop Boys *Reissue Album「Release / Further listening 2001-2004」 収録*
2. Positive role model
(Tennant - Lowe - White - Sepe - radclife) Produced by Pet Shop Boys and Chris Zippel *Reissue Album「Release / Further listening 2001-2004」 収録*
3. Try it (I'm in love with a married man)
(Bobby Orlando) Produced by Pet Shop Boys *Reissue Album「Release / Further listening 2001-2004」 収録*
4. London (Thee Radikal Blaklite Edit)
(Tennant - Lowe - Zippel) Remix and additional production by Felix Da Housecat for X-Mix productions
力強い4つ打ちビートが入ってきては、煌びやかな音が縦横無尽に飛び交ってくる。いやぁ、かっこよすぎますよ。 1980年代テイストと2000年代テイストがミックスされた感じかな。エフェクトヴォーカルや独特のためからの解放もすごい。もうちょっとオリジナル音テイストがあってもよかったかな。
5. Somebody else's business
(Tennant - Lowe) Produced by chris Zippel and Pet Shop Boys *Reissue Album「Nightlife / Further listening 2001-2004」 収録*
6. Here (PSB new extended mix)
(Tennant - Lowe) Produced and remixed by Pet Shop Boys *Reissue Album「Release / Further listening 2001-2004」 収録*
7. If looks could kill
(Tennant - Lowe) Produced by Pet Shop Boys *Reissue Album「Release / Further listening 2001-2004」 収録*
8. Sexy Northerner (Superchumbo mix)
(Tennant - Lowe) Remixed and additional production by Tom Stephan for ChumboMundo
ボコスカビートで繰り広げられるリミックスチューン。ニールのヴォーカルにもエフェクトを加えて、ディストーションをかけたように。 押し寄せるトラックに呑み込まれる8分半。
9. Home and dry (Blank & Jones remix)
(Tennant - Lowe) Remix and additional production by Poet Blank, Jaspa Jones, Andy Kaufhold @ Spacedust Studios Germany for Gang Go Music Produktions GmbH, Cologne
高速4つ打ちビート炸裂で、アッパーにかましてくるトランスリミックス。あのビメロで包み込んでくれるようなオリジナルの影がすっかり消えています。 でも、ニールの幻想的なヴォーカルを生かしたトラックに仕上がっていて、力強さと柔らかさの融合を感じさせる。
10. London (Genuine piano mix)
(Tennant - Lowe) Produced, engineered and mixed by Chris Zippel
あの日が蘇ってくる。そんな感じの美しいピアノの調べがッポイントとなるリミックスチューン。まぁ、ミックスというよりかはリアレンジかな。 ほのかなエレクトロ感を出すSEもスパイスに。でも、あらためてニールのヴォーカルに焦点が当たっていて、うっとりだね。
CD-Extra. London (Berlin radio mix)
Filmed and directed by Martin Parr
2人の観光客がロンドン市内を観光。綺麗だったり汚かったり、ありのままのロンドンの様子を見せる。 PSBの2人も、地下道やロンドン各所でストリートミュージシャンのごとく演奏しています。ニールはギターを弾いていますよ。
●Compilation Album『PopArt』● '03/11/24 ('03/11/19 on Japan) release
PET SHOP BOYS、2作目となるベストアルバムが登場。今作は、「Pop」と「Art」という、2つのサイドに、代表曲を分けての収録です。 なるほどね、大ヒットカバー「Go West」や「Always on my mind」は確かにPopサイドだよね。「West End Girls」や「Jealousy」は、なるほど「Art」サイドだね。 この見事な振り分けっぷりが、納得のいく仕上がり。とにかく大ヒット曲が網羅されているし、新曲も2曲収録。 心地よく美しい「Miracles」と、エレポップ全開の「Flamboyant」は、ともに強力なトラックです。PET SHOP BOYS、年が経つにつれて、面白さがドンドンと出てきているね。 何曲かはアルバムバージョンだけれども、ほとんどはシングルバージョンでの収録。端的にPSBのトラックを味わうことができます。とにかく踊れ。 初回盤は3枚組みで、ボーナスディスクとして「Mix」が付いています。アナログ盤のみに収録されていたリミックチューンなど、貴重な曲が収録されているので、 また別の角度からPSBを楽しむことができるね。ただ、リリース時期は、時勢の波に乗ってか、CCCDでのリリース。この悪しき仕様が解き放たれるには数年の歳月がかかるわけで。
Mix
1. Can you forgive her? (Rollo remix)
クールな4つ打ちビートで魅せるRolloによるリミックス。Rolloって、なんとDidoの兄なの?驚きだね。こちらのミックスは、あまりオリジナルの面影が無い始まり方だ。 歌が始まると、斬新な展開で、これぞリミックスなしようで楽しませてくれる。
2. So hard (David Morales Red Zone mix)
4つ打ちビートと広がるシンセに壮大感があるリミックストラック。 ヴォーカルが一切入らず、淡々と進行。クールなんだけれども、何か物足りないかな。
3. What have I done to deserve this? (Shep Pettibone mix)
ピコピコポップなキラキラミックス。音が時代を表していますね。 軽やかなディスコ/テクノミックスのノリで、聞きやすい仕上がりです。これぞPSBな雰囲気が伝わってきますよ。
4. West End girls (Sasha mix)
PSBの初ヒットチューンを、Sashaか軽やかにリミックス。 ハウスやクラブ、サンバのようなラテンテイストも加えて、よりフロア向きのダンサブルなトラックに変身。全体的にはクールな仕上がりですね。
5. Miserablism (Moby Electro mix)
おぉなんとmobyがリミックスを担当。かっこいいね。お得意のアンビエントの中に、ピコピコサウンドが散りばめられている。 優しくて冷たいmoby独特の世界がPSBの楽曲から伝わってきます。
6. Before (Danny Tenaglia Classic Paradise mix)
ハウスな4つ打ちトラックで、アゲアゲなリミックスチューン。 これぞハウスといわんばかりに、おしゃれにビートが響き渡ります。また、PSBの元の曲と相性抜群だね。
7. I don't know what you want but I can't give it any more (Peter Rauhoffer New York mix)
テクノ/トランス要素たっぷりで、クールに展開するリミックス。クールな雰囲気をまとっては、一気に駆け抜けていくようだ。
8. New York City boy (Lange mix)
アルバム「NIGHTLIFE」からのシングルナンバー。リミックスしたことにより、より楽しくなってしまう1曲に仕上がっています。
9. Young offender (Jam and Spoon Trip-o-matic Fairy tale mix)
緊迫感が伝わってくるリミックスチューン。静かながらに広がりを感じる貴重なトラックだね。
10. Love comes quickly (Blank and Jones mix)
ギターの音が切なさを出す始まり。そのままダイナミックで壮大なトラックが展開。アンビエントな様相も見せる。
●Sound Track『Battleship Potemkin / Tennant/Lowe』● '05/9/5 ('05/9/22 on Japan) release
サイレントムービー「戦艦ポチョムキン」に、なんと音楽をつけてしまうという試みに挑戦。ということで、この一風変わったサウンドトラックなんだけれども、 Pet Shop Boys名義ではなく、あくまでもTennant/Loweという個人名義というところにも注目だね。 サウンドトラックということもあり、劇中を彩るトラックは、所々にPSB特有のエレクトロな要素を加えて、1900年前半から21世紀へとワープしたかのようだ。 ヴォーカルナンバーも2曲収録されているけれども、歌を聞かせてくれるというよりは、映画に添える程度のもので、さすがこのバランスで聴かせてくれます。
●9th Album『Fundamental』● '06/5/22 ('06/5/17 on Japan) release
PET SHOP BOYS、ベストアルバム「PopArt」を挟んで、オリジナルとしては前作「 Release」以来、約4年ぶりの9作目。 ベスト盤で区切りをつけて、PEBが「基本」に戻ったアルバムは、鬼才Trevor Hornと久しぶりのタッグが実現。 1980年代を彷彿とさせるデジタルビートなPSBの基本サウンドに戻りつつも、最新のデジタルサウンドで仕掛けてきては、魅了してきます。 オーケストレーションも巧みに操って、新たなPSB路線を作り上げているようだね。 このアルバムからは「I’m With Stupid」「Minimal」「Numb」「Integral」の4枚のシングルがリリースされ、そのどれもがPSBらしさを出したポップチューン。 この2人、本当に次から次へと魅了するナンバーを放ってきますね。 アルバム収録曲も、「The Sodom And Gomorrah Show」「Luna Park」など、ポップだったりハードだったり、じっくりと聴かせくれるバラードだったり、様々な味を届けてくれる。 なるほど、このアルバムが名盤といわれる理由がわかるような気がしますね。 初回盤はリミックス盤「Fundamentalism」と2枚組仕様。新進気鋭のリミキサーたちが、PSBのナンバーを変幻自在にお料理。 日本盤はさらに、リミックス2曲をボーナストラックとして収録し、濃厚なアルバムを味わうことができます。ただし、CCCDでのリリースはマイナス点。
1. PSYCHOLOGICAL
PERFORMED BY PET SHOP BOYS PRODUCED BY TREVOR HORN WRITTEN BY NEIL TENNANT AND CHRIS LOWE
アルバムのオープニングを飾る、無機的ながら神秘的かつ妖しい雰囲気をもたらすデジタルポップチューン。 淡々としたトラックが冷たく、見放すかのような、それでいてクールで大人なPSBを聞かせてくれます。 後半はシンセの音が広がって行き、より壮大に変身。懐かしさもあり、新しさもあり、ワクワクさせてくれるね。なるほど、シンセの音使いが1980年代風だよね。
2. THE SODOM AND GOMORRAH SHOW
PERFORMED BY PET SHOP BOYS PRODUCED BY TREVOR HORN WRITTEN BY NEIL TENNANT AND CHRIS LOWE
台詞の後は、とっても煌びやかなデジタルサウンドと、エッジを効かせたギターが絡み合うポップチューン。 聖書のソドムとゴモラを現代テイストにアレンジした歌詞を聞かせてくれるNeilのセンスがまた、光っていますね。しかし、実際は現代社会へ皮肉も込められているわけです。 まさしくショーを見せるようなサウンドにも引き込まれます。かっこいいし、キャッチーだし。これがPSBのステージですね。
3. I MADE MY EXCUSES AND LEFT
PERFORMED BY PET SHOP BOYS PRODUCED BY TREVOR HORN WRITTEN BY NEIL TENNANT AND CHRIS LOWE
オーケストラをベースに聞かせてくれるイントロで始まり始まり。 その後はまったりテイストで聞かせてくれるバラードナンバーで、美しく響き渡っていますね。まるで何かを省みるかのように、Neilのヴォーカルも優しく包み込んでくれるように。
4. MINIMAL
PERFORMED BY PET SHOP BOYS PRODUCED BY TREVOR HORN WRITTEN BY NEIL TENNANT AND CHRIS LOWE
アルバム「Fundamental」から2枚目のシングルとなる今作は、もう、これぞPSBと言わんばかりのダンスポップチューン。ポップで力強い4つ打ちビ-トを放ち、 エレクトロサウンドをクールにまとったアップテンポナンバーです。メロディも極上のキャッチーさでノックアウト。Trevor HornとPSBのタッグが120%出ているね。 ラストはギターやオーケストレーションの音が鋭く出ていて、生音の迫力を感じます。かっこいい幕です。
Radio Editは、約40秒ほど短く。ラストがあっさりしているね。
5. NUMB
PERFORMED BY PET SHOP BOYS PRODUCED BY TREVOR HORN WRITTEN BY DIANE WARREN
ダイナミックなオーケストラの幕開けは、まるで何かの劇が始まるかのごとく。 壮大な音を繰り広げる。作詞と作曲はDiane Warrenと、珍しく他の作者によるナンバーで聞かせてくれます。まったりまったり、ゆったりテンポで聞かせては、淡々と進行の3拍子。 しかし、底力があるというか、やっぱりオーケストラが加わることで、ダイナミックな仕上がりになるんですよ。1編の映画を見るように、じっくりと聞いてしまうね。
アルバム「Fundamental」から3枚目のシングルとしてカット。その際はニューバージョンで収録。 オーケストラの音色を良き際立たせて、プログラミングの音を抑え、効果的に使用しています。
6. GOD WILLING
PERFORMED BY PET SHOP BOYS PRODUCED BY TREVOR HORN WRITTEN BY NEIL TENNANT AND CHRIS LOWE
こちらも随分と壮大な音を聞かせてくれるナンバー。デジタルビートとオーケストレーション、そしてNeilのコーラスが加わって、PSB唯一無二の世界を作る。
7. LUNA PARK
PERFORMED BY PET SHOP BOYS PRODUCED BY TREVOR HORN WRITTEN BY NEIL TENNANT AND CHRIS LOWE
メロウでドラマティックなバラードナンバー。丁寧なNeilの歌が優しく語りかけてくるように、聞かせてくれます。 幻想的な歌詞とサウンドが見事に織りなすトラックで、PSBのアートな部分を感じさせる1曲だね。うっとり。
8. I'M WITH STUPID
PERFORMED BY PET SHOP BOYS PRODUCED BY TREVOR HORN WRITTEN BY NEIL TENNANT AND CHRIS LOWE
ベストアルバム「PopArt」後、再び動き出したPET SHOP BOYS。これまた、衰え知らずでさらなる魅力をぶつけてくるナンバーをシングルとしてドロップ。 プロデューサーにTrevor Hornを迎えては、久々のタッグで魅惑のサウンドを放出。 丁寧かつ大胆に、どこかしら懐かしい作りもあるし、ポップでキャッチーなダンストラックは、これまでとこれからのPSBを感じさせる。ドラムのダイナミクな音もカッコよく決まったね。 Neilによる歌詞は、George BushとTonny Blairを皮肉っています。時勢にうまく切り込んできましたね。
9. CASANOVA IN HELL
PERFORMED BY PET SHOP BOYS PRODUCED BY TREVOR HORN WRITTEN BY NEIL TENNANT AND CHRIS LOWE
こちらもゆったりと聴かせてくれるバラードナンバー。美しく優しいバックのサウンドに、安らぎを与えてくれるかのような曲。 そして、シンセとコーラスが広がり、ドラマティックに聞かせてくれたりも。カサノヴァにインスパイアされた曲ということで、ストーリー性のある歌詞で引き付けてきます。 裸の女性を前に勃起できなくなった主人公が登場する曲って、初めてじゃないかな。
10. TWENTIETH CENTURY
PERFORMED BY PET SHOP BOYS PRODUCED BY TREVOR HORN WRITTEN BY NEIL TENNANT AND CHRIS LOWE
うねうねエレクトロビートを軽やかに放つアップテンポナンバー。クールかつ爽やかに、そしてスタイリッシュでセンスのよいPSBを感じさせてくれます。 20世紀を振り返り、21世紀へとつなぐ、PSBなりの教訓を聞かせてくれます。中盤で一瞬、ギターの音が入ってきては、心地よさを出したね。
11. INDEFINITE LEAVE TO REMAIN
PERFORMED BY PET SHOP BOYS PRODUCED BY TREVOR HORN WRITTEN BY NEIL TENNANT AND CHRIS LOWE
こちらはブラスの音とオーケストレーションが生み出す壮大かつ優しいサウンドで聞かせてくれるナンバー。 ギターの音や打ち込みも軽やかに入ってきては、いかにもなPSBの仕上がり。永住権の歌です。PSBらしい切り口で届けられる美しきバラードチューン。
12. INTEGRAL
PERFORMED BY PET SHOP BOYS PRODUCED BY TREVOR HORN WRITTEN BY NEIL TENNANT AND CHRIS LOWE
アルバムのラストに再び爆弾を投下するような、極上のエレクトロダンスチューンを放ってきたPSB。 いかにもTrevor Hornが得意とするような1980年代風ダンスビートに、現代テイストも加えて、壮大に。さらにオーケストレーションも加わって、キリッと鋭く仕上がった1曲。 バッキバキの仕上がりに感無量だね。この2人、まだまだ力をぶつけてきますよ。
FUNDAMENTALISM
1. FUGITIVE (RICHARD X EXTENDED MIX)
PRODUCED BY RICHARD X FOR BLACKMELODY.COM AND PET SHOP BOYS
Richard Xによるリミックスで楽しませてくれるトラックは、緊迫感の中に力強さを出した 4つ打ちビートを聞かせるデジタルチューン。レトロなユーロビートの雰囲気もあり、フロアライクな仕上がりで楽しませてくれます。 結構キャッチーだよね。シングルにしてもいいくらいだと思います。
2. SODOM (TRENTEMOLLER REMIX)
ADDITIONAL PRODUCTION, INSTRUMENTATION AND REMIXING BY ANDRES TRENTEMOLLER, COPENHAGEN
グツグツ煮込んだようなデジタルビートで聞かせてくれる、たっぷり7分半のリミックス。 これまた深いベースの音がブンブンと唸っては、攻めてきますね。アングラとポップの間を行くようなトラックだね。 中盤からは、まるでバンドが演奏しているようなじっくりサウンドな仕上がり。なかなかのグルーヴ感と、ディスコティークな薫りもチラリと。
3. PSYCHOLOGICAL (ALTER EGO REMIX)
REMIX AND ADDITIONAL PRODUCTION BY ROMAN FLUGEL & JORN ELLING WUTTKE AT KLANGFABRIK
パンチの効いたビートをぶつけてくるリミックスチューン。オリジナルよりもポップで力強さを出してきたトラックだね。 弾けたトラックに打ちのめされそうになります。後半で一瞬、ノイジーになるところがカッコよかった。
4. FLAMBOYANT (MICHAEL MAYER KOMPAKT MIX)
REMIX PRODUCED BY MICHAEL MAYER AND SUPERPITCHER
ベスト盤「PopArt」からのシングルナンバーのリミックストラック。イントロからアンビエント風味の味付けで幻想的に。ディープなんだけれども、次第に明るいムードへ。 4つ打ちビートが加わってきては、エレクトロ要素も出てきました。
5. I’M WITH STUPID (MELNYK HEAVY PETTING MIX)
REMIX AND ADDITIONAL PRODUCTION BY MELNYK
Melnykによるリミックスは、冒頭の静けさから一転、デジタルビートが襲いかかってきて、緊迫感と幻想的な雰囲気を融合させたトラック。 楽しさもあって、音の波が押し寄せてくる。ただ、サビはエフェクトを被し過ぎな感じもする。もうちょっとすっきりさせても良かったような。
6. IN PRIVATE (STUART CRICHTON CLUB MIX)
PRODUCED BY PET SHOP BOYS AND STUART CRICHTON
PSBとElton Johnがコラボレーションしたトラックのリミックスナンバーは、デジタルビート炸裂でポップかつ大胆に聞かせる。 もともとはDusty Springfieldへの提供曲なんだけれども、この制作者両者がコラボして聞かせるとなると、随分と濃いよね、いろんな意味で。 でもって、リミックスされたトラックも、4つ打ちビートを飾っては、ノリが出まくり。
7. MINIMAL (LOBE REMIX)
REMIX AND ADDITIONAL PRODUCTION BY LOBE
LOBEによるリミックスは、4つ打ちビートからなめらかなトラックに変身。アンビエントな風味も加えてどこかしら幻想的でドリーミング。宙に浮くようなPSBです。 しかし、後半で一転、4つ打ちビートに変身して、躍動感を増してきました。いやぁ、かっこいい流れだね。
8. GOMORRAH (DETTINGER REMIX)
REMIX PRODUCED BY OLAF DETTINGER
Neilのヴォーカルをフィーチャーした始まりから、アンビエントな雰囲気を振りまくオープニング。その後もどっぷりビートが深い味わいを加える。 独特のリズムと共に、和な薫りも加えて、不思議な世界が展開する。
9. I’M WITH STUPID (PSB MAXI-MIX)
REMIX AND ADDITIONAL PRODUCTION BY PET SHOP BOYS *Reissue Album「Fundamental / Further listening 2005-2007」 収録*
10. MINIMAL (TIGA’S M-I-N-I-M-A-L REMIX)
REMIXED AND REMODELED BY TIGA AND JESPER DAHLBACK AT GLOBE STUDIOS, STOCKHOLM
ピコピコテクノリミックス。レトロな雰囲気と新しい要素をバランスよく組み合わせている1曲。 リミキサーの色を出して、ポップなんだけれども、ダブっぽい要素で、不思議な世界を届けてくれる。
●Live Album『CONCRETE IN CONCERT AT THE MERMAID THEATRE FOR RADIO 2 WITH THE BBC CONCERT ORCHESTRA, MONDAY, MAY 8TH, 2006』● '06/10/23 release
BBC Radio2用に、ロンドンのMermaid Theaterでフルのオーケストラ編成を導入したライブ盤。 美しく、それでいてストリングスの力が絶大な音を聞かせてくれるので、M1-1「Left To My Own Devices」とか、M2-1「Numb」、M2-5「Jealousy」など、とっても映えますね。 ここに「New York City Boy」を加えて、イントロの鋭いオーケストラを再現して欲しかったな。 また、ゲストにRufus WainwrightやFrances Barber、Robbie Williamsなどが登場して、ライブを盛り上げてくれます。 ただ、企画的ライブなのか、いまいち選曲にヤマ場がないというか、残念な感じがするんだよな。 ヒット曲も何曲かは抜粋しているんだけれども、「West End Girls」はオーケストラの効果が生かされていないような気がする。 そもそも生ドラムの力が弱く、打ち込みも多用だし、どうも中途半端な感じは否めないな。オーケストラとダンスポップの融合、組み合わせ、もうちょっと頑張って欲しかった。 ただ、ライブだからしょうがないのかもな。
CD One
さすがのフルオーケストラは、イントロから魅了してくるM-1。鋭く突き刺しては、美しくヒビクァタル。もう、正直ほかの音はいらないくらいに、オーケストレーションの力が壮大すぎます。ひとまずオープニングからPSBの魅力をたっぷりと聴かせてくれました。
MC。そして今回のコンサートの説明を。
ドラマティックなアレンジで聴かせてくれるM-2。オーケストラが豪華に聞かせてくれては、Neilも伸び伸びヴォーカルを披露。オリジナルとガラッと印象が変わったね。 チョロッと喋った後にM-3。アコースティックなテイストとオーケストラが加わって、ゆったりまったりした空間が広がる。中盤~後半は、よりダイナミックに変身を遂げる。美しい。 次曲の説明をしてからM-4へ。陽気なイントロは、まるでサーカス。そしてナレーションが流れた後は、煌びやかなシンセサウンドが降り注ぐ。ドラムが妙にスカスカした感じで、物足りないかな。まさしくショーな1曲には仕上がっています。オーケストラがもう少し前に出てきても良かったよね。コーラスが味を出して盛り上げてきます。
MC。次の曲について。そしてゲストヴォーカルの登場。
ダイナミックな演奏と、ダイナミックなヴォーカルでたっぷりじっくり聞かせてくれるM-5。歌の世界観をしっかり出したステージだね。迫力があるし、物語が広がってゆくようだ。
MC。次曲の説明。
オーケストレーションと、躍動感たっぷりのビートで魅了するM-6。ドラマティックなバックの音に比べると、Neilのヴォ-カルは随分と深々としている感じがするんだよね。歌を聴くというよりかは、演奏を聴かせるようなナンバー。まぁ、もともと劇用の曲だしね。
MC。次の曲説明を。
ミュージカルに提供したM-7。ゲストヴォーカルにFrances Barberを迎えて。これまた、伸びのあるヴォ-カルで、うっとり。美しい歌声が響き渡ります。 イントロからスリリングなコーラスでM-8。この曲もストリングスの効果絶大。どうせなら、打ち込みとか派手なビートは余計だったかもね。大部隊だけでも十分にダイナミックに聞かせてくれると思うけどね。とにかく、オリジナルよりも力強さが格段とアップ。かっこよく聴かせてくれました。
CD Two
これぞオーケストラの本領発揮と言わんばかりのオープニングで引き込まれるM-1。とてもドラマティックで、引き立ちます。叙情的で、麗しいね。
MC。曲の説明を。
M-2はバックでSEを加えて、しっとりとスタート。そして、ブラスやオーケストレーションが入ってきては、ダイナミックに。コーラスも美しさを出しています。 最新アルバム「Fundamental」より、ドラマティックなバラードM-3。バックの打ち込みとか、シンセとかはいらないかな。もっとドラマティックに仕上げられただろうに、オーケストラもいることだし。
MCを少々。
こちらもドラマティックにM-4。コーラスとともに、大きく盛り上がってゆく楽曲に大変身。とっても壮大で、オーケストラがいい味を出すんだ。 オーケストラとの相性が一番良いシングルヒットチューンM-5。オープニグからダイナミックな演奏で、感動しますね。その中でRobbie Williamsの登場ですよ。歌が始まると、これまたかっこいい。さすがです。クライマックスはもう、メインがオーケストラ。ダイナミックな音の波に呑み込まれてゆきます。 どっしりとした演奏ながら、タイトルさながらドリーミングな音を聞かせるM-6。Neilとコーラスのハーモニーで進行。じっくりと聴かせてくれては、最後に大盛り上がりです。
MC。ここでメンバー紹介を。
イントロがダイナミックなM-7。この曲も生ストリングスが大活躍だ。その後も躍動感たっぷり。罪人を裁くかのような、判決を下している感じ、世界観が音に出ていますね。ただ、ストリングスが先走っているような部分もあるよね。 曲説明をしてM-8をゆったりと。金管楽器を聞かせてくれるイントロは、安らぎを与えてくれるかのようだ。その後も優雅に響かせる。 続けて代表曲のM-9。正直、あまりオーケストラの味が出ていないかな。もったいない感じだ。Neilは安定の歌いっぷりだけれども。
●Remix Album『DISCO Four Remixed by Pet Shop Boys』● '07/10/8 release
Pet Shop Boysのリミックスアルバムシリーズ「DISCO」。4作目となる今作は、これまでのPet Shop Boysの楽曲をいろいろなりミキサーたちが料理するスタイルとは違い、 Pet Shop Boys自らが手がけたリミックストラックを集めたコンピレーショナルバムという仕様になっています。 David BowieやYoko Ono、MadonnaやRammsteinなど、随分と手広くリミックスを手がけていますね。 どのトラックも原曲を崩しすぎず、時に自らコーラスも加えてくるスタイルで、いい感じにエレクトロポップに仕上がっています。 また、PSB自身のリミックス楽曲もあったり、面白さはあるんだけれども、いかんせん、曲数が少なくで物足りなさが半端ない。 彼らはもっとリミックスを手がけているんだし、2枚組にしてもいいくらい。もっとたくさん聞きたかったかな、というのが正直なところ。
3. Integral / Perfect immaculate mix
Remix and additional production by Pet Shop Boys
●10th Album『Yes』● '09/3/18 ('09/3/18 on Japan) release
PET SHOP BOYS、前作「Fundamental」で基本に戻った彼らが放つ、ポップなアルバムは、通算10作目。その間に、何枚か企画盤はありましたが、 今作では「yes」という前向きな意思表示そのままに、アルバムが展開していきます。さらには、プロデューサーにXenomaniaを迎えて、新たなPSBを構築していきます。 冒頭リードナンバー「Love etc.」はポップなビートに乗せて、キャッチーに攻めてきます。また、シングルカットされた「Did you see me coming?」のキラキラポップな感じにノックアウトですね。 この2人、歳を重ねてもこういう世界感を出せることに驚きです。そのほか、「くるみ割り人形」をサンプリングした「All over the world」、 社旗風刺の効いた歌詞が踊る「Building a wall」など、どこを切ってもPSB満載のトラックが揃っております。 ただ、後半に行くに連れて、少々インパクトが欠けて行く感じがするんだよな。そこがちょっと残念。 初回盤は、ダブバージョンのトラックを収録したディスク「Etc」との2枚組仕様。意外とダブトラックのみでも味わえる楽曲が多いことに気づかされますね。「Etc」から再び「Yes」に戻ると、案外面白いかも。
1. Love etc.
Written by Tennant / Lowe / Higgins / Cooper / Powell / Parker Produced by Brian Higgins / Xenomania
前作「Fundamental」から約3年ぶりとなるアルバムからの先行ナンバーは、独特のリズムビートでポップに仕上げてくるダンスチューン。 ピコピコサウンドとどっぷりビートがうまく組み合わさって、唯一無二のPSBワールドが展開。ポップな曲調に対し、歌詞は物欲主義を批判する内容で、さすがはPET SHOP BOYSな1曲に仕上げてきました。 最初聞いたときは、このリズムにあまりついて行くことができなかったけれども、聞くに連れて、どんどんと味わい深さが出てきました。
2. All over the world
Written by Tennant / Lowe Produced by Brian Higgins / Xenomania
チャイコフスキー「くるみ割り人形」をサンプリングしたイントロがインパクトありますね。 「オエオエオー」と、こちらも「Domino Dancing」を彷彿とさせるコーラスをイントロから添えて、盛り上げてきます。 とにかく重たいビートがどっしりと攻めてきては、PSBワールドへと引き込んできます。少年少女のための歌なんです。
3. Beautiful people
Written by Tennant / Lowe Produced by Brian Higgins / Xenomania
Johnny Marrのギターも入ってきては、まるで古き良き時代の映画音楽のようなサウンドで魅了してきた1曲。 アコースティックな音に近く、「Release」の頃の路線を行く感じだね。まさしくBeautifulな1曲。オーケストラの音も、見事に飾ってきます。
4. Did you see me coming?
Written by Tennant / Lowe Produced by Brian Higgins / Xenomania
イントロのジャーンとなるギターの音がいいね。鮮やかに映るこの音は、Johnny Marrのもの。軽やかに展開する極上ポップなダンスチューン。 キラキラしたサウンドに乗せて、Neilのハイトーンヴォーカルが舞います。リズミカルでグルーヴィー、そして、キャッチーなサビでノックアウトな1曲だね。 サウンドが歌詞をそのまま表すような、ポップなラブソングが展開しています。こういう世界を描けるPSB、年齢の無意味さを説いているかのようだ。
5. Vulnerable
Written by Tennant / Lowe Produced by Brian Higgins / Xenomania
ドリーミングなオープニングで魅了してくるポップチューン。伸び伸びと歌いあげるNeilが印象的です。スタイリッシュで、さらっと聴かせてくれる感じで進行。 美しきサウンドとタイトルフレーズが頭の中を駆け巡ります。
6. More than a dream
Written by Tennant / Lowe / Cooper / Higgins / Resch / Jones Produced by Brian Higgins / Xenomania
もっさりビートかと思いきや、エレクトロモードで炸裂するポップチューン。 2段階、3段階と、返信するような展開が面白さを出してきます。ふるさと新しさを組み合わせて、時期的には「Change」のフレーズがスパイスとなる。 クールでスタイリッシュ、最終的には訴えかけてくるような感じだね。シングルにしてもいいくらいの、作り込まれた楽曲です。
7. Building a wall
Written by Tennant / Lowe Produced by Brian Higgins / Xenomania
どっぷりビートと爽やかなギターの音が交差するナンバー。 サビの歌が入ると、トラックが躍動し、エネルギッシュに展開。メロディパートは次第に親しみと温かさが伝わってくる。 「壁」をテーマにした曲というのも興味深いね。保護する面と、隔離や断絶する面を持ち合わせている壁。クールに聴かせてくれます。
8. King of Rome
Written by Tennant / Lowe Produced by Brian Higgins / Xenomania
美しきバラードナンバー。ナポレオン皇帝の息子を題材にして歌ったナンバー。 ちょっと切なく、」曲調もはかなさや悲しみを和らげるような、まろやかに包み込んでくれるシンセサウンドに救われるようだね。
9. Pandemonium
Written by Tennant / Lowe Produced by Brian Higgins / Xenomania
これまたどっぷりと、8分の6拍子のナンバーを投入して、エネルギッシュに聴かせてくれます。 喜びが大爆発して、破壊に通じるような、なんかすごい内容を歌っている。でも、盛り上がりを素直に表現していて、弾けるんだろうな。 君への好きといいう気持ちも大爆発。ラストパートのハーモニカは、これまたJohnny Marrが聴かせてくれるんです。
10. The way it used to be
Written by Tennant / Lowe / Cooper / Higgins / Coler Produced by Brian Higgins / Xenomania
ポップなビートに漂う、陰の空気。どこかかしら冷たさをかじるトラックと、 Neilのヴォーカル。1組の愛が終わる表現をドラマティックに歌い聴かせてくれます。淡々と響き渡るビートは、どこかしら無機的で、唯一、Neilのヴォーカルから生を感じさせます。
11. Legacy
Written by Tennant / Lowe Produced by Brian Higgins / Xenomania
アルバム本編のラストナンバーは、壮大なオープニングで幕開けるミディアムチューン。中身もオーケストレーションを取り入れて、大きな音が押し寄せてきます。 社会的な要素を含む歌詞が、世相をぶった斬るPSB。鋭く突き刺してくるんです。中盤でのワルツへの変化には驚いた。
12. Love etc. Pet Shop Boys sex mix
Remixed by Pet Shop Boys
エレクトロ要素を強めたトラック。歌が入ってくると、それが顕著になり、うねうねした音が攻めて攻めて攻めまくる。 う~ん、セルフリミックスにしては下手な感じだね。
2-1. This used to be the future
Written by Tennant / Lowe Produced by Brian Higgins / Xenomania
煌めきエレクトロポップ。優雅に流れるサウンドに乗せてNeilとゲストのPhilip Oakeyのヴォーカルが響き渡ります。 どこかしら近未来なピコピコトラックを感じさせ、ヴォーカルにエフェクトをかけてきた。よりフーチャリスティックな曲になったね。タイトルがそのまま曲に表れています。
2-2. More than a dream Magical dub
Remixed by Xenomania / Pet Shop Boys
Neilのヴォーカルを1コーラス、うまく浮遊させて、展開するトラック。 曲自体は、そこまでダブダブしていないので、オリジナルのインストのように、気軽に聞くことができます。
2-3. Pandemonium The stars and the sun dub
Remixed by Xenomania / Pet Shop Boys
どっぷりビートが躍動感たっぷりで、アゲてきます。その後に入ってくるエフェクトヴォーカルが、無機的でクールですね。 う~ん、ヴォーカルは普通に浮遊感のあるダブテイストの方が良かったかな。
2-4. The way it used to be Left of love dub
Remixed by Xenomania / Pet Shop Boys
より冷たく、さらっとしたテイストで、過ぎ去ってゆくようなダブトラック。ふわっと入ってくるNeilのヴォーカルが、まろやかに仕立て上げる。 そして、4つ打ちビートを投入しては、かなりアグレッシヴな印象を放ちますね。
2-5. All over the world This is a dub
Remixed by Xenomania / Pet Shop Boys
どっぷりどっぷりと、忍び寄ってきては、丸呑みしてしまうようなディープなトラックで聴かせる。 「This is dub」という名の通り、Neilのヴォーカルが浮遊して入ってきては、魅了してくる。時にビートを排除しては、幻想的に聴かせてくれます。なかなか作り込まれていて、いい感じだね。
2-6. Vulnerable Public eye dub
Remixed by Xenomania
力強いピコピコビートに、Neilのヴォーカルが加えられるトラック。 いい感じに浮遊しているね。とにかく濃厚。アップテンポのビートと、ふわふわした雰囲気が広がっていきます。
2-7. Love etc. Beautiful dub
Remixed by Xenomania
姿をはっきりと表さず、じわじわと暴かれていくようなダブミックス。 どっぷりビートが生きるトラックで、こねくり回すかのように、ヴォーカルも挿入されて、とにかくどっぷりディープに聴かせてくれます。濃厚すぎですね。
●Compilation Album『Party』● '09/11/4 release
Pet Shop Boysの新たなグレイテストヒッツアルバム。といっても、どうやた南米向けの作品らしい。 収録曲は、ほぼシングルナンバーなんだけれども、シングルバージョンとは違ったトラックで構成されていたりもする。 が、これがまた大変な誤植だったりするわけで、「WEST END GIRLS」も10インチではなく、実際は7インチのトラックだったり、 「GO WEST」がシングルテイクではなく、MARK STENTのリミックストラックで収録されていたりと、何が何だか。 まぁ、ある意味パーティーのような感じでよろしい、といった感じかな。
●Compilation Album『Ultimate』● '10/11/1 release
PET SHOP BOYS、3作目となるオールタイムのベストアルバム。その名も「Ultimate/究極」ということで、強気です、すごいです。 これまでの作品では、「Discography」的なもので、「PopArt」はポップトアートな作品に区分けできましたが、今作は、絞りに絞って、ギュッと凝縮。 これを極めれば、PSBの要素を抑えられるという厳選曲で構成されています。 ベースとしては、オリジナルアルバムに収録されているシングル曲1曲ずつフィーチャーされている感じだね。 あれが入っていない、これがないという意見が必ず出てくるけれども、ここまですっきり潔いベストアルバムもなかなかないよな。 これだけでリリースしてしまうところは、このキャリアの自信です。嬉しい新曲「Together」も、現在のPSBを見事に表しています。 限定版には、DVD付きの2枚組仕様。これまた豪華な内容で、これまでBBCでのパフォーマンスを収録。さらに、2010年のGlastonburyでのライブパフォーマンスまでフルで収録。 合計3時間以上のヴォリュームたっぷり。もうね、まさしく究極ですよ。
[DISC 2:DVD]
こちらへ→☆☆☆
●Sound Track『The Most Incredible Thing』● '11/3/14 ('11/3/16 on Japan) release
Pet Shop Bosがバレエのスコアを担当。って、これまた面白い試みだね。「戦艦ポチョムキン」でサントラを担当したのがいい機会になったのかな。 アンデルセンの物語をベースにしたストーリーを飾る音。でもって、これまた面白いトラックの数々で、しっとりオーケストラを操ったり、 はたまたお得意の打ち込みを加えたり、本当にバレエなの?と驚いてしまうような数々のトラック。ブックレットには簡単なストーリーも記載されているので、 合わせて楽しむのが良さそうですね。
●Compilation Album『Format』● '12/2/6 on Japan release
Pet Shop BoysのB面集第2弾。このネーミングセンスがまたいいよね。CDをリリースするに連れて、 CD以外にもDVDシングルやダウンロードなど、 音楽を取り巻く環境やアイテムが様々に変わりゆくことから、付けられたタイトル「Format」。 今作は、「Bilingual」収録のシングル「Before」から、「Yes」収録のシングル「Did you see me coming?」までのB面ナンバーを惜しみなく収録。 ただ、何曲かは収録から外されてしまっているトラックもあり、これは残念。シングルA面曲よりかは地味な感じだけれども、でもA面に匹敵するような曲も何曲かはあるんだな。 ブックレットでは、2人の楽曲制作秘話も掲載されていたりと、実に興味深い作品となっています。