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Cover Album『歌窈曲』● '12/4/18 release

一青窈の初となるカバーアルバムは、昭和歌謡にスポットを当てての選曲。そして、自身の名前を重ねての「歌窈曲」。 「新歌謡」「進化窈」を掲げていた一青窈だったけれども、まさしく進化した歌謡曲を聞かせてくれるカバーアルバムとなりました。 アレンジが大胆に変わっていて、少々歌謡曲の味が薄くなったけれども、元々この人が持つヴォーカル特有の味が新しい味付けをしてくる。 いいアレンジもあれば、この曲はどうなの?というアレンジもあるけれども、トータルとしては、まぁまぁいい方なのかな。 小林武史に武部聡志、紺野紗衣などが手掛けては、あの頃へと蘇らせるような、夢見心地にさせてくれる。 初回盤には、さらにライブDVDを付属。カバーパフォーマンスを抜粋しての収録で、見応えがあります。

1. 喝采

作詞:吉田旺 作曲:中村泰士 編曲:紺野紗衣

しっとりピアノのイントロで、一体なんの曲かと思えば、ちあきなおみ「喝采」のカバーでしたか。 歌い方は歌謡曲していますが、アレンジがずいぶんと上品ですね。上手いし綺麗な曲だけれども、あの歌謡曲テイストの温度がなくて、ちょっと残念かな。

2. 他人の関係

作詞:有馬美恵子 作曲:川口真 編曲:小林武史

小林武史のアレンジで蘇る「他人の関係」。このねっとりとしたテイスト、これだよね、これ。 ちょっとロックなテイストもあり、なかなかかっこいいアレンジとともに、艶めく一青窈のヴォーカルがいい味を出す。

3. 終着駅

作詞:千葉和也 作曲:浜圭介 編曲:紺野紗衣

しなやかなストリングスがドラマを作る。これは新たな世界が生まれた感じだね。一青窈のヴォーカルも、哀愁を漂わせては、じっくりと濃厚に。 見事な歌謡曲の世界を出してきました。

4. 赤い風船

作詞:安井かずみ 作曲:筒美京平 編曲:武部聡志

武部聡志のアレンジが少々牧歌的で、のびのびしているね。浅田美代子の代表曲。この歌、ずいぶんとメロディが掴みにくいことがわかるね。 飛び飛びで、一歩間違えれば音程を外してしまう、怖い曲でもある。一青窈もなんとか頑張っている感じ。

5. 星影の小径

作詞:矢野亮 作曲:利根一郎 編曲:武部聡志

ヴォーカル&コーラスで夢見心地な世界へと連れて行ってくれるアレンジ。川江美奈子のコーラスワークが冴えているね。 なんか歌謡曲というよりかは、別の世界の曲になってしまった感じではある。

6. 逢いたくて 逢いたくて

作詞:岩谷時子 作曲:宮川泰 編曲:武部聡志

ジャジーなテイストでおしゃれに仕上げたナンバー。武部聡志がいい仕事をしていますね。 ゴージャスなんだけれども、上品さも漂う。一青窈のヴォーカルも、味わいがあって、あの頃へと連れ戻してくれるようだ。

7. 天使の誘惑

作詞:なかにし礼 作曲:鈴木邦彦 編曲:武部聡志

GS風味の味付けイントロがなかなかいいね。このアレンジは、結構しっくり来る。一青窈の艶のあるヴォーカルも、うまく浸透しているね。 聞いていても楽しくなってくる。

8. リンゴ追分

作詞:小沢不二夫 作曲:米山正夫 編曲:紺野紗衣

ピアノをメインにしたアレンジで、美空ひばりのナンバーをカバー。う~ん、もう歌謡曲から別の世界へといくアレンジだな。 アカペラヴォーカルで始まった後は、とってもクールなジャズテイストで。語りのパートはさすが、一青窈の世界が出ています。

9. アカシアの雨がやむとき

作詞:水木かおる 作曲:藤原秀行 編曲:小林武史

ジャジーナムード溢れるロックなアレンジ。一青窈のヴォーカルも、結構深めで、どっしりと聞かせてくれます。 小林武史のアレンジときたもんだ。サックスがまた、いい味を出す。

10. 竹田の子守唄

作詞:民謡 作曲:民謡 編曲:小林武史

民謡×一青窈×小林武史。ギターの音がまた、みずみずしくて湿り気があって、ざらりとした味付けがいいね。 全体的にもムードが出ていて、独特の世界を放ってきます。

11. 時代

作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき 編曲:小林武史

中島みゆきの名曲に一青窈が挑戦。小林武史のアレンジできましたか。う~ん、情の入り方が独特な中島みゆきと一青窈。 やっぱり力の差が出てきてしまいますね。アレンジは綺麗すぎる感じかな。ストリングスは美しいです。

[DISC 2:DVD]

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6th Album『一青十色』● '12/6/27 release

一青窈、活動10周年を記念してのオリジナルアルバム。様々なミュージシャン、作家などを迎えて作り上げた、その名も「一青十色」。コラボレーションの嵐で、様々な一青窈を楽しむことができます。 おなじみ武部聡志や小林武史のプロデュースナンバーを筆頭に、岡村靖幸、つんく、キノコホテル、渡辺真知子、マシコタツロウなどなど、 ヴァラエティ豊かな面々が、一青窈ワールドを造ります。先行ナンバー「dot the line」「とめる」「道案内」「愛と誠のファンタジア」も収録されている豪華盤。 前作オリジナル「花蓮街」は、かなりサウンドがあっちこっちへ行ってしまったアプローチだったけれども、今作は、まとまりがある方になったかな。 言葉の使い方や歌い方は、一青窈らしさにいっそう磨きがかかって、10周年のキャリアを思う存分発揮しています。 森本千絵がアートディレクションを手がけたジャケットも、随分と淡くファンタジックでいいですね。 初回盤は、PV5曲とライブ映像1曲を収録したDVD付き2枚組仕様。一青窈、なんだか踊りまくりだな。実は、体を動かすことが好きなんでしょうね、と思わせます。 前作アルバム収録のシングルナンバーPVも、今作に収録されていて、FOR LIFE時代のシングルをここで見ることができます。

1. らぶれたぁ

作詞:一青窈 作曲:マシコタツロウ 編曲:武部聡志 Produced by 武部聡志

イントロから切ないモードをぶつけてくる、アルバムのオープニングチューン。マシコタツロウの楽曲、武部聡志のアレンジを支えに、一青窈の世界が広がっていく。 もうね、ラブレターを「らぶれたぁ」とひらがなで書くところで、一青窈節が全開なんだよね。それでいて、気持ちを込めた歌い方で、世界へと引き込まれていきます。安心するね。

2. Release me

作詞:一青窈 作曲:武部聡志 編曲:武部聡志 Produced by 武部聡志

イントロのギターがいいじゃないですか。味があるね。こちらは、武部聡志が曲とアレンジ、プロデュースを手がけたミディアムバラードナンバー。 歌詞の世界も、意外と切なさがありますね。束縛されていたのか、主人公は。一番最後の言葉が、グサッと胸に刺さってきます。

3. 悲しみジプシー

作詞:一青窈 作曲:つんく 編曲:紺野紗衣 Sound Produced by 紺野紗衣

これまた、面白い組み合わせの登場だ。作曲を手がけたのがつんく。この化学反応で聞かせてくれる、メランコリックなナンバー。 情熱が情念へと変わってゆくような、雰囲気に呑み込まれていきます。ストリングスとメロディオンの音も効果的に響きます。 ドラムをガツンと叩いてきてもいいくらいだよね。そうすれば、もっと盛り上がると思うんだけどな。沸騰直前の、静かな情熱ジプシー。

4. とめる

作詞:一青窈 作曲:小林武史、武部聡志 編曲:小林武史、武部聡志 Produced by 小林武史、武部聡志

両A面扱いのナンバー。一青窈の真骨頂でもあるバラードナンバー。 小林武史と武部聡志によるメロディとアレンジは、とにかく強力。これぞ一青窈だと言わんばかりの輝きを放つ。 歌詞の世界は、もはやいうことなしの一青窈ワールド。独特の言い回しを使用したラブソング。ドラマティックに盛り上がります。

5. 愛と誠のファンタジア

作詞:一青窈 作曲:小林武史 編曲:小林武史 Produced by 小林武史

両A面のシングルナンバー。こちらは映画の主題歌。 淡々としたメロディパートが進行していき、サビでは大きく変化して盛り上がってゆくバラードナンバーです。小林武史のメロディが、なんだかSalyuが歌っていてもいいかな、なんて思わせたり。 そして注目すべきはCメロパート。柏原収二がゲストヴォーカルとして参加し、ポエトリーリーディングを 一青窈とデュエットで聞かせてくれるんですよ。この組み合わせが意外でなかなか面白い。

6. パラソル哀歌

作詞:阿久悠 作曲:マリアンヌ東雲 編曲:マリアンヌ東雲 Sound Produced by マリアンヌ東雲

一青窈が阿久悠の歌詞を歌い上げる歌謡ロックチューン。艶かしくもあり、エロティックでもあり、色っぽさが際立つ歌い方になっていますね。 キノコホテルの面々が、これまたいい仕事をしているんですよ。女の面を、ここぞと前に出しています。いやぁ、強力です。

7. Lesson

作詞:一青窈 作曲:岡村靖幸 編曲:岡村靖幸 All instruments played, Arranged, Produced by 岡村靖幸

一青窈×岡村靖幸という、斬新なコンビネーションでお送りするナンバー。 もうね、イントロから岡村ちゃん節が炸裂。言葉よりも曲の方がインパクトあるね。岡村ちゃん本人もコーラスで参加していて、 かなりやられます。間奏のトランペットも、いい感じに吹き上げています。とにかく、ここぞとばかりにファンキーな一青窈がいます。

8. dots and lines loves Mummy-D (ライムスター)

作詞:一青窈、Mr. Drunk 作曲:小林武史、Mr. Drunk 編曲:小林武史 Produced by 小林武史

カバーアルバム「歌窈曲」を経て、一青窈の新たな世界を開くような衝撃的シングル。濃いラップ。まさかのライムスターのMummy-Dとの共演はすごいなぁ。 そして、トラックもすごくダーク。小林武史ならではの妖しさを放出するアップテンポチューン。アニメのタイアップが付いているところにも驚き。 Mummy-Dのラップはさすが、どんどおんと湧き出てくる言葉の波に呑み込まれますね。

9. 泣きべそ

作詞:一青窈 作曲:小林武史 編曲:小林武史 Produced by 小林武史

小林武史が作曲、編曲、プロデュースを手がけたバラードチューン。もうね、一青窈×小林武史の王道を行く、切なさで訴えかけて来るようなナンバーだね。 少々、異国情緒感を出しては、スパイスに。ストリングスもいい味が出ているね。テーマがなんだか壮大で、ドラマティックに聞かせてくれるところもポイントだ。

10. ゆりかご

作詞:一青窈 作曲:武部聡志 編曲:武部聡志 Produced by 武部聡志

こちらは、武部聡志による作曲、編曲、プロデュースナンバー。歌い方に気持ちがこもっていて、一青窈が情で訴えかけて来るようなバラードチューン。 幸せになりたい、という気持ちが伝わってきては、その世界に入ってしまいますね。やはり、言葉の重みを伝える一青窈の力がすごいな。

11. マフラー

作詞:一青窈 作曲:堀込泰行 編曲:冨田恵一 Sound Produced & Arranged by 冨田恵一

一青窈と冨田恵一とのコラボとは、これまたいい感じに仕上がりましたね。 しかも、作曲が堀込泰行ですよ。見事なA.O.R.仕様で、かっこ良くてシブくて、いいね。丁寧な音作りの姿勢が、曲からドッと伝わってきます。 詞はなんだか、いろんな思いが詰まっているんだけれども、逆に濃過ぎにも感じるんだよね。

12. あたしだって

作詞:一青窈 作曲:渡辺真知子 編曲:紺野紗衣 Sound Produced by 紺野紗衣

作曲が、あの渡辺真知子と来たもんだ。すごいね、カモメも飛び出しそうだね。メロディは丁寧なラインを辿るミディアムチューン。 うっとりする仕上がりのアレンジで、大人のポップスといった雰囲気です。女の意地、みたいなものを出した歌詞は、さすが一青窈だな。

13. 道案内

作詞:一青窈 作曲:小林武史 編曲:小林武史 Produced by 小林武史

前作「dots and lines」のリリースから間髪入れずに、一青窈が更なるシングルをリリース。しかも両A面という、力の入れようだ。 こちらの曲は、王道なバラードナンバーを、一青窈の世界で包み込む壮大な曲。ボレロっぽいリズムは、どこかしら以前リリースした「うんと幸せ」に似た雰囲気もあるね。 そして、優雅で豪華なアレンジが大きく盛り上げる。さすがは小林武史だな。一青窈の表現力を飾り立てる音が流れるナンバーです。

[DISC 2:DVD]

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Cover Album『ヒトトウタ』● '15/7/29 release

一青窈のカバーアルバム第2弾。今作は、前作の昭和歌謡のような括りはなく、幅広い選曲となっています。 で、一番最初に配されたのは、自身のヒット曲「ハナミズキ」のセルフカバーです。歌い重ねることで、より熟成されたセルフカバーになっています。 そのほか、大滝詠一「幸せな結末」はちょっとロック寄りだったり、小田和正「たしかなこと」は透き通る歌声を聞かせてくれたり、秦基博「アイ」、PRINCESS PRINCESS「ジュリアン」、 中島みゆき「糸」などなど、一青窈の味付けでじっくりと聞かせてくれました。 最後に「ハナミズキ」の中国語バージョンをボーナストラックとして収録。より一層、曲の味わい深さが堪能できる作品ですね。 初回盤は、アルバム「私重奏」を引っ提げたツアーのライブから、数曲を抜粋したDVD付きの2枚組仕様となっています。

1. ハナミズキ

作詞:一青窈 作曲:マシコタツロウ 編曲:武部聡志

一青窈の代表曲を初めてセルフカバー。やはり歌い重ねるごとに、熟してきたような気がするね。 そして、堂々と自信を持って届けられているようだ。さらに、森村学園の合唱部を迎えて、2番からはコーラスを分厚くしてきました。感動一直線です。 ラストのサビは、アカペラ&コーラスから、クロスフェイドなしの流れというのが興味深いね。

2. 幸せな結末

作詞:多幸福 作曲:大瀧詠一 編曲:遠山哲朗

レトロな歌謡ロックテイストで聞かせてくれるアレンジ。実に不思議。なんか、このアレンジと一青窈のヴォーカルの相性が今ひとつ結びつかないんだな。 ちょっともったいないカバーになってしまった感じ。

3. たしかなこと

作詞曲:小田和正 編曲:本間昭光

小田和正のナンバーをアコースティックベースで聞かせてくれるカバー。時計の音のようなプログラミングが、ちょっと気になりすぎる。 一青窈のヴォーカルは、まるで自身の曲のように、歌い上げるテイスト。安らぎがあります、包み込まれます。

4. Everything

作詞:Misia 作曲:松本俊明 編曲:武部聡志

Misiaと一青窈の結びつきが面白いな。イントロからムードたっぷりのジャジーなテイストで、しっとりと聞かせてくれます。 ムードたっぷりだから、ついつい引き込まれて聞き入ってしまう。

5. アイ

作詞曲:秦基博 編曲:川江美奈子

オープニングからアカペラコーラスでうっとりとさせてくれる。選曲が比較的新しいからか、なんか新鮮に映えるね。 これはもう、川江美奈子のコーラスアレンジがある意味勝利ですな。

6. ジュリアン

作詞:中山加奈子 作曲:奥居香 編曲:根岸孝旨

オリジナルを再現するかのようなロックなアレンジ。さすがは根岸孝旨。ギターのエッジを効かせては、響きまくりですね。 いいメンツを揃えてきました。これはもう、世代によっては涙ちょちょぎれですね。

7. 瑠璃色の地球

作詞:松本隆 作曲:平井夏美 編曲:武部聡志

これまた、美しいピアノをバックに、歌をじっくりと聞かせてくれます。武部聡志のピアノがまた、滑らかで染み渡るんだ。 一青窈のヴォーカルは、やはり本人の味が出まくっていますね。ちょっと和な要素。松本隆の言葉が、より輝いてくる。

8.

作詞曲:中島みゆき 編曲:武部聡志

この曲も幾多数多ですね。イントロでフルートが登場しては、差別化を図るアレンジ。こちらも丁寧な演奏で、じっくりと聞かせてくれるカバーです。 原曲がやっぱりいいからね、聞き入ってしまいます。

9. ロマン

作詞:須藤晃 作曲:玉置浩二 編曲:田中義人

優しいアコギの音から始まり始まり。こちらの選曲もなかなかですね。オリジナルはクセの強い玉置浩二なんだけれども、 こちら一青窈も世界を出してきますね。2番はアンビエントなテイスト、この変身にはびっくり。田中義人、なかなかやるなぁ。

10. 青春の影

作詞曲:財津和夫 編曲:遠山哲朗

始まりはどっしりと、エッジを利かせてきたけれども、歌が始まると、アコースティクな味わいでじっくりと聞かせてくれます。 後半からは、よりどっしりと、重みが加わり、歌詞とヴォーカルが一層伝わってきますね。

Bonus Track. 四照花 (ハナミズキ Chinese Ver.)

訳詞:一青窈、曲世聰、田原

中国語バージョン。これは全く、違和感なく聞くことができてしまう。さすが一青窈ですね。 言語が違えど、感動は伝わってきます。アレンジもシンプルかつゴージャスに。なかなかいい感じだ。

[DISC 2:DVD]

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