commmons

Album『cendre / fennesz+sakamoto』● '07/3/28 release

ラップトップミュージシャンとして名を広めるChristopher Fenneszと、坂本龍一のコラボアルバム。 全11曲中、10曲はFenneszのトラックの上に、坂本龍一がピアノをかぶせた、Fennesz主導ナンバー。 独特の世界、ノイズやエレクトロニカをふんだんに盛り込んで、静と動を行き来する中で、坂本龍一の繊細なピアノの音が絡み合い、アンビエントに展開する。 静かで淡々としていて、劇的変化はあまり見られないけれども、ニヤリとかクスリとか、小さな変化を楽しむみたいな。派手さよりもミニマルな部分を味わえるコラボ作品になったのではないでしょうかね。 ラストチューンが坂本龍一先導となった曲で、ピアノ旋律を滑らかに聞かせながら、エフェクトを効かせた独特の世界が広がってゆきます。

1. oto

Songs:Fennesz+Sakamoto

静かに、そして淡々と。ゆったりと音を運んでくる癒しのミュージック。無機的サウンドと有機的ピアノメロディが織り成すハーモニー。 坂本龍一のピアノが加わることで、音としての生が出てきているようだ。

2. aware

Songs:Fennesz+Sakamoto

切なくも悲しい音。「あわれ」を表現するには、あまりにも美し過ぎて、聞いているこちらが哀れな思いをしてしまう1曲。 奥底に添えられたエフェクトやノイズとともに、坂本龍一のピアノが彩りを加える。

3. haru

Songs:Fennesz+Sakamoto

滑らかで繊細な坂本龍一のピアノの音と、アンビエントなバックのトラックが絡み合うミディアムチューン。 息吹を感じさせるサウンドに、生を与えるかのような坂本龍一のピアノが美しく広がる。

4. trace

Songs:Fennesz+Sakamoto

ノイズの波を泳ぐように、間をくぐって後を辿って、坂本龍一のピアノが妖しく注がれる。時にスリリングに入ってくるノイズが、ピアノの鋭さといい勝負。

5. kuni

Songs:Fennesz+Sakamoto

淡く広がる音の波に、体を委ねるかのような1曲。ノイズの生み出す静と動をうまく操り、ピアノが点と点を結ぶ。2分少々で完。

6. mono

Songs:Fennesz+Sakamoto

広がるノイズの海に飛び込む。躍動感たっぷりの坂本龍一のピアノ。 弾けるかのように挿入されては、色を添えてくる。やがてドラマティックな世界が広がってゆく。

7. kokoro

Songs:Fennesz+Sakamoto

エッジが効いているノイズと、繊細なピアノが絡み合うナンバー。鋭さがあって、かっこいいね。期待と不安が入り交じるかのような、まさしく心を表す1曲。

8. cendre

Songs:Fennesz+Sakamoto

アルバムのタイトルチューン。まさしくエレクトロニカを表す1曲だね。 ピアノとかギターで音を作り出していながらも、そんな音を感じさせない2人の巧みな音作りがすごい。

9. amorph

Songs:Fennesz+Sakamoto

深く、淡く、重く。包み込むかのようなサウンドが、もわっと前に立ちはだかる。 そして、視界を曇らせては、違う世界に見せるかのように。ノイズ度が高いナンバーだね。

10. glow

Songs:Fennesz+Sakamoto

Fenneszのギターvs坂本龍一のピアノ。躍動感と繊細さが交差するノイジーなエレクトロニカチューン。 時に攻撃的にしかけてきて、時に優しく語りかける。いろいろな様相を見せて、成長していくトラック。

11. abyss

Songs:Fennesz+Sakamoto

アルバムのラストトラック。坂本龍一のピアノトラックに、Fenneszが音をかぶせたナンバー。 これ以外の曲と比べると、旋律があるからか、よりいっそう繊細さが伝わってくるね。 そして、ノイズが散りばめられながらも、大衆性を帯びているような気がするね。坂本龍一的な曲に仕上がっています。

Album『OCEAN FIRE / WILLITS+SAKAMOTO』● '07/10/17 release

Alva Noto、Fenneszに続いて、坂本龍一がコラボしたのは、Christopher Willits。壮大で、アンビエントな音の波間を泳ぐように展開。 ゆっくりと浸透してくるかのように、安らぎとノイズ/エレクトロの独特の不安感をミックスさせて、淡々と進行。しかし、Willits先行型とも言えて、坂本龍一らしさというのが、ちょっと覗きにくいと感じるかも。 例えば、前作Fenneszのようなピアノの音がはっきりとわかるようなトラックがないので、全体を包み込む電子音から、両者のコラボレーションの良い点が見えにくいのが難。 壮大で近寄りがたい大きなモノを生み出していることは間違いないけれども、大き過ぎて逆に近づき難い。その世界にただただ身を委ねるだけである。

1. Toward Water

Songs:Willits+Sakamoto

壮大、そしてダイナミックなサウンドを繰り広げるエレクトロニカ。ピアノの旋律などいっさい登場しない感じで、8分間の浮遊。 独特の世界が広がります。振動というか、揺らぎというか。どちらかと言えば、弦寄りの音が奥底から伝わってくる感じですかね。

2. Umi

Songs:Willits+Sakamoto

壮大にノイズが広がるエレクトロニカ。不協和音でもなく、雑音でもなく。不思議と、その世界にのめり込んでしまうようなサウンドだね。

3. Sea Plains

Songs:Willits+Sakamoto

ジワジワと押し寄せてくるようなノイズの波に、身を委ねる1曲。なおかつ、重たくのしかかってくるような、ヘビィな1曲でもある。 深く深く潜り込むかのように、中盤では、大きな波がやってくるかのように、音に呑まれる。その後は大海に漂うように。9分の大作。

4. Sentience

Songs:Willits+Sakamoto

ざわつくようなノイズの音に、不安感というか、心をかき立てられるというか。 その奥に秘めたるドラマティックなサウンドは、神秘的なんだけれども、ノイズ/エレクトロニカの表現がやっぱり難しいよな。後半でようやくメロディアスな面が前に出てきたね。

5. Chi-Yu

Songs:Willits+Sakamoto

一歩超えたその先の音を届けるようなナンバー。壮大で神秘的な雰囲気や、アンビエントなテイストで曲の世界に呑まれてゆく。 心地良いノイズ/エレクトロニカが押し寄せてくる約8分。

6. Cold Heat

Songs:Willits+Sakamoto

不安をかき立てるような、壮大なサウンドで繰り広げるエレクトロニカ。一定に進行しているかのように思えて、上がったり下がったりしているね。

7. Ocean Sky Remains

Songs:Willits+Sakamoto

煌めくような輝きを放ちながら、進行するトラック。まるで魔法にかけられたようなサウンドが時々覆ってくる。 その音の波をくぐり抜けながら、泳いでいくように。アンビエントのように、浸透していくね。

Sound Track『SILK』● '07/12/12 release

坂本龍一が2作のサウンドトラックを同時発売。こちらの、映画「SILK」のサウンドトラックは、これぞ坂本龍一なピアノの音と、オーケストレーションが融合する、繊細で美しい作品。 映画の内容も日本と世界を架け橋にしていて、曲の方も、和と洋をうまくミックスさせたような世界を構築する。そして、時にダイナミックに音をぶつけてきては、映画の世界を力強く物語る。 むしろ、映画を超えるような曲で耳に届けられます。映画のタイトルのように、肌触り、耳触りのよい音楽に、坂本龍一の業が光ります。 「The Last Emperor」まではいかにものの、壮大で荘厳な雰囲気で包み込んでくるようです。それにしても、同発となった「トニー滝谷」とは、全く持って違うサウンドアプローチです。

Sound Track『トニー滝谷』● '07/12/12 release

映画「トニー滝谷」のサウンドトラックを坂本龍一が担当。しかし、CDとして作品になって世に出回るのは、映画の公開から随分と時間が経ちましたね。 市川準監督がブックレットの解説で語る「無くてもよかったな」と思うような音楽の制作依頼を受けて、誕生したのがこの曲たちなわけで。 確かに、しっとりと、ゆったりとしていて、暗いながらに坂本龍一らしさがある。眠りに陥るようなアンビエントなテイストもあるけれども、やっぱり映画の曲という認識を呼び起こす。 派手ではないけれども、映画を構築する役割はしっかりと果たしていますね。同時発売となった、こちらも映画のサウンドトラック「silk」と聞き比べると、 随分と違う作品だとわかりますね。それでも、作曲者は同じですから、すごいですよね。

Maxi Single『koko』● '08/3/19 release

koko

Music Composed, Performed & Produced by Ryuichi Sakamoto

坂本龍一、commmonsに移籍してからの初となるシングルは、「ウラBEEB」を思わせる、ピアノで聞かせる3曲入り。 メイントラックは、美しいピアノの旋律を奏でるナンバーです。深みのあるピアノの音と、何かを蘇らせてくれるような、叙情的なメロディに涙です。 なぜ、こんなにも繊細で、なぜ、こんなにも温かいのだろうか。1音1音に気持ちがこもっていて、美しくもはかないイメージがゆっくりと通り過ぎてゆく。

ropa

Music Composed & Performed by fennesz + Sakamoto

ゆっくりと静かに。フェネスとサカモトによるトラック。坂本龍一のピアノがしっとりと響き渡るとともに、ノイズエフェクトを組み込んで、不思議な世界を演出する。 全体的には深いイメージが広がりますね。

dancing in the sky

Music Composed, Performed & Produced by Ryuichi Sakamoto

軽やかに弾むピアノナンバー。坂本龍一の曲にしては、ちょっと珍しいかも。ポップに進行するんだけれども、意外とあっさり目。 そして、すぐに終わってしまう小曲です。

DVD『PLAYING THE PIANO/05』● '08/3/19 release

坂本龍一、久しぶりとなるライブ映像作品は、アルバム「/05」を引っ提げて行われたツアーより、2005年12月22日に東京国際フォーラムで行われたコンサートの模様を収録。 オープニングでこの公演における環境的配慮を示すところが、坂本龍一的ですごいよね。会場のほうも、必要最低限の照明や、キャンドルを使って、極力無駄な電気を使用しないようにしている。 そして、演奏の方は、これまた坂本龍一の世界観が出まくり。ピアノの1音1音に込められた、坂本龍一の魂が、ダイレクトに観客に、リスナーに届く。 2台のピアノを使ったり、バックのスクリーンに映し出された映像と音を重ねたり。「Asience」「Undercooled」「Energy Flow」「Tibetan Dance」「Riot in Lagos」「Happyend」などなど、 新旧の代表曲を織り交ぜて魅了させてくれます。やはり、この世界は坂本龍一だからこそ。素晴らしい。 副音声では、坂本龍一がライブの解説をしてくれます。さらには、秘話もあって、なかなか聞き応えがあるんだ。 一部レビューで、音ズレが気になる、と指摘があります。確かに、若干感じる部分があるけれども、許容範囲内かな。後半はそこまで感じなかった。

2005年12月22日。国際フォーラムでのライブ。坂本龍一が登場し、M-1からスタート。ピアノにキャンドルを置いて、しっとりと弾き始める。左手にはホワイトバンド。懐かしいね。ゆっくりじっくり、思いを込めて。弾き終わって、自身溢れる顔を見せた。 秘めたる情熱を放出するM-2。柔らかくも力のある音が響き渡る。後ろの輪のような映像がいいね。 曲の世界観がどっと広がるM-3。和的繊細な音が広がってゆく。 ピアノのみのアコースティックスタイルでM-4。オリジナルとガラッと印象が違って、しっとりとしながらも訴えてくるように。

MC。今回のライブについて。環境への配慮を説明。さすがは坂本龍一だ。ライブをしなければ、CO2の排出もないって、確かに。

しっとりと聞かせてくれるM-5。 ゆったりと、時に力強い演奏のM-6。坂本龍一の表情も、世界に入っている証拠ですね。 時にリズミカルなM-7。そして、熱い演奏だったり。静と動が折り重なる。 そしてM-8。ラテンの心をくすぐりながら、美しく繊細に聞かせてくれます。

MC。お香について。リラックスして演奏ができるようです。

そしてM-9。まさしくリラックスな1曲。曲の世界へと引き込まれてゆく。もう、染み込んでくるようだね。

MC。健康や加齢について。時に笑いが起こって、楽しませてくれます。

映画の曲からM-10。印象的なメロディーがじわりじわりと美しく響きますね。 そして名曲M-11。前半の静けさ、後半の激しさがドラマティックに盛り上げてくれる。やはり拍手の音が大きいですね。 さらに映画曲のM-12。やっぱり荘厳な雰囲気が漂いますね。後半の力強さがとってもかっこよく出ていますね。

MC。喉を潤す坂本龍一。2台のピアノについて。

そして、2台のピアノを使用してM-13。画面を分割して見せてくれたりも。

MC。次曲について。

激しさを伴うM-14。初期の頃のナンバーが、ピアノ2台を使って演奏とは、なんだかすごいね。荒々しさ、混沌とした雰囲気を出してきましたね。 ピアノが弾みに弾むM-15。2台のピアノが合わさって、巧みな音色を響かせる。リズミカルに。引き終わった後、ステージを後にした。

即アンコールに応える坂本龍一。ちょっと喋ってからM-16へ。これまた、ピアノの弾む音がいくつも重なる演奏でじっくり聞かせる。坂本龍一が滑らかに弾き始めると、ちょっと印象が変わるね。 そして、名曲M-17もピアノでザックリと。力強い演奏と繊細な演奏が重なり合っては、緊張感を生み出す。後半では足も入れて。

またまた去って、また戻ってきて。そして喋る喋る。そしてしっとりとM-18を。 そして、さらにしっとりした世界のM-19。後方スクリーンの映像とともにグッと聞かせてくれました。客席から花束を受けてステージを去る。

またまたアンコールに応えて再登場。そして、M-20をしっとりと聞かせてくれます。 そして去って、また登場。とにかく客の期待に応えてくれた坂本龍一。M-21を、最初はしっとりと、情緒豊かに。後半で盛り上がって昇天です。

Album『out of noise』● '09/3/4 release

坂本龍一、commmonsに移籍後、初となるオリジナルアルバムは、前作「CHASM」から5年ぶり。今作は、まさしく「ノイズ」を主体とした「音」の作品。 「音」から「音楽」への移行過程を味わえるようなアルバムかな。でも、オープニングナンバーの「hibari」は、まさしく坂本龍一なピアノ作品なんだよね。そして、全体的には静かな曲が多い。 アンビエントやエレクトロニカの路線を漂い、聞く者を心地よくさせるのか、退屈させるのか、際どい展開で聞かせる。 環境音楽のような面も見せる。実際、北極まで出向いて音を録る作業も行っていて、音へのあくなき探究心をここで堪能できる。しかし、坂本龍一の行く道はわからないね。 ピアノメロディをゆったりじっくりと聞かせてくれると思いきや、環境ヒーリング、ノイズ、アンビエント等、ジャンルにとらわれない音を提供してくれる。 今作は2形態での発売。環境に配した簡易包装盤は、とにかく無駄を省いて、パッケージレス。環境を考える坂本龍一ならではのアイデアだね。 特装版は、とにかく豪華。坂本龍一への一問一答や、ライナーノーツ、参加ミュージシャンの紹介などを掲載したフォトブック付き。カーボンオフセットなので、こちらも環境を考えての作品でもあります。

1. hibari

music by ryuichi sakamoto

シングル「koko」で聞かせてくれたような叙情深いピアノナンバー。しっとりしなやかに、これぞ坂本龍一な美しいメロディを聞かせてくれる。 ただ単なる繰り返しと思いきや、少しずれを生じさせるように音が入ってきては、絶妙な曲へと昇華させる約9分の空間。

2. hwit

music by ryuichi sakamoto

弦楽器のビオールだけを使って聞かせるナンバーは、繊細ながらに鋭く、時に深く突き刺してくるような重たさもある。 曲の持つ力を思う存分味わえるね。坂本龍一は演奏に参加していないんだね。

3. still life

music by ryuichi sakamoto

この曲もビオールのしなやかさが舞うナンバー。坂本龍一のピアノも静かに入ってきます。不思議な世界といいますか、 アンビエントな世界といいますか。かすかに聞こえる和楽器の笙がポイントですね。

4. in the red

music by ryuichi sakamoto

キーボードの柔らかい音が時に力強く聞こえる。こちらも、ちょっとアンビエントな雰囲気を放つナンバー。 時々、男性の声が挿入されたり。これまた不思議な空間、独特な空間が生まれる。

5. tama

music by ryuichi sakamoto, tamami tohno, rob moose

シャカシャカと響く音。幻想的に広がる音に、笙の音も響き渡り、夢の世界というか、幻想的な世界というか。 現実にはない世界の構築を音で表しているかのような感じで聞かせてくれる。

6. nostalgia

music by ryuichi sakamoto

優しい寂しい坂本龍一のピアノの音が響き渡るナンバー。何かを懐かしむように、1つ1つの音に込められた思いを広がらせるように。 その周りに漂うサウンドが幻想的。

7. firewater

music by ryuichi sakamoto

とてつもない音が一気に押し寄せてくるような展開。ノイズの波なのか、とにかく音にやられる。東大寺で録音された神楽の音も入っているのか。

8. disko

music by ryuichi sakamoto, keigo oyamada

ディスコ湾調査でお供した犬の鳴き声を見事に取り入れたトラック。幻想的に響き渡るギターの音やノイズの音とうまく絡み合い、 ごく自然な、それでいて雄大な広がりを見せる。

9. ice

music by ryuichi sakamoto, keigo oyamada

北極海の氷の音を取り入れたトラック。アンビエントな雰囲気を漂わせて、幻想的な世界へ連れて行ってくれます。 ひたひたと落ちる滴の音がまた、安らぎを与えてくれる。

10. glacier

music by ryuichi sakamoto, skuli sverrisson, ren takada

北極海三部作の締め。壮大な音が広がるアンビエントミュージックかな。 約9分半の流れを感じさせないつくり。途中でナレーションも入ってきて、グリーンランド語を聞かせてくれる。

11. to stanford

music by kotoringo

コトリンゴのナンバーを坂本龍一がカバー。美しくしなやかで繊細なピアノを聞かせてくれる。 やはり世界ができてしまうね。ピアノに込められた音の入りようで、ここまで印象が変わってしまうんだ。

12. composition 0919

music by ryuichi sakamoto

坂本龍一のピアノのみで聞かせてくれるトラック。しかも、激しく弾けて。ピアノを打楽器のように聞かせてくれます。 ノイズとメロディの狭間を行くようなナンバーで、衝撃を与える。

Live Album『Playing the Piano 2009 Japan』● '09/9/23 release

坂本龍一が2009年に行ったピアノソロツアーの音源を収録した2枚組ライブアルバム。しかも、坂本龍一自身の選曲ということもあり、各会場からのより抜きライブテイクを堪能できます。 選曲はもう、ベストオブ坂本龍一。「hibari」「composition 0919」など最新作「out of noise」からの楽曲や、「energy flow」「tango」「bibo no aozora」などソロを代表する曲、 おなじみの「戦メリ」「ラストエンペラー」はじめ、「self portrait」「thousand knives」などなど、とにかく選り取りみどりなオールタイムナンバーで構成。 さらには、観客から「東風」のリクエストもあったりと、随分と和やかです。今作は、ピアノのみというライブなだけあって、坂本龍一の演奏をとことん味わえる作品。 ただ、賛否があるのがこの録音。感度が良すぎるせいなのか、観客のくしゃみや雑音なども拾ってしまっているんだよね。 これを排除してくれればよかったんだけれども、こういう音までも惜しみなく収録。まぁ、この予期せぬ音もひっくるめてのライブなのかもしれませんね。 なお、このCDもカーボンオフセットということで、環境に配した作品となっております。

disc-1

坂本龍一のピアノをじっくりと聞かせてくれるM-1。少々、録音感度が良すぎなのか、物音や咳が気になるね。静寂の中に響き渡るピアノが目くるめく展開を聞かせてくれて、うっとり。 間髪入れずにM-2に突入。静けさの次にやってきたのは、まるで嵐。力強く弾むピアノの音が会場内の襲い掛かってきた。 再び静寂に包まれるM-3。ピアノの音が優しく語りかけてくれるように。ゆったりとメロディが流れる。 こちらもジワジワじっくりピアノの音を聞かせてくれるM-4。ただ、やっぱりあちこちから生じる音が気になってしまうね。せっかくの美しいメロディに水を差すかのように。 続けては、妖艶なM-5。またピアノ1本で不思議とムードが出ては盛り上がるね。後半はダイナミックに。この世界、すごいな。 同じく愛に満ち溢れたM-6。ピアノの1音1音から温もりが伝わってくるように。 こちらもピアノの世界を堪能させてくれるM-7。淡く優しく。

M-8も同様に、麗しきピアノの世界を聞かせてくれます。 M-9も味わい深い世界へ。音に深みがあるんだよな。本当に、教授の思いがどっぷりと入っているようだ。クライマックスの迫力がよかった。 続けては、癒しの名曲M-10。時に優しく、時に激しく。この曲の世界へとドンドンと引き込まれてゆく。 MCのM-11。客席から声が飛んでは、リクエストに応えて、ゆったりピアノソロで聞かせてくれます。即興でやっていうながらも、やっぱり弾き慣れているだけあって、なんか味があるんだよね。 そして、坂本龍一の代名詞とも言えるM-12。ピアノ1本でもスケールの大きさがよく表れている。1曲の中で展開されるドラマに感動ですね。 もう1つの映画曲M-13も、ピアノ1本ながら、映画さながらのダイナミズムを大胆にぶつけてくる。 ピアノの力強さが表れたM-14。弦で聞き慣れているせいか、ピアノのみでここまでアグレッシヴ、かつ繊細に聞かせてくれるとはね。時に激しく、時に優しく。

disc-2

映画のテーマソングM-1をドラマティックに聞かせてくれます。ピアノのみでのダイナミズムはすごいよな。 しっとり深い味わいが染み出すようにM-2。安らぎと切なさの同居のような感じで。 続けても映画のテーマ曲M-3。ピアノ1本のしなやかさがより際立つ曲だよね。 瑞々しさを添えてくるM-4。しっとりとしながらも、煌びやかに輝きを放つピアノが印象的。 これまた映画のテーマソングM-5も、前曲と同じような流れで。深みがありながらも、力強さを出したり、しなやかさを出したり。変幻自在だ。 初期のソロナンバーM-6。しっとりじっくりと聞かせてくれるように。ピアノの音が1枚の絵を描くように。途中のくしゃみにはちょっと残念。でも、その残念さをひっくり返すくらいに、曲のダイナミズムも見事に聞かせてくれました。 坂本龍一のソロ曲として定番になったM-7。ジワジワ染み込んでくるような妖しさと艶かしさが、ピアノを通して伝わってくる。それでいて美しくもはかない世界ができています。

オープニングで麗しきピアノが踊るM-8。そこから美しいメロディラインとともに、ピアノの音が届けられる。ちょっと神秘性のある流れにうっとり。そして拍手喝さい。 こちらも代表曲のM-9。2つのピアノを使い、自動演奏と連弾。巧みな絡みで楽しませてくれる。 ゆったりとした始まりでM-10。こちらも2台のピアノでの演奏だね。濃く軽やかに聞かせてくれます。 緊迫感漂うM-11。ピアノの音が次から次へとやってきては、スリリングに。静かになって終わったかと思ったら、再びまた浮かび上がってきました。 こちらも鮮やかなピアノ演奏で聞かせてくれるM-12。弾んだり、どっしりと音を奏でたり。ダイナミズムがあっていいね。 一転して、まるで子守唄のように優しく包み込んでくれるようなM-13。しっとりと奏でられるピアノの音にうっとりです。ちょっと悲しくはかなげなメロディも、スーッと体の中に染み渡ってくるように。

DVD『watch - ryuichi sakamoto playing the piano 2009 japan』● '10/3/17 release

坂本龍一のライブ映像作品。今回は、2台のピアノを使って、1台は本人が、、もう1台は自動演奏で聴かせてくれるスタイル。 「out of noise」収録曲や代表曲を網羅し、魅了してくるステージで、坂本龍一の気迫が感じられるステージですね。 「美貌の青空」や「SELF PORTRAIT」「tango」「Thousand Knives」「aqua」など、その世界へと引き込まれます。珍しく「戦メリ」がセットリストから外れて、収録されていないところも気になりました。 シンプルだからこそ、際立つピアノ演奏。ピアノ2台のみで、スクリーンもそこまで派手に飾っているわけではないので、じっくりとステージに集中できるのかもしれませんね。 ただ、ところどころ、アングルに難があるね。ボーナストラックにはツアードキュメントが収録されてい、素の坂本龍一を覗くことができます。

暗いステージに響き渡るM-1からスタート。水の滴る音が、心地よさを届けてくれる。幻想的で想像力をかきたてる。ピアノの操り方も独特です。そして、ナレーションが流れる。しばし、ピアノと戯れる教授をご覧ください。 ピアノの旋律が美しいM-2。自動演奏のピアノとの共演で聴かせてくれます。同じようなメロディの繰り返しの中にも、味わいや深みを伝えてきます。終わり方も突然です。 ゆったりしっとりM-3。時に激しく力強く、そして優しく柔らかくて、ピアノならではの音使いで魅了してきます。 ちょっと懐かしいナンバーM-4も、ピアノのでうっとりさせてくれます。教授も眼鏡をかけて細かい音符も注視。 なめらかな演奏でM-5。優しく柔らかい音色がゆっくりと届けられる。バックスクリーンもキラキラしているね。 映画のエンドロールナンバーM-6。しなやかでゆっくりと、繊細な音で魅了してきます。そして、時に激しくヤマ場を迎えて、再びしっとりと。 艶かしく妖艶に聞かせてくれるM-7。ゆったりと、っそいてなめらかな音の流れに、身を委ねるかのような流れにうっとりです。聞き入ってしまうね。 同じく、代表曲となったM-8。物悲しく、陰鬱な雰囲気を麗しく奏でるピアノのマジックに包み込まれます。ただ、自動演奏とのテンポが、なんだかズレている感じにも聞こえてしまい、気持ちが悪い。弾き終わって観客にお辞儀を。

しっとりとM-9。ゆったりのっしり、上品かつ大胆に。 坂本龍一の世界を堪能できるM-10。映画のテーマ曲なだけに、山あり谷ありの流れが本当にかっこいい。引き込まれる。 初期のソロナンバーM-11も、ピアノ1本で鮮やかに。躍動感と繊細さが交差する美しい曲だね。坂本龍一の頭頂部からのアングルは、すごいね。指先の動きも見ることができます。 2台のピアノと息の合った演奏が続くM-12。味わい深いメロディを聴かせてくれては、引き込む坂本龍一ワールド。しなやかな演奏が美しさを際立たせる。和音パートのどっしりとした演奏がいい味を出します。 軽やかに弾んで楽しく聴かせてくれるM-13。後半に行くにつれて、坂本龍一の体もリズムに乗って、楽しそうに見えてきますね。そして、演奏後は立ち上がってお辞儀。ステージを去って行きました。

これまた代表曲M-14。軽やかで緻密なメロディを奏でるピアノ演奏で、じっくりと聴かせてくれます。わざとずらして聞かせるパートの緊迫感がすごかった。 瑞々しくM-15。しなやかで美しく、まさしく水の中を漂うような音色に惹かれます。ただ、最後の演奏が終わって、お礼をする姿が後ろからっているのがなんだかな。

Album『UTAU / 大貫妙子&坂本龍一』● ' 10/11/10 release

坂本龍一と大貫妙子によるプロジェクト。坂本龍一の楽曲に歌詞をつけて、「歌」に焦点を当てた作品です。 大貫妙子のヴォーカルは、ただ単に聴かせるだけではなく、言葉を丁寧に伝えているように思えます。 坂本龍一の奏でるメロディも効果的に。「美貌の青空」「Tango」「koko」などの坂本龍一のナンバーや、大貫妙子の曲、さらには童謡「赤とんぼ」などを、じっくりと味わい深く聞かせてくれます。 「言葉」を通して「歌う」ことの意味を伝えてくるような作品ですね。そして、あらためて大貫妙子のヴォーカルの持つ不思議な力を感じます。包容力があるというか、なんだか温まる。 2枚組バージョンは、インストCDを付属。ただ、こちらに「aqua」が収録されているのに、歌入りバージョンには未収録というのは残念だな。ぜひ、大貫妙子のヴォーカルでも聞いてみたかった。

1. 美貌の青空

words:売野雅勇 music:坂本龍一

妖艶で美しさが際立っていたナンバーが、大貫妙子のヴォーカルを伴うことで、非常に繊細かつ大胆な曲へと昇華した感じだな。 やはり坂本龍一のヴォーカルを聴かせてくれたトラックとはアプローチの仕方が違う分、印象がガラッと異なってくるね。 言葉1つ1つ、丁寧に伝えてくるような歌い方に、世界へと引き込まれます。

2. Tango

words:大貫妙子、Fernando Aponte music:坂本龍一

前曲同様、坂本龍一が歌っていたナンバーを、大貫妙子がおおらかに歌い上げる。 若干のズレにモヤモヤしたり、絶妙に感じたりもするけれども、言葉を通して、この曲の持つ美しさが、よりいっそう伝わってきます。

3. 3びきのくま

words:大貫妙子 music:坂本龍一

もともと、坂本龍一が発表していた「koko」という楽曲に、大貫妙子が歌詞をつけて歌い上げた1曲。 優しく情景を浮かばせるようなメロディで、言葉の力をより感じさせるようなヴォーカルで染め上げられた。うん、素晴らしいの一言。

4. 赤とんぼ

words:三木露風 music:山田耕筰

童謡「赤とんぼ」を2人で聞かせてくれます。美しさが際立った坂本龍一のピアノの音色に、寄り添うかのように響き渡る大貫妙子のヴォーカルに、まろやかに包まれていく。 幼い頃へと巻き戻してくれるような、安心感を覚えるね。

5. 夏色の服

words & music:大貫妙子

大貫妙子のアルバム「cliche」より。坂本龍一のピアノで、そのメロディも鮮やかになり、大貫妙子の言葉も1つ1つ味わい深さを伴って届けているようだ。

6. Antinomy

words:大貫妙子 music:坂本龍一

坂本龍一が手がけた映画「Femme Fatale」からのナンバーを、大貫妙子が歌詞をつけて歌い上げた1曲。ピアノとヴォーカルのみということで、 より上品さが出てきたかな。元々が映画の曲ということで、やっぱり繊細さや美しさが前に出てくるね。

7. Flower

words:大貫妙子 music:坂本龍一

もともとは坂本龍一の「A Flower is Not A Flower」という曲に、歌詞をつけて聞かせてくれます。 印象的なメロディラインを持っているので、そのメロディと大貫妙子のヴォーカルが意外にもマッチしている感じが素晴らしいね。

8. 鉄道員

words:奥田民生 music:坂本龍一

坂本龍一の娘、坂本美雨が歌った映画主題歌を大貫妙子がヴォーカルを務めるバージョン。 キーが下がっている分、より大人の雰囲気が出ているんだけれども、やっぱりオリジナルの印象が強いからか、物足りなさがあるな。 この曲は、やっぱり美雨の神秘的、幻想的なヴォーカルの方が似合います。

9. a life

words:大貫妙子 music:坂本龍一

弾むピアノに乗せて、生活感あふれる歌詞が温かさを出すナンバー。まるで大貫妙子のヴォーカルに救われるかのような、温もりに包まれる。 シンプルな歌詞だからこそ、浸透しやすい。なるほど、多くの人がラストの部分が「戦メリ」みたいだというのがわかるね。躍動感がたまらない。

10. 四季

words & music:大貫妙子

情景豊かな表現方法で、歌詞の世界が浮かんでは消えてゆくような、大貫妙子のヴォーカルが麗しい1曲。 坂本龍一のピアノも繊細かつしっとりと。2人の音に包み込まれてゆくようだ。

11. 風の道

words & music:大貫妙子

M-5同様、大貫妙子のアルバム「cliche」収録ナンバー。 坂本龍一のピアノをバックに、しっとりと歌い上げる大貫妙子。ゆったりとした中にも、包容力がダイレクトに伝わってきて、心が温まる。ラストのSEも効果的だね。

Album『THREE』● '12/10/17 release

坂本龍一、「1996」以来となるトリオアレンジの登場。前作にも参加しかチェロには、盟友のJAQUES MORELENBAUM、 そしてヴァイオリンはオーディションで選ばれたと言うJudy Kangの3人で紡ぐアルバムです。 ただ、正直「1996」のアレンジ、発売時のインパクトがあったので、今回に限っては、どうも遠目で見てしまうような、なんか、そうだよね、そうくるよね、と言うような感じで聞いてしまう。 やはりこの3つの楽器では、アレンジに限度があると思うんだよな。それでいて、結構耳慣れた曲を演奏しているものだから、飽きではないけれども、 なんかあまり満足いくまでに行かない。そこが勿体無い。大胆なアレンジか、もしくは意外な選曲で驚かせて欲しかったかもね。

1. Happy End

Music by Ryuichi Sakamoto

美しきピアノの音色、その後ろで広がるしなやかなチェロの音。さらにヴァイオリンも加わってきて、より繊細かつ大胆な音色で聴かせてくれます。 オリジナルはかなり激しく弾んでいたんだけれども、ここではゆったり染み渡るような侘び寂びを感じさせるね。 進行するにつれて、それぞれのパートがメインになったりしては、役割分担がよくできている。

2. The Last Emperor

Music by Ryuichi Sakamoto

おなじみ、映画のテーマソング。やはり、ヴァイオリンの音色は、二胡に匹敵するようなしなやかさで、 オリエンタルな雰囲気が出ているね。ドラマティックで、起承転結がしっかりと構築されていますね。

3. Bibo no Aozora - instrumental

Music by Ryuichi Sakamoto

この曲のアンサンブルアレンジとなると、いつもうねうね聴かせる弦の音。 しっとり静かなんだけれどお、どこかしら艶かしさがあって、耽美的。この緊張感の中で展開。

4. High Heels

Music by Ryuichi Sakamoto

こちらも映画のテーマ曲ということで、妖しさと美しさを秘めたアレンジで、 じっくりと聴かせてくれるトラック。時に劇場するように激しく、時にどこまでも堕ちてゆくような演奏で、耳を奪われる。

5. Seven Samurai - ending theme

Music by Ryuichi Sakamoto

こちらも映画のエンドテーマ。和と洋の組み合わせで、なんか美しさが際立つね。叙情的なメロディとしなやかな演奏で、心が吸い込まれていきそうで。

6. A Flower is not a Flower

Music by Ryuichi Sakamoto

美の極致。ピアノでしっとりと響かせながら、チェロとヴァイオリンの2本を引き立たせる。このバランスにやられる1曲だね。

7. Still Life in A

Music by Ryuichi Sakamoto

暗く静かに、ゆっくりと。繊細に響き渡る弦の音色が、でもどこかしら不協に聞こえてきたり。どこかしら、難しく感じてしまうな。

8. Nostalgia

Music by Ryuichi Sakamoto Words from 'The Sheltering Sky' by Paul Bowles Produced by Ryuichi Sakamoto

しっとりとピアノが響き渡っては、タイトル通りにノスタルジックに。時の流れを忘れさせてくれるようなアレンジ。

9. Tango - instrumental

Music by Ryuichi Sakamoto

妖しさ一杯。これぞタンゴの世界。ピアノさながら、やはり弦のしなやかな音色の響きが、より艶やかで妖艶で。たまらないね。

10. Merry Christmas Mr. Lawrence

Music by Ryuichi Sakamoto

おなじみ「戦メリ」。まぁ、予想がつく曲展開。しっとりとピアノが響き渡り、物語が始まります。 ただ、若干テンポはゆっくりめ。じっくりと聴かせてくれるような流れですね。そして、後半はおなじみの力強さでモノを言う。

11. Harakiri (Death of a Samurai) endroll

Music by Ryuichi Sakamoto Words by Arseny Tarkovsky Produced by Ryuichi Sakamoto

激情の様子を見事に弦の刻みや音色で表す。音の強弱がまた世界を作るんだな。 そして、より一層優しい音色で、静かに広がる。美しさが表れていますね。

12. Tamago 2004

Music by Ryuichi Sakamoto

まろやかな音色、まさしく卵のような雰囲気で。でも、ヴァイオリンの音色の響き方が、本当に繊細だね。 心の篭り具合がダイレクトに伝わってきます。

13. Parolibre

Music by Ryuichi Sakamoto

こちらも美しさを象徴する1曲だね。ピアノで始まり、中盤の高音を効かせるヴァイオリンの切なさときたら、もう涙ものですよ。

Album『async』● '17/3/29 release

コラボやサントラを除くと、前作「out of noise」から、約8年ぶりのリリースとなるオリジナル作。この間に、病気を発したことは、やはり本人も大きかったようで、 これまでの制作を一度白紙に戻して、作り直したというのが今作。「async」=「ずれ」を軸に、感性を出すアルバムを聞かせてくれました。 全体的には、前作「out of noise」の延長を行くような、ノイズやミニマルサウンドをベースにしている感じかな。 そこに生音や雑踏音などを加えては、独自の世界を生み出す。時に琴のような音や、和楽器の笙の音を加えたり、はたまた映画の詩の朗読を挿入したりと、これぞ坂本龍一な世界を広げてきました。

1. andata

Music by Ryuichi Sakamoto Produced by Ryuichi Sakamoto

しっとりとピアノの音が鳴り響いては、どこか寂しさを醸し出す。その後はパイプオルガンのような音が舞い、世界を作る。 その周りを飛び交うように、ノイズが走り抜ける不思議な時間が流れてゆく。

2. disintegration

Music by Ryuichi Sakamoto Produced by Ryuichi Sakamoto

メロディよりもリズムやノイズに耳が行くトラック。独特の手法によって奏でられた音が、静かに弾かれては、 印象的にぶつかってくる。緊迫感を添えながら。

3. solari

Music by Ryuichi Sakamoto Produced by Ryuichi Sakamoto

美しき旋律、優しく柔らかい音使いは、まるで安らぎの空間。 母なる大地か、はたまた生命誕生の源の宇宙かのような、幻想的な時間が流れてゆきます。

4. ZURE

Music by Ryuichi Sakamoto Produced by Ryuichi Sakamoto

左と右、この方向からZUREを出して聞かせるトラック。独特のリズムとシンセの音、さらにノイズのような音やきめ細かなSEの音が融合しては、 唯一無二の世界を作る。

5. walker

Music by Ryuichi Sakamoto Produced by Ryuichi Sakamoto

静かに展開する中で、足音がかすかに響き渡るトラック。環境音楽やノイズがうまく組み合わさっているようにも思えるね。

6. stakra

Music by Ryuichi Sakamoto Produced by Ryuichi Sakamoto

一転して、鮮やかな音が舞うトラック。瑞々しく、踊るようにメロディが奏でられていて、じわりじわりと広がっていくように。 そして、どっしりとした音も加えては、不思議な世界を作り上げる。

7. ubi

Music by Ryuichi Sakamoto Produced by Ryuichi Sakamoto

静かに響き渡る坂本龍一の奏でるピアノ。甘く漂う薫りに誘われながら、一定のリズムで入ってくる音もまた、気がついて欲しいアピールをしているように輝く。 不思議な曲だな。でも、美しいんだ。

8. fullmoon

Music by Ryuichi Sakamoto Words from 'The Sheltering Sky' by Paul Bowles Produced by Ryuichi Sakamoto

ポエトリーリーディングなトラック。映画「The Sheltering Sky」の中の詩を、様々な人が読み上げているそうです。 このトラックがまた、非常に荘厳な雰囲気を漂わせてくるんだな。そして、重たい。でも、坂本龍一のピアノが優しく添えられています。

9. async

Music by Ryuichi Sakamoto Produced by Ryuichi Sakamoto

アルバムのタイトルチューン。激しくバチバチと繰り広げられる音のインパクトが大きすぎて、 圧倒される。まさしく「async」=「ずれ」を表すかのような、不思議な曲。でも、坂本龍一だと思うと、納得がいくんだな。

10. tri

Music by Ryuichi Sakamoto Produced by Ryuichi Sakamoto

トライアングルのアンサンブル。しかも、3人で独特の間隔を持たせながら、特有の「ずれ」を見事に表現する1曲。 でも、トライアングルだけで、ここまでできてしまうとはね。

11. Life, Life

Music by Ryuichi Sakamoto Words by Arseny Tarkovsky Produced by Ryuichi Sakamoto

美しさを漂わせながら展開。シンセの音がしなやかかつ神々しく響きわたり、まるでストリングスのような音が、 和楽器の笙だったという所に驚き。そして、詩を朗読しているのが、David Silvianなんだな。今回のアルバムのハイライトかもしれない。

12. honj

Music by Ryuichi Sakamoto Produced by Ryuichi Sakamoto

圧倒的な静寂の中で繰り広げられる美。時折聞こえてくるのは、三味線。このマッチングの不思議さ。

13. ff

Music by Ryuichi Sakamoto Produced by Ryuichi Sakamoto

響き渡るサウンドが、繊細かつ妖しく。忍び込んでくるような、しみ込んでくるような美しさも兼ね備えた1曲。 電子音のサウンドスケープに引き込まれていきます。

14. garden

Music by Ryuichi Sakamoto Produced by Ryuichi Sakamoto

前曲をさらに厚くしたような、電子音の波に襲われる1曲。 重厚かつ繊細に。しなやかに響き渡る音が体の中にしみ込んでいくかのような感じだね。

Remix Album『ASYNC - REMODELS』● '17/12/13 release

坂本龍一の久しぶりとなる作品「ASYNC」のリモデル作品。今作では、12のトラックでお届け。リミキサーたちがまた、坂本龍一ならではだよね。 お馴染みのFenneszやCorneliusはじめ、ONEOHTRIX POINT NEVERやS U R V I V E、JOHANN JOHANNSSONなどが「ASYNC」のナンバーを独自に解釈で再構築。 元々が音響をベースにしているトラックだったので、こんなにも変化して聞かせてくれる面白さがあるんだな。 個人的にはYMO感の出ているELECTRIC YOUTHの「ANDATA」に面白さを感じたね。 なお、日本版にはボーナストラックとして、現代空間による「ZURE」を収録。

1. ONEOHTRIX POINT NEVER - ANDATA

REWORK PRODUCED BY ONEOHTRIX POINT NEVER

静かで心地よく、淡く響き渡る音で展開。一気にシンセサウンドの波に呑み込まれる中盤で圧倒され、再び静かなる世界へと戻される流れ。 Oneohtrix Pointによる壮大な世界。

2. ELECTRIC YOUTH - ANDATA

REMIX PRODUCED BY AUSTIN GARRICK FOR WATTS ARCADE, INC. CO-PRODUCED AND MIXED BY MICHAEL FONG

アップテンポで仕掛けてきたと思ったら、ピコピコな味わいの1980年代テイスト。 いや、YMOテイストにリモデル。リミックスしている感じがまた、面白すぎるぞ。Electric Youthの華麗なる技を堪能せよ。

3. ALVA NOTO - DISINTEGRATION

RECORDED BY CARSTEN NICOLAI AT NOTON STUDIO BERLIN 2017

Alva Notoによるリモデル。ミニマルなエレクトロニカを展開させては、じっくりとゆったりと。 寄せては返す独特の音の波に呑み込まれるトラックに酔いしれる。

4. ARCA - ASYNC

REMIX PRODUCED BY ARCA

ノイズベースのエレクトロニカなリミックス。時折、エスニックな感じ。ただ、ヴォーカルがより恐怖を感じさせるリモデルだな。 この日本語ヴォーカルがARCA自身というのも興味深い。ここまで変身させてくるところに、リモデルの醍醐味を感じるわけだな。

5. MOTION GRAPHICS - FULLMOON

REMIX PRODUCED BY MOTION GRAPHICS TRANSCRIPTION BY MAXO

Motion Graphicによるリミックス。一瞬の緊迫感が鋭くさしてきては、インパクトを残していった。

6. FENNESZ - SOLARI

ノイズ/アンビエントな音を投入しては、鋭く心地よく音を届けてくれるトラック。Fenneszの電子音楽によって、どんどんと引き込まれてゆくような。 音の満ち引きを楽しめるトラック。

7. JOHANN JOHANNSSON - SOLARI

PRODUCED, ARRANGED AND RECORDED BY JOHANN JOHANNSSON

Johann Johannssonによるリミックストラック。さまざまな方向から音が飛んでくるかのように。 掴みにくいながらも、インパクトを残してくる。緊張と緩和。この絶妙なバランス。

8. YVES TUMOR - ZURE

REMIX PRODUCED BY YVES TUMOR

ドーンと入ってくる電子音に驚かされると同時に、面白さを感じる。さらに重たく分厚い音をぶち込んだりと、度肝を抜いてくる構成だね。 Yves Tumorによる衝撃。

9. S U R V I V E - FULLMOON

REMIX PRODUCED BY S U R V I V E

S U R V I V Eによるリミックス。ナレーション、いわば声を軸に置いたトラックで、不思議なテイストを注入してくる。 アンビエントのトラックにうまく溶け込んでゆくんだ。

10. CORNELIUS - ZURE

Corneliusによるリミックスですよ。いかにもな世界を泳ぐ。不意をついてくるように、小山田圭吾に息を吹きかけられて、びっくりするんだ。

11. ANDY STOTT - LIFE, LIFE

REMDEL PRODUCED BY ANDY STOTT, COURTESY OF MODERN LOVE

シンセからの発展系なリモデルで聞かせてくれるAndy Stottのトラック。麗しさと繊細さが幾重にもなり、音とともに色々なものが襲いかかってくる。

12. KUKANGENDAI - ZURE

ARRANGED AND PERFORMED BY KUKANGENDAI

空間現代による「ZURE」。まさしくズレた音を巧みに操り、不思議な世界へと連れて行ってくれるようなトラックです。

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