参照(32:1-15要約):ユダの王ゼデキヤの第十年、バビロンの王の軍隊がエルサレムを包囲していた。預言者エレミヤは、獄舎に拘留されていた。エレミヤの預言は、「主はこう言われる。見よ、わたしはこの都をバビロンの王の手に渡す。 ゼデキヤはバビロンへ連行されるであろう、と主は言われる。」
主の言葉どおり、いとこのハナムエルが獄舎にいるエレミヤのところに来て言った。「アナトトの畑を買い取ってください。あなたに親族として権利があるのです」 そこで、エレミヤはいとこのハナムエルからアナトトにある畑を買い取り、銀十七シェケルを量って支払った。そしてエレミヤは、定められた慣習どおり、封印した購入証書と、封印されていない写しを取って、バルクにそれを手渡した。いとこのハナムエルと、購入証書に署名した証人たちと、獄舎にいたユダの人々全員がそれを見ていた。 そして、彼らの見ている前でバルクに命じた。 「イスラエルの神、万軍の主はこう言われる。これらの証書、すなわち、封印した購入証書と、その写しを取り、素焼きの器に納めて長く保存せよ。 イスラエルの神、万軍の主が、『この国で家、畑、ぶどう園を再び買い取る時が来る』と言われるからだ。」
聖書研究
参照箇所から:エルサレムが絶体絶命であることをエレミヤは王様に告げています。そんな時、アナトト(ベニヤミン族の相続地からレビ人の町とされた48の町の一つで預言者エレミヤの出身地)の土地を買うように、神様から告げられました。イスラエルでは、お金がなくて困っているとき、最も近い親戚が土地を買い取って、一族以外のものにならないようにする習慣がありました。もちろん、無償でお金をあげるのではなく、時間がかかっても返してもらうものです。そうゆう関係から、細かく証文の作り方や保管の仕方が決められているわけです。素焼きの壺は、クムラン遺跡の文書保存にお使われていました。2000年も保管できたという事実は、良い方法であることを物語っています。そして、ここでの戦況を考えると、その証文があっても、国がなくなり、人々が連れ去られるなら、何の意味もないことに気づくでしょう。しかし、エレミヤは、神様の言葉を信じ、神様の告げたとおりにします。つまり、神様は、国も、民も回復すると間接的に告げたことになります。
1.裁きと新しい契約
『32:36 しかし今や、お前たちがバビロンの王、剣、飢饉、疫病に渡されてしまったと言っている、この都について、イスラエルの神、主はこう言われる。 32:37 「かつてわたしが大いに怒り、憤り、激怒して、追い払った国々から彼らを集め、この場所に帰らせ、安らかに住まわせる。』
神様は、ここで宣言しています。バビロンの王を使って、神様は全世界にユダヤ人を散らしましたが、散らされたところから彼らを集め、帰らせ、安らかに住まわせる と。
『32:38 彼らはわたしの民となり、わたしは彼らの神となる。32:39 わたしは彼らに一つの心、一つの道を与えて常にわたしに従わせる。それが、彼ら自身とその子孫にとって幸いとなる。32:40 わたしは、彼らと永遠の契約を結び、彼らの子孫に恵みを与えてやまない。またわたしに従う心を彼らに与え、わたしから離れることのないようにする。』
これは、イスラエルに対する神様の新しい契約です。古い契約は、残念ながら守られませんでした。律法を守り行なおうと思う意志はあっても、人はそれに違反します。外側の行ないを変えようとしても、心が変わらなければ何も変わらないのです。 そこで神様は、イスラエルに霊を注いでくださり、彼らの心を変えると約束しています。エゼキエル『36:26 わたしはお前たちに新しい心を与え、お前たちの中に新しい霊を置く。わたしはお前たちの体から石の心を取り除き、肉の心を与える。』
2.国の回復
『32:41 わたしは彼らに恵みを与えることを喜びとし、心と思いを込めて確かに彼らをこの土地に植える。』
「心と思いを込めて」ということは、イスラエルの民を神様が愛していると言うことです。こんなに裏切られていても、神様は彼らを愛し続けるのです。愛することは、イエス様がもっとも大事な律法の一つとして取り上げました。けれどもここで、心と思いを込めているのは私たちではなく、神様ご自身です。
『32:42 まことに、主はこう言われる。かつて、この民にこの大きな災いをくだしたが、今や、彼らに約束したとおり、あらゆる恵みを与える。32:43 この国で、人々はまた畑を買うようになる。それは今、カルデア人の手に渡って人も獣も住まない荒れ地になる、とお前たちが言っているこの国においてである。32:44 人々は銀を支払い、証書を作成して、封印をし、証人を立てて、ベニヤミン族の所領や、エルサレムの周辺、ユダの町々、山あいの町々、シェフェラの町々、ネゲブの町々で畑を買うようになる。わたしが彼らの繁栄を回復するからである、と主は言われる。」』
ベニヤミンの地はエルサレムの北に隣接する部分で、参考の記事で、エレミヤが購入した土地もベニヤミンにあります。そしてエルサレム近郊、それからユダの町々はその南に広がっています。「山あいの町々」というのは、ベツレヘムとかヘブロンとか、山あいにある町のことです。 そして「シェフェラ」は、山あいの町々と地中海沿岸との間にある地域です。ペリシテ人の町々、ガザとかアシュケロンとか、地中海沿岸の地域より、もっと内陸に入ったところです。 そして南側に「ネゲブ」があります。この地域すべてが、農耕ができるほど、人々が戻り、そして町々がもとの規模に戻るからこそ、農作物の価値が元に戻る。つまり、ユダの国が経済的にも復活することを神様は約束したのです。参考の記事からは、これよりも前の段階から、神様がその計画を実行しはじめていたことを示しています。