1.苦難を予告する
『憎むべき破壊者が立ってはならないところに立つのを見たら』、とあります。苦難の始まりの予告です。立ってはならない所。それは神殿です。神様の臨在する場所なので、異邦人は中庭に入ることすら禁止されています。そこに破壊者が立つとの予告です。
実際に起こったことは、以下の3つの事件です。
ピラト(在位:26-36)がローマ皇帝の胸像が付いた軍旗をエルサレムへ持ち込み、掲げたことは、ありました。神殿には持ち込みませんでしたが、それまでの総督が避けていた行為であり、ユダヤ人の宗教的感情を著しく傷つけました。また、ピラトは皇帝の名が刻まれた金箔の盾をエルサレムの総督邸宅(元ヘロデ大王の宮殿)に掲げたこともありました。これも偶像崇拝とみなされ、エルサレムの貴族たちがローマ皇帝ティベリウスに直訴し、盾はカエサリアの神殿に移されました。
また、カリグラ帝(3代目 在位:37–41年)は、 自らを神と宣言し、神殿に自分の像を置かせて礼拝させようとしました。ユダヤ人の神殿にも自分の像を置こうとしたため、激しい反発を招いたことがあります。一方で、アレキサンドリアでは、皇帝像の前でユダヤ人が香を焚いて礼拝しています。
紀元70年 ユダヤ戦争でローマ軍に囲まれて、エルサレムが陥落。このとき、神殿まで壊されてしまいます。神様を冒とくする者が、聖なる場所に立つ。その苦難の時が始まるのです。
再臨の前に大変な苦難が訪れることが語られています。それは天地創造の時から今までに起きたことがないほどのものであり、また今後も起きないほどの苦難です。
『そのとき、ユダヤにいる人々は山に逃げなさい。13:15 屋上にいる者は下に降りてはならない。家にある物を何か取り出そうとして中に入ってはならない。』
山に逃げるということは、大洪水でも起きるという意味なのでしょうか?。ここで参考となるのは、ロトが住んでいたソドムが滅ぼされたときのみ使い(主)の指示です。
創世記『19:17 彼らがロトたちを町外れへ連れ出したとき、主は言われた。「命がけで逃れよ。後ろを振り返ってはいけない。低地のどこにもとどまるな。山へ逃げなさい。さもないと、滅びることになる。」』
そして、『19:24 主はソドムとゴモラの上に天から、主のもとから硫黄の火を降らせ、19:25 これらの町と低地一帯を、町の全住民、地の草木もろとも滅ぼした。19:26 ロトの妻は後ろを振り向いたので、塩の柱になった。』 これと同じような、災害が起きるとのイエス様の予告だと言えます。
またこのような苦難の時、偽メシアが登場するので気をつけるべき とイエス様は語りました。
『13:23 だから、あなたがたは気をつけていなさい。一切の事を前もって言っておく。」』
その時が来るまで、信仰者としては、忠実にイエス様の言葉を守るほかはないのです。
2.人の子が来る
弟子たちはエルサレムの滅びと、世界の終わりに混乱するでしょう。キリストはこの世界を正す、キリストの再臨の日、裁きの日が、この混乱の後にあることを示します。ここで彼は、天地創造以来守られてきた、天と地の秩序が崩壊すると予告しています。そして、人の子(救い主キリスト)がやってくるのです。
『13:26 そのとき、人の子が大いなる力と栄光を帯びて雲に乗って来るのを、人々は見る。』
3.いちじくの木の教え
そのエルサレムの滅びと、再臨の日がいつ来るかはわかりません。しかしイエス様はいちじくの木の譬えを言いました。「葉を見ていれば、夏が来ていることがわかる」ように、予告したような災いが起こり始めれば、それは再臨の時が近い事を示します。イエス様がもうそこの戸口近くまで来ていると言うわけです。そして、この世は滅びない/イエス様の言葉も滅びないと 宣言しました。
『13:30 はっきり言っておく。これらのことがみな起こるまでは、この時代は決して滅びない。13:31 天地は滅びるが、わたしの言葉は決して滅びない。」』