1.くじ
神様の意思を聞く と言う意味で「くじ」は、多くの場面で出てきます。主に嗣業の土地を分配するときに使われています。ほかには、サウル王が任命されるとき(サム上10:20,21)、とこのヨナ1:7が有名です。「誰のせいで、我々にこの災難がふりかかったのか、はっきりさせよう。」この発想は、魔女狩りを起こしかねない危険なものですが、神様が関与することによって、平和裏に物事を進める助けとなります。
2.ヨナの使命
列王記下『14:25 しかし、イスラエルの神、主が、ガト・ヘフェル出身のその僕、預言者、アミタイの子ヨナを通して告げられた言葉のとおり、彼はレボ・ハマトからアラバの海までイスラエルの領域を回復した。』
この記事は、北イスラエルのヤロブアム2世の記事です。つまり、ヨナ書は、ヤロブアム2世の時代に北イスラエルの滅亡を予言したホセア書、アモス書より前の時代の記事と言うことになります。実際、北イスラエルは、南北分裂後、次第に版図を奪われ続けました。そして、ヤロブアム2世の時に、ほぼ元に戻すわけです。どこから取り戻したかと言うと、その一つがアッシリアだということです。ニネべはアッシリアの首都でした。その当時で20万人くらい住んでいたようです。
ヨナは、神様から、イスラエルの敵国の首都ニネヴェに行って「40日後に滅ぼされる」という預言をすよう命令されました。しかし、ヨナは敵国アッシリアに行くのが嫌で、船に乗って逃げ出します。しかし、嵐と大きな魚によって、ヨナは戻されます。そして、やむなくヨナはニネヴェで預言をするわけですが、どういうわけかニネべの民は、ヨナの預言を受け入れます。結果的に、ヨナの預言は成就しかったのです。それは、神様がニネヴェの町を惜しんだ。そして、滅ぼしたくないとの思いがあったからでした。
もう一つ大事なのは、ヨナのしるしについてのイエス様の言葉です。
マタイ『12:39 イエスはお答えになった。「よこしまで神に背いた時代の者たちはしるしを欲しがるが、預言者ヨナのしるしのほかには、しるしは与えられない。12:40 つまり、ヨナが三日三晩、大魚の腹の中にいたように、人の子も三日三晩、大地の中にいることになる。12:41 ニネベの人たちは裁きの時、今の時代の者たちと一緒に立ち上がり、彼らを罪に定めるであろう。ニネベの人々は、ヨナの説教を聞いて悔い改めたからである。ここに、ヨナにまさるものがある。』(並行記事 ルカ11:29-32)
ヨナが大きな魚に飲まれていた三日三晩とイエス様が墓にいた三日三晩を重ねて、復活を示すしるし だと教えたわけです。三日三晩は、十字架の時は正確には二泊三日ですが、そういう場合もユダヤでは三日と数えることは解っています。(三晩については不明)
3.逃れようとした理由
ヨナが神様から逃れようとした理由については、こう考えられます。「ニネベの人々は、ヨナの言葉を聞いて、悔い改めました」。「それを御覧になった、神様は災いをくだすのをやめました」。ヨナは、大いに不満であり、彼は怒って、神様にこう訴えます。「4:2~だから、わたしは先にタルシシュに向かって逃げたのです。~」 ヨナにとって、敵であるニネベの人々を滅ぼすことが願いであったのでしょう。そのためには、預言をしにニネヴェに行くのではなく、罪を犯してまでも逃げたかった・・・。
しかし、それだけではないヨナの複雑な心境があります。どうしてもニネヴェの民を救いたい神様は、ヨナを追って嵐を起こし、海にヨナを落とさせました。そしてクジラによって、ヨナを保護しました。そこまでしても、ヨナを使ってニネヴェの町を悔い改めさせたかったのです。それだけ、ニネヴェの町を惜しんでいたのです。ヨナは、そういう神様であることを知っていて、そして従ってきました。神様はどんな手段でも使ってニネヴェを助けるなら、遣わすのはヨナでなくともよいではないか?そして、たとえ一時的に悔い改めたとしても、またニネヴェは元に戻るだろう・・・とヨナは思いをはせたのでしょう。
ヨナのこの葛藤は、神様の葛藤を表しています。神様のみ心をわかっての行動だったのかもしれません。