202425

【中小企業のIT投資は社長が仕切れ!】

社長が知っておいて損はない ラスベガスの新名所「スフィア」


2024年の年初に筆者はラスベガスで開催される先端技術の展示会CES(シーイーエス)に参加しました。個人的に「技術動向の定点観測」と位置付けており、コロナ禍でのオンライン開催も含めて、ずっと継続して参加しています。継続参加しているとその時のトレンドの変化を感じることができます。 


初めて参加した2008年から数年は3Dテレビや4Kテレビの試作品などテレビが主役でした。2024年でもテレビの展示は主役とまでは言えませんが、継続して多くのメーカーが出展しています。今回はマイクロLEDという高細密な技術を競っていました。3Dテレビは完全になくなり、VR機器にバトンタッチしています。筆者も最新のゴーグル型のVRをいくつか試してみましたジェットコースターやバスケットの試合などをVRで体験できるのです。特に驚いたのはバスケのVRです。2メートル級の選手がダンクシュートを打つために自分に勢いよく向かってくるシーンは仮想映像だとわかっていても、反射的に身体がのけぞってしまうほどの迫力です。

 

2024年のCESのトレンドはやはりAIです。さまざま機器、自動車、日用家電などにAI機能が搭載されるのです。もちろんまだ試作やコンセプト段階のものが多いですが、CESで発表されたものは数年後に実用品として市場に出てくるものが少なくありません。NVIDIAやGoProも日本で知られるだいぶ前からすでにCESでは存在感がありました。

さて、今回のラスベガスでCES以上にインパクトがあったのが「スフィア」です。スフィアは2023年に完成した巨大な球体型のシアターです。直径は約157メートル、高さは約112メートルという世界最大の球体構造物です。この球体の外側には高細密なLEDが全面に装着されていて、様々な映像がプログラム制御により映し出されます。映像は多様で、企業広告だけでなく、地球になったりバスケットボールになったり、アニメキャラになったりするのです。実際に見るとまずその大きさに圧倒されます。さらに巨大な球体にも関わらず映像の動きとクリアさにも驚きます。

 

内部はシアターになっていて、プラネタリウムのように天井まで映像が映るようになっています。また椅子も映像や音響に合わせて振動するため、映像をみているというよりは乗り物で移動しているかのような錯覚を覚えるのです。これだけの構造物を作るとなると建設コストも桁外れで、おおよそ23億ドル(約3,400億円)とのこと。いったいこの桁外れのコストをどのように回収するのか、事業の視点からも興味深いです。ちなみに内部に入るために1時間半程度のプログラムを申し込みましたが、一番安い席でも約3万円でした。球体外部の広告費は1日あたり約5,850万円とのこと。

 

いやはや、デフレの日本の感覚ではちょっとついていけません。果たしてこのスフィアが商業的に成功するかどうかはわかりませんが、アメリカの先端技術とビジネスのダイナミズムを見ることはできます。もし、読者が米国に行く機会があればぜひスフィアに立ち寄ってみることをお勧めします。

 

2024年2月