2022年11月21

【失敗しないシステム導入】

費用対効果を見直していますか?~


システムを導入するかどうかの意思決定にあたっては、まずシステム企画工程において、システム導入にかかる費用をRFI(Request For Information:情報提供依頼書)などをもとに算出する一方で、工数削減、売上向上などの視点で効果を積み上げて算出します。

その結果、システム企画が通ればRFP(Request For Proposal:提案依頼書)を作成し、ベンダから提案を受けてベンダ選定します。ベンダから受領した見積を費用に反映させ、費用対効果を見直し、稟議を回します。稟議が承認されれば、システム導入プロジェクトを開始します。

稟議時点の費用対効果をその後は見直さないという企業も多いでしょう。しかし、当初算出した費用対効果のままシステム導入を迎えるプロジェクトはまれです。要件定義、設計、開発、テストを経る中で、費用は増減し(多くの場合は増え)、当初想定した費用対効果を実現できていないプロジェクトは多いのではないでしょうか。

このため、システム導入プロジェクトを開始した後にも、要件定義完了時、設計完了時、開発完了時、ユーザテスト完了時などの各マイルストーンで費用対効果を見直すべきと考えます。各マイルストーンで費用対効果を見直しことで、費用対効果の悪化を早期に把握し、対策を講じることで、費用対効果の悪化を防ぐことができます。

費用対効果を悪化させる要因を以下に挙げます。これらを知っておくことは費用対効果の悪化の早期把握だけでなく、防止にもなります。また、最初に費用対効果を算出する際に、これらの要因を想定、反映することで余裕を持った数字にすることができます。

▼費用増

・要件、仕様が膨らみ、システム開発費用が増える

・利用ユーザ数が増え、パッケージシステムのライセンス費用が増える

・パッケージシステムのライセンス単価が上がり、ライセンス費用が増える

・物価が上がり、機器購入費用が増える

・システム問合せ対応窓口の人員を増やすことになり、人件費が増える

▼効果減

・開発したシステム機能では業務負荷を減らせず、人件費削減額が減る

・システム導入する顧客が一部となり(例:大企業のみ)、売上向上期待額が減る

これらの視点が費用対効果の高いシステム導入の一助になれば幸甚です。

2022年11月

【石井健作のコラム】

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