2022年524

【中小企業のIT投資は社長が仕切れ!】

IT化が遅れている企業は追いつくことがどんどん難しくなっている


ITコンサルティングの仕事をしていて、最近強く感じることは次の3つです。

① IT業界は人手不足がさらに加速している。特に若手人材は採り合いが激化している。

② 上記が理由でITベンダーの「ホワイト化」が進行している。

③ 上記の2つの現象からIT化が遅れている企業はITを強化したくてもできなくなっている。

IT業界にいると若手人材が本当に不足していることを実感します。逆にIT業界ではない方々からすると「今の若手はみんなIT業界に就職しているんじゃないの?ウチの業種こそ人手不足だよ」とおっしゃるかもしれません。確かにどの業種でも少子化で若手は不足しています。また、IT業界は若手の人気業種のように感じるかもしれません。しかし、そこには誤解を生みやすい理由があります。旧態依然なマスコミの報道などではIT業界を大雑把に一括りにして扱うことが多々あります。いわゆるシステム開発や導入を行うSI(システムインテグレーター)、WEB広告やECサイトの運営、そしてスマホアプリやオンラインゲームなどの仕事も全部ひっくるめて「IT」と呼ぶことは珍しくありません。

今、若手に人気のあるのはWEB広告やゲームなどの仕事で、企業のシステムを担うSIベンダーはそれほど人気業種ではありません。しかし、SIベンダーはDXブームもあって若手の人材はいくらでも欲しいのです。それだから、若手人材の争奪戦が起きています。若手にとって給料の額はもちろん大事ですが、高給を提示すれば採用できるとは限りません。むしろ、お金よりもライフワークバランスや職場環境などを重視する若者が増えています。そのため以前は3K(きつい、厳しい、帰れない)と言われブラック企業も多かったITベンダーがどんどんホワイト化しつつあります。

筆者が驚いたのは、先日あるベンダーとシステム移行の打合せを持ったところ、そのベンダーの「当社は土日の作業は一切行わない方針です」という発言です。旧システムから新システムへの移行はお客様であるユーザー企業が業務を止めることができる週末に行う場合が多いのです。土日の2日では移行にトラブルが発生した場合に対応できないと、3連休などに計画することも少なくありません。筆者が若手頃はゴールデンウィークと年末年始に移行が行われることも多々ありました。ところがもうそんな「常識」や「昔話」が通じる時代ではなくなりつつあるようです。

IT化が遅れている企業の社長ほど「いざとなったらやるよ。ベンダーなんてカネを出せばやってくれるんだろう」、「ベンダーが高額なら社員募集して採用すれば安く済むだろう」と現実をまったく知らない発言をします。ベンダーは仕事を選べる状況です。「カネを出すからやれ」という仕事は優良ベンダーならば受けません。「ITコストを安くする目的で社員募集」の会社に優秀な若手は入りません。もっと条件がよく、社風もよい会社がいくらでもあるからです。だからIT化も意識も遅れている会社はどんどん取り残されます。数周遅れになって慌てても、もはや手遅れなのです。

2022月5月