2024年625

【中小企業のIT投資は社長が仕切れ!】

旅行者からみたシンガポールと台湾の街中の決済の違い~


前回の当コラム(2024年4月15日付)ではシンガポールのIT事情に関して記しました。当初はその続編を書こうと思っていましたが、6月上旬に台湾に行く機会がありました。シンガポールと台湾はアジアでは「IT利用が盛んな国」というのが一般的な認識でしょう。台湾はコロナ禍の時にオードリー・タンという天才プログラマーが大活躍したことを覚えている方も多いでしょう。シンガポールと台湾は確かにアジアのIT先進国なのですが、出張や観光などの旅行者の目で見ると結構違いがあります。

まずは「お金」です。一般的な旅行者からするとシンガポールはほとんどシンガポールドルの現金を持たなくてもクレジットカード決済で済ませることができます。飲食店やショップ、タクシーなどは基本クレジットカードが便利です。また、シンガポールはライドシェアも普及しており、代金はアプリに登録したクレジットカードから引き落としになります。一方、台湾は旅行者だとある程度キャッシュを持っていないと不便な場合があります。タクシーも一部はカード払いもあるようですが、まだ現金での支払いが主流のようです。

 

台湾で便利だと思ったのは、円から台湾ドルへの交換にクレジットカードでのキャッシングが使えることです。空港には台湾の銀行が開いている両替所があるのですが、手数料が掛かります。また台湾ドルは米ドルと違って、余らせると台湾以外では使い道がないので、小まめに両替したほうがよいのです。そのため空港や街中の至る所にあるATMを利用したキャッシングが便利でした。すべてのATMで両替が可能なわけではありませんが、JCB、VISA、Masterカードの標識がついたATMは利用可能で、あちらこちらにあります。画面や音声案内は中国語と英語が基本ですが、中には日本語対応のATMもあります。ATMを利用すると例えば1,000台湾ドル(約5,000円)を100台湾ドル札(約500円)10枚で両替することができます。最初に2,000~3,000台湾ドル程度両替して、減ってきたら少額ずつ引き出すなどしたら大きく余らせることはないでしょう。台湾にも日本のPayPayのような電子マネーはあります。しかし、台湾在住者向けのサービスであり、出張者や旅行者は利用することが難しいです。

 

シンガポールと台湾の大きな違いは、シンガポールは英語圏であり、世界の金融マーケットの重要拠点の1つであるせいか、サービスの仕組みやプリのインターフェースがアメリカに近い印象です。グローバルスタンダードを取り入れているといった感じでしょうか。一方、台湾は独自色が強く、慣れないとちょっと戸惑うようなインターフェースもあります。台湾の有名なレストランを事前に日本からネット予約をしようとすると、結構わかりにくいサイトが多く、予約そのものができない場合さえありました。逆にシンガポールのレストランの予約は分かりやすく、簡単です。英語であってもまず戸惑うことはないでしょう。

 

最後に現金の話で締めくくりましょう。シンガポールのホーカー、台湾の夜市は現金です。それぞれ現地の方向けの電子マネーサービスはありますが、旅行者は現金です近い将来、ホーカーや夜市の屋台も電子マネーが普及して「ピッ!」とやれば会計が済む時代にあるでしょう。しかし、片言の英語や中国語と身振り手振りで注文と支払いをするのはちょっとドキドキしながらも楽しいものです。台湾なら日本語が多少できる店員も多いので、思わぬコミュニケション機会を得られる面白さもあります。便利なことはありがたいのですが、ワクワクドキドキの現金決済は旅の楽しみの1つだな、と感じる次第です。

 

2024年6月