2019年7月8日

【RPAコンサルタントの日常】

~RPAの未来はRPAIにある~

先日、オートメーション・エニウェア社が主催するイベント「IMAGINE TOKYO 2019」に参加した。そこに登壇した孫正義氏がRPAの未来像について話をしており、大変興味深かったことが2つあったので当コラムで紹介する。

まず、孫正義氏はRPAIという言葉を用い、RPAとAIの一つのソリューションとしてとらえていた。このRPAI、いわゆるRPA3.0のことと思われる。RPAにはクラスが定義されている。

・RPA1.0→いわゆるRPAで定型業務を自動化するもの

・RPA2.0→限定的にAIと組み合わせたもので、一部非定型業務を自動化するもの

・RPA3.0→高度にAIを組み合わせたもので、意思決定もできると言われている

ではなぜ、孫正義氏はRPA3.0という言葉を使わずに、RPAIという言葉を使ったのだろうか。おそらくはRPA3.0の実現性に起因するのではないか。というのも、RPA3.0は未来の技術であり、実現はまだ先、あるいは実現が難しいとされた技術である。あえてRPAIという言葉を選んだのは、十分に実現可能なこととして、RPAとAIの組み合わせを表現したかったのではないか。と考える。

興味深かったことの2つ目としては、投資の対象が単なるRPA企業ではなく、AIと最も親和性の高い企業だったことである。当初RPAの話を聞いた孫正義氏は、RPAとは単純作業の話と考えたそうだ。彼の興味は最初からAIにあり、AIを活用するRPA企業が生き残ると考えた。そこで、AIの専門企業3社にどのRPA企業に成長力があるか、調査させたそうだ。(結果はオートメーション・エニウェア社)

最初からRPAの未来はAIにあると感じた孫正義氏の慧眼は恐るべきものだ。RPA自体は確かに単純作業の話で、AIを用いるなどして進化しなければ、先細りしてしまうだろう。

そんな閉塞感の中、RPA自身が進化する必要があるのだが、業界としてはRPA2.0、一部のAI連携に着手したばかりである。進化の度合いとは緩やかといえる状態で、このままではRPAは一過性の流行で終わってしまうのでは、と私は危惧していた。RPAとAIを強く結び合わせ、投資という現実的な方法でRPAIを実現させようとし、日本の生産性の向上に取り組むという孫正義氏の講演は、誠に力強く感じられた。

2019年7月