2016年2月29日

【RFPコンサルタントの日常】

~システム部門の役割を最定義する① 会社とITの関係性~

システム部門という名前

システム部門という名前からイメージする役割は幅広く、ある意味曖昧といえる。情報システム部は何をする部門なのか、企業の情報戦略を統括する部門なのか、システム開発をする部門なのか、運用なのか、あるいは全部なのか。この曖昧さは業務部門も感じている。システム部門に対する認識は、業務部門が普段システム部門とのやり取りした結果によって生まれる。システムの障害連絡が主であれば、システム部門は運用保守の役割と認識される。この認識と本来システム部門の役割とのギャップがシステム部門の問題の一つである。

認識にずれがあることで、業務部門とシステム部門の連携に影響が出る。例えば、業務部門発案のシステム導入である。業務部門は直接ベンダーとやり取りする。本来であれば、企画から積極的にシステム部門が関わるべきであるが、システム部門が知るのはベンダーがすでに決まった後であったりする。結果に問題がなければよいが、業務部門がベンダーの言いなりになっている可能性が高い。システム部門に対する業務部門の認識のズレを正すためには、システム部門の役割を周知させる必要がる。

システム部門の役割を再定義する ステップ①「会社とITの関係性」

システム部門の役割は企業によって異なる。企業によっては不要な役割もあるだろう。例えば開発はベンダーに委託するので、ベンダーマネジメントに徹すればいい企業もある。情報戦略は戦略企画部門の分野で、維持管理を主な仕事としている場合もあるだろう。

システム部門の役割を検討するにあたり、最初のステップとしては会社のITに対するニーズを捉えることである。役割から分析することではない。そしてニーズを捉えるポイントは、会社の業務とITの関係性を考えることにある。関係性は概ね下記の3点に分類される。

①ITをリードする ・・・IT技術自体を商品にしている。IT技術自身を進歩し続ける必要がある。

②業務がITと直結している ・・・ITを使うことでビジネスが成り立っている。

③ITが業務を支援する ・・・ITを使って業務を強力に支援する。ビジネスが元々存在している。

複数の事業を行っている企業は上記3点の混合もあり得る。事業ごとにITとの関係性を捉えることで、業務部門のニーズの大枠が見えてくる。もちろんまだ具体性がない。何に対してニーズがあるのか、支援する必要があるのか捉える必要がある。これはITによって利益を生み出せる余地を検討することにもなる。(一般的な製造業であれば、リードタイムの短縮などが挙げられる)

上記は単純なステップであり、会社を考えればすぐに捉えられる。しかし、日々の仕事に追われ忘れがちになってしまう。ITとの関係性の把握は、システム部門の存在意義を再認識するためにも、最初にやっておきたいステップである。

次回のコラムは、再定義の第2ステップ、「システム部門の現状分析」について紹介する。

2016年2月