2018年4月2日

【失敗しないシステム導入】

~ユーザテストのシナリオをいつから検討するか~

ユーザテストを実施するにあたって、ユーザテストのシナリオを作成し、シナリオをもとにテスト項目を作成します。ユーザテストでは、要件定義どおりにシステムが作られているか、システムを使って業務が回るかをテストします。このため、シナリオは要件定義の成果物である業務フローや画面・帳票定義書をもとに作成します。

通常、シナリオはユーザテストの直前、ベンダ側でテストを実施している間に作成することが多いのですが、要件定義工程から検討を始めることをおススメします。シナリオを要件定義工程から検討し始めることで、以下のようなメリットがあると考えます。

1.要件定義の品質向上

ユーザテストのシナリオを作成していく中で、要件定義の漏れ、間違いが判明し、仕様変更が必要になることがあります。要件定義レベルの仕様変更の場合、コスト、納期に大きな影響を及ぼします。つまり、シナリオを要件定義工程から検討することで、要件定義の漏れ、間違いを要件定義工程で発見し、手戻りによる影響を最小限にできます。

2.要件定義内容のシンプル化

要件定義内容が複雑になる、つまり新規業務、システム機能が複雑になると、ユーザテストのシナリオのパターンが増え、シナリオ作成工数、テスト項目作成、テスト工数が増えます。要件定義工程では、「せっかく新システムを作るなら」ということで、あれもこれも詰め込みたくなり、ユーザテストの段階になってシナリオ、テスト項目の多さに驚くことがあります。

シナリオを要件定義工程から意識することで、要件定義内容をシンプルにしようとする意識、つまり新規業務を標準化して例外パターンを減らし、システム機能を減らすというモチベーションが働きます。これにより、システム規模が小さくなるので、システム開発にかかるベンダに支払う費用を削減でき、さらにユーザテスト準備・実施にかかわるユーザ側の工数を削減することができます。

3.要件定義内容のシンプル化

ユーザテストのシナリオが見えてくると、ユーザテストのボリューム(必要な体制、期間)も見積もることができます。想定していたユーザテスト体制、期間が十分でなく、必要なシナリオ、テスト項目を消化できないことがユーザテスト直前に判明しても手遅れです。要件定義工程でシナリオを検討しておくことで、ユーザテスト体制、期間が十分かどうか早期に検証することができるのです。

これらのことからユーザテストシナリオは要件定義工程から検討することをおススメします。

2018年4月