2018年9月25日

【中小企業のIT投資は社長が仕切れ!】

~システムを社員に丸投げすると、丸投げ連鎖が生じます~

中小企業の社長はシステム調達や開発時のマネージメント、そして運用等の意思決定を社員に「丸投げ」してはいけません。社長が「自分はシステムの素人でわからないから、君らにすべて任せる。でも、なるべく安くやれ。失敗したら君らの責任だ。」といった態度で社員に丸投げするとどうなるか?それは社員がベンダーに丸投げをします。「当社はシステムの素人ばかりだから、プロであるベンダーにお任せします。でも、予算がないので安くお願いします。任せたのだから失敗したらすべてベンダーの責任です。」となります。システム導入の失敗の原因はベンダーの力量不足だけではありません。むしろ発注者側の丸投げ体質が根本原因であることが多いのです。

「なんでもいいから安くてうまいもの食わせろ、味付けも特に好みはない」と言ったのに、出てきた料理を食べて「今日は魚の気分じゃなかったのに」、「ハンバーグならチーズをトッピングしてくれないと」、「血圧高めだからもっと塩分控えてもらいたかった」などと文句を言うのと同じです。詳細に素材や調理方法を指示する必要はありませんが、ある程度食べたものや好みの味付けを伝えたほうが美味しいものを食べられるのと同じように、システムの発注においても同じです。

システム導入を成功させるために、現行のシステムや業務にどのような課題があって、それをどう解決したいのか、をRFP(提案依頼書)に書く必要があります。ただし、RFPはそれを書くのが目的ではありません。あくまで調達やベンダーとのコミュニケーションのための道具に過ぎません。大事なのはRFPという文書ではなく、自社の業務やシステムの問題は自分たちが対処し解決すべきものであるとの当事者意識を持つことです。その当事者意識の対極にある意識が「丸投げ」です。

他人任せ、無関心、無責任。このような姿勢でシステム導入が成功するわけがありません。だから社長が先頭に立って当事者意識を持ち、それを社員やベンダーに示すべきなのです。社長ですから細かな指示命令や作業をするわけではありません。できる限り優秀な社員をプロジェクトマネージャーに据える、そして自身はプロジェクトオーナーとなって、プロマネを支える。ステアリングコミッティを作ってそこには必ず参加する。コンペのプレゼンテーションに参加し、自ら1票を投じる。そして予算を承認し投資を実行することに最終責任を負うことを自覚する。

社長がその姿勢と覚悟を社員に見せたならば、社員はベンダーに丸投げすることはないはずです。

2018年9月