2024年6月10日

【失敗しないシステム導入】

要件定義における情報システム部門の役割とは?


システム開発プロジェクトの要件定義をベンダーに依頼する場合、ベンダーがヒアリングを実施し、業務側がベンダーに要件を伝え、ベンダーがその結果を要件定義書としてまとめます。その場合の情報システム部門の役割とは何でしょうか。 

① 業務側が要件を整理、伝達するのを手伝う

ベンダーからのヒアリングに対し、業務側が要件をまとめきれない場合があります。このような場合、議論の視点を整理するための資料(ディスカッションペーパー)を情報システム部門が作成し、それをベースに議論することで業務側が要件を整理するのを手伝います。

 

業務側でヒアリング項目に個別に答えていくと要件に一貫性がなくなったり、視点が漏れたりすることがあります。また、システムの仕様に意識がいき過ぎて、視点がHow To(実現手段)に偏り、Why(目的)を忘れてしまうことがあります。ディスカッションペーパーを作成し議論することでこのようなことを防ぎます。

 

② ヒアリングの内容を事前に確認する

ベンダーからのヒアリング項目をそのまま業務側に伝えてヒアリングを進めると業務側の負担が大きくなりがちです。ヒアリングの負担が大きくなると、業務側の協力を得づらくなり、要件定義の品質が落ちてしまいます。

 

情報システム部門は、ベンダーが作成したヒアリング項目を事前に確認し、理解不足による不適切な項目を修正したり、情報システム部門で答えることができる項目は事前に回答したりして、ヒアリング項目をブラッシュアップして項目を減らします。これにより、業務側のヒアリングの負担を最小限にし、要件定義の品質を向上させます。

 

③ ベンダーの発言を翻訳する

ベンダーのヒアリング項目や打ち合わせでのやり取りはシステム用語が多くなりがちで、業務側の理解が不十分になりがちです。ベンダーの伝えたい内容が正確に業務側に伝わらないと間違った意思決定がなされてしまいます。

 

情報システム部門はベンダーが難しい用語を使用した場合には、ベンダーと業務側の間に入り業務側が理解できるようにわかりやすい用語に置き換え、補足説明する必要があります。要件定義は言葉で要件を定義していく作業ですので、言葉を丁寧に扱えるかがポイントになります。システムと業務の両方を理解している情報システム部門が業務側とベンダーの間に入って潤滑油になることが肝要です。

 

情報システム部門が上記のような役割を果たすことで要件定義の品質を上げることができます。

 

2024年6月 

【石井健作のコラム】

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