2021年928

【中小企業のIT投資は社長が仕切れ!】

地域社会にもDXの機運が出てきた


高知ニュービジネス協議会(KNBC)という団体にDX委員会を作りたいので、その世話役(委員長)をやってもらえないか、と筆者に依頼が来ました。KNBCはその名の通り「高知で100のニュービジネスを創造する」をテーマに企業・団体・個人が会員となって、新たなビジネスの開発に取り組む団体です。筆者は高知には特に地縁血縁はいないのですが、10年ほど前から異業種交流のイベントや地域連携ビジネスの仕事で、年に何度も高知に行く機会があり、そのご縁でこの話がきたようです。

地域社会や中手企業におけるDXとは何か?東京にいて、大企業やITベンダーを相手に仕事をしていると、よくわからないのが正直なところです。まずは高知の方々と意見交換してみよう、ということでオンライン会議を実施しました。高知の方々と議論して感じたのは、DXに対する期待の大きさと熱量でした。正直な感想としてDXの意味や用語の理解という点では、まだ不十分な方も多かったのですが、DXのX=トランスフォーメーション=変革を起こさなければ、高知の将来はない!という熱い気持ちがひしひしと伝わってきました。それだけでなく、課題がどこにあるのか、立場がことなると、見えることも違ってくることを改めて知る機会でもありました。

例えば、こんな事例です。ワーケーションの推進リーダーの方がいます。このリーダーは高知の観光業全体の課題と目標として「ワーケーションをより楽しく、仕事もはかどるよう、受け入れる側のさらなるホスピタリティ向上が大事である。人によるおもてなしを県全体で向上させたい」を掲げました。

これは確かにとても重要な要因です。しかし、受入側のホスピタリティが向上しただけでは、ワーケーションの課題は解決しません。ワーケーションがいまひとつ流行らない理由は、利用側の都会のビジネスマンにもあるのです。それはインターネット等のセキュリティの問題です。ワーケーションはテレワークの1種です。旅先にてインターネット経由で仕事して、仕事の合間や業後に温泉に入ったり、散策したりするわけです。ところが、ホテルや観光地のWi-Fi事情はどうでしょうか?無料のWi-Fiスポットは増えていますが、セキュリティレベルが低いものが大半です。そのようなWi-Fiを仕事で使うことは多くの企業では許されません。ワーケーションを普及させるには、利用者と提供者が一緒になってそれぞれの課題を理解し、相互に知恵を出し合っていく必要があるのです。

地域社会のDX、なかなか面白そうです。

2021年9