2021年4月26日

ITの引っ越し~持っていけば動くわけではありません~】

~メールもWEBも使いにくい昨今~


最近、仕事でもプライベートでもメールクライアントの新着メールを確認するのが億劫になっています。というのも、新着メールボックスに届くメールのほとんどが広告やメールマガジンの類で占められるようになっているため、仕事やプライベートを問わず連絡やコミュニケーションのためのメールが埋没してしまい、必要なメールを受信箱のなかから探すのにひと手間かかるような状況のためです。

ニュースや技術情報系、ショッピングその他さまざまなWEBサイトを利用するには、メールアドレスでアカウントを登録しないと部分的な閲覧に限るなど制限されてしまうため、メールアカウントの登録が必要です。一度登録すればサイトからの新着情報や各種おすすめなどが毎日メールで届くようになります。特定のサイトに登録したらそこからメールが届くのはまだわかりますが、複数の情報サイトを運営している場合、登録した覚えのないサイトからもメールが届くこともあり、ますます不要のメールが届くようになります。メール配信の停止が可能なサイトについては気づいた時に停止処理を行うこともありますが、そもそも配信停止フォームにたどり着くのにひと手間かかるようなサイト構成にしていることも多く、面倒になってそのままにしているものも少なくありません。

自分のサイトへのアクセス誘致を目的にしたメールの中身を確認しても、その時点で自分に必須の新着情報が案内されているケースはほぼ皆無と言ってよいので、送信元とタイトルを見た瞬間に開封価値なしと判断するようなものばかりで、着信一覧はノイズだらけの状態です。常用しているメールクライアントではメールボックスのサブジェクト一覧を50件で表示する設定にしてありますが、開封する必要がありそうなものは数件で、1件も中身を確認する必要性を感じるものがないことの方が圧倒的で、これでは大事なメールが埋もれてしまいます。メールクライアントに備わっているフィルターや振分機能を利用すれば、こういった不要なメールを振分けて必要なメールだけを見られるようにすることは当然できますが、振分けのルールを作成するための素材として膨大な不要メールをあらためて確認する労力を考えると積極的な気力が湧かず手つかずのままになっています。

こういったことは自分自身の問題ではないからでしょう。最近では、LINEなどが代表的ですが、重要で即応性が必要な場合は、メールのやり取りに代わってスマートフォン発祥のメッセージング系のアプリやSlackやMicrosoft Teamsその他を使ったチャット系ツールを使うことが増えています。これはこれで便利なツールではあるのですが、インターネットメールと異なり、特定のツールを利用可能な相手としかやり取りできないという縛りがあり、メールほどの汎用性は期待できないため、メール全廃というはけにはいきません。

何故このようにサイトへアクセスを誘導するために際限なくメールを送るかと考えると、現在さまざまなWEBサイトが広告モデルで運営されていることに行きあたります。実際、このようなスタイルのWEBサイトの場合、ブラウザにアドインとして広告ブロック機能を使用していると広告ブロックを解除してくれというポップアップが頻繁に表示されてすんなりと閲覧されてくれないことがよくあります。そのサイトについて広告ブロックを解除すると、本体の記事コンテンツより派手な広告パート(しばしばアニメーションやビデオなどの動的な内容)が目に入るようになっていて、記事よりも広告を閲覧してもらうのが目的ではないかと疑うようなページ構成になっていてガッカリすることになります。地上波テレビのバラエティ番組などでありがちですが、コンテンツのための広告ではなく、広告のためにコンテンツは撒き餌の位置づけにしか見えないような作り方になっています。

利用者が無料で利用できるWEBサイトを運営するために広告を取り入れること自体は否定しませんが、広告が主でコンテンツが従としか思えない作りがあからさまになっていると、コンテンツの中身が自分にとって必要と思えるものでもノイズが多くで読む気がなくなります。ちょっと前まではこうったスタンスはいわゆる「まとめ系サイト」といったタイプではよくありましたが、最近ではそれなりに名前の通った出版社が運営するサイトでも広告にウェイトがかかっていると感じることが増えています。

新聞社や雑誌系のサイトでは有料の会員制をとるところも増えていて、そういったところの利用を主体にしていけば多少は改善できるのかもしれませんが、メールアドレスを登録してしまった以上、メールクライアントの新着メールが不要なメールで溢れることは変わらずで、冒頭の問題は変わりそうにありません。インターネットメールが広まり出した当初は「物理的な郵便箱に届くのは不要なダイレクトメールばかりだけど、インターネットメールならそういった不要なものは届かず、本当に必要なやり取りができる!」と言われていたころが懐かしい昨今です。

2021年4月