2023年65

【飛び込んでみよう!】

~ドローンに対するセキュリティ


前回(2023/3/23)のコラムではドローンの「レベル4」飛行、つまり有人地帯上空での目視飛行が解禁されたことに触れました。デジタルと現実を繋ぐ有意なソリューションでありますが、不慮の事故はもちろん、ドローンが悪用されるケースに対するセキュリティも必要不可欠です。これは主にアンチドローンシステムやカウンタードローンシステムと呼ばれています。カウンタードローンシステムは検知→追尾→捕獲(もしくは撃退・撃墜)のスキームで構成されることが多いです

「検知」

現代の私たちの生活においてドローンだけでなく電話、ネットワーク、テレビなど様々な電波が飛び交っています。その無数の電波の波形を分析し、データベースと照合することでドローンの発する電波だけを的確に検知する必要があります。

 

「捕獲(もしくは撃退・撃墜)」

捕獲と聞いて一番イメージしやすいのはネット(網)を射出して漁のように捕まえる方法です。地面から上空のドローンに向けて撃つ地対空ネットや、ドローンそのものに空対空ネットが搭載されたドローン捕獲用ドローンがあります。撃退や撃墜となると、これは対象ドローンへ妨害電波を送るジャミングや、はたまた警備用ドローンを対象ドローンへ体当たりさせるといった物理的な手段もあります。戦場では物理弾によって撃ち落とすこともありますが...


しかし撃退や撃墜は有人地帯の上空で行う場合、二次被害のリスクが高いため、現在はやはりネットによる捕獲がメインストリームとされています。日本の事例ですと、2015年4月に首相官邸の屋根に無断でドローンが着陸するという事件があり、以来警視庁にはドローン対策用として無人航空機対処部隊というチームが設立されました。ここで運用されているドローン捕獲用ドローンにも物理ネットが搭載されています。ネット搭載したドローン捕獲用ドローンは対象を落下させないだけではなく、操縦者の任意の場所まで対象を移動させて確保できる点でも優れていると言えます。


もう少しデジタルに寄った捕獲方法として、対象ドローンの操縦を電波によって乗っ取ってしまうものがあります。この方法は、イベント会場など人間が密集した場所においてドローン同士のやり取りによって集団パニックを起こしてしまうことを避けることができるため、状況によっては優れていると考えられます。


少し異色な捕獲方法では、鷲に特殊な訓練を施し、対象ドローンを捕まえさせるというものがあります。実際、NATOのサミットがベルギーで開催された際にこのドローン捕獲用鷲は配備された実績もあります。

 

2023年6月

【鶴田光樹のコラム】

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