2016年7月4日
【中小企業のIT投資は社長が仕切れ!】
~RFP作成時に社長にお尋ねすることとは?~
中小企業のシステム導入案件のRFP作成支援を行う場合、筆者は必ず社長にヒアリングをさせていただきます。社長にお聞きしたいことは多々ありますが、まずは会社の理念や経営戦略、決算状況、中期(3年程度)計画などを決算書や財務報告書、経営計画書などを傍らに置き、適宜それらを参照しながら質問をさせていただきます。
ほとんどの社長はそのヒアリングの目的や意味を理解されていますが、ときおり「システム導入に経営理念や決算書の話が必要なのか?」といぶかる社長もおられます。そのような社長には「会社あるいは社長にとってITはどのようなものですか?」と質問します。するとほとんどの場合「ITは経営の道具に過ぎない」というような回答が返ってきます。この「ITは経営の道具だ」というセリフはいわゆる「IT嫌い」の経営者の方々が口にされることが多いように思います。そして、「ITは経営の道具に過ぎない」というのは正しいと、筆者も考えます。だからこそその会社の経営について社長に質問させていただくのです。
同じモノを売る商売でも、あるいは同じサービスを提供するビジネスであっても、経営方針によってやり方はまったくことなります。例えば、鞄を製造・販売する会社があったとします。リーズナブルで実用的な鞄を作る会社であれば、製造コストを抑え、安定的に製品供給ができることが重要です。一方で超高級のハンドメイドの鞄を製造・販売する会社であれば、貴重な原材料の入手、職人の確保、百貨店などの高級品を扱うバイヤーとの商流構築、そしてブランドイメージを高めるためのマーケティングが大事になります。同じ鞄を作って売る商売でも、その経営思想によってやり方が大きく異なり、その経営や事業あるいは現場の仕事を支えるITのあり方もまた大きく異なるのです。
だからこそ、社長がどのような考えを持って経営しているのか、さらに新システムが稼働し運用を行う近い将来の経営計画や事業目標はどのようなものかをきちんと理解し、それをRFPに記載して、ベンダーにも理解してもらう必要があるのです。そのために社長ヒアリングはRFP作成において必須の工程であるといえるでしょう。
2016年7月