2019年2月25日

【中小企業のIT投資は社長が仕切れ!】

~世代間ギャップにご注意、若者はIT弱者企業を敬遠~

中小企業の社長の年齢は会社によってまちまちです。20代の社長もいれば、80歳を過ぎてもかくしゃくとした現役の社長もいらっしゃいます。年齢が若いから、あるいは年配だから、という年齢だけでは経営者の優劣を語ることはできません。しかし、ある程度のビジネス経験を積み、同時に体力気力が充実しているとなると50代60代が社長適齢期といえるかもしれません。実際にその世代の社長は多いように思います。

この50代60代、特に60代の社長が20代の若手の頃は、極めて特殊な事業を除くと職場にパソコンはありませんでした。携帯電話もない時代です。書類は基本手書きと、電卓かあってもせいぜい専用ワープロ機、それに固定電話とポケットベルで仕事をしていました。「三つ子の魂百まで」とはよくいったもので、50代後半から60代の社長の中にはいまだにITに苦手意識を持って「ITは確かに便利で仕事の役立つことは認めるが、別に無くてもなんとかなる」と口には出さなくても心の中で思っている方々が少なからずいます。

社長の仕事だけならば、本人がITを駆使しなくても務まります。秘書を雇って代わりにやってもらえばよいのです。あるいは神輿に乗ってもらって、実務は番頭さんや現場の社員がやれば会社はまわります。だから自分はITは苦手だけど、会社として適切なIT投資を行う(自分ではよくわからなくても社員を信用して稟議を決済する)のであれば、社員次第ではありますが、会社はまわるでしょう。しかし、自分が苦手、自分にはわからないと、IT投資せず、また社員のIT活用を否定するような社長はそう遠くない将来に会社を無くすことでしょう。50歳以上の社員ならば社長の非IT経営になんとかついていくことができるかもしれません。パソコンがない時代に仕事した経験があるからです。

ところが20代30代、特に経営者が喉から手が出るほど採用したい新卒を含む20代の社員はそうはいきません。彼らはデジタルネイティブと呼ばれます。生まれた時にはすでにITやインターネットが普及し、パソコンよりもスマホやタブレットを使いこなす世代に「IT嫌いだから仕事で使わない」はあり得ません。そこには大きなITに対する認識の世代間ギャップがあるのです。IT嫌いで使わない社長や先輩社員を見たら幻滅して、こんな人たちとは一緒に働くことはできないと思うはずです。そうなってしまうとまず採用力が大幅に低下します。さらに、なんとか若い社員を採用できたとしても、すぐに退職されてしまうでしょう。

ITが苦手な社長は「ITは道具に過ぎない。大事なのは人」とおっしゃる方が多いです。そのこと自体は真実です。おっしゃる通りです。しかし、その道具を揃えない・使わないことで最も大事な人は入ってこない、入ってもすぐに辞めるという深刻な状況を引き起こすのです。今日明日はそのリスクは顕在化しません。しかし、数年後には確実に厳しい状況になることでしょう。そうなってから付け焼刃で「それITだ」とやっても手遅れなのです。

2019年2月