2022516

【ITの引っ越し~持っていけば動くわけではありません~】

略語あれこれ

今回はIT関連のサポート現場での言葉のやり取りで遭遇する略語についてのあれこれです。最初に記したITからして既にInformation Technology・・・情報技術の略語ですが、ここでは大雑把にコンピューターを中心とした機器にまつわる技術全般の総称ということにでもしておきます。

ITに関わる領域で各種サポート業務に携わっていると様々なやり取りの中で問題の対象となる機器や技術を示す言葉としてアルファベットやカタカナ数文字の単語や略語、例えばPC、CPU、USB、DC、DVD、ディスク、サーバー等々が頻繁に登場します。これらの単語の内、意味する内容が明確で誰がどのような局面で口にしてもお互いに同じ意味で了解できるものについては何の支障もありませんが、その単語の意味する内容・対象が話者によって異なるために、そういう可能性があるとわきまえていないとコミュニケーションギャップが生じてしまうことがあります。

例えば、「USBが欲しい」と言われた時です。

USBという略語はコンピューター機器と周辺機器を接続するための接続規格であるUniversal Serial Busという通信インターフェースの略語で、この規格に基づいたプリンター・スキャナー・キーボード・マウス・ハードディスクその他の外部記憶装置など各種機器と接続用のケーブルが存在します。この周辺機器との通信規格でしかない言葉が、一般の利用者との会話でのほとんどの場合にUSBメモリという物理的な機器の代名詞として登場します。ところが、必ずしもそうでない場合もあって、はなからUSBメモリのことかなと思って話していると、実はUSBケーブルのことを指していることもあるので、略語が出現した時には、話の腰を折って嫌な奴と思われるのを覚悟で、「USBの何ですか?」という確認をしておかないと会話がうまく成立しないことがあります。

似たような例としては、「ネットやインターネット」という単語です。

ネットが使えない、インターネットが使えない言われた時、こちらとしてはまず使用しているPCが物理的にネットワークに接続されているのか、物理的に接続されていたとしてLANの接続設定は問題ないのかと、まずは通信状態が大丈夫なのかを考えますが、質問者が意味しているのはWebブラウザが正常に起動しない、またはWebページが表示されないなど、ほとんどの場合はWebブラウザの動作に関わる問題についてです。おそらくWindows95にInternet ExplorerというWebブラウザが採用された際に、デスクトップにInternet Explorerのショートカットにインターネットと表記されたのが起源だと思いますが、Webブラウザが本格的に普及する前から利用していた側からすると、インターネットと言われれば、グローバルなコンピューターネットワークを意味する単語です。WebブラウザによるWebサイト閲覧=インターネットと極めて限定された単語として刷り込まれた利用者とは、やはり相手が発するインターネット・ネットという単語が意味する対象がWebブラウジングのことなのか、ネットワーク接続全般に関する内容なのか切り分けを最初に行わないと話が噛み合わないことになるため、ここでも会話の初めに相手の意味する対象を明確にするための確認をしなければなりません。

いずれにしても広い領域を示す単語が、あちらこちらで利用者によっては自分が利用する限定された領域のみを指す言葉として理解されていることを踏まえた対応が必要になります。

2022年5月