2023年12月18

【飛び込んでみよう!】

ダム建設現場におけるドローン活用


ダム建設現場において、ドローンは無人測量と監視に革命をもたらしています。その一例として、進捗状況の確認ドローンは建設現場全体の進捗状況を把握するために利用されることが挙げられます。高低差の大きな工事や広範囲の現場では、上空から撮影した写真を用いることで進捗を確認しやすくなります。他に、竣工後の構造物の点検作業にもドローンが活躍します。人が立ち入りにくい場所へのアクセスや、きめ細かな測量・検査が必要な際にドローンを活用できますが、その活用にはまだいくつかの課題が存在し、今後の展望を考える必要があります。

▼ 課題点

〇 弱電波エリアでの撮影制限

ダム建設現場は山間部や深い谷間など、モバイル通信が弱いエリアが多く、こうした場所では電波を介して基地やプロポ(プロポーショナルシステム)と常に双方向通信を行っているドローンによる撮影が制限される場合があります。人件費の削減や作業者の安全を確保する目的の上では、通信問題の解決は避けられません。

〇 手動操作の限界

現在のドローンは手動操作が必要です。熟練者であっても、法面工事のような複雑な地形の飛行は時間と精度の問題を引き起こす可能性があります。

 

▼ 展望

〇 自律飛行技術の向上

自動充電ポート付きのドローンや衛星ブロードバンド通信「Starlink」を活用した遠隔操作により、自律飛行が可能となりました。今後、さらなる自律飛行技術の進歩が期待されてます。

〇 ロボットとの連携

ドローンだけでなく、小型ドローンや水上ドローン、水中ドローン、さらにはロボットと連携した撮影を検討することで、制約のあるエリアでも効率的な監視と測量が可能になります。

〇 データ統合と可視化

従来の点検にドローン撮影や三次元モデル化したデータを組み込む方法を検討し、建設現場全体の生産性向上を図ります。

 

高所や険しい地形が多い状況下でもリアルタイムで監視を行い事故のリスクを低減する、立体的な地形や構造物の情報を高精度で得ることにより設計や施工の正確性を確認できる、従来の重機と比較して騒音や振動を減らすことで環境への影響を最小限に抑えることができるなど、ダム建設現場におけるドローンの活用は、生産性向上と安全確保に向けた重要な一歩といえるでしょう。

 

2023年12月 

【鶴田光樹のコラム】

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