2021年126

【失敗しないシステム導入】

要件定義の早い段階でやっておくべきこととは?~


システム開発の最初の工程である要件定義、その一義的な目的はシステム化に必要な業務要件をまとめることですが、プロジェクトを成功させるために要件定義の早い段階にやっておくべきことがあります。成功したプロジェクトでの経験をもとに何をやっておくべきかについて説明します。

1.システム開発に適性のあるユーザを見極める

ユーザの中にはシステム開発に適性のある人と適性のない人がいます。これは優劣ではなく、単なる適性です。そしてITリテラシーと単純にイコールではないことも注意が必要です。ベンダからの質問に対して適切な回答ができる、プロジェクトスケジュールを意識し、期限までに宿題を実施できるかなどです。

システム開発に適性のあるユーザがいると、プロジェクトの生産性は格段に上がります。要件定義の打合せでの会話、宿題の実施状況などをもとにシステム開発に適性のあるユーザを見極め、ユーザ側の主要メンバーとしてプロジェクトの最後まで関わってもらうようにします。

2.ユーザとベンダの一体感を醸成する

システム開発はユーザ対ベンダという対立構造になりがちですが、両者が同じ方向を見て、ベクトルを揃えることができるかが成功の鍵となります。そのために要件定義工程の早い段階でユーザとベンダの一体感を醸成すべきです。

一体感を醸成できるかどうかは、ユーザとベンダの各人のキャラクターによる部分も大きいのですが、情報システム部門としては、両者が良い雰囲気でプロジェクトを進められるように常に意識しておきます。また、ベンダ選定の際のプロジェクトリーダーの面談では、率先してチームビルディングできるキャラクターかどうか見極めなければなりません。

3.要件を広く洗い出す

要件定義は期間が限られていることもあり、ベンダ側としては早い段階でなるべく要件を絞ろうとしがちです。この弊害として要件定義の最終段階で漏れていた要件が見つかり、期間中に要件定義が終わらないということがあります。

要件定義の早い段階では要件を広く洗い出しておいて、それから絞り込んでいくという発散→収束のプロセスを踏みます。ユーザとしても要件を聞いてもらえることでプロジェクトに参加しているという主体感を持てます。

要件定義の早い段階でこれらのことを実施しておくことでプロジェクトの成功率が高まるでしょう。 

2021年12月