2020年1月14日

【中小企業のIT投資は社長が仕切れ!】

~社長は海外のIT事情にも目を向けよ~


経営者の方々と話をしているとしばしば「日本の生産性は低い」という話題になります。社長の皆さん口々に「日本ももっと生産性を向上させないと、このままではまずいよ」とおっしゃいますが、その姿勢は完全に評論家モードです。自社の生産性のことには触れず、新聞やネット記事にでていた内容をお互いになぞって、それで満足している感じなのです。一応経営者なので日本の生産性の低さが国際競争力低下の原因の1つであることくらいは、当然知っているよ、ということなのでしょう。また、日本の国内にいて見える範囲だけ眺めていたらどこの会社の生産性も五十歩百歩なので「生産性の低さ」を実感することは難しいでしょう。

もし、社長がアメリカの東海岸・西海岸、中国の北京や上海、シンガポールに行く機会があれば、その地域の生産性の高さ、効率の良さを体感することができるはずです。それらの地域の生産性の高さ、業務効率の良さを実現しているのはずばりITです。その一例がキャッシュレスです。

いま、ロスアンゼルスやサンフランシスコに行ったら現金を使う機会はほとんどありません。ほとんどの支払いはクレジットカードかApplePayで済ませます。2020年1月に筆者がサックスフィフスというデパートで意図的に現金で買い物をしてみると、店員が少し驚いた表情で対応していたのが印象的でした。タクシーもクレジットカードの支払いですが、ウーバーやリフトといったライドシェアを利用すれば事前にアプリに登録したクレジットカードで支払うため、スマホだけで簡単に支払いを済ませることができます。さらに、フードコートでの数ドルの支払いもほとんどのアメリカ人はカードで払っています。上海はさらに電子マネーの普及が進んでいると聞きます。キャッシュレス以外にも前述したライドシェア、様々な予約サービスや顧客へのギフトの提供などがアプリやWEBサイトから提供されます。その利用方法はユーザーにはとても簡単に利用できます。そして提供側の企業にとっては人件費を大幅に削減できるというメリットがあります。

ニューヨークやサンフランシスコ、シンガポールや上海のような生産性の高いエリアに共通するのは、「給料が高く、物価も高い」ということです。たとえばラーメン屋で比較してみると、以下のような感じです。

日本:ラーメン1杯1000円、バイトの時給1000円

米国:ラーメン1杯20ドル(約2200円)、バイトの時給20ドル+チップ

物価も倍だけど給与も倍です。現地だけで生活していれば日本もアメリカも生活水準は変わらないでしょう。でもアメリカ人が日本に来たら「日本は安い!」と大喜びですが、その逆に日本人がアメリカに行くと食事が高くて絶句します。経済力の差が如実に現れるのです。

その日本経済の担い手の一角である中小企業の社長はこの事実を直視し、自社の生産性を向上させるべく、海外の情報も勉強してITの導入に真剣に取り組む必要があるのです。

2020年1月