2017年2月6日

【失敗しないシステム導入】

~設計書レビュの品質を上げるためには?~

設計工程では、ユーザが設計書をレビュします。レビュされた設計書の内容で開発が進められるため、レビュ漏れがあると、後工程での仕様変更につながり、コスト増に直結します。このように設計書のレビュは非常に重要です。では、設計書レビュの品質を上げるためには、何に気をつければ良いでしょうか。

画面項目の配置、フォントの大きさ等見た目の枝葉にとらわれ、幹を見失うのが悪いレビュです。画面項目の配置、フォントの大きさ等の枝葉は、仕様変更したとしても費用に与えるインパクトは大きくありません。インパクトが大きいのは、画面・帳票、項目、処理といった幹の部分です。これらを仕様変更しようとすると、費用に与えるインパクトは非常に大きくなります、後工程になって、画面・帳票が足りない、画面・帳票項目が足りない、処理が足りないといったことは避けなければなりません。

このようなことを避けるために有効なのは、ウォークスルー式のレビュです。ここでのウォークスルー式のレビュとは、実際に実務担当者が集まり、要件定義工程で検討した業務フローに沿って、画面や帳票の設計書を確認していくことを指します。例えば、受注担当者が「出荷依頼伝票」を出荷依頼担当者に渡すという業務フローの場合、実際に受注担当者が「出荷依頼伝票」の設計書(帳票サンプル)を出荷依頼担当者に渡します。このように、全員が座ったままで実施するのではなく、なるべく動きもつけて臨場感を出すようにします。

重要なのは、“業務フローに沿って”というところで、このように臨場感を出して進めていくことで、不足している、もしくは不要な画面・帳票、項目、処理を業務の視点でレビュすることができます。机上で設計書とにらめっこをして枝葉ばかりが気になって、業務視点でのレビュはできません。

ウォークスルー式のレビュを実施していく中で、要件定義工程で検討した業務フローの間違い、漏れに気がつくこともあります。設計書レビュの品質を上げるだけでなく、業務フローの品質を上げることもできます。業務フローは、ユーザテストシナリオの元になりますので、ユーザテストシナリオの間違い、漏れを防止することにつながり、結果としてシステム品質の向上につながります。

2017年2月