2019年5月27日

【失敗しないシステム導入】

~システムを全体最適化するために必要なことは? (その2)~

前回のコラム(2019/4/1)に引き続き、今回は「全社システムマップ」と「全体システムロードマップ」の作成方法をご説明します。

全社システムマップ

「全社システムマップ」を作成する前に、「全社システム一覧表」で全社システムの棚卸をします。システム担当者、システム利用者それぞれにヒアリングを実施し、システム名、主幹部門、管理データ、他システムインターフェース、開発ベンダ、開発時期、現状の課題などを一覧表でまとめます。

(すでに「全社システム一覧表」の元となるような資料がある場合には、それをベースにヒアリングするなどして活用します。)

「全社システム一覧表」を元に「現状の全社システムマップ」を作成します。以下の項目をマップに記載していきます。

・どの業務でどのシステムを利用しているか

・どのようなデータを管理しているか

・誰が入力しているのか

・システム間でどのようなデータを連携しているか

「現状の全社システムマップ」を作成することで、「全社システム一覧表」を作成する際には見えていなかった課題が見えてくることがあります。システム機能の重複、同じデータの二重入力、システム化されていないがシステム化すべき領域などです。これらは、全社システムの視点で考えることで初めて見えてくる課題です。

洗い出された課題に対する解決方針を検討します。新規システム開発に限らず、システム統合、現状システム再構築、大規模改修、システム連携開発などが考えられます。システム廃棄という場合もあるかもしれません。これらの解決方針を「現状の全社システムマップ」に反映させ、「新規の全社システムマップ」を完成させます。

全社システムロードマップ

最初に新工場設立、法律改正、OSサポート終了などシステムに影響を与えるイベントをマイルストーンとして記載します。(上図▼)

次にそれぞれのシステム開発案件のマスタスケジュールを検討し、並べていきます。マスタスケジュールは以下のように様々な観点から決まります。

〔マイルストーン〕

例:法律が改正される2019年10月までにリリースしなくてはならない。

〔システム間の関係〕

例:AシステムとBシステムはデータ連携が多く、密結合のシステムなので同時に開発した方が良い。

〔社内リソースの状況〕

例:CシステムとDシステムのキーパーソンは同じ人なので開発時期をずらしてリソースを平準化する。

「全社システムロードマップ」としてシステム案件を一覧化し、可視化することで気づくこともあります。一度、「全社システムロードマップ」を作成したら、システム担当者、システム利用者それぞれにレビュしてもらいブラッシュアップを重ねます。

「全社システムマップ」と「全社システムロードマップ」を作成することで、全体最適の視点で進めることができます。もし、存在しない場合には、粗いレベルからでよいので作成してみてはいかかでしょうか。

2019年5月