2022年45

【中小企業のIT投資は社長が仕切れ!】

DXは魔法の杖ではない


DX(デジタルトランスフォーメーション)への期待は高まる一方で、理解のほうはあまり進んでいないように感じます。特に中高年の方々にそう思うことが多々あります。DXの話をしていて「DXをやらなければ」はまだ良いとしても、「DXを使えば」「DXを導入すれば」と発言される方はほぼDXを理解していない場合がほとんどです。当たり前のことですが、DXはハードウェアでもソフトウェアでもありません。製品やツール、サービスの種類でもありません。クラウドやAI、ブロックチェーンなどは「使う。導入する」といった使い方はできますが、DXには誤用になります。

DXの概念をきちんと理解していないけど、DXの話題で熱く語る人は往々にしてDXに過剰な期待をしていることが多いです。様々な問題や課題もDXに取り組めば解決するはず、との期待です。DXによって解決する課題も確かにありますが、DXでは解決しない問題も少なからずあります。DXだけでは解決しない、というのが正しい言い方かもしれません。D=デジタルはあくまで改革の手段です。改革にはデジタルだけではなく、アナログの改革もあります。人材育成や組織の改革、制度・ルールの見直し、そして仕組みだけでなく個人の気持ちや社風といったマインドの改革、X=トランスフォーメーションにとっては非常に重要です。D=デジタルとA=アナログの両方のX=トランスフォーメーションが真の変革やイノベーションをもたらすのです。

DXはなんでも解決できる魔法の杖ではありません。改革や変革は容易にできることではなく、DXの取り組みも現実的には成功する事例よりも、やったけど期待した成果が出なかったり、途中で頓挫するケースの方が多いかもしれません。それでも何もせずにじわじわと朽ちていくよりも、行動すべきでしょう。DXの取り組みの成果を上げるための第一歩として、まずはDXの概念を理解すること。そして幻想的な期待を抱くのではなく、現実の問題解決に覚悟を決めて取り組むポジティブな姿勢を取ることが大事です。

2022月4月