2020年2月17日
【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】
~PMBOKに記される対立状況への対応方法(3)~
前々回(2019/11/5)、前回(2019/12/23)に続きPMBOKに紹介されている対立状況への対応方法について考えていきます。
collaborate/problem solve(協力・問題解決)
紛争の当事者が、相手と対立ではなく協力によって問題解決を図る方法で、スティーブン・R・コビィーが「7つの習慣~人格主義の回復~」で、人間関係のパラダイムを「勝ち、負け」で分類したもののうち「win-win」を目指すものとされます。
PMBOK第4版では「協力(collaborating)」と「問題解決(problem solving)」とが別の技術として紹介されていましたが、第5版及び第6版では、「協力・問題解決」としてまとめられています。また、第4版では「問題解決」の説明文中に「対峙(confronting)」という言葉が使われていました。第5版移行、「対峙」という言葉は使われていませんが、手順・方法としては「問題状況に対峙して、相手と協力して問題を解決する」ということです。
これは現在の対立状況を明らかにするが、その範疇での得失の如何や相手に対する勝敗の感情によって満足を得るのではなく、別の要素によって納得を得る方法を探るということです。そして重要なことは、相手も自分も納得するということです。
この方法による問題解決のためには、態度の変更と感心の置き所の変更・拡大が必要です。相手は競合する敵対者ではなく、協力する仲間であり、関心の置き所は現在の対立軸における自分の得失や勝利ではなく、相手を含めた自分たちの納得に変わります。
これは一人称で考えるのではなく、三人称で考えるということです。そして、現在の対立状況にあって自分と相手がwin or loseで獲り合っているものだけでなく、何故そうなっているのか、直接それを獲得することの他に、双方が「何故そうなっているのか」(本当にほしいもの/一番大切なものは何か)を満たす状態を考えるということです。
PMBOKのコンフリクトマネジメントの章には「technique」と「attitude」という語が出てきますが、技術的には以下のような手順になると考えます。
①問題状況を明らかにする
②自分がほしがっているものと、それを欲している背景や理由を明らかにする
③相手のほしがっているものと、それを欲している背景や理由を明らかにする(明らかにしてもらう)
④上記から離れて考える(俯瞰する)
⑤三人称で納得のできる状況を考える
⑥三人称で合意して、行動する
恐らく技術以上に哲学用語として使われる態度変更が重要です。二人称の思考は技術的に行うだけでは確立されません。野中郁次郎博士は「一人称から三人称にそのままジャンプできるかというと、それはできません。その間に、共感、つまり二人称の確立が必要になる」と言っています。
2020年2月
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