2014年9月29日

【失敗しないシステム導入】

~RFPに業務要求をどこまで記載すべき?~

RFPを作成する際に問題となることのひとつに、内容をどこまで詳細に記載するかがあります。中でも業務要求をどこまで定義するかは難しいポイントです。例えば、業務要求として、詳細な業務フローや、詳細な画面のイメージまで作成するのかということです。業務要求を詳細に定義しようとすると、要件定義工程と同じことをしなければならず、期間中にRFPが完成しない事態に陥ってしまいます。

それでは業務要求はRFPにおいて、どこまで定義すればよいのでしょうか。残念ながら、私は、この問題に対する明確なひとつの答えはないと考えています。対象となるシステムの規模、難易度、ベンダ選定の期限、RFP作成チームの人数、スキルによって、どこまで定義すべきかが異なってくるので、その都度決定すべきと考えています。

一方で避けなくてはならないのは、無計画にRFPを作成し始め、一部の業務要求が未定義のままで時間切れになってしまうことです。こうなると、RFPの発行を延期するか、発行期限を優先して要求に漏れのあるRFPを発行しなくてはなりません。RFP作成のポイントは、限られた期間内に漏れなく要求を定義することですので、これでは失敗です。

ここで重要となるのは、業務要求をどこまで詳細に定義するのかをRFP作成前に議論、共有しておくことです。具体的には、業務フロー系であれば「概要業務フロー」なのか「詳細業務フロー」なのか、画面・帳票系であれば「画面・帳票一覧表」なのか「画面・帳票のイメージ」なのか、データ系であれば「エンティティモデル」なのか「データモデル」なのか、といったことです。それぞれ後者の方がより詳細な定義になります。詳細な方がベンダに要求が正確に伝わりますが、それだけ工数、期間がかかるというトレードオフの関係にあります。

また、詳細度という視点とは別に、現状か新規かという視点もあります。「概要業務フロー」であれば、現状の概要業務フローなのか、新規の概要業務フローなのかといった視点です。RFP作成工程で新規の概要業務フローまで検討できるのであれば、RFPには新規の概要業務フローを添付します。RFP作成工程では新規の概要業務フローまで検討できないのであれば、RFPには現状の概要業務フローを添付し、後の要件定義工程で新規の業務フローを検討することになります。

システムの規模、難易度、ベンダ選定の期限、RFP作成チームの人数、スキルを踏まえて、業務要求をどこまでの詳細度で定義するのか、また新規、現状のどちらをRFPで提示するのかをRFP作成前に議論、共有しておくことが重要になります。これにより、限られた期間内に漏れなく要求を定義できることになります。

2014年9月