2018年5月22日

【RPAコンサルタントの日常】

~RPAで作れるのはスーパーロボットではない~

昨今ますますRPAという言葉が氾濫してきている。少なくともIT業界においてこの言葉を聞かない日はない。またRPAという言葉は「働き方改革」という言葉と紐づけられ、あたかも労働環境を変える切り札として、徐々に世間に浸透している。良くも悪くも期待だけが先行してしまっている状態ではなかろうか。この期待をうまく使えばRPAツールの導入はスムーズに進む。しかし、過度な期待は諸刃の剣となりえる。実際のロボット構築に関しては、現実を見据えなければならない。

ロボット構築の心構え

ロボット構築にあたって、夢を見すぎないために心構えをしておくことが2つある。

①業務プロセス全体の改善に捕らわれないこと

②すべてのプロセスをロボット化しようと躍起にならないこと

今回はこの2点についてお話する。

①業務プロセス全体の改善に捕らわれないこと

業務のロボット化、自動化を考える際、完璧主義の方ほど業務プロセス全体の改善に取り組もうとする。全体の業務プロセスを変えてから、自動化に取り組めば、手戻りなく効率的に自動化がなしえるという狙いだ。この方法は大規模なシステムを入れる際には正しい筋道になるが、ロボット化にとっては、即時性に欠けるし、スコープが広すぎる。また、現在の業務は大規模なシステムに則って行われており、プロセスの変更が困難である。システム導入時の全体最適の結果が現在の業務であるからだ。対し、個別のプロセスは変えることが容易だ。これら個別のプロセスはロボット化に適した形で手順を改善していくことになる。注力するべきはこの個別最適にある。

②すべてのプロセスをロボット化しようと躍起にならないこと

ロボット化を考える際にもう一つ心構えがある。それは、プロセス全体の自動化に躍起にならないことである。

自動化の検討をする際、おそらく業務プロセスのフローチャートを見ながら検討するである。その際、プロセスのできる限りを自動化させたくなる。しかし、欲張りすぎてはならない。プロセスが増えれば増えるほど、難易度は上がる。また、開発やテストに時間がかかる。自動化への欲求をぐっと抑えて、プロセスの中から効率がいい部分を選んで自動化するべきである。自動化の難易度が高い部分は人が作業すればいい。

RPAで作れるのはスーパーロボットではない

今回紹介した心構えはどちらも、RPAを現実に見つめることから得たものである。基幹システム等に比べてRPAにかけられる時間や費用は少ない。(もっとも、基幹システム並みにコストをかけられるのであれば、それはRPAというプラットフォームを使った基幹システムであるともいえる)

RPAで作れるのはスーパーロボットではない。現実的にコツコツと自動化に取り組むことが肝心である。

2018年5月