2019年3月25日
【RPAコンサルタントの日常】
~考察!デジタル・トランスフォーメーション~
世間で盛んに提唱されている「デジタル・トランスフォーメーション(以下DX)」であるが、バズワードの例にもれず、これが非常にわかりにくい。AIなど最新IT技術を用いて企業が業務を変革させること、なのだろうが、経済産業省が発行した「DXを推進するためのガイドライン」にも、DXがなにかズバリとは書いていないのである。
DXの対象領域
おそらく、DXがわかりづらいのは、対象となる業務領域が言葉の内にないからである。業種と言うか企業によって異なる。この領域を探すことこそ、DXの事始めなのであろう。では、DXの領域とはなにか。
多くは他社あるいは新規参入者と競争すべき箇所であろう。競争すると聞けば、コンペなどを想像することも多いだろうが、もちろんそれだけではない。研究開発、マーケティング、購買物流、在庫、販売物流といったバリューチェーンの中で、マーケティングこそ競争といった企業もあれば、研究開発で他社との優位性を図っている企業もあるだろう。もちろんバリューチェーンのうち一個たりとも負けたくないという企業がほとんどだろうが、現実的にはどこかに力の配分を傾けているはずである。そして、それら負けたくない競争領域について、DXを実現していくのである。
レガシシステムからの脱却
因みに、DX実現のための手段としては、AIやビッグデータ、IOTなどが一般的であるが、DXを推進するためのガイドラインのDX実現シナリオには、レガシシステムの刷新が例としてあげられているのが興味深い。レガシシステムは現業務とあっておらず、また変更も難しいためDXの足を引っ張るという。要するに業務のデジタル化の障害なのである。
他社や新規参入者との競争に勝つには、デジタル化によってコストダウンを図る必要がある。ところが、レガシシステムの保守費は高騰しがちである。ドラスティックにコストダウンを図った競合に勝てなくなることが想定される。また、レガシシステムの維持に予算の多くをかけていては価値向上のためのITに投資することが難しい。少なくとも思い切った投資とはならないだろう。これでは事業のイノベーションは難しく、新しいアイデアを持った新規参入者に勝てないかもしれない。DXと聞くとAIであったりIOTであったり、派手なこと、尖ったことばかり思い浮かぶが、レガシシステムからの脱却という、一見地味なことこそが、変革の肝かもしれない。
2019年3月