2015年6月22日

【失敗しないシステム導入】

~ユーザが参画すべき工程とは?~

システム導入が成功するかどうかは、ユーザのプロジェクト参画度合にかかっています。そのために情報システム部門は、プロジェクト開始前にユーザに対して、「いつ」、「誰が」、「どれくらい」参画すべきかを伝え、ユーザメンバーをアサインしてもらう必要があります。

システム導入においてユーザが参画すべき工程は何でしょうか?

(1)要件定義

(2)設計&開発

(3)移行準備

(4)ユーザテスト

要件定義 / ユーザテスト

これらがユーザの参画すべき工程です。要件定義とユーザテストはユーザ主体の作業です。要件定義では業務フローや画面・帳票に必要な項目を決定します。ユーザテストではテストシナリオ、テスト項目を作成し、テストを実施します。要件定義とユーザテストにユーザの参画が必要なことは良く知られていると思います。

設計&開発

設計&開発工程でもユーザの参画が必要となります。ベンダが設計を詳細化し、開発を進めていく中で、要件仕様の確認が必要になることがあります。ベンダからの質問にユーザが回答します。要件定義、ユーザテストほどの工数はありませんが、ユーザからの回答待ちで設計&開発を止めないためにもユーザが即時に回答できる体制が必要です。

移行準備

移行の準備でもユーザの参画は必要です。移行プログラムの作成や移行作業自体は、ベンダや情報システム部門が実施しますが、対象範囲、変換ルール、クレンジングルールなどの検討はユーザ抜きにはなし得ません。

対象範囲とは> どのデータを過去何年分移行するかです。旧システムの全てを移行しようとすると移行コストが膨大になります。本当に必要なデータだけを移行するように対象範囲を絞らなければなりません。

変換ルールとは> 旧システムのデータをどのように変換して新システムに移行するかのルールです。旧システムから新システムにそのままデータを移行できることはまれです。レコードを統合したり、分割したりする必要が出てきます。統合、分割にあたっては変換のルールが必要になります。

クレンジング方法とは> 旧システムのデータを新システムに移行する際に、データをどのようにきれいにするかです。例えば、電話番号のハイフンの入力が統一されていないといった形式的なものから、同じ取引先が複数登録されているといった意味的なものまで幅広くあります。

このような内容を検討するのにユーザの参画は必須です。

情報システム部門としては、これらの工程へのユーザ参画が必須であることをユーザに伝え、アサインしてもらいます。また、それぞれの工程は関係があり、一貫性が求められます。このため、工程ごとに人が変わるのではなく、同じ人に要件定義からユーザテストまで一貫して担当してもらいます。ユーザ参画に対する入念な準備があって初めてシステム導入は成功します。

2015年6月