2017年10月16日

【RFPコンサルタントの日常】

~業務フローは「書くより聴く」である~

巷では業務フローの重要性が高まっている

働き方改革実現の救世主ともてはやされているRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、あるいはBPM(ビジネス・プロセスマ・ネジメント)、これらのツールや考え方の基盤は業務フローにある。この業務フローという地盤が弱ければ、RPAやBPMを実行しても効果は限定的になってしまう。

では強い業務フローとは何なのか

それは、目的志向のフローチャートであろう。時短効果や業務の正確性の向上、コストの削減のためにあるべきフローチャートを図解するのである。そのためには、現状を正しく認識する必要がある。正しい現状を認識することで初めて素の問題点が明らかになる。正しい現状の業務フローを書くために最初に必要なスキルは何だろうか。おそらく「業務知識」でも「書き方」でもない。現状を明らかにする「聴き方」である。

正しい現状の業務フローを書くスキルは「傾聴」にある

自分の業務を業務フローに落とし込むのであれば、傾聴のスキルは不要かもしれない。しかし、大抵は他人の業務をフローに落とし込むことになる。その場合、傾聴は強い味方になる。傾聴の基本は相手を理解することにある。この理解するという姿勢が現状を明らかにするにあたり有用である。それはなぜか。現状のいい部分・悪い部分の両方を明らかにする必要があるからだ。

批評もアドバイスも不要

業務フローに必要な情報をインタービューする段階では、そのプロセスについて批評もアドバイスも不要である。インタビュイーになったつもりで考えてみてほしい。今やっている仕事にケチをつけたり、こうしたらいいとおせっかいを焼いてくる人に、現状のありのままを伝えたいと思うだろうか。現状のあまりよろしくない部分は隠そうとするのではないだろうか。あるいは自身が感じている問題・課題を省略しようと考えるのではないだろうか。

必要なのは受容と共感

良しも悪しも率直に受け取って、相手のことを理解する。この姿勢を貫くことで業務の現状を正しく受け取ることができる。プロセスの悪い部分も、インタビュイーつまり業務を実際に行う人が感じている課題も受け取ることができるようになる。聴くスキルこそ業務フローを書くにあたって最大のスキルなのである。

極端なことを言えば、業務フローの書き方にこだわる必要はない。書き方は一回書けば大体わかる。現状を正しく聴き取ることが業務フローを正しく書くすべであり、その後のあるべき業務フローの活用、すなわち業務改善の大きな足掛かりとなるのである。

2017年10月