2016年4月18日

【RFPコンサルタントの日常】

~システム部門の役割を最定義する② システム部門の現状分析~

会社とITの関係性

前回(2016/2/29)、会社もしくは各事業におけるITの関係性について紹介した。突き詰めれば下記の3点となる。

①ITが業務をリードする

②業務がITと直結している

③ITが業務を支援する

これらの関係性を起点として、システム部門の現状を分析する。

あるべき役割の分析 「なぜ」を突き詰める

現状分析するにあたり、会社にとってのシステム部門のあるべき役割を考える必要がある。このあるべき役割と現状とを対比することで、ギャップや解決しなければならない課題を捉えることができる。考え方として様々な手法があるが、単純なのは「なぜ、システム部門があるのか?」を突き詰めて考えていくことだ。

例えば、②の「業務がITと直結している」会社であれば、それは「システムを安定稼働させるためである」と回答するかもしれない。ではなぜ安定稼働させなければならないのか。例えば「障害等による損失を防ぐため」である。ではなぜ損失を防がなければならないのか。「一旦出た損失(顧客信頼性など)は回復することが困難だから」である。もしくは「システム障害による損失が金銭的に多大なものだから」である。そしてそれらは「会社にダメージを与える」。

よって、この会社のシステム部門の主な役割は「ITを使った業者における会社の損失を最大限防ぐ」こととなる。これはあまりポジティブに聞こえないかもしれないし、リスクを回避しチャレンジしていかないように聞こえるかもしれない。しかしこれはただの役割である。最大限防ぐために、現状のIT環境を改善、変更し、将来のために新たな仕組みを企画することも、この役割における仕事の一つである。

話が横道にそれたが、大体5つくらい「なぜ」を重ねればシステム部門の役割が見えてくる。なお、分岐があれば、分岐分もすべて問いかける。これは後に全体を見て役割の優先順位を付けるためである。先ほどの例で言えば「ITを使った業務における会社の損失を最大限防ぐ」ことを第一優先とし、業務オペレーションの改善といった項目が第二優先となる。事業ごとにITの関係性が異なる場合は、その事業ごとに「なぜ」を突き詰める(バックオフィス部門のことも忘れてはならない)。すると、システム部門のあるべき役割が見えてくる。

システム部門の現状の把握 タスクやサービスを積み上げる

役割は会社や事業におけるシステム部門の「なぜ」を展開して考えていったが、筆者の場合、現状については今やっていることの積み上げで考えていく。つまり、今システム部門が行っているサービスを洗い出すことが最初の仕事である。洗い出し方は様々だが、システムのライフサイクルすなわち、企画、調達、導入、保守・運用にそって洗い出すのがやりやすいだろう。例えば企画フェーズで行っていることはシステムの企画あるいは企画の支援活動、が主なタスクとなる。なお、より詳細に洗い出したい場合、IPA(情報処理推進機構)が作成したUISS(情報システムユーザースキル基準)の詳細タスクワークフレーム図を参考にするとよい。この図はユーザー企業のシステム部門の取り組みを図解し一覧化したものである。興味があれば下記を参照していただくとよいだろう。

http://www.ipa.go.jp/jinzai/itss/uiss/uiss_download_Ver2_2.html

ギャップを埋めていくことでシステム部門の定義を周知する

そして洗い出したタスクやサービスを俯瞰して見て、あるべきシステム部門の役割と対比する。多少なりともあるべきシステム部門の役割と現状のギャップはあるだろう。先ほどの安定稼働の例で言えば、「将来のための新たな仕組み作りを企画していない」ことであったりする。ギャップを特定し埋めていくことで、あるべき役割に近づけることができ、且つ埋めていく活動の中で社内にシステム部門の役割とその意義を伝えていくことができる。例えば、積極的に企画することで、あるいは企画に積極的に関わることで、企画する部署と周りに印象付けることができる。結果ぼんやりしたシステム部門のイメージを具体化できるというわけである。

次回はこのギャップを埋める活動について紹介する。

2016年4月

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※ 関連コラム 【RFPコンサルタントの日常】 「システム部門の役割を再定義する① 会社とITの関係性」 (2016年2月29日)