2018年8月6日

【中小企業のIT投資は社長が仕切れ!】

~ITか人か、どちらに投資するか?~

「これ以上、ITにカネをかけたくない。これなら人が一人採用できる金額じゃないか」というようなセリフを中小企業の社長からお聞きすることがしばしばあります。

一昔前、経営資源は「ヒト、モノ、カネ」の3つと言われました。この3つの中で最も重要なものはやはり「ヒト」でした。人材、さらには人財といった表現を用いる会社もあります。優秀な人材はなによりも貴重な資源であることは筆者も異論はありません。しかし、人に何をやってもらうか、をきちんと考えないと、人材の無駄使いになることを真剣に考える必要があります。人がやるべきこと、人のほうが得意なことは何か?システムでやったほうが安上がりで効率的なことは何か?自社の仕事を棚卸して、仕事を分析し、適切な人とシステムの配分を定期的に見直し、判断するのは社長の大事な仕事です。

仕事も変化しますし、システムも進化します。たとえば、インターネットで競合会社の販売価格を調べて、自社の販売価格と比較して、価格調整を行うか否かといった仕事があるとします。少し前まではこれは人がインターネット検索をして、人の目で価格を調べて、Excelや社内システムにその価格情報を打ち込んで、それを会議で見て議論して判断する、といったプロセスが一般的でした。まだ、このプロセスを行っている会社も少なくないと思います。人が行う場合、もし一人の社員が検索調査を行うとして、勤務時間が9時~18時とすれば、その間のデータしか拾うことはできません。しかし、システムにやらせれば24時間データを収集することは可能です。また、インターネット検索して価格を調べて入力する仕事は定型的であり、一度覚えれば誰でもできるようになります。そのようなルーチンワークに「優秀な人材」をあてるのはもったいないと誰もが思うはずです。それでは「優秀ではない人材」をあてますか?本音では「そうだ」と思っている社長であっても、ストレートに「そうだ」とは言いにくいはずです。さらに「優秀ではない人材とシステムが同じ仕事ができるとしたらどちらにやらせますか?」と質問すれば「システム」と答える社長が多いのではないでしょうか?

たとえば上記の仕事はRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を使えば、インターネット検索からデータの入力まで24時間自動で行うことができます。さらに競合価格と自社価格の差分の閾値を設定しておけば、その閾値を超えたら価格調整というロジックを組み込むことで自動的に対応も可能です。さらに近い将来は閾値の設定もAIで行うことも可能になるでしょう。過去データから季節や製品入れ替え時期などを考慮して、より適切な価格や閾値の設定をAIが行うのです。人はそのような業務からは離れ、新事業企画や対顧客コミュニケーションといった人が得意な仕事にあたるのです。遠い将来の話ではありません。もう一部ではそうなってきている話です。社長はそれを正しく認識する必要があります。

2018年8月