2015年11月16日

【中小企業のIT投資は社長が仕切れ!】

~中小企業の社長は後継者のキャリアパスにシステム部門を経験させよう~

中小企業、特にいわゆる同族系の会社の社長の大きな課題の1つは「後継者問題」です。

同族企業の場合、多くのケースで社長の子供が次期社長候補となります。社長の息子あるいは娘のひとつの典型的なパターンとして、学校卒業後に大手企業などに就職し、5年~10年くらいその企業で修業をしたのちに、家業の会社に取締役として入社する。フロントである営業部門を数年、さらに総務・経理などのバックオフィス系を数年といった感じで担当し、会社の全体を理解する。同時に青年会議所などの組織に入会し、地域の企業家とのネットワークを強化する、といったステップを踏んで、若ければ30代後半、遅くとも50歳くらいで社長に就任といった感じが一般的でしょう。

これからはこのキャリアパスにシステム担当というキャリアを絶対に入れるべきです。その理由はこれからのビジネスの世界ではどのような業種であろうと、ITを利用しないことには事業が成り立たないからです。もちろん業種によりIT利用の濃淡はあります。IT利用度の高い業種はもちろんのこと、逆にIT利用度が低い業種こそ、他社との差別化のために積極的にITを利用する、といった発想をすべきです。

また、投資という観点からすれば、ITは支払う投資金額の観点でみると高額です。ひとつ間違えると無駄な投資に高額の資金を払い、会社の経営を圧迫することさえあります。だからこそ、社長がきちんと自分の知見でシステム投資を判断し、責任を持つことが求められるのです。現在60歳以上の社長世代は「ITのことよくはわからない。自分の勘と経験と度胸で会社を切り盛りしてきた」といえば武勇伝として評価されるでしょう。しかし、その子供世代である30代が数年後に社長に就任したときに「ITはわからない。勘と度胸で・・」と言ったら、取引先や銀行、そして社員はどう思うでしょうか?「すごい「、「素晴らしい」と評価するでしょうか?むしろ「この跡取り社長、大丈夫か?」と経営能力に疑問を持たれてしまうと思います。

次世代の経営者はITが自社にとってどのような利用方法があり、それがどれだけ事業に対してインパクトがあるかを理解する必要があります。しかも、それを理解していることは「アドバンテージ」ではなく「社長としてのスタートライン」にしか過ぎません。だからこそ、後継者修行のキャリアパスにIT部門を経験させるべきです。

具体的にはシステム部長やシステム担当役員(CIO=チーフ・インフォメーション・オフィサー)を数年経験させることをお勧めいたします。

2015年11月