2023年94

【失敗しないシステム導入】

要件定義完了後に報告会をすべき理由とは?~


システム導入プロジェクトにおいて、要件定義フェーズが完了するとそのまま設計フェーズに入っていくことが多いと思いますが、この段階で社内向けに報告会を実施すべきと考えます。

 

プロジェクトのキックオフ時にはどのようなシステムを導入しようとしているのか、つまりシステム企画の内容を社内向けに説明すると思いますが、要件定義完了後にもあらためて要件定義の内容について、プロジェクトの業務側メンバーから報告してもらいます。報告会を実施すべき理由について以下に述べます。 

1.システム企画時からの変更点の共有

要件定義を通じてシステム企画の内容が変更されることがあります。この変更点を共有せずにそのまま設計を進めてしまい、後から他部門から「システム企画で言っていたことと違う」と問題点が提示され、設計見直しの手戻りが発生することがあります。このようなことを防ぐためにも最新の要件定義の内容を社内、特に関連部門に説明し、問題がないかを確認します。

 

2.システム企画時からの詳細化内容の共有

要件定義を通じて要件が詳細化されていきます。システム企画の段階では総論賛成であっても、いざ要件が詳細化されていくと各論反対になることはよくあることです。詳細化された要件を説明し、問題がないかを確認します。もちろん、要件定義完了後の段階で初めて共有するのではなく、要件定義の途中でも適宜、関連部門には共有すべきですが、要件定義の最終結果をあらためて説明して確認します。

 

3.プロジェクトの業務側メンバーの理解促進

冒頭で「プロジェクトの業務側メンバーから報告」と書いたように、報告会では業務側メンバーから報告してもらいます。できれば業務側メンバーに報告用に資料を作ってもらうとよいでしょう。こうすることで、業務側メンバーに要件定義の内容を腹落ちして理解しもらえます。業務側の理解違いや新たな課題が判明するかもしれません。また、システム視点ではなく、業務視点で説明してもらうことにより、報告を受ける側も理解しやすくなります。

 

このように、要件定義後に報告会を実施することで、設計フェーズ以降の手戻りを防ぐことができます。

 

2023年9月 

【石井健作のコラム】

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