2023年1120

【中小企業のIT投資は社長が仕切れ!】

「どうする社長?」IT人材不足がますます深刻化してきた


以前から筆者はIT業界の人材不足について警鐘を鳴らしてきましたが、残念ながら解消するどころか、不足はますます深刻になっています。少子高齢化による若者の減少は大きな原因ですが、それだけではありません。企業にITソリューションを提供するシステムインテグレーター(以下、ITベンダーと呼びます)が人気商売ではなくなってきているのです。一括りにITといってもいまは職種が非常に多岐にわたります。中高年の社長がイメージするIT業界というのは前述したITベンダーのことでしょう。しかし、マスコミの報道などで「IT」とい呼ばれるのはITベンダーばかりではありません。WEBクリエーター、ゲームクリエーター、ECサイトの運営なども「IT」に分類されることが多いです。 

あるサイトの日本のIT企業ランキングを見ると、NTTデータ、富士通、NECといった大手ITベンダーと並んで、ソニー、パナソニックや楽天、任天堂なども上位にランクインしています。ソニーや任天堂、楽天などはたしかに人気企業であり、採用力も強いでしょう。しかし、それらの会社は企業向けのシステムを構築するITベンダーではありません。人手不足が特に深刻なのはITベンダーです。ITベンダーが人手不足だとさらに深刻なのが、ユーザー企業のシステム担当社員です。これも以前から繰り返し述べていますが、特に中小企業ではシステム担当の社員を採用することは非常に難しくなっています。採用できたとしても、社長が満足するような優秀な社員が採用できるかどうか、現実はなかなか難しいのではないでしょうか。その理由は給与や待遇に差が生じているからです。

 

ITベンダー業界が人材不足になると人の争奪戦となります。すると知名度が高く、給与も良い大手や外資系がそのパワーにものを言わせて、人を集めます。その次に中堅ベンダーや小規模ながら専門性の高いITコンサル会社などそこそこ採用競争力のある会社が人を採ります。このクラスでも現在はそれなりの給与待遇が必要になります。その給与待遇は一般の中小企業ではなかなか払うのが難しい額になります。いや、正確に言うとその額そのものがすごく高いわけではなく、他の社員とのバランスが取れなくなることで採用を躊躇することが多いようです。長年勤務している40代の総務課長と同じ額を中途採用の30代のシステム担当者には払えないといことです。もしそれが社内に知られたら大騒ぎになることを恐れるからでしょう。あるいは社長自身が30代のシステム部員に「それだけの価値があるのか?」と内心思っている場合もあるでしょう。迷ったのであれば無理に採用する必要はありませんし、しないほうが良いでしょう。しかし、そうこうしているうちにIT化は遅れ、ましてやDXなどできるわけなく、取り残されていってしまうかもしれません。


まさに「どうする社長?」です。あなたならどうしますか?

 

2023年11月