2020年7月20日

【失敗しないシステム導入】

~マスタースケジュールの重要性とは?~


システム開発などのIT系プロジェクトのみならず、新コロナ対策などの非IT系プロジェクトなどでもスケジュールを作成する機会が増えています。今回のコラムではマスタースケジュールの重要性について説明します。

ここでは現場で利用されるスケジュールを詳細スケジュールと呼び、詳細スケジュールよりも粗い粒度のスケジュールをマスタースケジュールと呼ぶことにします。例えば、タイムスケジュールでは詳細スケジュールが日次であれば、マスタースケジュールは週次、タスクの階層では詳細スケジュールが4階層(4レベル)であれば、マスタースケジュールは3階層(3レベル)というイメージです。

マスタースケジュールは、詳細スケジュールを作成する前に作成します。マスタースケジュールを作成することでプロジェクト全体の流れを俯瞰することができ、タスク同士の前後関係(Aが完了していなければBを開始できない)、クリティカルパス(タスクの遅延がプロジェクト納期の遅延に直結する)を理解できるようになります。これにより全体のスケジュールが妥当であるかを検証でき、品質の高い詳細スケジュールを作成できます。

プロジェクトオーナー、ステアリングコミッティ(多くの場合、両者とも役員が該当すると思われます)向けのプロジェクト計画書などにはマスタースケジュールを記載します。役員レベルがプロジェクトの全体の流れを把握するためには、詳細スケジュールは細か過ぎます。ただし、マスタースケジュールはタイムスケール、タスクの粒度が粗いだけであって、いい加減でよいというわけではありません。詳細スケジュール同様にタスクごとに責任者、成果物を明確にし、前述したタスク同士の前後関係、クリティカルパスも明示します。

プロジェクトが開始すると現場の進捗は詳細スケジュールで管理しますが、これも役員レベル向けの進捗報告には細か過ぎます。マスタースケジュールで進捗を報告します、クリティカルパス上のタスクに遅延が発生しているかどうか(=プロジェクト納期を遵守できるのか)が大きな関心ごとであるはずです。遅延が発生しそうな場合には、役員レベルで対応策を決定してもらいます。これにより迅速なリカバリが可能になります。

マスタースケジュールを作成することには以下のメリットがあります。

〇高品質の詳細スケジュールを作成することができる

〇役員レベルがプロジェクトの流れを理解することができる

〇役員レベルがプロジェクトの進捗を把握することができる

大きなプロジェクトになればなるほどマスタースケジュールの重要性は増してくると考えます。

2020年7月