2024129

【ITの引っ越し~持っていけば動くわけではありません~】

クラウドストレージの使い道

PCやスマートフォン・タブレットなどの機器はシンクライアント専用機など特殊な機器以外ではハードディスクやSSDのようなのデータ記録デバイス(以下ディスク)が標準で内蔵されていて、OSや各種プログラム加えて利用者が作成およびダウンロードした各種データが保存されています。 

故障その他何らかの不具合で機器を起動することができなくなると当然ディスクに保存されたデータにアクセスできない状態になりますが、そういった場合は起動できない原因を調べて、その原因に応じた対処を行うことになります。OSの修復で復旧できる場合はそれでよいのですが、起動時に最初に読み込むブート領域に読み込み不能な障害があり修復ができない場合には、そのディスクでの起動を諦めざるを得ない場合があります。

 

こういった場合、PCであれば別のディスクを増設してそちらにOSをインストールして起動したり、不具合が発生したディスクを取り出して他のPCに外付けディスクとして接続してアクセスするなどで対処します。しかし、内蔵ディスクがマザーボードにハンダ付けされていて取り外しが困難な構造の製品が最近では多く見られます。加えてOSの標準機能として内蔵ディスクの暗号化が有効になっている場合も多く、取り外せたとしても別のシステムで読み込むには暗号化を解除しないと保存されているデータにアクセスできない場合もあり、ディスクに保存されているデータに正常に稼働しているシステム以外の方法でアクセスするためのハードルが高くなっています。

 

もちろん機器の盗難や不正アクセスへの対策としては欠かせない機能ではありますが、トラブル発生時には状態に応じた対応策を考えなければなりません。別媒体(ハードディスクやネットワークドライブなど)に定期的なバックアップが行われていればバックアップからの復旧も可能ですが、個人が使用しているパーソナル機器の場合は実態としてまめにバックアップされている事例はそれほど多くありません。

 

こういった点ではWindowsであればマイクロソフトアカウントに基づくOneDrive、MacやiPhoneなどのアップル製品であればApple IDに基づいたiCloud Driveなどのクラウドベースのストレージサービスを有効にして、使用している機器のローカルディスク内のデータをクラウド側に同期させるサービスは効果的です。ただし、いずれのサービスも無償で提供されるストレージは5GBなので十分なローカルストレージのバックアップとして不足する場合は有償のオプションで増量が必要になりますが、かつてのように内蔵ディスクからのデータ回収が困難になっていることを考えると保険としてクラウドのストレージサービスへのバックアップは有効でしょう。

 

また、内蔵ディスクを取り出せた場合にWindowsのBitLockerやAppleのFile Vaultによるディスク暗号化機能が有効になっている場合でも、マイクロソフトアカウントやApple IDで回復キーを保管しておけば容易に暗号化を解除できるのでこの面でも価値のあるオプションです。

 

個人的にはシステムの初期セットアップ時点でこれらのアカウントが要求されるシステムは好みではありませんが、この点では有効性を認めざるを得ません。


2024年1月 

 

>参考

 OneDrive:クラウド ストレージの価値とプランの比較

 iCloud Drive:iCloud+ のプランと料金