2021年1月12日

【ITの引っ越し~持っていけば動くわけではありません

~最近の薄型パソコン~


iPadなどのタブレット型端末が普及して以来の傾向ですが、ノート型PCでタブレット型端末の技術の延長と考えられるタイプの筐体構造を採用したPCが増えているように思います。MicrosoftのSurfaceシリーズをはじめとした2in1型端末はWindowsがインストールされたタブレット型端末と、この端末と一体になるキーボードがセットになったノート型端末です。2in1ではないにせよ、各社のディスプレイ以外の本体部分の厚さが1cmもないような薄型ノートPCやiPadのメーカーであるAppleのノート型PCも、内部の構造は従来のノート型PCというよりタブレット型端末の技術がベースになっているなと思わされることがよくあります。

これらの端末では、概ね以下のような構造をとっていることが多いようです。

〇本体ケースを容易に開けることができない構造

〇ディスク装置にSSDを採用

〇バッテリーが筐体内部に埋め込み

〇メモリとバッテリーはマザーボード直付け

ノート型端末でケースを開ける場合、一般に底面カバーのネジ止めを外して底面を取り外して内部にアクセスするわけですが、タブレットを踏襲した端末の場合、ケース底面にネジが無いタイプが一般的で、ユーザーが簡単にケースを開けて内部にアクセスすることができない構造を採用していることが多いようです。ケースを開けることを想定しなければ、内部のメモリやディスクなどをユーザーが交換することを考慮する必要がないし、これらのパーツを取り付けるソケットを省略して基板に直接ハンダ付けできるので、ソケットのスペースを省いて容積を稼ぐことができ、全体の小型化に有利になります。

こうして軽量薄型のメリットが得られますが、いくつか目をつぶらなければならない点もあります。

〇SSDを採用 →故障した際に、故障個所によってはハードディスクに比べて復旧の難易度が高いようです。

〇バッテリーが埋め込み →バッテリーは充放電を繰り返すうちに劣化が進み、最終的には使用不可能になります。従来のノート型PCの場合はカートリッジ式で、正常に動作する交換品さえあれば簡単に交換が可能でした。軽量薄型の場合は本体内部に埋め込まれていることに加えて、本体ケースを簡単に開けられる構造ではないため、バッテリーに不具合が発生すると本体一式のメーカー修理が必要となります。特にバッテリーが埋め込み式の場合、バッテリーが完全にへたってしまうとACアダプタを接続した場合でも基板側に電力が供給されず、起動すらできなくなるものが多いようで、バッテリーの寿命=本体の寿命という制約が伴います。

〇メモリが基板直付け →購入時の搭載メモリ容量では不足で増設したい場合に基板直付けであれば交換はほぼ不可能なことに加え、増設用のスロットが用意されていなければメモリチップを追加できないため、購入時のメモリ量を超える作業が必要な場合は、十分なメモリを搭載した別端末が必要になります。

〇SSDが基板直付け →容量が大きいディスクに交換することも困難です。USBポートやSDカードスロットなどがあれば外付けで増設可能ですが、起動ボリュームを大容量ドライブに交換することは難しいでしょう。

以上、いくつかデメリットをあげましたが、長く使っている間に思わぬところでこの制約にあって慌てることのないよう注意点として理解しておく必要があります。

2021年1月