2016年1月5日

【中小企業のIT投資は社長が仕切れ!】

~宝の持ち腐れにならないよう、社長自らITリテラシーを鍛えよう~

中小企業の社長に「経営とITの関係」を質問すれば、ほとんどの社長が「ITは経営の武器」というような回答をするでしょう。だが、本当にITを経営の武器として認識し、自ら武器の性能や効果を熟知し、その使い方の訓練をしようという方は残念ながら少数です。質問されれば「ITは経営の武器」と言いながら、実は無関心で、必要なIT投資すら十分に行わない中小企業の社長がまだまだ散見されます。

一方で、思い切って大きなシステム投資を決断される社長も増えてきています。これからの経営にITの有効活用は不可欠なので、投資を決断されること自体はもちろん良いことです。しかし、気をつけなければいけないのは、当たり前のことですが「武器」は使いこなしてこそ、その威力を発揮します。

どんな名刀であっても剣術の心得がなければ、木刀を持った経験者には勝てません。それではマシンガンならどうでしょうか?敵に向かってめったやたらと連発すれば、「下手な鉄砲数撃てば当たる」でそれなりの戦果は得られるでしょう。しかし、弾丸の浪費にかかるコストや、下手に乱射して味方に損害を与えるリスクを考えると、マシンガンのような武器であってもやはり習熟して使うべきでしょう。

システムもまったく同様です。高いパッケージを購入し、さらに高額なカスタマイズ費用を払って業務に適したシステムを構築できたとしても、それを社員が使いこなすことができなければ、投資対効果的にはマイナスになる可能性があります。

ITの効果やメリットを理解した上で使いこなす能力をITリテラシーといいます。社員のITリテラシーが高いか低いかは、実はIT投資に大きく影響します。ITリテラシーが高ければ豊富な機能を使いこなせます。あるいは逆に、Excelのような安価なソフトで大抵のことをやってしまえたりします。ITリテラシーが低い人は機能の一部しか使えず宝の持ち腐れになりがちです。また、リテラシーが高い人ならExcelで簡単にやってしまうことが、自力でできないので、追加開発費を払ってプログラム改修しなければならなくなったりします。コストや効率の面でリテラシーは大きな影響を与えるのです。

それでは社員のITリテラシーを鍛えるのにはどうしたらよいでしょうか?社内研修を定期的に実施したり、社外のセミナーやトレーニングに行かせたり、あるいはIT資格を取得したら報奨金を出すなど、社員のリテラシーを鍛える方法はいくつもあります。しかし、最も効果的な方法は社長自らが率先して自分のITリテラシーを鍛えることです。社員は口では言わなくても社長の行動を常に見ています。社長のITリテラシーが高ければ、社員はおのずとそれを見習います。逆に、どんなに研修費を投じてトレーニングの機会を社員に与えても社長自身が「自分はいいから、お前ら頑張れ」では社員は本気で研修など受けません。単なる「息抜き」になってしまいます。

ITは経営の武器であることは間違いないでしょう。武器は使ってこそ威力を発揮します。効果的に武器=システムを使いこなすためには、そのシステムの機能を知り、操作に習熟しなければなりません。社長はシステム投資を決断したならば、同時にITリテラシー向上も図らなければせっかくの投資も効果はでません。そして社員のリテラシー向上に最も効果が高い方策は社長みずからのITリテラシーを上げることなのです。

2016年1月